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エジプト,エジプト人聖書に対する洞察,第1巻
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ヘブライ語のミツライムという語は,いつも決まってエジプト全土を指して使われていますが,多くの学者は,この語が下エジプトと,恐らく中エジプトを表わしており,上エジプトは「パトロス」と呼ばれている場合もあると考えています。イザヤ 11章11節は,「エジプト[ミツライム],パトロス,クシュ」に言及していますが,これはアッシリアの王エサル・ハドンの碑文に同じように列挙されている地理上の場所と類似しています。同王は自分の帝国内の場所として「ムツル,パトリシ,およびクース」の地域を挙げています。―「古代近東テキスト」,J・プリッチャード編,1974年,290ページ。
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エジプト,エジプト人聖書に対する洞察,第1巻
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「上エジプト」の地域はメンフィスの南から始まり,渓谷をずっと上って,アスワン(古代のシエネ)にあるナイルの第一急流にまで及んでおり,その距離はおよそ960㌔あります。しかし,この地域の北部を「中部エジプト」と呼ぶほうがもっと理にかなっていると考える学者も少なくありません。この地域全体(中および上エジプト)の平たんなナイル渓谷は幅が20㌔を超えることはほとんどなく,渓谷の両側の縁は石灰岩や砂岩の断がいになっており,それらの断がいは砂漠そのものの端ともなっています。
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