-
ユダ,II聖書に対する洞察,第2巻
-
-
5. イエスの4人の異父兄弟の一人。(マタ 13:55; マル 6:3)このユダはイエスが宣教を始めて間もないころカナで奇跡を行なわれた時,3人の兄弟や母親のマリアと一緒にいたようで,後にイエスやその弟子たちと共にカペルナウムまで旅行し,そこに短期間滞在したものと思われます。(ヨハ 2:1-12)それから丸1年余り後に,ユダはマリアや自分の兄弟たちがイエスを捜し当てた時,その場に一緒にいたようです。(マタ 12:46)ところが西暦32年になっても,ユダを含めイエスの兄弟たちは「彼に信仰を働かせてい(ません)」でした。(ヨハ 7:5)イエスは亡くなる直前,信者であった自分の母親の世話を使徒ヨハネに託しました。このことはユダもその兄弟たちもまだ弟子になっていなかったことを強く暗示しています。(ヨハ 19:26,27)しかし,ユダはキリストの復活によって確信を抱くようになったものと思われます。なぜなら彼は,イエスが昇天された時から西暦33年のペンテコステの日までの間に,共に集まってひたすら祈りを続けていた,使徒たちをはじめとする人々の中にいたからです。(使徒 1:13-15)ですから当然,ユダは最初に聖霊を受けた信者の中に含まれていたことでしょう。このユダは,西暦65年ごろ聖書のユダの手紙を書いたユダと同一人物であろうと思われます。―「ユダ,III」を参照。
-
-
ユダ,III聖書に対する洞察,第2巻
-
-
クリスチャン・ギリシャ語聖書はユダという名の別人について述べていますが,この聖書筆者は自分の兄弟の名に言及することによって,自分を他の人と区別しています。(「ユダ,II」5項を参照。)この点から類推すると,彼の兄弟ヤコブはクリスチャンの間でよく知られていたものと考えられます。その名を持つ人で際立って有名なクリスチャンは一人しかいないようです。使徒パウロはこのヤコブのことを,エルサレム会衆の「柱」の一人,「主の兄弟」と呼んでいます。(ガラ 1:19; 2:9。使徒 12:17; 15:13-21も参照。)ですから,このユダはキリスト・イエスの異父兄弟だったようです。(マタ 13:55; マル 6:3)しかし彼は謙遜にも,神のみ子との血縁関係に乗じるようなことはせず,自分自身を「イエス・キリストの奴隷」と呼んでいます。
-