世界展望
テレビを見ない家族
ほとんどの生徒がテレビを見ていないある学校の教師たちは,長時間テレビを見ている子供は少数だが容易に見分けがつくと主張している。「もし幼稚園児がスーパーヒーローのまねをし,殺したり,切り刻んだり,傷つけたりするふりをしているなら,それは間違えようのない証拠である」と,ある専門家は説明している。ウォールストリート・ジャーナル紙の伝えるところによると,テレビを見るのをやめた人たちは益を受けている。ある17歳の少女の話によれば,「それ以前は,言ってみれば,私たちが父と顔を合わせるのは父が仕事に出かける前の時間ぐらいでした。父は帰宅すると私たちと一緒にテレビを見て,それから私たちは,『お父さん,おやすみなさい』と言うだけの生活でした。でも今は,いつでも話ができ,本当に親密です」。彼女はこう付け加えている。「私が家庭を持った時には,テレビは置かないつもりです」。
中毒の問題
ボンにあるドイツ中毒対策センターによると,ドイツでは500万余りの人が何らかの中毒にかかっている。このうち140万人は薬物中毒であり,約12万人はヘロイン中毒である。10万人余りはギャンブル中毒にかかっている。断然,最も多いのはアルコール中毒者のグループである,と南ドイツ新聞は報じ,「ドイツ人は飲酒の世界チャンピオンだ」と付け加えている。ドイツのアルコール消費量が1950年以来3倍に増えただけでなく,センターがさらに推定しているように,アルコール飲料の乱用のために治療を必要としている人が約250万人いるのである。
サウナの国
「フィンランドの人々は世界一のサウナ愛好者である」と,スオメン・シルタ誌は言う。フィンランドの大半の人々は,くつろぐため,また体を洗うために,週に一度はこの蒸し風呂に入る。室温平均は摂氏82ないし99度である。フィンランド人はサウナに入った直後に冷たいシャワーを浴びるか湖に飛び込むのを習慣としている。スオメン・シルタ誌によると,フィンランドにはおよそ160万のサウナがあるとされている。人口は500万をわずかに上回る程度だから,この北欧の国には大体3人に一つのサウナがあることになる。
食物による窒息
食物片で窒息しかけている人を助けるために背中をたたくことは,最も効果的な方法とは言えない。「バークレー・ウェルネス・レター」によると,ハイムリック操作とも呼ばれる方法を試してみるほうがよい。その会報は,続けてその手順を述べている。「窒息しかけている人の後ろに立ち,当人の腰の上部に腕を回す。胸骨とへその間にこぶしを置き,親指を腹部にあてがう。他方の手でこぶしを押さえ,素早く,強く,内側上方に押す。食物や異物を吐き出すまでこれを続ける。この方法を1歳未満の子供に行なってはならない。そのような幼児が物をのどに詰まらせた場合には別の緊急処置が必要になる」。このハイムリック法は医療専門家による救急処置法や心肺蘇生術の授業で学ぶことができる。同「ウェルネス・レター」の述べるところによると,「米国では上気道閉塞により,毎年3,000から4,000人の死者が出ている」。
しぶとい犬
昨年ニューヨーク市で,犬にかまれたという事件が1万753件報告されたと,デイリー・ニューズ紙は述べている。平均すると大体,週に一度,銃の使用に至った警察対犬の対決があった。犬の中には,弾丸を6発浴びてもなお警察官に向かって来るものもいたと言う。何人かの警察官はかまれ,他の幾人かは「しぶといアメリカン・スタッフォードシャー・テリアと戦っている間に流れ弾で負傷した」と,新聞は報じている。警察署の職員たちは今,どう猛な犬に対して銃が使用される時,それたり跳ね返ったりする弾が人間にもたらす危険を懸念している。警察官は,犬に関係する危険な状況に直面した場合,呼吸器系に影響を与えるこしょうのスプレーのような致死的でない手段を用いるよう勧められている。
危険なバッテリー
「ユタ失明予防協会によれば,米国では毎年6,000人がバッテリーの発火によって目に角膜熱傷その他の傷害を負う」。スノー・カントリー誌の伝えるところによると,そうした事故の多くは運転者がジャンピング(別の車のバッテリーにつないでエンジンをかける)を行なおうとした時に起きている。バッテリーの火花が,空中に漂うガスに引火する場合があるのである。予防策として,その雑誌は,ジャンピングの際,「黒ケーブルはバッテリーの陰極端子につなぐよりもむしろ,露出しているボルトなど,塗装されていない金属につなぐべきだ。そうすれば,爆発を誘発しかねない電気放電の可能性は減少する」と述べている。加えて,ケーブルをもつれないようにし,「運転者はジャンピングの際,保護用眼鏡を着けるほうがよい」。
失われる筋肉
ダイエットは有害な場合がある。特に,皮下脂肪を落とそうとして筋肉組織も失う場合は有害である。保健関係のコラムニスト,ウェイン・ウェストコットの説明によると,「筋肉は我々が1日中行なう多くの事柄に極めて重要な働きをしており,筋肉を失うわけにはいかない」。ダイエットをしていない人でも,座っていることの多い生活を送っているなら,筋肉を失う危険にさらされている。典型的な座っていることの多い人は,10年ごとに平均2㌔の筋肉を失うと同時に,7㌔の脂肪をたくわえるとされている。ウェストコット博士はこう述べている。「浴室の体重計のうえでは,5㌔増加の問題(脂肪7㌔分から筋肉2㌔分が差し引かれた)と映るかもしれないが,実際は9㌔の問題(脂肪が7㌔増えたことに加えて,筋肉が2㌔減ったということ)なのである」。健康と体力を維持するために,エアロビクスと筋力トレーニングの両方を行なうよう強く勧められている。
輸血を拒否する権利
「患者には輸血を拒否する権利がある」。マイニチ・デーリー・ニューズ紙はこのような見出しを載せ,東京都立病産院倫理委員会の専門委員会による報告書について伝えている。著名な大学病院では既に同様の決定が下されているが,地方自治体のレベルではこれが初めてである。輸血をしなければ生命に危険が及ぶと医師たちが感じる時でも,無輸血管理を望む成人患者の意思を尊重するよう,同委員会の報告書は都立病院に勧めている。「意識を失って病院に運ばれた場合にも,本人が輸血を拒否する意思を証明する書類があれば,医師の判断でその意思を優先させる。高校生は,本人の意思を尊重する立場から,大人に準じた対応をする」と,毎日新聞は報じている。しかし,この報告書は依然として,中学生以下の未成年者の治療に関しては,両親ではなく医師たちに最終決定権があるとしている。
草花の威力
マダガスカル島の種々の植物は,その薬効のゆえに昔から地元住民によって貴ばれてきた。色々な草花から抽出されたエキスが,「発熱から湿疹や腫瘍に至るまで様々な病気」の治療に用いられてきた,と「アフリカ ― 環境と野生生物」という定期刊行物は報告している。美しいランでさえ有用である。例えば,ある種のラン(Angraecum eburneum)は,ウイルス性の感染と闘ったり,流産を予防したりするために使われている。最近,この島で白血病治療薬のもとになるものが明らかになった。薄紅色のニチニチソウ(Catharanthus roseus)である。しかし,人々はあとどれくらいの期間これらの草花から益を得られるだろうか。「競走は始まっている」と,その報告は嘆いている。なぜなら,「数えきれない未発見の品種が,伐採や農業や採鉱といった商業上の営みのために,毎日失われている」からである。
インドのたばこ使用者
「政府の発表した数字によると,インドでは15歳以上の男性1億4,200万人および女性7,200万人がたばこの常用者である」と,ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌は述べている。「極貧の人々は空腹を紛らすためにたばこをかむ」と,その報告は付け加えている。インドにとってたばこは経済的に極めて重要な産物である。インドは中国と米国に次ぐ世界第3の生産国であり,何千何万という人々がその関係の仕事に就いているのである。しかし,口腔ガンや,咽頭,喉頭,食道,肺などのガンになる人が多く,ICMR(インド医学研究協議会)はその点を懸念している。同ジャーナル誌が伝えているとおり,ICMRの主張によれば,「たばこの使用に関連した病気に苦しむ患者を治療する費用は,たばこ産業からの歳入を上回るよう定められている」。医師たちや幾つかの民間の団体は,たばこの使用に伴う健康上の危険を指摘する,一般大衆の意識高揚運動や,たばこの栽培を段階的に減らして代わりになる作物の栽培に切り替えてゆくことを勧めている。
ごみで造った建物
中国で,ごみを処理するユニークな方法が考え出された。北京<ペキン>環境衛生研究所は最近,ごみと粘土を混ぜ合わせてれんがを作る方法を開発した。チャイナ・トゥデー誌はその完成品を,建設業に使える「高品質のれんが」と描写している。あるれんが工場は「4万6,884㌧のごみを消費し」,ほんの数か月で約5,400万個のれんがを製造した。摂氏1,000度から2,000度の温度で焼くので,そのれんがは「普通のれんがと同様,何ら非衛生的なところはない」と言われている。