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  • 危機が深刻な地域
  • 目ざめよ! 1997
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目ざめよ! 1997
目97 8/22 4–9ページ

危機が深刻な地域

米国に住むメアリーは,一日の始めにまずシャワーを浴び,水を出しっぱなしにして歯を磨き,トイレの水を流し,手を洗います。朝食の席に着く前でさえ,標準的な浴槽1杯分ぐらいの水を使うことがあります。メアリーはその日の終わりまでに,米国に住む他の多くの人々のように,350㍑以上の水を使いました。それは浴槽2杯半ほどの量に相当します。メアリーにすれば,きれいな水とは手近な蛇口をひねりさえすればいくらでも出てくるものにすぎません。いつでもすぐ手に入るので,あって当然のものと考えています。

西アフリカに住むデデの場合,話はまた別です。彼女は夜が明けるずっと前に起き,身支度をし,大きなたらいを頭の上にバランスよく載せて,最寄りの川まで約8㌔歩きます。そこで水浴びをし,たらいに水を満たし,家に帰ります。この日課を果たすのに,約4時間かかります。次に1時間かけて,寄生虫を取り除くためにその水をろ過し,三つの容器に分けます。一つは飲料用,一つは家事用,もう一つは夕方の水浴び用です。洗濯はすべて川で済まさなければなりません。

「この辺りの人は水がなくて死にそうです」とデデは言います。「午前中のほぼ半分を水汲みに使うなら,農耕などの活動を行なう時間はどれほど残るでしょうか」。

デデが直面している状況は決して珍しいものではありません。世界保健機関(WHO)によると,往々にして汚染されている水を大勢の女性や子供たちが遠くの水源で汲み,それを運ぶのに費やす時間の合計は,1年間に1,000万年を上回ります。

持つ者と持たざる者

つまり,世界には真水が豊富にあるのに,均等に分配されていないということです。これが最も大きな問題です。例えば,科学者たちの計算によると,アジア大陸には世界の湖や河川を満たしている水の36%が存在し,世界人口の60%が住んでいます。それに対し,アマゾン川の水量は世界の川の水量の15%を占めていますが,近くに住んでそれを利用できる人は,世界人口のわずか0.4%にすぎません。同様に,降雨量も均等ではありません。地球には,ほとんど常に乾燥している地域もありますし,常に乾燥しているわけではないにしても,時々干ばつに見舞われる地域もあります。

降雨などの気象に変化を生じさせているのは人間かもしれない,と考える専門家は少なくありません。森林伐採,過剰耕作,過剰放牧などは皆,土壌を露出させます。一部の人の推測によると,それによって,地表面で反射して大気中に戻る日光の量は増加します。その結果,大気は温暖化し,雲は消散し,降雨量は減少します。

不毛の地も降雨量を減少させるかもしれません。森林に降る多量の雨は本来,植物そのもの,すなわち樹木の葉や下草から蒸発した水だからです。言い換えれば,植物は雨を吸収してから蓄えておく巨大なスポンジのような役割を果たします。樹木や下草を取り除くなら,雨雲を形成するほどの水が集まらなくなります。

人間の活動が降雨にどれほど重大な影響を及ぼしているかについては,今でも議論がなされており,さらに多くの研究を行なう必要があります。しかし,次のことは確かです。それは,水不足が世界中に広がっているということです。水不足はすでに80か国において経済と健康を脅かしている,と世界銀行は警告しています。また,今でさえ地球の住民の40%,すなわち20億を上回る人々は,きれいな水や衛生設備を利用できていません。

水不足に直面した場合,豊かな国々は大抵,金銭の力を借りて深刻な問題をうまく回避します。ダムを建設したり,高価な科学技術を駆使して水を再利用したりするだけでなく,海水から塩分を除去することもあります。貧しい国々にはそうした選択の余地はありません。多くの場合,きれいな水の供給を制限するか,未処理の水を再利用するかのどちらかを選ばなければなりません。前者を取れば,進歩は阻害され,食糧生産は減少するかもしれません。しかし,後者を取れば,病気が蔓延することになります。至る所で水の需要が増大している今,深刻な水不足に悩む将来の姿が見えてきます。

希望の10年

1980年11月10日,国連総会は自信に満ちて,来たる「国際的飲料水確保・衛生処理の10年」について語りました。目標は,発展途上世界に住むすべての人が1990年までに安全な水と衛生設備を十分利用できるようになることである,と同総会は宣言しました。その10年間の終わりまでに,約1,340億㌦が費やされ,10億を上回る人々にきれいな水が行き渡り,7億5,000万を上回る人が下水処理施設を利用できるようになりました。これは見事な成果です。

しかし,こうした進歩も,発展途上諸国における8億人の人口増加によって相殺されてしまいました。ですから,1990年の時点で,きれいな水や適切な衛生設備が使えない人はまだ10億人以上もいました。こうした苦境は,「鏡の国のアリス」という子供向けの物語の中で,女王がアリスに言った次の言葉の中にそのまま示されていると言えそうです。「いいかい,同じ場所に留まっているには,全速力で走らなければならない。どこかにたどり着きたいなら,少なくともその2倍の速さで走らなければならないのだよ」。

1990年以降,水や衛生設備が使えない人々の状況は,WHOによると,全体的に見て「わずか」しか改善されませんでした。サンドラ・ポステルはワールド・ウォッチ研究所の副所長だった時,次のように書いています。「12億の人が病気や死の危険を冒さずには水も飲めないというのは,やはり深刻な倫理上の欠陥である。原因は,水不足や不十分な技術というよりは,貧しい人たちの基本的な必要を満たすことに対する社会的かつ政治的な強い関心の欠如にある。我々の大半が現在当たり前のものと考えていること,すなわち,きれいな飲料水や衛生的な廃棄物処理法が全人類に行き渡るには,恐らく年間360億㌦以上かかるだろう。しかし,それは世界の年間軍事支出のざっと4%にすぎない」。

人口増加と需要の増大

水の不均等な分配を複雑にしているのは,2番目の問題,すなわち,人口増加に伴う,水の需要の増大です。世界の降雨量はほぼ一定しているのに対し,人口は急増しています。水の消費量は,倍増した期間が今世紀に少なくとも2回あり,今後20年間にさらに倍増すると見る人もいます。

もちろん,人口が増加すれば,飲料水だけでなく,食物に対する需要も高まります。次に,食物を生産するには,さらに多くの水が必要です。しかし,工業や個人も水を必要としており,農業はそういう状況のもとで競争を余儀なくされます。都市や工業地域の拡大に伴い,農業が競争に負けることも少なくありません。ある研究者はこう問いかけています。「食物はどこから得られるだろうか。50億人の必要を辛うじて満たし,実際には農業から水を奪っているというのに,100億人の必要をどうして満たすことができるだろうか」。

人口増加の大半は,多くの場合,水がすでに欠乏している発展途上諸国で生じています。残念なことに,そうした国々は財政的にも技術的にも,水の問題に取り組む力の最も弱い国々なのです。

汚染

水不足の問題,人口増加に伴う需要の問題だけではありません。これに関係した3番目の問題があります。それは汚染です。聖書には「命の水の川」という言葉がありますが,今日の多くの川は死の川です。(啓示 22:1)ある推定によると,家庭や工場などから世界の川に放出される汚水の量は年間4,500億立方㍍になります。多くの河川は源流から河口に至るまで汚染されています。

世界の発展途上諸国では,汚水のたれ流しによってほとんどすべての主要河川が汚染されています。ロシアの主要な200の河川を対象にした調査から,その8割が高レベルのバクテリアやウイルスを含んでおり,危険な状態にあることが分かりました。高度に工業化された国々の川や地下水面は,汚水であふれているわけではありませんが,多くの場合,化学肥料から出るものを含め,有毒化学物質によって汚染されています。世界のほぼすべての地域で,沿岸諸国は汚水を海岸の浅瀬にたれ流し,浜辺をひどく汚しています。

ですから,水質汚染は地球規模の問題となっています。事態を要約して,オーデュボン協会の「水: 不可欠な資源」という小冊子はこう述べています。「人類の3分の1は,汚い水に起因する病気や身体的虚弱さに絶えず苦しんでいる。もう3分の1は,長期的な影響の不明な化学物質が水中に放出されることによって脅かされている」。

水が悪ければ,健康も悪化する

先ほど出てきたデデは,「水がなくて死にそうです」と述べましたが,比喩的な意味でそう言ったにすぎませんでした。しかし,きれいな真水がなければ,まさに文字通りの意味でも死んでしまいます。デデや,同じような状況にある非常に大勢の人々にとって,小川や河川の水を使う以外に選択の余地はほとんどありませんが,そうした場所は往々にして,ふたのない下水道と大して変わりません。WHOによると,水と関係のある病気で8秒ごとに一人の子供が死んでいますが,それも無理のないことです。

ワールド・ウォッチ誌によると,発展途上世界では病気全体の80%が安全でない水を使うことによって伝染しています。水によって伝染する病原菌と汚染が原因で,毎年2,500万人が命を落としています。

下痢性の疾患,コレラ,腸チフスなど,水と関係のある死病の犠牲者の大半は,熱帯に住む人たちです。しかし,水によって伝染する病気は発展途上世界に限られているわけではありません。1993年,米国のウィスコンシン州ミルウォーキーでは,塩素に対する耐性を持つ病原菌の入った生水を飲んだために,40万人が病気になりました。同年,危険な病原菌が米国の他の都市 ― ワシントン特別区,ニューヨーク市,ミズーリ州カブール ― の水道に入り込んだので,住民は蛇口から出る水を煮沸せざるを得ませんでした。

川を共用する場合

水不足,人口増加に伴う需要,病気につながる汚染は,相互に関係のある問題であり,すべて緊張と紛争をもたらしかねない要素です。何と言っても,水は決してぜいたく品ではありません。水の危機に取り組んでいる,スペインのある政治家は,「これはもはや経済的な闘争ではなく,生き延びるための闘いである」と述べています。

緊張が高まっているのはおもに,川の水を共用している地域です。米国の研究者ペーター・グライクによると,世界人口の40%は250の川の流域に住んでおり,複数の国がその水を奪い合っています。ブラマプトラ川,インダス川,メコン川,ニジェール川,ナイル川,チグリス川はそれぞれ,多くの国を流れています。そうした国々はそれらの川からできるだけ多量の水を取ろうとします。紛争はすでに生じています。

水の需要が増大するにつれ,そうした緊張も高まることでしょう。「環境/持続可能な開発」局を担当する,世界銀行の副総裁は次のように予言しています。「今世紀の戦争の多くは石油をめぐって生じた。しかし,次の世紀の戦争は水をめぐって生じるであろう」。

[7ページの囲み記事/図版]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

ある分子の旅

一個の水分子の終わりのない旅に同行してみましょう。一連の写真には,文と対応するよう番号が振られています。これらは一個の水の分子が元いた場所に戻る際の無数の経路の一つを描いているにすぎません。―ヨブ 36:27。伝道の書 1:7。

始まりは海面の分子です。(1)太陽エネルギーによって水が蒸発すると,この分子は地上数千メートルの上空まで上っていきます。(2)そこで他の水の分子と結合し,小さな水滴を形成します。この小さな水滴は風に乗って何百キロも旅をします。やがて,この水滴は蒸発し,分子は再び上っていき,ついに,地上に落下するほどの大きさの雨滴と結合します。(3)その雨滴は他の無数の雨滴と共に丘に降り注ぎ,水は小川に流れ込みます。(4)

そこへシカがやって来て,小川の水を飲み,例の分子を体に取り込みます。(5)数時間後にシカが排尿し,分子は地面に排出されて,今度は木の根に吸収されます。(6)分子は根から木の中を上っていき,やがて葉から蒸発して,大気中に出ます。(7)分子は前と同じように上っていきながら,また小さな水滴を形成することになります。水滴は風に運ばれ,やがて黒くて濃い雨雲に合流します。(8)例の分子はまた雨と共に落下しますが,今度は川に達し,海に運ばれます。(9)そこで恐らく何千年もの時を経て,ようやく海面に達し,蒸発し,再び空気によって運ばれます。(10)

この循環に終わりはありません。水は海から蒸発し,陸地の上を旅し,雨となって降り,海に戻ります。こうした循環を通して,水は地上のすべての生物を支えているのです。

[9ページの囲み記事/図版]

提案されてきた方法

海水淡水化施設を建設する。これは海水の塩分を除去する施設です。普通は海水を低圧室に送り込み,そこで沸騰するまで加熱することにより行なわれます。水分は蒸発して飛び,後には塩の結晶が残ります。この方法はかなりの費用がかかるので,多くの発展途上国には手が届きません。

氷山を解かす。一部の科学者は,きれいな真水を含んでいる巨大な氷山を大きなタグボートで曳航して来て解かし,南半球の乾燥した国々に水を供給することができると考えています。これには問題が一つあります。それぞれの氷山の約半分は目的地にたどり着く前に海で解けてしまうということです。

帯水層を利用する。帯水層とは,地中深くにある,地下水を含む岩盤のことです。からからに乾燥した砂漠においてさえ,こうした帯水層から水を汲み上げることができます。しかし,この水を取り出すにはかなりの費用がかかり,地下水面を下げることにもなります。もう一つの不都合な点は,ほとんどの帯水層の水量はゆっくりとしか回復しないということです。中には,元の状態に戻らないものもあります。

[5ページの図版]

水を手に入れるのに一日4時間もかかることがある

[8ページの図版]

毎年,約4,500億立方㍍もの汚水が川に流れ込む

[クレジット]

写真: Mora, Godo-Foto

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