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地上の生命はどのようにして始まったか目ざめよ! 1987 | 1月22日
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最小のバクテリアの細胞は驚くほど小さく,重さは10-12 ㌘足らずだが,その細胞一つ一つは事実上,まさに超小型の工場をなしている。その工場には,複雑ながら絶妙に設計された,分子の機械類が幾千台も備わっている。それらの機械は,全部合わせると1,000億個もの原子でてきており,人間が組み立てるどんな機械装置よりはるかに複雑で,非生物界にこれに匹敵するものは一つもない。
「分子生物学は,細胞体の基本的な造りが,バクテリアから哺乳類に至るまで地上のあらゆる生物体において本質的に同一であることをも示してきた。デオキシリボ核酸,伝令リボ核酸,およびタンパク質のそれぞれの役割は,あらゆる生物において全く同じである。遺伝暗号の意味するところもあらゆる細胞において実質的に全く同じである。タンパク質合成装置の大きさや構造などはあらゆる細胞においてほとんど同じである。それゆえ,これらの基本的な生化学的仕組みからすれば,どの生物体も他のいずれかの生物体より原始的であるとか,その祖先であるとか考えることはできず,地上の極めて多様な細胞すべてに進化論的な序列を示唆するような事実も何一つない」。14
ですから,エール大学の物理学者ハロルド・モロウィッツが,無作為の変異によって最も単純な生きたバクテリアが発生する確率を,1の後に0が1,000億個付いた数に対して1回と計算したのも驚くにはあたりません。「この数はあまりにも大きいため,それを普通の形式で書くには,0だけで数十万冊の本になるだろう」と,シャピロは述べました。そしてさらに,生物の化学的進化にこだわる科学者たちは増大する証拠を無視しており,「それを疑う余地のない真理としてただ奉ずることを選んで,それを神話として祭り上げている」と非難しています。15
細胞生物学を専門にしているある科学者はこう述べています。幾百万年前に「一つの細胞が単独で武器を造り,食物を捕らえ,それを消化し,老廃物を排せつし,動き回り,家を建て,単刀直入な方法にしろ突飛な方法にしろ性行為を営むことができた。このような生き物が今なお周辺に存在している。この原生生物は,完全で欠けたところのない生き物だが,単細胞であり,多くの能力を有してはいるが,組織も,器官も,心臓も,脳髄もない。それでも我々の持つすべてのものをまさに得ている」。この科学者は,「まさに生命そのものとも言うべき,幾十万もの化学反応が同時に進行する」ことによって活動する単一の細胞のことについて述べています。16
顕微鏡でしか見ることのできない一つの細胞の内部における化学反応のための交通網は信じられないほど入り組んでいますが,それでも,交通渋滞はありません! 至高の理知を有する優れた設計者が必要なことは明らかです。重さが「1㌘の数十億分の一ほどもない」微小なDNA片の中に暗号化されて記録されている情報だけで「人間ほどに複雑な生物を造り出せる」のです。17 しかし,単一の細胞についての情報でも,「もし書き出すとすれば,600ページの本1,000冊分にもなる」でしょう。18
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地上の生命はどのようにして始まったか目ざめよ! 1987 | 1月22日
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[8ページの図版]
一つ一つの生きた細胞内では幾十万という化学反応が同時に起きているが,交通渋滞はない!
[9ページの図版]
単一の細胞内の情報だけで,600ページの本1,000冊分にもなる
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