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元素は偶然に生じたのか目ざめよ! 2000 | 10月8日
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元素は偶然に生じたのか
「最も遠くの星も含め,宇宙のあらゆる物体は,原子でできている」と,「星と原子の百科事典」(The Encyclopedia of Stars & Atoms)は説明しています。個々の原子はあまりに小さいので目で見ることはできませんが,それがぎっしりと集まると,一般に元素として知られているものになります。元素には,通常目に見える固体になっているものもあれば,見えない気体になっているものもあります。こうした化学元素すべての存在を,偶然に生じたものと説明できるでしょうか。
1番から92番の元素
水素は,すべての原子の中で最も単純な原子ですが,太陽のような星の燃料となっており,生命のためにも不可欠です。水素原子には,その原子核に陽子が一つあり,原子核の周りを一つの電子が回っています。炭素,酸素,金,水銀といった元素も,多くの陽子と中性子から成る原子核の周りを幾つもの電子が回っている原子から成り立っています。
今から450年ほど前,化学元素は12種類しか知られていませんでした。さらに元素が見つかるにつれて,科学者たちは,それら元素に自然な配列があることに気づきました。そして,元素を縦横の表に並べてみると,類似の特徴を持つ元素が縦の列に並ぶことを発見したのです。しかし,その表には空白部分があり,未知の元素があることを示していました。そのことから,ロシアの科学者ドミトリー・メンデレーエフは,原子番号32の元素,ゲルマニウムが存在すること,その色,重さ,密度,融点などを予言しました。1995年の科学の教本「化学」(英語)は,メンデレーエフの挙げた,「欠けた他の元素 ― ガリウムとスカンジウム ― に関する予言もいたって正確なものだった」と述べています。
その後の科学者たちも,未知の元素の存在とその幾つかの特徴について予言しました。そして最終的には,欠けていたすべての元素が発見されました。表から空白部分がまったく無くなったのです。元素の自然な配列は,原子核の中にある陽子の数に基づいており,1番目の元素である水素から始まって,地球上に通常天然に存在している最後の元素である,92番のウランまで続いています。これはたまたまそうなったのでしょうか。
加えて,化学元素の豊かな多様性についても考えてください。金と水銀は,どちらも独特な光沢のある元素です。一方は通常固体,他方は液体です。それでも,79番および80番目の元素として,この二つは隣り合っています。金の原子には電子が79個,陽子が79個,中性子が118個あります。水銀の原子には,電子と陽子が金よりも一つ多くあり,中性子はほぼ同じ数だけあります。
原子内の粒子の配列がわずかに変わるだけで,それぞれの元素のこれほど多様な変化が出るというのは,単なる偶然でしょうか。
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元素は偶然に生じたのか目ざめよ! 2000 | 10月8日
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[6,7ページの図表/図]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
科学者たちはこの号の発行時点で,93番の元素,およびそれより重い,118番までの元素を作り出した。これらの元素も予測どおり,周期表のパターンと一致する。
[クレジット]
Source: Los Alamos National Laboratory
元素名 元素記号 原子番号(陽子の数)
水素 H 1
ヘリウム He 2
リチウム Li 3
ベリリウム Be 4
ホウ素 B 5
炭素 C 6
窒素 N 7
酸素 O 8
フッ素 F 9
ネオン Ne 10
ナトリウム Na 11
マグネシウム Mg 12
アルミニウム Al 13
ケイ素 Si 14
リン P 15
硫黄 S 16
塩素 Cl 17
アルゴン Ar 18
カリウム K 19
カルシウム Ca 20
スカンジウム Sc 21
チタン Ti 22
バナジウム V 23
クロム Cr 24
マンガン Mn 25
鉄 Fe 26
コバルト Co 27
ニッケル Ni 28
銅 Cu 29
亜鉛 Zn 30
ガリウム Ga 31
ゲルマニウム Ge 32
ヒ素 As 33
セレン Se 34
臭素 Br 35
クリプトン Kr 36
ルビジウム Rb 37
ストロンチウム Sr 38
イットリウム Y 39
ジルコニウム Zr 40
ニオブ Nb 41
モリブデン Mo 42
テクネチウム Tc 43
ルテニウム Ru 44
ロジウム Rh 45
パラジウム Pd 46
銀 Ag 47
カドミウム Cd 48
インジウム In 49
スズ Sn 50
アンチモン Sb 51
テルル Te 52
ヨウ素 I 53
キセノン Xe 54
セシウム Cs 55
バリウム Ba 56
ランタン La 57
セリウム Ce 58
プラセオジム Pr 59
ネオジム Nd 60
プロメチウム Pm 61
サマリウム Sm 62
ユウロピウム Eu 63
ガドリニウム Gd 64
テルビウム Tb 65
ジスプロシウム Dy 66
ホルミウム Ho 67
エルビウム Er 68
ツリウム Tm 69
イッテルビウム Yb 70
ルテチウム Lu 71
ハフニウム Hf 72
タンタル Ta 73
タングステン W 74
レニウム Re 75
オスミウム Os 76
イリジウム Ir 77
白金 Pt 78
金 Au 79
水銀 Hg 80
タリウム Tl 81
鉛 Pb 82
ビスマス Bi 83
ポロニウム Po 84
アスタチン At 85
ラドン Rn 86
フランシウム Fr 87
ラジウム Ra 88
アクチニウム Ac 89
トリウム Th 90
プロトアクチニウム Pa 91
ウラン U 92
ネプツニウム Np 93
プルトニウム Pu 94
アメリシウム Am 95
キュリウム Cm 96
バークリウム Bk 97
カリホルニウム Cf 98
アインスタイニウム Es 99
フェルミウム Fm 100
メンデレビウム Md 101
ノーベリウム No 102
ローレンシウム Lr 103
ラザフォージウム Rf 104
ドブニウム Db 105
シーボーギウム Sg 106
ボーリウム Bh 107
ハッシウム Hs 108
マイトネリウム Mt 109
110
111
112
114
116
118
[図]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
周期表に並ぶ元素のあいだには秩序と調和がある。単なる偶然だろうか,それとも理知的な設計によるものだろうか
ヘリウム原子
電子
陽子
中性子
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