世界展望
新しい聖書翻訳
現在,聖書の全巻もしくは一部は1,928ほどの言語に翻訳されており,世界人口の98%ほどがそれを入手できる。フランスのラ・クロワ紙が伝えるところでは,1989年中,新たに21の聖書翻訳が発行された。その中には次のような言語が含まれる。パプアニューギニアのある地域で話されているピジン英語の一種,トク・ピシン語。トラック島や南太平洋の他の島々で話されているトラック語。東南アジアのシナチベット諸語に属する非中国語系のラフ語。バングラデシュで使われているバウム語。また現在,ソ連やスカンディナビア半島の一部で話されているラピシュ語,ジプシーが使っているロマニ語への翻訳作業が進められている。
骨の病気と関連がある
骨粗しょう症は,時として肢体が不自由になる骨の病気であるが,米国では60歳を超える白人女性の4分の1がこの病気を患っている。オースティンにあるテキサス大学のジャンヌ・フリーランド-ゲレーブズ博士は,骨粗しょう症と血中のマンガン値との間には関連があると主張する。同女史の研究によれば,骨粗しょう症を患う高齢の女性は同年代の健康な女性に比べ血中のマンガン値が低いようで,その低下が病気の一因になるらしい。「35歳を過ぎると骨は衰え始めるが,女性の場合は更年期を過ぎるとエストロゲンの防御効果がなくなり,骨の損失が急速に進行する」と,フリーランド-ゲレーブズ博士は言う。さらに同博士によれば,カルシウムは骨にとって大切だが,カルシウムを補ってもこの病気の予防にはならない。「骨はカルシウムだけでできているわけではなく,マンガンも骨の中に蓄えられているミネラルの一つ」だからである。マンガンを豊富に含む食品としては,パイナップル,ペカン,ピーナッツ,豆類,米,ホウレンソウ,サツマイモ,オートミール,全粒小麦粉のパンなどがある。
母乳は保護になる
母親が赤ちゃんを母乳で育てると,赤ちゃんは病気に感染しにくくなる。こういう著しい利点があると結論しているのは,英国スコットランド,ダンディーにあるナインウェルズ医大病院のピーター・ハウイ教授率いる医師団である。生後1年のあいだ赤ちゃんを調査した結果が,ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌に掲載されたが,それによると,生後13週間母乳を与えられた赤ちゃんが胃腸の病気にかかったケースは,ミルクで育てられた赤ちゃんが胃腸の病気にかかったケースの3分の1に満たなかった。母乳で育てると,呼吸器系の問題を減らす面でも,胃腸の病気ほどではないが同様の効果が見られる。子供たちがこれらの恩恵に浴するため,母親は「少なくとも3か月間は母乳を与えるべきである」と,医師団は結論している。
犯罪のカーニバル
ブラジルのフォーラ・デ・サンパウロ紙は,四旬節に先立つカーニバルの期間中にサンパウロで発生した重大犯罪のリストをこのほど公表した。そのリストには,616件のけんか,合わせて432件の窃盗や強盗,17件の強姦,3件の誘拐,39件の殺人などが挙げられているが,これらはみな,わずか18時間のうちに発生した。そればかりか,その同じ18時間のうちに,24件の火災,12件の溺死事故が起き,6人が自殺し,17人の未成年者が遺棄され,23人が死体で発見された。また報告によれば,カーニバルが行なわれた五日間で1日平均260台の車が盗まれた。
路上の危険
ニューヨーク・タイムズ紙によると,「路上強盗に関する米国最悪の都市」はニューヨーク市である。さらに報告によれば,1989年中ニューヨーク市で発生した殺人事件は史上最悪の数を記録し,合計1,905件に上った。1990年の最初の2か月を見ると,殺人は「昨年同期の20%増」になっているが,これには,3月にブロンクスで起きた社交クラブの放火事件で死亡した87人は含まれていない。同紙によると,警察当局は2万5,500人の警察官では人手が足りず,路上の法と秩序を維持するのは困難であることを認めている。1989年にニューヨーク市で発生した犯罪総数の中には,財産に対する犯罪が54万2,932件,人間に対する犯罪が16万9,487件含まれている。
帰宅恐怖症
日本の男性は,職場で長時間働く生活を何年も続けてきた結果,何を手にしたのだろうか。家族から疎外されているように感じ,夫また父親としての権威を失った人が増えている。富国生命保険が行なった調査では,日本の一流企業の男性社員のうち,週に少なくとも1日は帰宅しないという人が40%に上った。そのうち,友人と飲み明かす人が3分の2,一人で飲む人が3分の1である。極端なケースになると,蒸発する人もいる。実際,警察庁が「目ざめよ!」誌に語ったところによると,1988年に捜索の対象となった蒸発者と思われる男性は4万6,577人に上ったが,蒸発のおもな原因は家庭問題であった。
『祝う理由がない』
「英国サッカー界の最も有名なスターで,英国の勲章を授与された唯一の選手であるスタンレー・マシューズは,祝う理由を見いだせないでいる。スポーツの楽しさがなくなったため,彼は昨今のプレーに嫌気がさしているのだ」と,ブラジルのオー・エスタド・デ・サンパウロ紙は述べている。1965年,50歳の時にサッカーのプロ生活から引退したマシューズの考えによると,今の選手はマナーと道徳的資質とに欠け,暴力と不実が特徴になっている。「今の選手は,我々の時代よりも反則が多い。楽しみや喜びがめっきり少なくなった」とマシューズは言う。「何もかもが,すっかり変わった。第二次世界大戦前は,ナショナルチームでプレーしていて退場させられようものなら,二度と選ばれることはなかった。味方のファンからもやじられたのだ」。
自動車の強奪
盗難防止装置を取り付けた車が非常に多くなっているため,車泥棒は手口を変えつつある。南アフリカ,ヨハネスブルクのサタデー・スター紙が伝えるところでは,「だれも乗っていない車の窓ガラスを割り,エンジンを“直結”させて走り去るという単純な方法がもはや通じないため,警戒心のないドライバーが車を運転している時や停車中に強奪を試みる車泥棒が増えている」。泥棒は青いライトを点滅させてパトカーに乗っている警官を装い,ねらった相手を止めてから銃を突き付けて車を奪う。また,ドライバーが信号待ちをしているときや,車に施錠していないときに盗む場合もある。警察によれば,商用車が強奪される場合は,車そのものだけではなく中にある商品もねらわれている。また警察では,ドアにロックすること,窓を大きく開けないこと,信号待ちや一時停止の際には十分用心することなどをドライバーに呼びかけている。
不公平な競技?
1928年以来,米国カリフォルニア州カラベラス郡では,カエルのジャンプ競技会が毎年開かれている。参加するカエルの大部分は,カリフォルニアウシガエルで,体重はほとんど500㌘以下である。しかし,外国の動物を輸入している某業者は,競技会に自分のカエル,つまり西アフリカ産の“ゴリアテ”カエルを出場させようとしてきた。このカエルは体重が7㌔にも達し,体長は約1㍍になる。最近の競技会では,3回で約6.5㍍跳ぶという記録が出た。しかし,“ゴリアテ”カエルの輸入業者は,自分のカエルなら1回でそれだけ跳べると言う。競技会の主催者は,競技が不公平になると言い,“ゴリアテ”カエルの競技会出場を妨害してきた。また,“ゴリアテ”カエルが小さいカエルを食べたり,高さ11㍍の壁を跳び超えて見物人にぶつかったりする恐れがあると言って反対している。
中絶論争に助っ人が雇われる
米国のローマ・カトリックの司教たちは,一流の広告会社と政治的な影響力のある世論調査会社に仕事を依頼した。それは,中絶に反対するようカトリック教徒と非カトリック教徒を説得する全国キャンペーンを繰り広げるためである。向こう3年から5年にわたり,司教たちはこのマーケティング計画に500万㌦(約7億5,000万円)の支出を見込んでいる。「世論調査では,大半の女性は限られた範囲であっても中絶を行なう女性の権利を支持しており,それを支持するカトリック教徒の女性も少なくない」と,ニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。
同性愛者のアリバイ
強姦,強制わいせつ行為,暴行,不法監禁の罪に問われていた若者が,意外な証人によってアリバイを実証された後に裁判所から無罪を言い渡された。問題の証人は,米国ペンシルバニア州ピッツバーグ市の教区に任命されていたカトリック司祭。ナショナル・カトリック・リポーター紙によれば,この「司祭は,自分と被告は愛人関係にあり,強姦事件があったとされる時にも一緒にいたと証言した」。この同性愛者の司祭は,こうした驚くべき告白によって同性愛を公に認めた結果,無期停職処分になった。