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生活に少し彩りを添えてみませんか目ざめよ! 1990 | 10月8日
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『自分にはどんな色が似合うのか,どうすれば分かるだろうか』
非常に多くの色があるとはいえ,すべての色があなたに合うわけではありません。特定の色が好きでも,それが必ずしも自分に似合う色になるわけではありません。むしろ,ある色を着ている時に人々から最大の賛辞を受けるようであれば,それがあなたに似合う色なのです。
多くの専門家は,どんな人も青型か黄型に分けられると述べています。青型の人は青や寒色系のピンクなどがよく似合いますが,だいだいや茶は避けるべきだということです。黄型の人は黄や金色や暖色がよく似合いますが,紫はたいてい違和感を与えてしまいます。
どの色が自分に似合うかを見極めるための最も簡単な方法は,一度に一つずつ体に当て,日の光のもとで鏡に映して見ることです。色彩コンサルタントで,ベストセラー「カラー・ミー・ビューティフル」の著者でもあるキャロル・ジャクソンによると,ぴったり合う色は「しわを目立たなくし,色つやをよくし,顔色を健康的に見せ」ます。他方,合わない色は「顔色を青白く病的にさせ,『きたならしく』見せる場合があり」,「顔を老けさせる」ことさえあるかもしれません。
規則についてはどうか
しかし,わたしたちがよく耳にする色々な規則についてはどうでしょうか。ある種の組み合わせは絶対に避けるべきなのでしょうか。
「『絶対にだめと言っては絶対にだめ』。これが,今日における唯一の規則である」。ハリウッドの色彩およびイメージコンサルタントのリアトリス・アイズマン女史は自著「色彩におけるイメージ」の中でそのように書きました。「規則という観点からではなく,指針という観点から考えるべきである。規則は創造性の妨げとなり,新しいアイディアを受け入れることから来る楽しさを奪いかねない」。
では,その指針とは何でしょうか。思いにとめておくべきことは,基本的に二つしかありません。それは,(1)本当に合う色を組み合わせ,(2)それらの色をほどよく配分することです。これらの基本的な指針を当てはめる際に,助けとなる方法や考え方があります。色相環とカラーチャートを使うと,こうした方法がどのように役立つかがよく理解できるでしょう。
モノクロマチックス。これは同じ族,つまり同じ色相の色を使うことを意味します。ここでもカラーチャートが役に立ちます。すべての暗調,トーン,明調がどのように合わさっているか分かりますか。単色的な組み合わせは,たった一つの基本的な色しか使われていないとはいえ,暗調や明調を様々に変えて対照を生み出すと,非常な効果を発揮することがあります。このような組み合わせは,快い,まとまりのある感じがします。
デュオクロマチックス,すなわち2色組。服を着る時にはこの組み合わせが最もよく用いられるようです。この場合の2色は,色相環上で近い位置にあるもの,あるいはできるだけ離れたもののどちらかであるべきです。赤と赤に近いだいだい,赤と赤紫のように,環上で隣り合っている色は類似色と呼ばれ,よく合います。他方,赤と緑,あるいは黄と紫のように環上で互いに正反対に位置する色は,補色と呼ばれます。それらの色は互いを強め合い,目立たせます。補色を上品に使うためには,2番目の色を控えめに用いるか,その色の暗い暗調を用いてください。色相環上の補色のすぐ隣の色を使って上手な組み合わせを作ることもできます。これは近補色と呼ばれます。黄と青紫,もしくは赤紫はこの組み合わせの一例です。そして,後者の色をより暗い暗調にすることによって,アクセントをつけることができるでしょう。もしもある色が汚く見えるなら,組み合わせが間違っているのです。より良い組み合わせを探してください。
トリクロマチックス,つまり3色組。これは,類似色か近補色をもう一つ加えることによって,デュオクロマチックスを発展させたものです。赤と赤に近いだいだいの2色にだいだいを加えると,類似色の3色組ができ上がります。近補色の3色組の一例としては,赤と黄緑と青緑があります。もう一つの感じの良い色の配合はトライアッドと呼ばれるもので,例えば,3原色 ― 赤,黄,青 ― のように,色相環上で等間隔に離れている三つの色を組み合わせたものです。このような組み合わせの場合にはしばしば一つの色だけを鮮やかなものにし,他の2色は色調を鈍くしたもの,もしくは中間色か暗い色にします。
ポリクロマチックス,すなわち多色組。四つ以上の色を組み合わせる場合は,十分に注意してください。サーカスのピエロのように見られたくはないはずです。それでも,ツイードの生地や多色のプリント地で色が競合し合うことのないものなら安心です。
最後に,特別な部類として,ベージュ,灰色,暗褐色,そして広い意味では黒や白を含む中間色があります。トープ(ベージュと灰色を混ぜたもの)はほとんどどんな色とでも合います。中間色は実用的であり,スーツなど高価なものに適しています。コーディネイトする際,非常に多くの選択肢が考えられるからです。中間色は一般に趣味の良さの規準とみなされています。
バランスと比率
どんな組み合わせを選ぶにしても,全体的なバランスをよく調べ,自分の目を導きとしてください。規則を設けることはできません。用いられている素材,色の鮮明度や明るさ,だいだいのようにすぐに目にとまる色か,灰色のようにすぐには目にとまらない色かなどの要因によって,目には実際とは違った配分に映るのです。
色が競い合って人の注意を引こうとすると,良い印象を残しません。ですから,調和を図るため,一つの色を基本色として,他の色は補助的なもの,わき役にしましょう。これはどんな組み合わせにも当てはまります。アイズマン女史は,服の場合は基本色が75ないし90%を占めるようにすべきである,と述べています。服装に三つ目の色を使うことにするなら,ほんのわずかな,アクセント以上のものにすべきではありません。しかし,完ぺきな調和を図るには,あなたの膚,目,髪 ― つまりあなた自身を考慮に入れなければなりません。
色によっては,太って見えたり,やせて見えたりすることも覚えていてください。国際デザイナーのメアリー・クォントはこう述べています。「上半身の大きい人は,上部が暗い色のセパレーツを選んでください。……ヒップが大きいと思いますか。鮮やかな色のセーターを着て,他の部分に注意を引いてください。……暗い暗調は後退して見え,明るい色は飛び出して見えます」。また,キャロル・ジャクソンは,細く見せるための方法を勧め,こう述べています。「あなたを引き立てる色は,人の目をあなたの顔の方に引き寄せ,あなたの体からは引き離す」。
国際デザイナーの森 英恵さんは,日本の政治家たちに外観をもっと洗練するよう助言した後,「派手である必要はありません」と付け加えました。ここに挙げた簡単な指針に従えば,上品さを保ちながらも色を楽しむことができるでしょう。では,どんなものを作り出せるか,試してみてください。1,000万もの色があなたを待ち受けているのです。生活に彩りを添えてみませんか。
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生活に少し彩りを添えてみませんか目ざめよ! 1990 | 10月8日
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[18ページの図版]
色をコーディネイトすることにより,あなたの外観は違ってくる
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