目撃証人で,この記述の主要な人物でもあるモルデカイが恐らくこの書の筆者であることは,まず間違いないでしょう。個人的な体験に基づくその詳細な記述は,筆者がシュシャンの王宮でそれらの出来事を実際に経験したに違いないことを示しています。 モルデカイのことは聖書中のほかのどの書にも指摘されてはいませんが,彼が歴史上実在した人物であったことは疑問の余地がありません。興味深いことに,年代の分からないある楔形文書が発見され,ドイツのA・ウングナドの説明によれば,その文書はクセルクセス1世の治世中のスサ(シュシャン)の宮廷の一高官であるマルドゥカ(モルデカイ?)のことに言及しています。