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治療と取り組む目ざめよ! 2003 | 5月8日
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I型糖尿病の場合,利用できるインシュリンが体にありません。II型の場合,体はインシュリンを作りますが,たいてい量が不十分です。g その上,細胞がインシュリンを受け入れにくい,インシュリン抵抗と呼ばれる状態になります。どちらの型の糖尿病でも,結果は同じです。細胞は栄養をもらえず,糖の血中濃度が危険な値になります。
I型糖尿病では,人体の免疫機構が,膵臓内でインシュリンを生成するβ細胞を攻撃します。したがってI型糖尿病は自己免疫疾患であり,免疫介在性糖尿病と呼ばれることもあります。免疫反応を引き起こす要因には,ウイルス,有毒化学物質,ある種の薬剤などがあります。遺伝的体質も関係しているかもしれません。I型糖尿病はしばしば同じ家系に現われ,白人に最も多く見られるからです。
II型糖尿病の場合は遺伝的要素がさらに強いですが,白人以外に多く見られます。とりわけオーストラリアのアボリジニーやアメリカ先住民にこれを患っている人が多く,アメリカ先住民はII型糖尿病患者の比率が世界最高です。研究者たちは,遺伝と肥満の関係について,また遺伝的に糖尿病になりやすい人の体内で脂肪が増えすぎるとどのようにインシュリン抵抗性が促進されるかについて調べています。h I型と違い,II型糖尿病は主に40歳以上の人がなります。
[脚注]
g 糖尿病のおよそ90%はII型です。これは以前,「インシュリン非依存性」,あるいは「成人発症型」の糖尿病と呼ばれていました。しかし,そうした用語は適切ではありません。II型糖尿病を抱える人の40%ほどはインシュリンを必要とするからです。さらに,驚くほど多くの若い人たちがII型糖尿病と診断されています。13歳未満の子どもさえいます。
h 一般的に肥満とは,標準体重を20%以上超えている状態を言います。
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治療と取り組む目ざめよ! 2003 | 5月8日
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[8,9ページの図/図版]
糖尿病の簡単な説明
膵臓
健康な人
食事のあと,血中のブドウ糖の増加に膵臓が反応し,適量のインシュリンを分泌する
インシュリン分子は筋肉細胞や他の細胞の受容体と結合する。それによっていわば入口が開かれ,ブドウ糖分子が細胞内に取り込まれる
ブドウ糖は筋肉細胞に吸収され,燃やされる。こうして血流中のブドウ糖濃度は通常に戻る
I型糖尿病
膵臓内でインシュリンを生成するβ細胞が免疫機構に攻撃される。その結果,インシュリンが生成されない
インシュリンの助けがないので,ブドウ糖分子は細胞内に取り込まれない
II型糖尿病
たいていの場合,膵臓が少量のインシュリンしか生成しない
受容体がインシュリンに十分に反応しないと,血中からブドウ糖を吸収するのに必要な入口が開かない
ブドウ糖が血流中に蓄積し,重要な作用を阻害し,血管壁を損なう
[図]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
細胞
受容体
入口
インシュリン
細胞核
ブドウ糖
[図]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
血管
赤血球
ブドウ糖
[クレジット]
Man: The Complete Encyclopedia of Illustration/J. G. Heck
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