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どちらが正解?目ざめよ! 2021 | No. 3
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どちらが正解?
宇宙と生命は自然に存在するようになったのでしょうか。それとも,神が造ったのでしょうか。上に出てきた2人の物理学者の言葉と,聖書の巻頭の言葉は全く違います。どちらの考え方にも,強く同調する人たちがいます。公開討論の場やベストセラーの本の中で,それぞれが自分の意見を主張しています。一方で,どちらが正しいかよく分からないと思っている人たちもたくさんいます。
学校の先生は,宇宙と生命は自然にできた,神はいない,と教えるかもしれません。でもそう言える証拠をはっきり示しているでしょうか。宗教家たちは,天地を創造した神がいると教えるかもしれません。でもそのことを裏付ける証拠を示すでしょうか。それとも,ただ信じるようにと勧めるでしょうか。
あなたも宇宙と生命の始まりについて考えたことがありますか。はっきりしたことは誰にも分からない,と思っているかもしれません。そもそもこういうことを考えること自体,価値があるのだろうかと思うかもしれません。
「目ざめよ!」のこの号ではまず,多くの人が神の存在を信じるに至った幾つかの証拠を取り上げます。そして,宇宙と生命の起源を知ることが自分とどんな関係があるかを考えます。
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宇宙から分かること目ざめよ! 2021 | No. 3
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宇宙から分かること
科学技術の進歩によって,宇宙についていろいろなことが分かってきました。天文学者たちはどんな驚くような発見をしてきたでしょうか。
宇宙には秩序がある。「宇宙の銀河はばらばらに存在しているのではなく,網目状に広がっている」と「天文学」誌(英語)に書かれています。そのようになっているのはどうしてでしょうか。科学者たちによると,この謎を解く鍵は,暗黒物質(ダークマター)という目に見えない物質にあります。暗黒物質は「目に見えない骨組みのようなもので,……銀河,銀河団,超銀河団……をつなぎ留めている」と考えられています。
宇宙にこれほどの秩序があるのはどうしてでしょうか。偶然にそうなったのでしょうか。「20世紀の最も偉大な天文学者の1人」,故アラン・サンデージ氏の語った次の言葉を考えてみてください。サンデージ氏は神の存在を信じていました。
「わたしには,そのような秩序が混沌<カオス>から生じたとはとうてい考えられない。物事を組織する何らかの原理がなければならない」。
宇宙は生命維持のために絶妙なバランスを保っている。宇宙に存在する「弱い力」について考えてみましょう。この力のおかげで,太陽はゆっくりと燃焼し続けることができます。もしこの力が今より弱かったら,太陽は形成されなかったでしょう。逆に今より強かったら,太陽ははるか昔に燃え尽きてしまったでしょう。
この「弱い力」は,生命維持のために絶妙なバランスを保っている力や法則の1つにすぎません。それらの1つでも今と違っていたらどうなるでしょうか。科学ジャーナリストのアニル・アナンサスワミ氏は,「恒星,惑星,銀河は形成されず,生命は存在し得なかっただろう」と書いています。
地球は人間にとって理想的な住まい。地球には,生命の維持に適した大気や適切な量の水があります。月は地球を安定させるのにちょうど良い大きさです。「ナショナル ジオグラフィック」誌(日本版)にはこうあります。「人間が生きられるのは,今のところ,地質や自然環境,生物が複雑にからみ合った,この奇妙な岩の塊,地球しかないのだ」。a
ある記事によると,太陽系は銀河系の中でも「周囲に何もない所にぽつんと」あります。地球上に生命が存在できるのはそのためです。もし太陽系が,銀河系の中心付近や渦巻き腕の中など星の密集した所にあったとしたら,致死的な量の放射線にさらされてしまいます。でも実際には,「銀河系のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)」と呼ばれる場所にあります。
宇宙とその法則を研究している物理学者のポール・デーヴィス氏はこう述べています。「私たちがこの宇宙に存在しているのは単なる運命の気まぐれであるとか,歴史の偶然であるとか,壮大な宇宙的ドラマの偶発的な一こまであるなどということは,私には信じられない。……私たちはまさにここに存在することになっていた」。デーヴィス氏は,神が宇宙と人間を創造したと言っているわけではありません。あなたはどう思いますか。宇宙と地球は生命が存在できるような造りになっていますが,偶然にそうなったのでしょうか。それとも,誰かが考えてそのように造ったのでしょうか。
a この記事は,神が地球と人間を創造したと言っているのではなく,地球は人間が生きるのに理想的な環境であると述べているにすぎません。日経ナショナル ジオグラフィック社,2018年3月号64ページ。
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生物から分かること目ざめよ! 2021 | No. 3
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イースト菌の細胞はとても複雑。細胞には,DNAが収納された精巧な造りの細胞核がある。分子を選別し,組み立て,運ぶ小さな“マシン”も備わっている。これら全ては細胞が生きていく上で欠かせない。
生物から分かること
命あるものは動き,成長し,子孫を残します。私たちの周りに見られる生物は,地球をユニークで美しい場所にしています。時代とともに,生物のメカニズムについてますます多くのことが分かってきました。では,生命の起源についてはどうでしょうか。
生物の造りはよくできている。生物の体は,細胞という小さなパーツが集まってできています。細胞は小さな工場のようで,生命を維持し増殖するためにたくさんの複雑な作業をこなしています。ごく単純な生物にもこのような複雑な仕組みが備わっています。単細胞生物のイースト菌について考えてみましょう。イースト菌の細胞は,人間の細胞に比べると単純な造りに見えますが,実際にはとても複雑です。細胞の中には,DNAが収納された精巧な造りの細胞核があります。また,小さな“マシン”もあって,分子を選別し,組み立て,運んでいます。こうした働きはイースト菌が生きていくのに欠かせません。イースト菌は栄養が不足すると,化学変化が生じ,細胞の活動が低下して休眠状態に入ります。このようにして保管されたイースト菌は,パン作りの時に再び活性化します。
科学者たちは,人間の細胞についてよく理解するためにイースト菌の細胞を長年研究してきました。でも,分からないことがまだまだたくさんあります。「イースト菌の働きを解明するには多くの実験が必要ですが,現状は,それを行える生物学者の数が足りません」。そう語るのはスウェーデンのチャルマース工科大学,機械知能工学のロス・キング教授です。
イースト菌の細胞は単純に見えますが,驚くほど複雑な造りになっています。この仕組みは偶然にできたのでしょうか。それとも,誰かが考えたのでしょうか。
生命は生命からしか生まれない。DNAはヌクレオチドという分子から成っています。人間の細胞1個には32億個のヌクレオチドがあります。細胞が酵素やタンパク質を生成するには,ヌクレオチドが正しく配列されている必要があります。
ヌクレオチドの最も単純な構造であっても,偶然に正しく配列される確率は10150(1の後ろに0が150個付く)分の1です。現実にはそのようなことはまず起こり得ません。
科学者たちは,生命が無生の物質から自然に発生することを実験で証明することができていません。
人間は特別な存在。人間にはほかの動物にはない,生活を十分に楽しむ能力や性質が備わっています。創造性や社交性に優れていて,感情表現が豊かです。いろいろな味,香り,音,色彩を楽しむこともできます。美しい景色を見ると感動します。将来の計画を立て,人生の意味について深く考えます。
こうした人間の能力や性質は,生き延びて子孫を殖やすために進化の過程で身に付いたのでしょうか。それとも,人間の幸せを願って誰かがそのように造ったのでしょうか。あなたはどう思いますか。
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科学者にも分からないこと目ざめよ! 2021 | No. 3
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科学者にも分からないこと
科学者たちは宇宙についてあらゆる角度から研究してきました。でも科学者にも分からないことがたくさんあります。
科学は宇宙と生命の起源を解明したか。いいえ,解明できていません。宇宙論という分野では宇宙の起源について研究されています。しかし,ダートマス大学の天文学の教授で不可知論者のマルセロ・グレイザー氏はこう言います。「私たちは宇宙の起源について説明できていません」。
生命の起源についても,サイエンス・ニューズ誌(英語)にはこう書かれています。「地球上の生命がどのように始まったのかを特定するのは不可能に思える。地球の最初期に何が起きたのかを示す地質学上の記録は,今はもう残っていない」。こうしたコメントが示すように,科学は宇宙と生命がどのように始まったのかという疑問に答えることができていません。
では仮に,地球上の生命は誰かが造ったとしましょう。その場合,次のような疑問が出てくるかもしれません。「愛と知性のある創造者がいるのであれば,人間が苦しんでいるのに何もしていないのはどうしてだろう。悪いことをしている人がたくさんいるのに,それを放置しているのはどうしてだろう。宗教間で対立や争いが見られるのはどうしてだろう」。
科学ではこうした疑問の答えは得られません。でもだからといって,答えが見つからないというわけではありません。多くの人が聖書の中に納得のいく答えを見つけました。
科学者の中にも,聖書を調べて創造者を信じるようになった人たちがいます。どうして信じるようになったのか知りたい方はjw.orgのビデオシリーズ「生命の起源に対する見方」をご覧ください。
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聖書から分かること目ざめよ! 2021 | No. 3
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聖書から分かること
「これが,天と地が創造された時の記録……である」。(創世記 2:4)この言葉にあるように,聖書には地球の始まりについて書かれています。聖書の内容は現代科学と矛盾していますか。幾つかの点を考えてみましょう。
初めに 宇宙と地球が創造される。
宇宙には始まりがあったか
創世記 1章1節にはこうあります。「初めに,神は天と地を創造した」。
20世紀半ばまで,多くの著名な科学者たちは,宇宙は常に存在してきたと考えていました。でも,その後の科学上の発見により,宇宙に始まりがあることが分かってきました。
地球は最初どんな状態だったか
創世記 1章2,9節によると,地球は昔,「荒れていて何もな」く,水で覆われていました。
聖書のこの説明は現代科学と矛盾していません。生物学者のパトリック・シー氏は,地球は当初「酸素がなく,……SFに出てくるような荒れた光景が広がっていた」と述べています。「天文学」誌にはこう書かれています。「最近の調査により,古代の地球は陸地がほとんどない水の世界だったことが分かった」。
大気はどのように変化していったか
創世記 1章3-5節によると,光は大気を通過するようになりましたが,光源は地上からまだ見えませんでした。太陽や月が地上からはっきり見えるようになったのは,もっと後になってからのことです。(創世記 1:14-18)
1日24時間から成る6日間で生物全てが創造された,と聖書は言っていない。
スミソニアン環境調査センターによると,当初,大気はあまり光を通さず,地上からはぼんやりした光しか見えませんでした。「太古の地球は,大気中に大量のメタンが含まれていて,もやで覆われたような状態だった」と同センターは述べています。後に「メタンのもやが消えて,空が青く見えるようになった」ということです。
地球上の生物はどんな順番で出現したか
創世記 1章20-27節によると,魚,鳥,陸生動物,そして最後に人間という順番で創造されました。科学者たちの意見では,最初の魚類が現れたずっと後に最初の哺乳類が現れ,人間はさらに後になって現れました。
生物が時とともに変化することはない,と聖書は言っていない。
聖書が言っていないこと
聖書は現代科学と矛盾していると言う人たちもいます。でも,聖書に書かれていることを誤解して,そう考えるのかもしれません。
宇宙や地球ができたのは今からわずか6000年前,と聖書は言っていない。聖書には,「初めに」宇宙と地球が創造されたとだけ書かれています。(創世記 1:1)どれくらい昔に創造されたかは書かれていません。
1日24時間から成る6日間で生物全てが創造された,と聖書は言っていない。聖書では,「日」という言葉がいろいろな長さの期間を指して使われます。例えば,地球と地球上の生物は,「エホバa神が地と天を造った日」の間に創造されました。(創世記 2:4)その「日」には,創世記 1章の創造の6日間も含まれています。それで,神が地球の環境を整えて生物を造った6日間のそれぞれの「日」は,かなり長い期間だったと考えられます。
生物が時とともに変化することはない,と聖書は言っていない。創世記によると,「さまざまな種類」の動物が創造されました。(創世記 1:24,25)この「種類」という言葉は,生物の広い区分を指しています。1つの「種類」には,多くの種や変種が含まれると思われます。ですから,1つの「種類」の中であれば,時間の経過とともに,変種が現れたり同じ地域に住む種の形態が変化したりする可能性があります。
どう思いますか
ここまで見てきたように,聖書は,宇宙の始まり,地球の最初の状態,生物の出現について,シンプルで正確な表現で記しています。そうであれば,これらのものを創造した方についても明らかにしているのではないでしょうか。「ブリタニカ国際大百科事典」にはこう書かれています。「生命の起源は,ある超自然的な事象の一つの結果で……ある。……現代の科学上の知識と矛盾するものではない」。b
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はじまりを知るのはなぜ大切?目ざめよ! 2021 | No. 3
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はじまりを知るのはなぜ大切?
宇宙と生命の起源について考えるのは大切です。ここまで読んできて,天地を創造した神はいるのかもしれない,と感じたかもしれません。聖書には天地を創造した神の考えが書かれています。そのことが分かると,あなたの生活に次のような変化が生まれます。
生きることがもっと楽しくなる
聖書の言葉 「[神は]善いことを行って……天からの雨と実りの季節を与え,食物を豊かに供給して人々の心を喜びで満たした」。使徒 14:17
つまり… 美しい自然やかわいい動物は神からの贈り物です。こうしたものを造ってくれた神の愛情や気遣いを感じると,感謝の気持ちが深まります。
役立つアドバイスが見つかる
聖書の言葉 「あなたは何が正しく公正で公平かを,良い歩みとはどんなものかを理解する」。格言 2:9
つまり… 人間を造った神は,どうすれば私たちが幸せになれるかを知っています。聖書にはあなたに役立つアドバイスがたくさんあります。
いろいろな疑問の答えが分かる
聖書の言葉 「あなたは……神についての知識を見つける」。格言 2:5
つまり… 神がいることが分かると,大切な疑問の答えが見つかります。例えば「人って何のために生きている? つらいことや悲しいことがこんなにたくさんあるのはどうして? 人は死ぬとどうなる?」といった疑問です。聖書を調べると,納得のいく答えが得られます。
将来に希望が持てる
聖書の言葉 「エホバはこう宣言する。『私は,あなたたちのために自分が行おうとしていることをよく知っている。あなたたちに災いではなく平和をもたらし,良い将来と希望を与えたいと思っている』」。エレミヤ 29:11
つまり… 神は将来,世界から悪いことや苦しいこと,死ぬことがなくなると約束しています。神の約束を信じられるようになると将来に希望が持てるので,大変なことがあっても頑張れます。
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証拠を調べる目ざめよ! 2021 | No. 3
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証拠を調べる
「目ざめよ!」のこの号では,宇宙が造られたことを示す幾つかの証拠を取り上げています。その証拠を自分で調べ,創造者がいるかどうかじっくり考えてみてください。以下のようなビデオや資料を使ってさらに調べることもできます。jw.orgでタイトル名を入力して検索できます。
創造者の存在を信じている科学者たちがいるのはなぜ?
「生命の起源に対する見方」のインタビューを見てください。
進化論は確かな証拠に基づいている?
「生命 どこから?」の冊子を読んでください。
創造者がいると言える証拠はある?
「若者のコメント: 神がいると信じられるのはなぜ?」のビデオを見てください。
聖書に書いてあることは信じられる?
「生命の起源 5つの大切な質問」の冊子を読んでください。
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