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伝統的なクリスマスはどうなりましたか目ざめよ! 1993 | 12月22日
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長年にわたって,クリスマスの祝いは多くの面で変化しました。そして,これは近年に始まったことではありません。1836年当時でさえ,英国の作家チャールズ・ディケンズは,「クリスマスは以前とは変わってしまった,と言う人がいる」と述べています。
驚く人もいるかも知れませんが,クリスマスは常に人気のある行事であったわけではありません。ディケンズが文筆活動を行なった19世紀には,クリスマスの人気は衰えていました。その世紀の初頭,英国のほとんどの新聞は,クリスマスについて何も掲載しませんでした。
ディケンズと志を同じくしたアメリカ人の年上の作家ワシントン・アービングは,クリスマスを美化するため骨折りました。なぜでしょうか。ただ古くからの伝統を復興させるためだけでなく,少なくともディケンズに関する限り,恵まれない人々の過酷な生活の実態を読者に訴え,彼らの境遇を改善しようとしたのです。
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伝統的なクリスマスはどうなりましたか目ざめよ! 1993 | 12月22日
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ディケンズとクリスマス
チャールズ・ディケンズは,社会の注意を貧しい人々の問題に向けることに率先しました。1843年に出版された名作「クリスマス・キャロル」という小説の中で,ディケンズは自分の目的を達成するために,クリスマスの伝統に関する知識を巧みに用いました。
すぐに「クリスマス・キャロル」は大当たりし,何千冊も売れました。翌年,この物語は劇化され,ロンドンの九つの劇場で上演されました。1867年のクリスマスイブに,ディケンズは米国マサチューセッツ州のボストンで,この小説の朗読会を催しました。会場の中にバーモントの工場所有者フェアバンクス氏もおり,彼は妻に「今晩,ディケンズ氏の『クリスマス・キャロル』の朗読を聞いて,クリスマスの日にも工場を動かすというこれまでの習慣を改めなければいけないと感じたよ」と語りました。フェアバンクスはその言葉通りにしました。そして翌年には,クリスマスの時期に従業員に七面鳥を贈る習慣を加えました。
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伝統的なクリスマスはどうなりましたか目ざめよ! 1993 | 12月22日
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しかし1800年代の半ばが近づくにつれ,『クリスマスは人気が衰えて存続が危ぶまれている』とベルクは述べている。ベルクによれば,宗教界の指導者たちは,プレゼントの交換やサンタクロースの紹介などの形による商業界の参入で,この祝日が再び盛んになることを歓迎すると語った。
「この復活は,英国の作家チャールズ・ディケンズに負うところが大である,とベルクは言う。1843年に出版されたディケンズの『クリスマス・キャロル』は,スクルージが改心して寛大な人になったことを描いている」。
クリスマスの風習についてはどうか
ディケンズは「クリスマスに付随した風習や慣行すべてを満喫した」と言われています。
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伝統的なクリスマスはどうなりましたか目ざめよ! 1993 | 12月22日
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深刻な懸念
英国のカンタベリー大主教ジョージ・ケアリ博士は,「ビクトリア時代のチャールズ・ディケンズ流クリスマス」のことを嘆きました。その理由ですか。同博士は,「子供たちが商業主義の影響を受けた場合のことが心配である」と述べました。
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