ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 「エホバの日」を生き残る
    ものみの塔 1997 | 12月15日
    • 「エホバの日」を生き残る

      「エホバの日は大いなる日であり,大いに畏怖の念を抱かせるものなのである。だれかその下でこらえ得ようか」― ヨエル 2:11。

      1 『畏怖の念を抱かせるエホバの日』が喜びの時となるのはなぜですか。

      「畏怖の念を抱かせる」! 神の預言者ヨエルは大いなる「エホバの日」をそのように描写しています。しかし,エホバを愛し,イエスの贖いの犠牲に基づいて献身し,エホバのもとに来たわたしたちは,エホバの日が近づいていても,恐れに身をすくませる必要などありません。それはまさに畏敬の念を起こさせる日となりますが,壮大な救いの日でもあり,幾千年も人間を苦しめてきた邪悪な事物の体制からの解放の日となります。ヨエルはその日を思い見て,「喜び,かつ歓び楽しめ。エホバは……まさに大いなる事を行なうからである」と神の民に呼びかけ,次いで,「エホバの名を呼び求める者はみな安全に逃れることになる」という保証の言葉を付け加えています。その時,「エホバの述べたとおり」,神の王国の取り決めのうちに,「また生き残った者たちの中に逃れ出た者たちがいる(の)であり,その者たちをエホバは呼び寄せている」のです。―ヨエル 2:11,21,22,32。

      2 (イ)「主の日」,(ロ)「エホバの日」に,それぞれ何が起きて,神の目的が遂行されますか。

      2 畏怖の念を抱かせるエホバの日を,啓示 1章10節の「主の日」と混同してはなりません。後者には,啓示の書の1章から22章に描かれている16の幻の成就が含まれます。主の日には,「そのようなことはいつあるのでしょうか。そして,あなたの臨在と事物の体制の終結のしるしには何がありますか」という弟子たちの質問に答えてイエスが予告したすべての出来事の成就する時が含まれています。天におけるイエスの臨在は,地上での恐ろしい『戦争,飢きん,憎しみ,疫病,不法』によってしるし付けられてきました。こうした苦難の増大に伴い,イエスは現代の弟子たちを遣わして,「王国のこの良いたより(を)あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で」宣べ伝えさせることにより,神を恐れる人たちに慰めを与えてきました。次いで,主の日の頂点をなす出来事として,突如,現在の事物の体制の「終わり」,つまり畏怖の念を抱かせるエホバの日が臨みます。(マタイ 24:3-14。ルカ 21:11)それが,サタンの腐敗した世に速やかな裁きを執行するためのエホバの日なのです。「天と地は必ず激動する。しかしエホバはその民のための避け所とな(る)」― ヨエル 3:16。

      エホバはノアの日に行動される

      3 今日の状況は,どのようにノアの日と類似していますか。

      3 今日の世界の状況は,今から4,000年余り前の「ノアの日」の状況と類似しています。(ルカ 17:26,27)創世記 6章5節には,こう記されています。「エホバは,人の悪が地にあふれ,その心の考えのすべての傾向が終始ただ悪に向かうのをご覧になった」。今の世の中と何とよく似ているのでしょう。邪悪さ,貪欲さ,愛のなさが,いたるところにあふれています。人間は堕ちるところまで堕ちてしまった,と思える時があるかもしれません。しかし,「終わりの日」に関して使徒パウロが述べた,「邪悪な者とかたりを働く者とはいよいよ悪に進み,惑わしたり惑わされたりするでしょう」という預言は,今なお成就の途上にあるのです。―テモテ第二 3:1,13。

      4 偽りの崇拝は初期の時代にどんな影響を与えましたか。

      4 ノアの時代に宗教は人間に安らぎをもたらすことができたでしょうか。いいえ,それどころか,そのころ存在していたような背教した宗教は,破滅を来たす状況を大いに助長したことでしょう。人間の最初の親は,『初めからの蛇で,悪魔またサタンと呼ばれる者』の偽りの教えに屈していました。アダムから2世代目には,恐らく冒とく的に「エホバの名を呼び求めることが始まった」とされています。(啓示 12:9。創世記 3:3-6; 4:26)後日,神への全き専心を捨てて反逆したみ使いたちは,器量の良い人間の娘たちと不義の性関係を結ぶため,物質化して人間の体を着けました。それらの女性を母として,ネフィリムと呼ばれる混血の巨人が生まれ,人間を虐げ,痛めつけました。こうした悪霊的な影響のもとで,「肉なるもの(は)みな地でその道を損なって」いました。―創世記 6:1-12。

      5 イエスはノアの日の出来事にちなんで,警告となるどんな勧めを与えておられますか。

      5 しかし,一つの家族はエホバへの忠誠を保ちました。そのため,神は「不敬虔な人々の世に大洪水をもたらした時に義の伝道者ノアをほかの七人と共に安全に守られ(まし)た」。(ペテロ第二 2:5)その大洪水は,畏怖の念を抱かせるエホバの日を予示していました。その日は,この事物の体制の終わりをしるし付けるものであり,イエスはその日についてこう預言されました。「その日と時刻についてはだれも知りません。天のみ使いたちも子も知らず,ただ父だけが知っておられます。人の子の臨在はちょうどノアの日のようだからです。洪水前のそれらの日,ノアが箱船に入る日まで,人々は食べたり飲んだり,めとったり嫁いだりしていました。そして,洪水が来て彼らすべてを流し去るまで注意しませんでしたが,人の子の臨在の時もそのようになるのです」。(マタイ 24:36-39)今日のわたしたちも同様の状況にあるので,イエスはわたしたちに,『自分自身に注意を払い,起きることが定まっているこれらのすべての事を逃れることができるよう,常に祈願をしつつ,いつも目ざめていなさい』と勧めておられます。―ルカ 21:34-36。

      ソドムとゴモラに対するエホバの司法上の処罰

      6,7 (イ)ロトの時代に起きた出来事は何を予示するものですか。(ロ)それは,わたしたちにどんな明確な警告を伝えていますか。

      6 洪水から数百年が経過し,ノアの子孫が地上で殖えて多くなっていたころ,忠実なアブラハムと甥のロトは,畏怖の念を起こさせる別のエホバの日の目撃証人となりました。ロトとその家族はソドムの町に住んでいました。この都市は隣のゴモラ共々,嫌悪すべき性の不道徳に巻き込まれていました。物質主義も重んじられており,結局はロトの妻でさえ,その影響を受けてしまいます。エホバはすでにアブラハムに,「ソドムとゴモラについての苦情の叫び,それはまさに大きく,彼らの罪,それはまことに重い」と告げておられました。(創世記 18:20)アブラハムは,それらの都市にいる義人のためにそこを滅ぼさないようエホバに嘆願しますが,エホバは,そこには10人の義人も見いだせない,と言われます。神から遣わされたみ使いたちが,近くの都市ゾアルへ逃れるようロトと二人の娘たちを助けました。

      7 それからどうなりましたか。ルカ 17章28節から30節は,今の「終わりの日」をロトの日と比較し,「また同じように,ちょうどロトの日に起きたとおりです。人々は食べたり,飲んだり,買ったり,売ったり,植えたり,建てたりしていました。しかし,ロトがソドムから出た日に天から火と硫黄が降って,彼らをみな滅ぼしたのです。人の子が表わし示されようとしている日も同様でしょう」と述べています。畏敬の念を起こさせるそのエホバの日にソドムとゴモラに臨んだ悲惨な結末は,イエスが臨在しておられるこの時代のわたしたちに明確な警告を伝えています。人類の現代の世代も,「甚だしい淫行を犯し,不自然な用のために飽くことなく肉を追い求め(て)」きました。(ユダ 7)さらに,この時代に関してイエスが予告した「疫病」の多くは,現代の堕落した性習慣によって引き起こされてきました。―ルカ 21:11。

      イスラエルは「暴風」を刈り取る

      8 イスラエルはどの程度,エホバとの契約を守りましたか。

      8 後日エホバはイスラエルを「あらゆる民の中にあって……特別な所有物……祭司の王国,聖なる国民」とするために選びました。とはいえ,そのための条件として,『エホバの声に固く従い,エホバとの契約を守る』ことが求められました。(出エジプト記 19:5,6)彼らはこのすばらしい特権を大切にしたでしょうか。そういうことは全くありませんでした。確かに,この国民の中の忠実な人たち,例えばモーセ,サムエル,ダビデ,エホシャファト,ヒゼキヤ,ヨシヤ,それに献身的な預言者の男女は忠節に仕えましたが,国民全体としては忠実ではありませんでした。やがてその王国はイスラエルとユダの二つに分裂します。そして,全般的にはどちらの国も,異教の崇拝など,神に恥辱をもたらす近隣諸国の慣行に陥ってしまいました。―エゼキエル 23:49。

      9 エホバは反逆した十部族王国をどのように裁かれましたか。

      9 エホバはこの事態をどのように裁かれましたか。エホバはいつもどおり,「主権者なる主エホバは,内密の事柄を自分の僕である預言者たちに啓示してからでなければ何一つ事を行なわない」という,アモスによって述べられた行動方針に従って警告を発せられました。アモス自身,「それで,あなた方にとってエホバの日はどのようなものとなるであろうか。それは暗闇であり,何の光もない」と述べて,北のイスラエル王国に災いをふれ告げました。(アモス 3:7; 5:18)また,アモスの仲間の預言者ホセアは,「彼らは風をまきつづけて,暴風を刈り取るのである」と宣明しました。(ホセア8:7)西暦前740年に,エホバはアッシリアの軍隊を用いて,北のイスラエル王国を永久に壊滅させました。

      背教したユダに対するエホバの清算

      10,11 (イ)エホバがユダに許しを与えようとされなかったのはなぜですか。(ロ)どんな忌むべき事柄がその国を腐敗させていましたか。

      10 エホバは南のユダ王国にも預言者たちを遣わされました。それでもなお,マナセやその後継者アモンなど,ユダの王たちはエホバの目に悪を行ない続け,『罪のない者の血をおびただしく[流し],糞像に仕え,これに身をかがめ』ました。アモンの息子ヨシヤはエホバの目に正しいことを行なったものの,続く王たちはその民もろとも,またもや悪に染まったので,「エホバは許しを与えようとはされなかった」と記されています。―列王第二 21:16-21; 24:3,4。

      11 エホバは預言者エレミヤを通して,こう宣明されます。「驚くべき事態,恐るべきことがこの地に起こった。預言者たちは実際に偽りのうちに預言し,祭司たちは自分の力にしたがって従えてゆく。そしてわたしの民はその状態を愛したのだ。あなた方はその終わりにはどうするのか」。ユダの国は甚だしいまでに血の罪を負い,民は,盗み,殺人,姦淫,偽りの誓い,他の神々に従って歩むことなど,忌むべき事柄を行なって腐敗しました。神の神殿は「強盗の洞くつ」と化していました。―エレミヤ 2:34; 5:30,31; 7:8-12。

      12 エホバは背信のエルサレムを処罰するため,どのように事を進められましたか。

      12 エホバは,「わたしが北[カルデア]からもたらそうとしている災い,大いなる崩壊がある」と宣明されます。(エレミヤ 4:6)それでエホバは,背信のエルサレムと同市の神殿を打ち壊すため,バビロニア世界強国という,その当時の「全地のかじ場のハンマー」を持ち込まれました。(エレミヤ 50:23)厳しい攻囲の後,同市は西暦前607年にネブカドネザルの強大な軍隊の前に落ちました。「そして,バビロンの王はリブラで[王]ゼデキヤの子らをその目の前で打ち殺した。バビロンの王はユダのすべての高貴な者をも打ち殺した。そしてゼデキヤの目を盲目にし,その後,バビロンに連れて行くため彼に銅の足かせを掛けた。そして,カルデア人は王の家と民の家々を火で焼き,エルサレムの城壁を取り壊した。そして,市に残されていた残りの民と,彼に投じた脱走者たちと,残されていた民の残りの者を,護衛の長ネブザラダンは流刑に処してバビロンに連れて行った」― エレミヤ 39:6-9。

      13 西暦前607年のエホバの日にだれが救われましたか。救われたのはなぜですか。

      13 まさに畏怖の念を抱かせる日でした。それでも,エホバに従った少数の人が,火のようなその裁きから救出された人々の中に含まれていました。その中には,ユダ人とは対照的に,謙遜で従順な精神を表わした非イスラエルのレカブ人がいました。泥々の水溜めで死ぬところだったエレミヤを救出した忠実な宦官エベド・メレクや,エレミヤの忠節な書記バルクも救われました。(エレミヤ 35:18,19; 38:7-13; 39:15-18; 45:1-5)エホバはそのような人たちにこう宣言しておられます。「わたしは,わたしがあなた方に対して考えている考えをよく知っている……平安についての考えであり,災いについてではない。あなた方に将来と希望を与えるためである」。その約束は西暦前539年に小規模な成就を見ました。それは,神を恐れるユダヤ人が,バビロンを征服したキュロス王によって解放され,エルサレムの都市と神殿を再建するために帰還した時でした。今日,バビロン的な宗教から出て,エホバの清い崇拝への回復を経験した人々も,エホバの回復されたパラダイスでとこしえの平和を享受するという,輝かしい将来を待ち望むことができます。―エレミヤ 29:11。詩編 37:34。啓示 18:2,4。

      1世紀の「大患難」

      14 エホバが永久にイスラエルを退けたのはなぜですか。

      14 西暦1世紀に進みましょう。その時までに,回復されたユダヤ人は再び背教に陥っていました。エホバはご自分の独り子を地に遣わし,油そそがれた者,つまりメシアとされました。西暦29年から33年にかけて,イエスは,「あなた方は悔い改めなさい。天の王国は近づいたからです」と告げながら,イスラエルの全土で伝道しました。(マタイ 4:17)それだけでなく,弟子たちを集めて訓練し,王国の良いたよりをふれ告げる業に加わらせました。ユダヤ人の支配者たちはどう反応したでしょうか。イエスをそしり,最後には苦しみの杭の上での苦もんに満ちた死を遂げさせるという,非道な犯罪を犯してしまいます。エホバはユダヤ人をご自分の民としては捨て去ります。今やユダヤ国民は永久に退けられました。

      15 悔い改めたユダヤ人にはどんなことを行なう特権が与えられましたか。

      15 西暦33年のペンテコステの日に,復活したイエスは聖霊を注ぎ,それによって弟子たちは,ユダヤ人と,すぐさま集まった改宗者たちに,異言で語ることができました。使徒ペテロはその群衆に語りかけ,「このイエスを神は復活させたのであり,わたしたちは皆その事の証人です。……ですから,イスラエルの全家は,神がこの方を,あなた方が杭につけたこのイエスを,主とも,キリストともされたことをはっきりと知ってください」と宣言します。誠実なユダヤ人はどんな反応を示しますか。「彼らは心を刺され」,自分の罪を悔い改め,バプテスマを受けます。(使徒 2:32-41)王国を宣べ伝える業は加速され,30年もたたないうちに「天下の全創造物」に及んでいました。―コロサイ 1:23。

      16 エホバは,生来のイスラエルに対する裁きの執行に至る様々な出来事を,どのように導かれましたか。

      16 退けられた民となった生来のイスラエルにエホバが裁きを執行する時が到来しようとしていました。当時知られていた世界全体の様々な国から来た数多くの人々がクリスチャン会衆に群がり,霊的な「神のイスラエル」としてすでに油そそがれていました。(ガラテア 6:16)ところが当時のユダヤ人は,憎しみと党派的暴力抗争の道に陥っていました。そして,『上位の権威に服すること』に関するパウロの言葉に反し,自分たちを支配していた強国ローマに公然と反逆しました。(ローマ 13:1)その後の様々な出来事は,エホバの導きによって生じたと言えるでしょう。西暦66年には,ガルス将軍の率いるローマの諸軍団が進軍してエルサレムを攻囲しました。攻撃を仕掛けたローマ人は,神殿の壁を崩すほどに,市内深くに入り込みました。ヨセフスの歴史的記録が示すとおり,その都市にも人々にも,紛れもない患難が臨みました。a ところが,攻撃を仕掛けた兵士たちは突然に撤退します。そのためにイエスの弟子たちは,マタイ 24章15,16節に記された預言の訓戒に従い,『山に逃げる』ことができました。

      17,18 (イ)エホバはどんな患難によって,ユダヤ人に公正な裁きを下されましたか。(ロ)どんな肉なる者が「安全に逃れ」ましたか。それは何の影でしたか。

      17 しかし,患難の頂点をなすエホバの裁きが余すところなく執行されるのは,なお将来のことでした。西暦70年,今度はティツス将軍の率いるローマの諸軍団が,攻撃のために戻ってきました。この戦闘で決着がつきました。仲間うちでも争っていたユダヤ人は,もはやローマ人の敵ではありませんでした。エルサレム市と同市の神殿は徹底的に破壊されました。衰弱した100万人を超えるユダヤ人は苦しみのうちに死に,およそ60万の死体が城門の外に投げ捨てられました。都市が崩壊した後,9万7,000人のユダヤ人は捕虜として連れ去られ,その中には後に剣闘士の見せ物で殺された者も多くいました。確かに,その患難の数年間に救われた肉なる者は,ヨルダンを越えた山地に逃げた従順なクリスチャンだけでした。―マタイ 24:21,22。ルカ 21:20-22。

      18 このようにして,「事物の体制の終結」に関するイエスの大預言は最初の成就を見,反逆したユダヤ国民に公正な裁きを下した西暦66年から70年までのエホバの日に頂点に達しました。(マタイ 24:3-22)とはいえそれは,「畏怖の念を抱かせる,エホバの大いなる日」,つまり全世界を呑み込もうとしている最終的な患難の『到来』の影にすぎませんでした。(ヨエル 2:31)どうすれば「安全に逃れる」ことができますか。その点は次の記事で説明されます。

  • 救いのために公の宣言をする
    ものみの塔 1997 | 12月15日
    • 救いのために公の宣言をする

      「エホバの名を呼び求める者はみな救われる」― ローマ 10:13。

      1 歴史を通じて,どんな警告が出されてきましたか。

      歴史は何回もの「エホバの日」を描き出しています。ノアの日の洪水,ソドムとゴモラの壊滅,西暦前607年および西暦70年のエルサレムの滅びなどは,それぞれ畏怖の念を抱かせるエホバの大いなる日でした。それらは,エホバに反逆した者たちに公正な裁きを下す処断の日でした。(マラキ 4:5。ルカ 21:22)それらの日に,多くの人が自らの邪悪さゆえに滅び失せました。しかし,生き残った人たちもいました。エホバは警告を出させ,邪悪な者たちには差し迫った大災厄を知らせ,心の正しい人たちには救いを見いだす機会をお与えになりました。

      2,3 (イ)ペンテコステの時に,どんな預言的な警告が引用されましたか。(ロ)西暦33年のペンテコステ以降,エホバのみ名を呼び求めるために何が必要になりましたか。

      2 その顕著な例となっているのは,西暦70年のエルサレムの滅びです。預言者ヨエルは事の起こるほぼ900年前に,次のように書きました。「わたしは天と地に異兆を与える。血と火また煙の柱である。畏怖の念を抱かせる,エホバの大いなる日の来る前に,太陽は闇に変わり,月は血になるであろう」。これほど恐ろしい時を一体だれが生き残れるでしょうか。ヨエルは霊感を受けてこう記しました。「エホバの名を呼び求める者はみな安全に逃れることになる。エホバの述べたとおり,シオンの山とエルサレムに,また生き残った者たちの中に逃れ出た者たちがいるからであり,その者たちをエホバは呼び寄せているのである」。―ヨエル 2:30-32。

      3 西暦33年のペンテコステの時に,使徒ペテロはエルサレムにいたユダヤ人と改宗者たちの群衆に話してヨエルの預言を引用し,話を聴いているその人たちが自分の時代のうちにその成就を期待できる,と述べました。「わたしは,上は天に異兆を,下は地にしるしを,血と火と煙の霧とを与える。エホバの大いなる輝かしい日が到来する前に,太陽は闇に,月は血に変わるであろう。そして,エホバの名を呼び求める者はみな救われるであろう」。(使徒 2:16-21)ペテロの話を聴いていた群衆は皆モーセの律法のもとにあったので,エホバのみ名を知っていました。ペテロは,エホバのみ名を呼び求めることには,その時以後さらに多くの事柄が関係することを明らかにしました。それにはとりわけ,その時すでに殺されて天の不滅の命に復活させられていたイエスの名においてバプテスマを受けることが含まれていました。―使徒 2:37,38。

      4 クリスチャンはどんな音信を広く宣明しましたか。

      4 ペンテコステ以来,クリスチャンは復活したイエスについての言葉を広めました。(コリント第一 1:23)彼らは,人間がエホバ神の霊的な子として養子にされ,『エホバの卓越性を広く宣明する』霊的な国民,すなわち新しい「神のイスラエル」の一部となり得ることを知らせました。(ペテロ第一 2:9。ガラテア 6:16)死に至るまで忠実を保った人たちは,天の王国におけるイエスと共同の相続人として,天的な不滅の命を受け継ぐことになりました。(マタイ 24:13。ローマ 8:15,16。コリント第一 15:50-54)さらにこれらのクリスチャンは,畏怖の念を抱かせるエホバの大いなる日の到来をふれ告げます。またユダヤ人社会に対しては,同社会が患難を経験するという警告も与えなければなりませんでした。それは,その時までにエルサレムや神の民を自任する人々に臨んだどんな患難をも上回る患難です。しかし,生き残る人たちがいるのです。だれのことでしょうか。エホバのみ名を呼び求める人たちです。

      「終わりの日に」

      5 今日どんな預言が成就してきましたか。

      5 当時の状況は多くの点で,現在わたしたちが目にしている事柄を予示していました。人類は1914年以来,聖書の中で「終わりの時」,「事物の体制の終結」,さらには「終わりの日」と呼ばれる特別な期間に生活しています。(ダニエル 12:1,4。マタイ 24:3-8。テモテ第二 3:1-5,13)今世紀に入って,残忍な戦争,とどまるところを知らない暴力,社会と環境の荒廃などにより,聖書預言の著しい成就が見られるようになりました。それらはみな,イエスの預言したしるしの一部であり,人間がこれから最終的かつ決定的な,畏怖の念を抱かせるエホバの日を経験しようとしていることを示唆しています。その頂点をなすのは,「世の初めから今に至るまで起きたことがなく,いいえ,二度と起きないような大患難」のクライマックス,つまりハルマゲドンの戦いです。―マタイ 24:21。啓示 16:16。

      6 (イ)エホバは柔和な人たちを救うため,どのように行動してこられましたか。(ロ)生き残る方法に関するパウロの諭しはどこに記されていますか。

      6 壊滅の日がいよいよ迫っている現在,エホバは柔和な人たちの救いのために行動しておられます。この「終わりの時」の間,エホバは神の霊的イスラエルの最後の者たちを集め,1930年代からは,地上の僕たちの注意を,「すべての国民と部族と民と国語の中から来た,だれも数えつくすことのできない大群衆」を集めることに向けさせてきました。大群衆はグループとして,生きて「大患難から出て来る」人たちです。(啓示 7:9,14)しかし,確実に生き残れるようにするため,一人一人はどうすればよいのでしょうか。その質問に答えているのが使徒パウロです。パウロはローマ 10章の中で,生き残るための優れた諭しを与えており,その諭しはパウロの時代にも,わたしたちの時代にも当てはまります。

      救いのための祈り

      7 (イ)ローマ 10章1,2節には,どんな願いが明示されていますか。(ロ)今やエホバが,より広範にわたる「良いたより」をふれ告げさせることができるようになったのは,なぜですか。

      7 パウロがローマ人への書を書いた時,エホバはすでに,一国民としてのイスラエルを退けておられました。とはいえ同使徒は,「わたしの心の善意と,彼らのために神にささげる祈願は,彼らの救いのためにほかなりません」と断言しました。パウロの願いは,個々のユダヤ人が神のご意志に関する正確な知識を得て,救われるようになることでした。(ローマ 10:1,2)さらにエホバは,人類の世全体の,信仰を働かせる人々の救いを望んでおられました。それは,「神は世を深く愛してご自分の独り子を与え,だれでも彼に信仰を働かせる者が滅ぼされないで,永遠の命を持てるようにされた」と述べるヨハネ 3章16節に示されています。イエスの贖いの犠牲は,その壮大な救いのための道を開きました。ノアの日や,その後の他の裁きの日の場合と同じように,エホバは「良いたより」をふれ告げさせ,救いの道を指し示してこられました。―マルコ 13:10,19,20。

      8 今日,真のクリスチャンはパウロの模範に倣い,だれに,またどのように善意を差し伸べていますか。

      8 パウロはユダヤ人と異邦人双方に対する自分の善意を示し,あらゆる機会に宣べ伝えました。パウロは「ユダヤ人とギリシャ人を説得するのであった」とあるとおりです。パウロはエフェソスの長老たちに,こう語りました。「わたしは,何でも益になることをあなた方に話し,また公にも家から家にもあなた方を教えることを差し控えたりはしませんでした。むしろ,神に対する悔い改めとわたしたちの主イエスへの信仰について,ユダヤ人にもギリシャ人にも徹底的に証しをしたのです」。(使徒 18:4; 20:20,21)同じように,今日のエホバの証人も,クリスチャンを自任する人々だけでなく,あらゆる人々に,まさに「地の最も遠い所」にまで,自分を費やして宣べ伝えています。―使徒 1:8; 18:5。

      「信仰の『言葉』」を告白する

      9 (イ)ローマ 10章8,9節は,どんな信仰を勧めていますか。(ロ)自分の信仰について,いつ,またどのように告白すべきですか。

      9 救いのためには不屈の信仰が求められます。パウロは申命記 30章14節を引用して,こう宣言しました。「『その言葉はあなたに近く,あなたの口の中,あなたの心の中にある』。つまり,信仰の『言葉』のことであり,わたしたちが宣べ伝えているものです」。(ローマ 10:8)その「信仰の『言葉』」を宣べ伝える時,それはわたしたちの心の中にいよいよ深く刻み込まれるようになります。パウロの場合がそうでした。そして,続くパウロの言葉は,パウロに倣って他の人たちにその信仰を伝えるわたしたちの決意を強めるものとなります。「『あなたの口の中にある言葉』,つまり,イエスは主であるということを公に宣言し,神は彼を死人の中からよみがえらせたと心の中で信仰を働かせるなら,あなたは救われるのです」。(ローマ 10:9)この告白は,バプテスマの時に他の人たちの前で行なわれるだけでなく,継続的になされるものでなければなりません。つまり,真理のあらゆるすばらしい面についての熱心な公の証言です。そのような真理は,主権者なる主エホバの貴いみ名,わたしたちのメシアなる王であり贖い主である主イエス・キリスト,さらには,類まれな王国の様々な約束を中心にしています。

      10 ローマ 10章10,11節に従って,わたしたちはこの「信仰の『言葉』」をどう扱うべきですか。

      10 使徒パウロがさらに述べているとおり,この「信仰の『言葉』」を受け入れず,当てはめない人に救いはありません。「人は,義のために心で信仰を働かせ,救いのために口で公の宣言をする(の)です。聖書は,『彼に信仰を置く者はだれも失望させられない』と言っています」。(ローマ 10:10,11)わたしたちは,この「信仰の『言葉』」に関する正確な知識を得,それを自分の心の中で絶えず成長させてゆかなければなりません。そのようにして,他の人たちに語るための動機付けを得るのです。イエスご自身,次のように注意を促しておられます。「だれでも,この罪深い姦淫の世代にあってわたしとわたしの言葉を恥じるようになる者は,人の子も,聖なるみ使いたちと共に自分の父の栄光のうちに到来する時,その者を恥じるのです」― マルコ 8:38。

      11 良いたよりはどれほど大々的にふれ告げられるべきですか。それはなぜですか。

      11 預言者ダニエルが予告したとおり,王国の証しが地の隅々にまで広がってゆくこの「終わりの時」の今,「洞察力のある者」が「大空の輝きのように」光を放つ様が見られます。彼らは「多くの者を義に導いて」おり,真の知識はまさに満ちあふれてきました。エホバが,この終わりの時に関する預言に,いよいよ明るい光を投じておられるからです。(ダニエル 12:3,4)真理と義を愛する人すべてが生き残るのに不可欠な救いの音信が,ここにあります。

      12 ローマ 10章12節は,啓示 14章6節に描かれているみ使いの任務とどんな関係がありますか。

      12 使徒パウロはこう続けます。「ユダヤ人とギリシャ人の間に差別はない(の)です。すべての者の上に同じ主がおられ,この方はご自分を呼び求めるすべての者に対して豊かなのです」。(ローマ 10:12)良いたよりは今日,いっそう広範な全地球的規模で ― あらゆる人々に,また地の最果てにまで,宣べ伝えられなければなりません。啓示 14章6節のみ使いは,引き続き中天を飛び,「地に住む者たちに,またあらゆる国民・部族・国語・民に喜ばしいおとずれとして宣明する永遠の良いたより」をわたしたちに託しています。このことは,良い反応を示す人たちにどんな益をもたらしますか。

      エホバのみ名を呼び求める

      13 (イ)1998年の年句は何ですか。(ロ)今日,この年句が非常に適切なのはなぜですか。

      13 パウロはヨエル 2章32節を引用し,「エホバの名を呼び求める者はみな救われる」と宣言しています。(ローマ 10:13)この言葉がエホバの証人の1998年の年句に選ばれたのは何と適切なことなのでしょう。エホバへの信頼をもって前進し,エホバのみ名と,それが表わすエホバの壮大な目的を知らせることがこれほど重要になった時は,いまだかつてありません。西暦1世紀と同様,現在の腐敗した事物の体制の終わりの日にも,「この曲がった世代から救われなさい」という叫びが大声で発せられています。(使徒 2:40)それは,神を恐れる世界中の人々すべてに対する,ラッパの響きのような招きの声であり,その人々にも,その人々が公に宣言する良いたよりを聴く人たちにも,救いが与えられるようエホバに呼び求めることを促しています。―テモテ第一 4:16。

      14 わたしたちはどんな岩に救いを呼び求めるべきですか。

      14 エホバの大いなる日が突然この地で始まる時,どんなことが起こるのでしょうか。大抵の人はエホバに救いを仰ごうとはしません。人類一般は,「山と岩塊とにこう言いつづける(でしょう)。『わたしたちの上に倒れかかれ。そしてみ座に座っておられる方の顔から,また子羊の憤りからわたしたちを隠してくれ』」。(啓示 6:15,16)彼らは,この事物の体制の,山のような組織や制度に望みをかけるのです。しかし,あらゆる岩のうち最大の岩であられるエホバ神を信頼するほうが,どれほどよいか分かりません。(申命記 32:3,4)この神についてダビデ王は,「エホバはわたしの大岩,わたしのとりで,わたしを逃れさせてくださる方」と述べました。エホバは「わたしたちの救いの岩」です。(詩編 18:2; 95:1)そのみ名は「強固な塔」であり,来たるべき危機の間わたしたちを保護できるほど強固なのは,この「塔」だけです。(箴言 18:10)ですから,いま生きている60億近い人々のうち,できるだけ多くの人が,忠実さと誠実さのうちにエホバのみ名を呼び求めるよう教えられるのは,非常に重要なことです。

      15 ローマ 10章14節は信仰に関して,何を明らかにしていますか。

      15 使徒パウロが続いてこう問いかけているのは適切なことです。「しかし人は,自分が信仰を持っていない者をどうして呼び求めるでしょうか」。(ローマ 10:14)今後援助を差し伸べれば,「信仰の『言葉』」を自分のものとし,救いのためにエホバを呼び求めるかもしれない人は非常に大勢います。何より重要なのは信仰です。パウロは別の手紙の中で,「信仰がなければ,神を十分に喜ばせることはできません。神に近づく者は,神がおられること,また,ご自分を切に求める者に報いてくださることを信じなければならないからです」と述べています。(ヘブライ 11:6)とはいえ,どうしたら,さらに幾百万もの人々が神に信仰を持つようになるでしょうか。パウロはローマ人への手紙の中で,「また,自分が聞いたこともない者にどうして信仰を持つでしょうか」と問いかけています。(ローマ 10:14)エホバはそうした人たちが聞くための手段を備えてくださるでしょうか。間違いなくそうされます。パウロが続けて述べる言葉を聴いてください。「また,宣べ伝える者がいなければ,どうして聞くでしょうか」。

      16 神の取り決めにおいて,宣べ伝える人々が肝要なのはなぜですか。

      16 パウロの論議から,宣べ伝える者が必要なことは極めて明らかです。イエスは,その点が「事物の体制の終結の時まで」ずっと変わらないことを指摘されました。(マタイ 24:14; 28:18-20)宣べ伝えることは,エホバのみ名を呼び求めて安全に逃れるよう人々を助けるための,神の取り決めの肝要な部分です。キリスト教世界においてさえ,大多数の人は,神の貴重なみ名を尊ぶようなことは何一つ行なっていません。多くの人は,説明のつかない三位一体の教理によって,どうしようもなくエホバと他の二者を混同してしまっています。また,詩編 14編1節と53編1節は,「分別のない者は心の中で言った,『エホバはいない』と」,と述べていますが,ここで言及されているような人々も多くいます。そうした人々は,エホバが生ける神であることを知る必要があり,差し迫った大患難で安全に逃れるためには,神のみ名が表わす事柄すべてを理解しなければなりません。

      宣べ伝える者の『麗しい足』

      17 (イ)パウロが回復の預言を引用したのはなぜ適切でしたか。(ロ)『麗しい足』を持つことにはどんな意味がありますか。

      17 使徒パウロはもう一つ,非常に重要な質問をします。「また,遣わされたのでなければ,どうして宣べ伝えるでしょうか。『良い事柄についての良いたよりを宣明する者の足は何と麗しいのだろう』と書かれているとおりです」。(ローマ 10:15)ここでパウロはイザヤ 52章7節を引用しています。それは,1919年以降に適用されてきた回復の預言の一部を成す聖句です。今日,もう一度エホバは,「良いたよりを携えて来る者,平和を言い広める者,より良いことについての良いたよりを携えて来る者,救いを言い広める者」を遣わされます。神の油そそがれた「見張りの者たち」とその仲間は,従順な態度で,喜びをもって叫びつづけます。(イザヤ 52:7,8)今日,救いを言い広める人たちの足は家から家を回って疲れ,ほこりまみれにさえなるでしょう。しかし,その顔はすばらしく喜びに輝いています。彼らはエホバから,平和の良いたよりをふれ告げ,嘆く人たちを慰め,それらの人たちが救いを思い見てエホバのみ名を呼び求めるよう助ける任務が与えられていることを知っています。

      18 ローマ 10章16-18節は,良いたよりを鳴り響かせることの最終的な結果について,何と述べていますか。

      18 人々が『聞いた事柄に信仰を置く』にしても逆らう道を選ぶにしても,次のパウロの言葉には真実の響きがあります。「彼らは聞かなかったわけではないでしょう。実に,『その音は全地へ出て行き,その発言は人の住む地の果てにまで行った』のです」。(ローマ 10:16-18)神の創造のみ業に見られるとおり,「天は神の栄光を告げ知らせ(て)」います。それと同じく,地上のエホバの証人たちも,「エホバの側の善意の年とわたしたちの神の側の復しゅうの日」とをふれ告げ,「嘆き悲しむすべての者を慰め」なければなりません。―詩編 19:1-4。イザヤ 61:2。

      19 今日,「エホバの名を呼び求める」人々は,結果としてどうなりますか。

      19 畏怖の念を抱かせるエホバの大いなる日はいよいよ近づいています。「ああ,その日よ! エホバの日は近く,全能者による奪略のようにしてそれは来るのである」。(ヨエル 1:15; 2:31)わたしたちは,さらに多くの人たちが緊急感をもって良いたよりにこたえ応じ,エホバの組織に群れ集うことを祈り求めます。(イザヤ 60:8。ハバクク 2:3)ノアの日,ロトの日,背教したイスラエルとユダの日など,他のエホバの日にも,邪悪な者たちに滅びがもたらされたことを思い起こしてください。わたしたちは今,史上最大の患難の瀬戸際に立っています。その患難の時には,エホバの暴風が地の表から悪を一掃し,平和の永続するパラダイスへの道を開くのです。あなたは忠実のうちに,「エホバの名を呼び求める者」となりますか。もしそうであれば,大いに喜んでください。あなたの救いを,神ご自身が約束しておられるのです。―ローマ 10:13。

日本語出版物(1954-2026)
ログアウト
ログイン
  • 日本語
  • シェアする
  • 設定
  • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
  • 利用規約
  • プライバシーに関する方針
  • プライバシー設定
  • JW.ORG
  • ログイン
シェアする