世界展望
カトリックの道徳神学とイタリアの若い女性たち
イタリアの若い女性は,カトリック教徒であってもなくても,性道徳に関しては法王の言うことにほとんど注意を払わない。実際,イタリアの日刊紙「ラ・レプブリカ」の公表した調査結果によれば,インタビューに応じた15歳から24歳までの若い女性のうち,「女性には避妊薬の使用が保障されなければならない」と考える人の割合は90.8%にも上り,「『望まれない妊娠』を中絶する権利」を擁護する人は66.7%を占めた。さらに,「同性愛者の権利は保障され,尊重されるべきである」と考える人は80.2%であった。
新生児の毛髪中に発見された毒
今や,妊娠中の喫煙しない女性の吸い込む副流煙は胎児にまで達するということを示す生物学的証拠がある,とカナダはトロントのグローブ・アンド・メール紙は述べている。トロント小児科病院の臨床薬理学者ギデオン・コーレン博士の率いる研究チームが新たに発見した事柄の示すところによると,新生児の毛髪の標本にはニコチンとその副産物のコチニンが含まれている。それら喫煙しない母親は,家であれ仕事場であれ,少なくとも1日に2時間は副流煙にさらされていた。コーレン博士によれば,毎日のように副流煙を吸い込むとすれば,それは「1日に2本ないし4本のたばこを吸う」ようなものかもしれない。この新たな調査結果は,「たばこの煙にさらされると子供の行動様式や認識力の発達に悪影響の出る場合があることを示した以前の研究に重みを添える」と,同グローブ紙は付け加えている。コーレン博士は「今わたしたちが生活している訴訟好きな雰囲気の中では,10年か20年もすれば,赤ちゃんが喫煙による好ましくない出産を理由に親を訴えるという事態にもなりかねない」と警告している。
万引きが国際的になる
チリのサンティアゴにある“泥棒学校”の“卒業生”は,カナダのモントリオールやトロント,また米国の幾つかの都市で活動している,とカナダのニュース雑誌「ラクチュアリテ」は報じている。その“学校”はすりや万引きのテクニックを教え,カナダの法律と警察の取り締まりの方法を教授する。“卒業生”はグループで働き,偽造書類を持ち歩き,特別に裏打ちされた服で身を装い,略奪品を隠すための包装紙を装備している。1991年以来,モントリオール都市自治体の警察はその犯罪ネットワークを突き止め,盗まれた衣服を何度か押収した。最近取り戻した中で最大のものは,チリへ送られることになっていた衣類満載の船積み用コンテナだった。しかし,警察と店主にとって,この組織された万引きの国際的なネットワークは非常に手ごわい相手となっている。ラクチュアリテ誌が引き合いに出したモントリオールのある刑事の言葉によれば,国際警察の協力を得ることは難しい。なぜなら,「そんな問題は彼らにとって優先すべき事柄ではない」からである。
世界的な難民危機
1992年中,1日にほぼ1万人の割で難民が続出した。国連難民高等弁務官(UNHCR)の新たに出版した本,「世界の難民事情」はそう述べている。1992年には世界中に1,820万人の難民がいた。20年前の8倍も多い数である。それに加えて,2,400万人が自国内で退去させられた。合計すると,世界の約130人に一人が家から避難することを余儀なくされたことになる。UNHCRの雑誌「難民」はこう述べている。「その数 ― 真の難民と経済上の移住者の数 ― が容赦なく増加しているため,収容施設を備えるという3,500年来の伝統は重圧を受け,崩壊しそうになっている」。
眠気を催す?
あなたは夜間に十分の睡眠を取っているだろうか。ある研究者によれば,それを確かめる一つの方法は,たっぷり食事をしたあと,暖かい部屋での退屈な講義に出ることである。もし十分に休息を取っていれば,退屈でつまらないと感じるとしても眠気を催すことはないかもしれない。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙によれば,専門家たちは,アメリカ人のうち1億人は十分の睡眠を取っていないと推定している。ほとんどの人は夜間に8時間ないし8時間半の睡眠を必要としている。17歳から25歳までの人はそれ以上を必要とする。多くの人は本当に必要とする睡眠時間以下でなんとかやっていくが,睡眠不足の人は間違いを犯しやすい。それらの人は「睡眠の負債」を蓄積することにもなる。トリビューン紙はこう述べている。「親は十代の若者が週末に昼まで寝ていると言ってその『怠惰』を嘆くが,それら若者の大半は1週間にわたる睡眠の負債を幾らか清算しようとしているにすぎない」。
僧職者による虐待が暴露される
カトリックのキリスト教学校修士会会員に関するカナダ最大の性的虐待調査の一つが終了した。オンタリオ州アルフレッドの「セントジョゼフス・スクール」やオンタリオ州アクスブリッジのセントジョンズ・スクールから「700人余りの被害者が名乗り出た」と,トロント・スター紙は報じている。「キリスト教学校修士会会員の29人を含む,30人に対して」訴えが起こされた。「他の16人も生きていたなら告発されていたことだろう」と,スター紙は付け加えている。被害者たちは,「子供のころ,自分たちの世話を任されていたローマ・カトリック助修士階位の黒服をまとった成員からたたかれたことや性的暴行を加えられたこと」を今でも思い出しては嫌な気持ちになる。スター紙は,公の調査が行なわれなければ,神に仕えていると称する者たちがなぜ年若い少年に性的虐待を加えるのか,その理由を知らずに終わることになるかもしれない,と述べている。
気温を知らせるコオロギ
動物学に関するある科学誌によれば,アフリカで生活している人なら,今や寒暖計の助けを借りずに気温を知ることができる。1匹のアフリカカンタン(Oecanthus karschi)が6秒間に鳴いた回数に12を加えれば,摂氏温度を知ることができる。もし南アフリカのケープ州のカンタン(Oecanthus capensis)の鳴き声であれば,3秒間に鳴いた回数に11を足せばよい。これらの2種類のカンタンはゆっくりと鳴くので,その回数を数えることができる。声の大きさも十分である。あたかもスピーカーによるかのように鳴き声が増幅されるような仕方で葉の上に留まっているからである。夜に気温が下がると,鳴く回数は減る。「アフリカ野生動物」誌はこう説明している。「カンタンは『変温性』なので,その新陳代謝は気温の影響を受ける。気温は,鳴く頻度を含め,カンタンの生活のほとんどすべての面に影響を与えている」。
紫外線による障害
あなたは休暇を太陽の下でくつろいで過ごすのが好きだろうか。もしそうなら,用心する必要がある。太陽の紫外線(UV)は適度であれば有益だが,浴びすぎると皮膚ガン,眼病,老化によらない皮膚のしわ,皮膚の悪性腫瘍などの原因になる場合があり,また病気に対する体の抵抗力を弱める場合がある。世界保健機関によれば,オゾン層が減少しているためUVのレベルは高くなっている。今,オーストラリア,ニュージーランド,米国などを含む世界の多くの場所で,UVによる健康上の問題の生じたり高じたりする速度が速くなっている。日差しの下でどうすれば身を守れるだろうか。保護となる服を着,UVを吸収するサングラスをかけ,UVが特に強い真昼には屋内にとどまることである。
宗教に関連したもうかる商売
イタリアの経済で収益を上げている数少ない分野の一つ,景気後退をよそに成功しているおそらく唯一のものは「教会の庇護のもとで行なわれている」商売である,とラ・レプブリカ紙の金融に関する増刊号は述べている。実際,ポンペイで開かれた第6回宗教用品展示即売会の期間中,1,400の露天商が上げる収益は,売上総額が年に15%増加すると見て,「4,000億リラ[約240億円]と算定された」。さらに,宗教関係の観光は,1993年におよそ3,500万人の巡礼者をイタリア国内の様々な崇拝の場所に引き寄せ,ほぼ10倍の収益を上げた。「教会の“祝福を受けた”商売は繁盛している」,また「イタリアのカトリック位階制,司教協議会,および教皇庁はそれに気づいており,ここしばらく喜んでいる」と,その報告は述べている。同教会の位階制はこの事象を監督するために,これまでに何度か協議会 ― 教会の高位役員も出席して演説する協議会 ― を開催し,後援することさえしている。
オーストラリアにおける高い自殺率
オーストラリアで自殺率が驚くほど増大しているため,公衆衛生協会は今や国民に対する公衆衛生上の方針に自殺防止を含めている。自殺の件数が2年続けて交通事故による死者数を上回った時,公衆衛生協会は何らかの具体的な措置を早急に講じなければならないことを認めた。ザ・オーストラリアン紙は,同協会のスポークスマンが次のように述べたとして,その言葉を引用している。「今まで公衆衛生の分野で自殺のことは取り上げられなかったが,自殺には他の公衆衛生上の問題に見られる特徴がある。自殺発生率は,公衆衛生面の関心と財源を必要とする他の問題と同じほど大きく,その害も他の問題と同じほど広範に及んでいる」。現在の自殺率は病死以外のすべての死の,実に31%を占めており,交通事故による死者数の割合より3%高い。