ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 合成化学物質の氾濫
    目ざめよ! 1998 | 12月22日
    • 合成化学物質の氾濫

      今世紀のことを,化学の時代と呼んでも誇張ではないでしょう。合成化合物は人の生活を変えてしまいました。家や事務所や工場は,スプレー,人工甘味料,化粧品,染料,インク,塗料,殺虫剤,医薬品,プラスチック,冷却剤,合成繊維などであふれており,その例は挙げきれません。

      世界保健機関(WHO)によると,そうした製品に対する世界の需要を満たすために,世界中で毎年約1兆5,000億㌦(約210兆円)相当の化学物質が生産されています。WHOは,今日約10万種の化学物質が市場に出回っており,毎年1,000種類から2,000種類の新しい物質が加えられていると報告しています。

      しかし,こうした化学物質の氾濫により,周囲の環境やわたしたち自身の健康はどんな影響を受けているのだろうかという疑問が生じます。わたしたちが,まだだれも足を踏み入れたことのない未知の世界を歩んでいることは明らかです。「我々はみな実験台の世代に属しており,その最終的な影響は何十年もたつまで知られないだろう」と,一人の医師は述べました。

      化学物質が多ければ,危険も大きい?

      WHOによると,汚染物質の影響を最も受けやすいのは,「貧しい,非識字の人たちで,化学物質の危険に関する適切な訓練や基本的な情報を全く,もしくはごくわずかしか得られないまま,そうした物質に毎日,直接あるいは間接的にさらされ」ています。殺虫剤に関して特にそう言えます。とはいえ,わたしたちだれもが化学物質の影響を受けています。

      「緑の世界史」(A Green History of the World)(京都大学環境史研究会訳)という本によると,カリフォルニア州の井戸の20%ほどは,公的な安全基準を上回る汚染レベルに達しており,その水には殺虫剤も含まれています。同書はさらにこう述べています。「フロリダ州では1,000の井戸が汚染物質の混入で閉鎖されている。ハンガリーでは773の町村に飲用に適さない水が供給されている。イギリスでも地下水の10%までが世界保健機関(WHO)の安全基準を超える汚染を受けている。さらにイギリスとアメリカ合衆国の一部では,水道水に含まれる硝酸塩の濃度が高すぎ,新生児には飲ませることができない」。

      水銀も,有用であると同時に毒物になり得る化学物質です。水銀は,工場の煙突や無数にある蛍光灯など様々な汚染源から環境に流れ出ています。鉛も,燃料や塗料など実に多くの製品に使われています。しかし,水銀と同じく有毒な場合があり,子供たちに対して特にそう言えます。鉛を含む,車などの排気にさらされると,平均的な子供の「知能指数は最大4」下がる場合があると,エジプト,カイロのある報告は述べています。

      国連環境計画によると,毎年およそ100㌧の水銀,3,800㌧の鉛,3,600㌧のリン酸塩,そして6万㌧の洗浄剤が,人間の活動の結果として地中海に流れ込んでいます。容易に理解できることですが,地中海は危機的な状況にあります。しかし,それは地中海に限ったことではありません。実際,国際連合は1998年を国際海洋年と宣言しました。世界中の海洋が問題を抱えており,それは特に汚染によるものです。

      確かに,化学関連の技術は人間に多くの有用な製品をもたらしましたが,人がそれを使用し,処分する時に,その多くは環境に少なからぬ危害を及ぼすことになりました。ある新聞のコラムニストが最近述べたとおり,人間は自らを「進歩の人質」としてしまっているのでしょうか。

      [4ページの囲み記事]

      化学物質と化学反応

      “化学物質”という言葉は,人間を取り巻いている世界を構成する基本物質すべてを指しています。それには,鉄,鉛,水銀,炭素,酸素,窒素など100を超える元素が含まれます。化合物,つまり異なる元素が組み合わさった物質には,水,各種の酸や塩,アルコールなどが含まれます。それらの化合物の多くは自然に生じます。

      “化学反応”とは,「一つの物質が化学的に変化して異なる物質になる過程」と定義されてきました。燃焼は化学反応です。紙,ガソリン,水素など可燃性の物質を,全く異なる一つの,あるいは複数の物質に変化させるからです。多くの化学反応が,わたしたちの周りや,体内で絶え間なく起きています。

  • 化学物質 ― 友であり敵でもある?
    目ざめよ! 1998 | 12月22日
    • 化学物質 ― 友であり敵でもある?

      わたしたちは日常の生活で多くの決定をしますが,そのさいには物事の長所と短所をよく比較します。例えば,多くの人は,その便利さゆえに自動車を購入します。しかし,便利さの反面,車の所有に伴う負担として,保険,登録諸費用,減価償却,また走行できる状態にしておく経費も考慮に入れなければなりません。自動車事故によるけがや死の危険も念頭に置くべきです。それぞれの長所と短所をよく比較しなければならないという点では,合成化学物質についても同じようなことが言えます。例えば,MTBE(メチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)という化学物質について考えてみましょう。これは,燃料の燃焼効率を上げ,車の排気ガスを減らすために添加される物質です。

      一つにはMTBEのおかげで,米国の多くの都市の空気はここ数年,かつてなくきれいになっています。しかし,きれいな空気には「それなりの代償が伴う」と,ニュー・サイエンティスト誌(英語)は伝えています。なぜなら,MTBEは発ガン物質である可能性が高く,幾万もあるガソリンの地下貯蔵タンクから漏れ出して地下水を汚染している場合が多いからです。その結果,ある町では水道水の82%を外部から得なければならず,そのために毎年350万㌦(約5億円)をかけています。ニュー・サイエンティスト誌は,この災害が,「今後何年もの間,米国の地下水汚染危機の中でもとりわけ深刻なものになる可能性がある」としています。

      化学物質の中には,環境や健康に大きな危害を与えるため,禁止されて市場から完全に取り除かれたものもあります。しかし,『なぜそういうことが起こるのだろうか。新しい化学物質はすべて,徹底的に毒性試験を行なってから市場に出されるのではないのか』と尋ねる方もおられるでしょう。

      毒性試験の問題点

      実は,化学物質の毒性を調べる試験は,科学と憶測を織り交ぜたようなものです。「リスク査定者は,いかなる化学物質にさらされることについても,“安全な場合”と“安全でない場合”とを明確に区別する方法を知らない」と,ジョセフ・V・ロドリックスは自著「計算されたリスク」(Calculated Risks)の中で書いています。それは,人工的に合成されることの多い医薬品についても同じです。ワールドブック百科事典(英語)は,「最も精密な試験を行なっても,医薬品が予期せぬ有害な影響をもたらす可能性をすべて洗い出すことはできない」と述べています。

      実験室には,その性質上一定の限界があります。例えば,多様で複雑な外の世界で化学物質がどのように働くかを完全に模擬実験することはできません。実験室外の世界には,幾百,いえ幾千種類もの合成化学物質があふれており,その多くは互いに反応し合ったり,生体に作用したりすることがあります。それらの化学物質は,それ自体は無害であっても,人体内もしくは体外で他の物質と結合すると,新しい有毒化合物を生ずることがあります。中には,人体内での代謝によって処理されて初めて有毒に,さらには発ガン物質になるものさえあります。

      こうした難問があるなかで,リスク査定者たちはどのようにして化学物質の安全性を見極めようとしているのでしょうか。これまで行なわれてきた通常の方法は,実験動物にその物質を一定量与え,その結果を人間に当てはめてみることでした。この方法はいつも信頼できるのでしょうか。

      動物実験は信頼できるか

      毒性試験に動物を用いることは,動物に対する残虐行為という倫理上の問題を生んでいますが,ほかにも幾つかの問題を生じさせています。例えば,化学物質に対する反応は動物によって大きく異なる場合が少なくありません。雌のモルモットは猛毒のダイオキシンを少量投与されるだけで死亡しますが,ハムスターはその5,000倍の量でなければ死にません。ラットやマウスといった非常に近接した動物種についてさえ,反応の異なる化学物質が多くあります。

      もしある動物種の反応から別の種の反応を正確に予測できないのであれば,研究者たちは特定の化学物質が人間に安全であると,どれほどの確かさで言えるでしょうか。実のところ,研究者たちも正確には分からないのです。

      化学者にとっては本当に大変な仕事です。自分たちが造り出した製品を欲しがる人たちを喜ばせ,動物の福祉を気遣う人たちをなだめ,なおかつ製品の安全性に関して自分の良心を満足させなければなりません。こうした理由から,現在,培養した人間の細胞を使って化学物質の毒性試験を試みている研究所もあります。しかし,それにより安全性に関して信頼できる保証が得られるようになるかどうかは,時の経過を待たなければならないでしょう。

      研究室の試験が機能しない時

      今でも環境に幅広く残留している殺虫剤のDDTは,発表当時には,安全であると不正確な宣言のなされた化学物質の一例です。科学者たちは後に,DDTが,生体内に蓄積しやすいことを知りました。毒性を持ち得る他の物質の場合と同様です。どのような悲しい事態が生じているでしょうか。食物連鎖は膨大な数の微小な生物,次いで魚類,そして最終的には鳥類やクマやカワウソなどによって構成されますが,それはさながら生物界の漏斗のようにして最終的捕食者の体に毒物を集中させてゆきます。ある場合など,水鳥であるカイツブリの一群は,10年余りのあいだ1羽のひなもかえすことができませんでした。

      こうした生物学的な漏斗は極めて効率がよく,水中ではほとんど検出されないような化学物質でも,最終捕食者のもとへは驚くほどの量が濃縮されて集まることがあります。北米のセントローレンス川に生息するシロイルカはそのよい例です。そこのシロイルカの毒物レベルは余りにも高く,死ぬとその体は有害廃棄物として処理されなければなりません。

      多くの動物の体内に残存したある種の化学物質は,ホルモンに類似した働きをすることが分かっています。そして,科学者たちはごく最近になって,それらの化学物質が知らない間に有害な影響を及ぼす場合のあることに気づくようになりました。

      ホルモンのような働きをする化学物質

      ホルモンは,体内でメッセージを伝達する重要な化学物質です。ホルモンは血流を通して人体の他の部分へ移動し,体の成長や生殖周期など一定の機能を刺激したり抑制したりします。興味深いことに,世界保健機関(WHO)の最近の新聞発表によると,「急増している一連の科学的証拠」が示すように,ある種の合成化学物質は,体内に取り入れられると,ホルモンの働きを有害なかたちでまねたり阻んだりして,その働きを妨害します。

      そうした化学物質としては,PCBa,ダイオキシン,フラン,そして残留DDTを含む数種の殺虫剤があります。これらの化学物質は内分泌攪乱物質(環境ホルモン)と呼ばれ,体の中でホルモンの出てくる内分泌系の正常な働きを混乱させる可能性があります。

      これらの化学物質がまねをするホルモンの一つに,女性ホルモンのエストロゲンがあります。医学専門誌のピディアトリックス(Pediatrics)に発表されたある研究は,多くの少女の間で思春期が早まる傾向が増大しているが,それはエストロゲンを含む整髪剤や,エストロゲンに類似した環境化学物質と関係があるかもしれないと述べています。

      男性も,成長段階の重要な時期に一定の化学物質にさらされると,悪影響を受けることがあります。ディスカバー誌(英語)のある報告は,「幾つもの実験が示すように,雄のカメやワニの成長段階の特定の時期にPCBを加えると,それらは雌や“中間型”の個体になる」と述べています。

      さらに,毒性化学物質は免疫機構を弱めるため,動物はウイルスに感染しやすくなります。確かにウイルス感染は,かつてなく広範かつ急速に広まっているようで,とりわけイルカや海鳥など食物連鎖の高位に位置する動物についてはそう言えます。

      人間の場合も,ホルモンのような働きをする化学物質によって最も大きな影響を受けるのは子供たちです。幾年も前,PCBに汚染された米ぬか油を摂取した日本の女性から生まれた子供たちは,「身体精神的成長の後れ,活動低下や過活動を含む行動上の問題,異常なまでに小さい陰茎,平均より5も低い知能指数といった害を被った」と,ディスカバー誌は伝えていました。オランダや北米で高レベルのPCBにさらされていた子供たちを対象に行なわれた調査でも,やはり身体精神的成長に関する同様の悪影響が認められました。

      WHOによると,乳ガン,睾丸腫瘍,前立腺ガンなど,“ホルモンに敏感な”ガンが成人の間で増加していることも,化学物質と関係している可能性があります。加えて,多くの国で,男性の平均精子数と精子の質が低下する傾向が長年続いているようで,これも化学物質の使用の増加と関係しているのかもしれません。ある国々では,平均精子数が過去50年間でほとんど半分に減少しています。

      前の記事で,わたしたちは「実験台の世代」に属している,という一医師の言葉を引用しました。その医師はどうやら正しいようです。確かに,人間が造り出した化学物質の中には大きな見返りのあったものも少なくありません。しかし,そうでなかったものもあります。ですから,害を及ぼしかねない化学物質に不必要に身をさらさないのが賢明です。意外かもしれませんが,わたしたちの家庭にもそうした化学物質の多くが存在する場合があるのです。次の記事では,危険をはらむ化学物質から身を守るために何ができるか考えます。

      [脚注]

      a 1930年代以降盛んに使用されるようになったPCB(ポリ塩化ビフェニル)は,潤滑油,プラスチック,電気の絶縁油,殺虫剤,食器用洗剤,その他の製品に使われる200種以上の油性の化合物のグループから成ります。現在多くの国でPCBの生産は禁止されていますが,これまでに100万から200万㌧が製造されました。投棄された後に環境に流れ出したPCBによる有害な影響も生じています。

  • あなたの家庭には有毒なものがどれほどありますか
    目ざめよ! 1998 | 12月22日
    • あなたの家庭には有毒なものがどれほどありますか

      サイエンティフィック・アメリカン誌(英語)によると,最近,米国とカナダの3,000人余りの人を対象に行なった調査の結果,「たいていの人は,自分の家や事務所や自動車の中など,基本的には汚染されていないとみなされがちな場所で……毒性を秘めた汚染物資に最もひどくさらされる可能性の高い」ことが分かりました。家庭における空気汚染の元はおもに,洗剤,虫よけ剤,建築資材,燃料,防臭剤,殺菌剤など,ごく普通の製品から出る蒸気,またドライクリーニングした衣服や,新しい合成繊維の布張り家具から出る化学物質でした。

      宇宙飛行士たちは,原因が判明するまでは“宇宙インフルエンザ”という病気にかかっていましたが,それもこの種の蒸気つまり“気化物”によって引き起こされたものでした。こうした気化物は,新車に乗った時に感じたり,スーパーの棚に陳列してある洗剤の前を通り過ぎるさい,洗剤は密閉容器に入っているのに感じたりします。ですから,例えば冬の寒さをしのぐために家を閉め切ってしまうと,様々な化学物質から出る気化物のせいで,屋内の汚染レベルは屋外のレベルよりもはるかに高くなります。

      子供たち,とりわけよちよち歩きの子供は,屋内の汚染物質の害を最も受けやすいと,カナダのメディカル・ポスト紙は伝えています。子供たちは年上の人よりも床面近くにいて,大人よりも呼吸が速く,1日の90%もの時間を屋内で過ごすからです。また,子供の臓器は完全に成熟していないため,毒物の影響を受けやすくなっています。子供が鉛を取り入れるとその約40%が吸収されますが,大人の場合は10%ほどです。

      平衡の取れた態度を保つ

      人類の今の世代は,先例のないレベルで化学物質にさらされているため,その影響について学ぶべきことはまだ多く,科学者たちは慎重な立場を取っています。化学物質にさらされても,自動的にガンや死の恐れにつながるわけではありません。実際,人間のすばらしい体を創造された方のおかげで,ほとんどの人は比較的うまく対処できているようです。(詩編 139:14)それでも,道理にかなった範囲で予防策を講じることは必要です。毒性の疑いのある化学物質にいつも接している場合はなおさらです。

      「化学物質にご注意」(Chemical Alert!)と題する本は,「化学物質の中には,[人体の]様々な作用のバランスに干渉し,ちょっと気分がすぐれないとしか言いようのない漠然とした症状をきたすという意味で有毒なものもある」と述べています。害になりそうな化学物質にさらされる機会を減らすのに,必ずしも生活スタイルを大きく変える必要はありません。日課を少し変えるだけで足りるのです。8ページの囲み記事をご覧ください。役立つ提案が幾つかあるでしょう。

      道理にかなった範囲で化学物質に対する予防策を講じると共に,過度に心配しないことも助けになります。特に,自分ではどうにもならないことについてはそう言えます。「穏やかな心は身体の命であ(る)」と,箴言 14章30節は述べています。

      それでも,毒性のある化学物質が原因で,病気,それも不治の病にかかる人が少なからずいることは確かです。a 今日,他の様々な原因で苦しんでいる非常に大勢の人たちと同様に,化学物質が関係した病気に悩まされている人たちも,期待を抱いて将来を待ち望むことができます。なぜなら,間もなく,地球の住民を害するような毒物は一掃されるからです。有害な考えさえ,それを抱く人たちと共に,やがて過去のものになります。このシリーズの最後の記事で,その点を読んでください。

      [脚注]

      a 近年,多種化学物質過敏症と呼ばれる病気に悩まされる人が増えています。この病気は「目ざめよ!」誌の後の号で取り上げます。

      [8ページの囲み記事/写真]

      健康的で安全な家庭のために

      毒性の疑いのある化学物質にさらされる機会を減らすには,生活スタイルを少し変えるだけで十分です。以下に,役立つ幾つかの提案を記します。(さらに詳しい情報については,近くの図書館でお調べになってください。)

      1. 蒸気を出す化学物質のほとんどを,家の空気を汚染しない場所に保管するようにしてください。そうした化学物質としては,ホルムアルデヒドや,塗料,ニス,接着剤,殺虫剤,洗剤など,揮発性溶剤を含む製品があります。揮発性の石油製品も有毒ガスを放ちます。ベンゼンはその一つですが,ベンゼンを高い濃度で長期にわたって取り入れると,ガンや,先天性欠陥,その他生殖に関連した異常を生じさせることが知られています。

      2. 風呂場を含め,すべての部屋の換気をよくしてください。シャワーを使うと,塩素など水に含まれるある種の添加物が揮発します。その結果,塩素,またクロロホルムでさえたまってくるかもしれません。

      3. 家に入る前に靴をよくぬぐってください。サイエンティフィック・アメリカン誌によると,そのような簡単な方法によって,通常のカーペットに付着してしまう鉛の量を6分の1に減らすことができます。それによって,殺虫剤の付着を減らすこともできます。殺虫剤の中には,日の当たる屋外ではすばやく分解しても,カーペットには何年も残るものがあります。別の方法は,世界の幾つかの地域でふつうの習慣になっているように,靴を脱ぐことです。また,性能の良い掃除機,できればブラシが回転するものを使うなら,カーペットの汚染を減らすことができます。

      4. 部屋に殺虫剤を散布した場合,たとえ注意書きには何時間かたてば部屋を安全に使用できると書いてあっても,少なくとも2週間はおもちゃをその部屋に入れないでください。科学者たちは最近,おもちゃに使われているある種のプラスチックや発泡スチロールが,残留する殺虫剤を文字通り吸い取ってしまうことを発見しました。毒物は,子供たちの皮膚や口を通して体内に吸収されるでしょう。

      5. 殺虫剤の使用を極力減らしてください。フランク・グラハム・ジュニアは自著「沈黙の春以来」(Since Silent Spring)という本の中で,殺虫剤は「確かに家や庭のために必要だ。しかし,宣伝キャンペーンの結果,郊外に家を持つ普通の人々は,アフリカのいなごの襲撃を食い止められるほどの化学物質を手元に置かなければならないと思い込まされている」と書いています。

      6. 有鉛塗料がはげ落ちている場合,それをすべてはがし,無鉛塗料で塗り直してください。有鉛塗料で汚染された泥で子供たちを遊ばせないでください。配管の鉛が疑われるなら,水が冷たくなるのを感じられるまで流し続けてください。温水用の蛇口から出る水は飲料には使わないほうが良いでしょう。―「食物に入り込む環境毒物」(Environmental Poisons in Our Food)。

  • 地球を清めるのはだれですか
    目ざめよ! 1998 | 12月22日
    • 地球を清めるのはだれですか

      「我々の産業に関して言えば,2025年までに“汚染”という語が,我々国民の語彙からおおむね消えてしまうことを予言できる」。これは最近,ある化学企業の社長が述べた予想です。あなたは,それが実現すると思われますか。もしそうであれば,どのように成し遂げられるのでしょうか。

      安全でない製品を店の棚に並べさせるのは,多くの場合,利益を上げたいという思わくのためです。例えば,殺虫剤を製造する会社などは,企業秘密関連法に基づいて,収益性の高いある種の製法に関し,ラベルにその組成を“不活性成分”とだけ記して秘密にすることができます。“不活性”という語は“無害”と解釈されがちです。ところが,「少なくとも394種の不活性の成分が,活性のある殺虫剤として使われている」と,ケミカル・ウィーク誌(英語)は指摘しています。それらの成分のうち,209種は有害な汚染物質で,21種は発ガン物質として正式に類別されており,127種は職業上の危険物質とみなされています。

      確かに,政府による安全対策は多くの場合,有益なものとなってきました。しかし,あるライターによると,政府の主な関心は「経済成長と産業の収益性」にあります。ですから,政府は常に,リスクか利益かという苦しい選択を迫られています。その結果は基本的には『管理された汚染』です。

      では,どこに解決策を求めることができるのでしょうか。一人のエホバの証人は,ある友好的な家の人にその質問を投げかけてみました。家の人は,人間の指導者や科学者を信頼し,「人々がいつか問題を解決してくれるでしょう」と答えました。

      証人はこう尋ねました。「人々とはいったいだれですか。その人たちは,あなたやわたしとあまり変わらないのではないでしょうか。確かに,わたしたちより教育があるかもしれません。しかし,やはり限界や弱点がありますし,間違いもします」。加えて,それらの人々が直面する問題の膨大さ,また人間社会に見られる貪欲や腐敗ものしかかっています。

      あなたも,人々が問題を解決してくれるとお感じになりますか。人間がこれまでしてきた数々の失敗を考えると,楽観的にはなれません。アウトドア・ライフ誌(英語)は,「科学者やその諸機関は,汚染問題を解決するよりも,それを研究することのほうにはるかにたけている」と述べています。人間がこの深刻な問題を解決できるというどんな見込みがあるでしょうか。

      人間だけでできるか

      化学物質による汚染を抑制することは,地域ごとの当局者だけの関係する問題ではありません。なぜなら,一つの国で使用される化学物質は,隣接する国の人々,さらには全地球の人々に影響するからです。そして人間は,協力してそうした世界規模の問題を解決する点で成功してきませんでした。聖書は,「人が人を支配してこれに害を及ぼした」と述べて,その理由を示しています。(伝道の書 8:9)人間はなぜ自らを治めることに失敗してきたのでしょうか。ここでも,聖書は説明を与えています。「自分の歩みを導くことさえ,歩んでいるその人に属しているのではありません」。(エレミヤ 10:23)これはどういう意味でしょうか。

      人間は神の導きから独立して自らを支配するようには意図されていなかった,という意味です。確かに,人間は驚嘆すべきことを成し遂げてきました。豪華な住まいを造り,精巧な装置を開発し,月にまで人を送り込みました。にもかかわらず,神の導きなしには自らをうまく治めることができないのです。聖書はまさにそのことを教えており,歴史は聖書の正確さを裏書きしています。

      清められる地球 ― どのような方法で?

      創造者であるエホバ神は常に,人類と,ご自分が人間のために用意した地球とに関心を払ってこられました。神は,人間を創造した後に,地球とそこに住む生物を人間が管理するよう定めました。(創世記 1:27,28; 2:15)最初の夫婦が神の定めに背いてしばらくした時,神は古代イスラエルの国民に,土地を管理することに関する指示を与えました。その中には,7年ごとに土地をまる1年間,休閑させるという規定がありました。それによって,地力は回復されました。(出エジプト記 23:11。レビ記 25:4-6)しかし,人々は貪欲になって神に従いませんでした。民や土地は,その結果として災難を被りました。

      もちろん,わたしたちが今日経験しているような化学物質による汚染は,当時にはありませんでした。しかし,イスラエル人が神の意図にそって土地を休ませなかったため,その土地は損なわれ,罪のない人たちはその結果に苦しみました。それで神は,バビロニア人がイスラエルを征服し,その国民を70年間バビロンに流刑することを許しました。その処罰の結果,土地は休息して地力を回復することにもなりました。―レビ記 26:27,28,34,35,43。歴代第二 36:20,21。

      こうした歴史が教えているのは,地球の扱い方に関して,神は人間に言い開きを求めておられるという点です。(ローマ 15:4)実際,神は「地を破滅させている者たちを破滅に至らせる」と約束しておられます。(啓示 11:18)意義深い点として,聖書はどんな人たちがこの「破滅」に関与しているかを述べています。聖書のテモテ第二 3章1節から5節に示されていますが,その人々の特徴は,金銭や自分のことに熱中するあまり神のことをほとんど気にかけず,ひいては,他の人間をはじめ神の創造物のことも気にかけなくなることです。

      ですから,これら二つの聖句 ― テモテ第二 3章1節から5節と,啓示 11章18節 ― は二つのはっきりした結論を示しています。まず,汚れた思いが地球の汚染につながります。そして第二に,神は,人間の汚れと地球の汚染が頂点に達する時,地球と神を恐れる人たちとを救うために介入されます。神はどのように介入されるのでしょうか。

      神は預言者ダニエルを通してこう予告されました。「それらの王たちの日[明らかに今日の諸政府を指している]に,天の神は……ひとつの王国を立てられます。……それはこれらのすべての王国を打ち砕いて終わらせ,それ自体は定めのない時に至るまで続きます」。(ダニエル 2:44)この王国は現実の世界政府です。イエス・キリストは,ご自分の追随者たちがこの政府を祈り求めるように教えて,こう言われました。「あなた方はこのように祈らなければなりません。『天におられるわたしたちの父よ,……あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が天におけると同じように,地上においてもなされますように』」― マタイ 6:9,10。

      地球の居住者たちは,神の王国の愛ある監督のもとで,地球全体をパラダイスにするというすばらしい特権を享受します。空気はさわやか,水の流れは清冽になり,土壌には汚染されていない生命がみなぎります。(詩編 72:16。イザヤ 35:1-10。ルカ 23:43)聖書は,その時のことについてこう約束しています。「以前のこと[今日の病気,苦しみ,汚染その他の多くの災い]は思い出されることも,心の中に上ることもない」― イザヤ 65:17。

日本語出版物(1954-2026)
ログアウト
ログイン
  • 日本語
  • シェアする
  • 設定
  • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
  • 利用規約
  • プライバシーに関する方針
  • プライバシー設定
  • JW.ORG
  • ログイン
シェアする