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  • 「ゴグよ,私はあなたに敵対している」
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • 兵士たちが武器を持ったり装甲車に乗ったりして,エホバの民を攻撃しようとしている。

      第17章

      「ゴグよ,私はあなたに敵対している」

      エゼキエル 38:3

      ポイント: 「ゴグ」と,ゴグが攻め込む「土地」は,何を表しているか

      1,2. どんな大規模な戦争がまさに起きようとしていますか。その戦争についてどんな疑問が生じますか。(冒頭の挿絵を参照。)

      地球は何千年にもわたり,人間の戦争により流された血で染まってきました。とりわけ20世紀に行われた2つの世界大戦では,大量の血が流されました。しかし,人類史上最も大規模な戦争がまさに起きようとしています。その戦争は,単なる人間同士の争いではありません。地上の国々が身勝手な理由で戦うわけではないのです。それは「全能の神の大いなる日の戦争」です。(啓 16:14)ある傲慢な敵がその戦争を引き起こし,神にとって大切な土地に攻め込みます。そのため地上の人々は,主権者である主エホバが破壊をもたらす力をかつてない規模で振るうのを目の当たりにすることになります。

      2 幾つかの重要な疑問が生じます。この敵とは誰でしょうか。どんな土地に攻め込みますか。いつ,なぜ,どのように攻め込むのでしょうか。この将来の出来事は,地上でエホバへの清い崇拝を行う私たちに関係があるので,答えを知る必要があります。答えは,エゼキエル 38章と39章に記されている興味深い預言にあります。

      敵はマゴグのゴグ

      3. マゴグのゴグに関するエゼキエルの預言はどのような内容ですか。

      3 エゼキエル 38:1,2,8,18; 39:4,11を読む。この預言を要約してみましょう。「最後の年月」に,「マゴグの……ゴグ」という敵が神の民の「土地」に攻め込みます。その卑劣な攻撃に対してエホバは「非常に激しい怒り」を燃え上がらせ,介入してゴグを打ち負かします。a エホバは勝利した後,敗北した敵とその仲間全てを「あらゆる肉食の鳥と野獣に食べさせ」ます。最後に,エホバはゴグに「墓地」を与えます。この預言が近い将来どのように実現するかを理解するために,まずゴグの正体を知る必要があります。

      4. マゴグのゴグは何を表していますか。

      4 マゴグのゴグとは誰のことでしょうか。エゼキエルが記した内容から,清い崇拝を行う人たちの敵だと分かります。ではゴグとは,正しい崇拝の最大の敵であるサタンを表す預言的な名でしょうか。長年にわたり,エホバの証人の出版物の中でそのように論じられていました。しかし,エゼキエルの預言をさらに検討した結果,理解が調整されました。「ものみの塔」誌で説明された通り,マゴグのゴグという称号は,人間の目に見えない邪悪な天使ではなく,目に見える敵を指します。それは,清い崇拝を攻撃する,諸国家の連合体です。b そう言える根拠を振り返る前に,ゴグが邪悪な天使ではないことを示す2つのヒントをエゼキエルの預言から調べましょう。

      5,6. エゼキエルの預言のどんな点は,マゴグのゴグが天使ではないことを示唆していますか。

      5 「私はあなたをあらゆる肉食の鳥……に食べさせる」。(エゼ 39:4)聖書ではよく,神による処罰の警告として,肉食の鳥が死体を食べるという描写が使われます。神はイスラエル国民や他の国々にそのような警告を与えました。(申 28:26。エレ 7:33。エゼ 29:3,5)注目したいのは,そうした警告は天使にではなく,肉体を持つ人間に与えられた,ということです。当然ながら,肉食の鳥や野獣は肉を食べるのであり,肉体を持たない存在を食べることはできません。ですから,エゼキエルの預言に含まれる警告は,ゴグが天使ではないことを示唆しています。

      6 「私はゴグに墓地を与える。それはイスラエルの中……にあ[る]」。(エゼ 39:11)聖書によると,天使が地上のどこかに葬られるということはありません。サタンと邪悪な天使たちは底知れぬ深みに1000年間入れられた後,永遠の滅びの象徴である火の湖に投げ込まれます。(ルカ 8:31。啓 20:1-3,10)ゴグは地上の「墓地」を与えられるので,天使ではないと言えます。

      7,8. マゴグのゴグと「北の王」はどちらも,どのような結末を迎えますか。

      7 清い崇拝を行う人たちに最終的な攻撃を仕掛ける敵,マゴグのゴグが,天使ではないことが分かりました。では,諸国家の連合体だと言える根拠は何でしょうか。2つの聖書預言から考えてみましょう。

      8 「北の王」。(ダニエル 11:40-45を読む。)ダニエルは幾つかの預言の中で,自分の時代から現代に至るまでどんな世界強国が現れるかを予告しました。そうした預言の1つに,政治上の敵として張り合う「南の王」と「北の王」が出てきます。人類史においてさまざまな国や勢力が覇権を争う中で,この2人の王の実体は変化してきました。「終わりの時」に北の王が最終的にどういう行動を取るかについて,ダニエル書にはこうあります。「彼は……激怒して出陣します。破壊し,多くの者を滅ぼし尽くすためです」。北の王の主な標的は,エホバを崇拝する人たちです。c しかし,マゴグのゴグと同じように北の王も,神の民に対する攻撃が失敗した後に「終わりを迎えます」。

      9. 「全世界の王たち」に起きることは,マゴグのゴグの結末とどのように似ていますか。

      9 「全世界の王たち」。(啓示 16:14,16; 17:14; 19:19,20を読む。)「啓示」の書は,「地上の王たち」が天にいる「王の中の王」であるイエスを攻撃することを予告しています。もちろん天に攻め込むことはできないので,その王たちは天の王国を地上で支持している人たちを攻撃します。しかしその後,ハルマゲドンの戦いで敗北することになります。エホバの民を攻撃した後に終わりを迎えるのです。やはりマゴグのゴグの結末と似ています。d

      10. マゴグのゴグの正体についてどんな結論を引き出せますか。

      10 こうした点を踏まえると,ゴグの正体についてどんな結論を引き出せるでしょうか。第一に,ゴグは天使ではありません。第二に,ゴグは近い将来に神の民を攻撃する地上の国々を指しています。その国々は何らかの形で結託し,連合体を形成するに違いありません。なぜでしょうか。神の民は世界中にいるので,攻撃するには共通の目的意識を持ち,一致した行動を取る必要があるからです。(マタ 24:9)もちろん,攻撃の黒幕はサタンです。サタンは長い年月にわたって世界の国々に影響を及ぼし,正しい崇拝に反対させてきました。(ヨハ一 5:19。啓 12:17)とはいえ,マゴグのゴグに関するエゼキエルの預言は,エホバの民を攻撃する地上の国々の役割に焦点を当てています。e

      「土地」とは何か

      11. エゼキエルの預言には,ゴグが攻め込む「土地」についてどんなことが述べられていますか。

      11 3節で考えたように,マゴグのゴグはエホバにとって大切な土地に攻め込み,エホバの非常に激しい怒りを引き起こします。その土地とは何でしょうか。エゼキエルの預言に再び注目しましょう。(エゼキエル 38:8-12を読む。)預言によるとゴグは,「国々から再び集められた人々」,「連れ戻された人々がいる土地に攻め込」みます。その土地に住み,回復された崇拝を行う人々については何と述べられているでしょうか。彼らは「安心して住んで」おり,「城壁やかんぬきや門に守られていない」居住地にいて,「財産を蓄えて」います。そこにいるのは,エホバへの清い崇拝を行う世界中の人たちです。一体どんな土地でしょうか。

      12. 古代にイスラエルの土地でどんな回復が生じましたか。

      12 答えを知る上で,古代イスラエルで生じた回復について考えることは役立ちます。そのイスラエルの土地では幾世紀にもわたり,神に選ばれた民が暮らし,働き,崇拝を行っていました。イスラエル人が不忠実になった時,エホバはエゼキエルを通して,彼らの土地が荒廃させられることを予告しました。(エゼ 33:27-29)しかしエホバは,悔い改めた人たちが後にバビロン捕囚から帰還し,その土地で清い崇拝を回復させることも預言しました。エホバの祝福により,イスラエルの土地はすっかり変わり,「エデンの園のように」豊かになるのです。(エゼ 36:34-36)その回復は紀元前537年に始まり,その年に,捕囚にされていたユダヤ人は愛する故国で清い崇拝を回復させるためにエルサレムに帰還しました。

      13,14. (ア)神の崇拝者たちが導き入れられた比喩的な土地とは何ですか。(イ)その土地がエホバにとって大切なのはなぜですか。

      13 現代においても,神への清い崇拝を行う人たちは,同じような回復を経験しました。この本の第9章で学んだように,神の民は長年にわたり大いなるバビロンに捕らわれた状態にありましたが,1919年までに解放されました。その年にエホバは,解放された崇拝者たちを比喩的な土地に導き入れました。その土地とは,比喩的なパラダイスのことです。すなわち,真の神を崇拝することができる,安全で神から豊かに恵まれた環境もしくは状態です。その土地で私たちは一緒に安心して暮らすことができます。(格 1:33)神からの教えという食物を豊富に得て,神の王国について伝えるという有意義な仕事をたくさん行えます。「エホバの祝福が人を富ませる。それに痛みは伴わない」という格言がまさに真実であることを実感します。(格 10:22)私たちは地球上のどこに住んでいても,言動によって清い崇拝を活発に支持している限り,この土地つまり比喩的なパラダイスにいると言えます。

      14 この比喩的な土地はエホバにとって大切です。なぜでしょうか。そこに住んでいる人たちは,エホバご自身が清い崇拝に引き寄せた,「あらゆる国の貴重なもの」だからです。(ハガ 2:7。ヨハ 6:44)その人たちは,神の高尚な性質を反映した新しい人格を身に着けようと真剣に努力しています。(エフェ 4:23,24; 5:1,2)清い崇拝を行う者として,神への奉仕に自分を余すところなく差し出し,神をたたえて神への愛を実証します。(ロマ 12:1,2。ヨハ一 5:3)エホバは,ご自分の崇拝者たちが比喩的な土地を美しくするために一生懸命働いているのを見て,心が喜びで満たされるに違いありません。そうです,私たちは生活の中で清い崇拝を優先することにより,比喩的なパラダイスを美しくするだけでなく,エホバの心を喜ばせることができるのです。(格 27:11)

      エホバを崇拝している人たち。1. 王国会館で兄弟姉妹たちが楽しく会話している。2. 兄弟姉妹たちが王国会館のメンテナンスを手伝っている。3. 刑務所に入れられた兄弟が祈っている。4. 夫婦が,重い病気で入院している姉妹を見舞っている。

      私たちはどこに住んでいても,清い崇拝を活発に支持している限り,比喩的なパラダイスにいると言える。(13,14節を参照)

      ゴグはその土地にいつ,なぜ,どのように攻め込むのか

      15,16. マゴグのゴグは,回復された比喩的な土地にいつ攻め込みますか。

      15 間もなく地上の国々の連合体が私たちの大切な土地に攻め込むことを思うと,身が引き締まります。予告されている攻撃は,エホバへの清い崇拝を行う私たちに対するものなので,それがいつ,なぜ,どのように生じるのかを知りたくなります。その3つの点について考えましょう。

      16 マゴグのゴグは,回復された比喩的な土地にいつ攻め込むのか。預言はこう答えています。「あなたは最後の年月に……土地に攻め込む」。(エゼ 38:8)ゴグが攻め込むのはこの体制の終わりが近い時である,ということが示唆されています。覚えておきたいこととして,大患難は世界中の間違った宗教全体を表す大いなるバビロンの滅びをもって始まります。間違った宗教組織が滅ぼされた後,ハルマゲドンが始まる前に,ゴグは正しい崇拝を行う人たちに対して最後の総攻撃を仕掛けます。

      17,18. エホバは大患難の際にどのように物事を導きますか。

      17 エホバへの清い崇拝を行う人たちの土地にゴグが攻め込むのはなぜか。エゼキエルの預言は2つの理由を明らかにしています。(1)エホバの導きと,(2)ゴグの邪悪な動機です。

      18 エホバの導き。(エゼキエル 38:4,16を読む。)エホバはゴグに対し,「あなたの顎にかぎを引っ掛けて」,「私の土地をあなたに攻めさせる」と言います。これは,エホバが国々に,ご自分の崇拝者たちを無理やり攻撃させるということでしょうか。もちろんそうではありません。エホバがご自分の民に悪い事柄が降り掛かるようにすることは決してありません。(ヨブ 34:12)しかしエホバは,敵たちが清い崇拝を行う人々を憎み,その人たちを一掃する機会に飛び付く,ということを知っています。(ヨハ一 3:13)ですから,あたかもゴグの顎にかぎを引っ掛けて引っ張るかのように物事を導き,ご自分の意志や予定の通りに事態が進展するようにします。大いなるバビロンが滅ぼされた後のある時点で,エホバは国々がすでに心に決めていることを実行に移すよう,何らかの方法で仕向けると考えられます。そのようにして国々による攻撃のお膳立てをし,それがきっかけで人類史上最大の戦争であるハルマゲドンが起こるのです。それから,ご自分の民を救い,ご自分の主権を至上のものとして示し,ご自分の聖なる名を神聖なものとします。(エゼ 38:23)

      国々は清い崇拝とそれを行う人たち全てを憎み,清い崇拝を私たちから奪おうとする。

      19. ゴグはどんな動機で,清い崇拝を私たちから奪おうとしますか。

      19 ゴグの邪悪な動機。国々は「邪悪な計画を立て」ます。エホバを崇拝する人たちに対し,積もり積もった怒りや憎しみをぶつけようとします。エホバの民は,「城壁やかんぬきや門に守られていない居住地に住んでいる」かのように無防備に見えます。国々はまた,「財産を蓄えて」いるその民から「多くの戦利品や略奪品を手に入れようとし」ます。(エゼ 38:10-12)「財産」とは何でしょうか。エホバの民である私たちは,神から比喩的な財産をたくさん与えられています。最も貴重なものは,エホバに対してのみ行う清い崇拝です。国々は清い崇拝を私たちから奪おうとします。その価値を認めるからではなく,清い崇拝とそれを行う人たち全てを憎むからです。

      世界の指導者や軍当局者たちが集まって,清い崇拝を除き去ろうと画策している。エホバの証人の出版物を見たり,電話で話したり,エホバの証人の活動を監視したりしている。

      ゴグは清い崇拝を根絶しようとして「邪悪な計画を立てる」が,無駄に終わる。(19節を参照)

      20. ゴグは土地つまり比喩的なパラダイスにどのように攻め込みますか。

      20 ゴグは土地つまり比喩的なパラダイスにどのように攻め込むか。国々は,私たちがクリスチャンとして生きるのを妨害し,崇拝をやめさせようとするでしょう。その目的で,神からの教えという食物を得られないようにしたり,集会を禁止したり,私たちの一致を乱そうとしたり,神からのメッセージを伝えるのをやめさせようとしたりすることが考えられます。神からの教え,集会,一致,伝道はどれも,比喩的なパラダイスに欠かせないからです。サタンに唆された国々は,清い崇拝とそれを行う人たちを地上から根絶しようとします。

      21. 間もなく生じる事柄についてエホバが警告してくださっていることに感謝できるのはなぜですか。

      21 マゴグのゴグによる将来の攻撃は,神から与えられた比喩的な土地で正しい崇拝を行う人たち全てに影響を及ぼします。間もなく生じる事柄についてエホバが私たちに警告してくださっていることに,本当に感謝できます。大患難が来るまでの間,清い崇拝を支持し,生活の中で優先することを決意しましょう。そうすることにより,回復された比喩的な土地の美しさに貢献できます。そして,近い将来に起きる驚異的な出来事を目撃することになるでしょう。ハルマゲドンでエホバがご自分の民とご自分の聖なる名のために行動を起こすのを見ることができるのです。その点は次の章で取り上げます。

      a マゴグのゴグに対するエホバの激しい怒りがいつ,どのように燃え上がるか,また,清い崇拝を行う人たちがどうなるかは,この本の次の章で取り上げます。

      b 「ものみの塔」2015年5月15日号29-30ページ「読者からの質問」を参照。

      c 北の王が神の民を攻撃することは,ダニエル 11章45節から分かります。そこには,北の王は「自分の壮麗な天幕を,大きな海[地中海]と『美しい地』の聖なる山[かつて神の神殿があり,神の民が崇拝を行っていた場所]との間に張」る,とあるからです。

      d 聖書には,現代の「アッシリア人」が神の民を攻撃して滅ぼそうとすることも述べられています。(ミカ 5:5)マゴグのゴグ,北の王,地上の王たち,またアッシリア人が神の民を攻撃すると予告されているのです。4つの異なる言い方で,同じ攻撃を表現しているのかもしれません。

      e 啓示 20章7-9節に出てくる「ゴグとマゴグ」が何を表しているかについては,この本の第22章で取り上げています。

  • 「私の非常に激しい怒りが燃え上がる」
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • 家族が自宅で一緒に聖書を読んでいる。1人の兄弟が窓の外を見張っている。

      第18章

      「私の非常に激しい怒りが燃え上がる」

      エゼキエル 38:18

      ポイント: ゴグの攻撃がエホバの怒りを引き起こし,エホバはハルマゲドンの戦争の際にご自分の民を守る

      1-3. (ア)エホバの「非常に激しい怒り」によってどんなことが起きますか。(冒頭の挿絵を参照。)(イ)これからどんなことを考えますか。

      男性も女性も子供たちも,一緒に立って王国の歌を歌います。それから長老が心を込めてエホバに祈り,守ってくださいと懇願します。会衆の人たちはエホバが助けてくださると確信していますが,それでも慰めや励ましを必要としています。外では激しい戦闘の音が鳴り響いています。ハルマゲドンが始まったのです。(啓 16:14,16)

      2 ハルマゲドンの戦争の際に,エホバは感情を交えずに淡々と人々を処刑するのではなく,「非常に激しい怒り」を抱いてそうします。(エゼキエル 38:18を読む。)爆発的な怒りを1つの軍隊や国家に向けるのではなく,地球全域にいる無数の人たちに浴びせます。その時,エホバに討たれた人たちが「地の果てから果てにまで横たわる」ことになります。(エレ 25:29,33)

      3 エホバは愛の神であり,「すぐに怒らず」,「憐れみ深く,思いやりがある」方です。では,そのような方が「非常に激しい怒り」を燃え上がらせて人々を処刑するのは一体どうしてでしょうか。(出 34:6。ヨハ一 4:16)その答えを知ると,大いに元気づけられ,勇気に満たされ,伝道したくなるでしょう。

      何がエホバの「非常に激しい怒り」を引き起こすのか

      4,5. 神の怒りは不完全な人間の怒りとどのように違いますか。

      4 まず理解しておく必要があるのは,エホバの怒りは不完全な人間の怒りとは違うということです。人が激しい怒りに任せて行動すると,たいてい収拾がつかなくなり,良い結果になることはまずありません。例えば,アダムの長男だったカインは,弟アベルの供え物がエホバに受け入れられたのに自分の犠牲は退けられたので,「激しく怒り」ました。その結果どうなったでしょうか。カインは正しい人だったアベルを殺してしまいました。(創 4:3-8。ヘブ 11:4)エホバの心にかなう人と言われたダビデについても考えてみてください。(使徒 13:22)ダビデは善い人でしたが,自分や部下たちが裕福な地主ナバルから侮辱されたと聞いた時,ひどい罪を犯しそうになりました。激怒したダビデと部下たちは「剣を身に着け」,恩知らずのナバルだけでなくその家の男性全てを殺そうと出掛けていきました。幸いにも,ナバルの妻アビガイルに説得されて,復讐を思いとどまりました。(サム一 25:9-14,32,33)エホバが聖なる力によりヤコブを導いて次のように書かせたのも,もっともなことです。「怒りの気持ちからは,神が求める正しさは生まれません」。(ヤコ 1:20)

      エホバの怒りは常に制御されていて,根拠もはっきりしている。

      5 理不尽に表されることが多い人間の怒りとは対照的に,エホバの怒りは常に制御されていて,根拠もはっきりしています。エホバは非常に激しい怒りを抱いても,必ず正しい行動を取ります。敵と戦う時に,「邪悪な人と一緒に正しい人も」滅ぼすことは決してありません。(創 18:22-25)さらに,エホバが怒りを抱くのは,正当な理由がある時だけです。2つの理由を調べて,何を学べるか考えましょう。

      6. エホバはご自分の名が汚される時,どうしますか。

      6 理由: エホバの名が汚される。エホバに仕えていると言いながら悪いことを行う人は,エホバの名誉を傷つけ,当然ながらエホバの怒りを買います。(エゼ 36:23)この本ですでに取り上げたように,イスラエル国民はエホバの名に大きな非難をもたらしました。彼らの態度や行動がエホバを怒らせたのも当然です。しかし,エホバは怒りでわれを忘れることはありませんでした。ご自分の民に適度な処罰を与え,度を越すことはありませんでした。(エレ 30:11)そして,処罰を終えた後は,憤りを抱き続けたりしませんでした。(詩 103:9)

      7,8. エホバがどのようにイスラエル人を扱ったかに関する記録から何を学べますか。

      7 学べること: エホバがどのようにイスラエル人を扱ったかに関する記録は,私たちにとって身の引き締まる警告となります。古代イスラエル人と同じく,私たちは光栄なことにエホバの名を負っています。エホバの証人なのです。(イザ 43:10)私たちの言動は,エホバの評判に直接影響します。恥知らずにも間違ったことを行い続け,エホバの名に非難をもたらすということなど,決してしたくはありません。そうした偽善的な生き方は必ずエホバの怒りを招きます。遅かれ早かれ,エホバはご自分の名誉を守るために必ず行動します。(ヘブ 3:13,15。ペテ二 2:1,2)

      8 エホバが「非常に激しい怒り」を抱くことがあるからといって,エホバに近づくのをためらうべきでしょうか。そうではありません。エホバは辛抱強く,寛大に許してくださる方です。(イザ 55:7。ロマ 2:4)とはいえ,感傷的になって処罰を控えることはありません。かたくなに罪深い生き方を続ける人に対しては怒りを燃やし,ご自分の民の中にとどまることを許しません。私たちはそのことを理解し,エホバへの畏れを抱きます。(コリ一 5:11-13)エホバは,どういう理由で怒りを抱くのかを,私たちにはっきり教えてくださっています。エホバの怒りを招く態度や行動を避けるかどうかは,私たち次第です。(ヨハ 3:36。ロマ 1:26-32。ヤコ 4:8)

      9,10. エホバはご自分の忠実な民が敵に脅かされる時,どうしますか。どんな例がありますか。

      9 理由: エホバの忠実な民が敵に脅かされる。保護を求めてエホバのもとに避難している忠実な人たちを敵が攻撃する時,エホバは怒りを抱きます。一例として,イスラエル人がエジプトを去った後,ファラオが強大な軍隊を率いて追い掛け,紅海の岸辺にいて無力に見える民に襲い掛かろうとしました。しかし,その強力な軍勢がイスラエル人を追って乾いた海底を渡り始めると,エホバは戦車の車輪を外し,エジプト人を海の中に払い落としました。「誰一人生き残」りませんでした。(出 14:25-28)エホバはご自分の民への「揺るぎない愛」ゆえに,エジプト人に対して怒りを燃やしたのです。(出エジプト 15:9-13を読む。)

      剣を持った天使

      ヒゼキヤの時代に1人の天使が神の民をアッシリア軍から守ったように,天使たちが私たちを守る。(10,23節を参照)

      10 ヒゼキヤ王の時代にも,エホバはご自分の民への愛ゆえに行動しました。当時最も強力で残酷だったアッシリアの軍勢が,エルサレムに攻めてきました。エホバに忠実に仕えていた人たちは,包囲されて徐々に悲惨な死を迎えるしかないように思えました。(王二 18:27)しかし,エホバが遣わした,たった1人の天使が,わずか1晩のうちに敵兵18万5000人を殺しました。(王二 19:34,35)翌朝のアッシリアの陣営の様子を想像してみてください。やりや盾や剣は置かれたままで,兵士たちを起こすラッパの音も呼び集める声も聞こえません。不気味な静寂が辺りを覆い,天幕が立ち並ぶ陣営は死体で埋め尽くされています。

      11. 民が敵に脅かされる時にエホバがどのように行動するかを示す例から,元気や勇気をもらえます。なぜそう言えますか。

      11 学べること: 民が敵に脅かされる時にエホバがどのように行動するかを示すこれらの例は,私たちの敵にとって強烈な警告となります。「生きている神」が憤りを抱く時,その「手に掛かるのは恐ろしいことです」。(ヘブ 10:31)一方,私たちはこうした例から元気や勇気をもらえます。主要な敵であるサタンが成功しないことを知ると,元気づけられます。サタンが支配する「短い」時は間もなく終わるのです。(啓 12:12)それまでの間,勇気を抱いてエホバに仕えることができます。どんな人も組織も政府も私たちが神の望むことを行うのを阻止できない,と知っているからです。(詩編 118:6-9を読む。)使徒パウロが神に導かれて記した言葉に,私たちの確信が言い表されています。「もし神が私たちの味方であるなら,誰が私たちに敵対できるでしょうか」。(ロマ 8:31)

      12. 大患難の際に,エホバが激しい怒りを燃え上がらせるのはなぜですか。

      12 やがて来る大患難の際に,エホバは私たちを守るために行動してくださいます。かつてエジプト軍に追い詰められたイスラエル人や,アッシリア軍に包囲されたエルサレムのユダヤ人を守ったのと同じようにです。敵が私たちを滅ぼそうとする時,エホバが激しい怒りを燃え上がらせるのは,私たちを深く愛しているからです。愚かにも私たちを攻撃する人たちは,いわばエホバの瞳に触れることになります。エホバは速やかに断固たる行動を取ります。(ゼカ 2:8,9)結果として,前例のない規模で人々が殺されることになります。しかし,エホバが敵たちに怒りを浴びせる時,敵が驚くべき理由は何もありません。なぜでしょうか。

      エホバはどんな警告を与えてきたか

      エゼキエルがエホバからの警告を伝えている。

      囲み 18A: エホバは将来の大戦争について警告する

      13. エホバはどんな警告を与えてきましたか。

      13 エホバは「すぐに怒」ることはせず,ご自分の民を脅かす敵たちを滅ぼすという警告を十分に与えてきました。(出 34:6,7)エレミヤ,エゼキエル,ダニエル,キリスト・イエスといった預言者や,使徒のペテロとパウロとヨハネを用いて,最終的な大戦争について警告しました。(「エホバは将来の大戦争について警告する」という囲みを参照。)

      14,15. エホバはどんなことを行ってきましたか。なぜですか。

      14 エホバはそうした警告を聖書の中に記録させました。そして,聖書があらゆる本の中で最も多くの言語に翻訳され,最も広く頒布されるようにしました。また,世界中で奉仕者たちの大群が活動するようにしてきました。その奉仕者たちは,人々に神と良い関係を築く方法を教え,やがて来る「エホバの大いなる日」について警告しています。(ゼパ 1:14。詩 2:10-12; 110:3)エホバに導かれて意欲に燃えているので,聖書を学ぶための出版物を幾百もの言語に翻訳し,毎年数十億時間も費やして,聖書に記されている約束や警告を人々に伝えています。

      15 エホバがこうした仕事を行わせてきたのは,「一人も滅ぼされることなく,全ての人が悔い改めることを望んでいる」からです。(ペテ二 3:9)光栄なことに私たちは,愛情深く辛抱強い神の証人として,神からのメッセージを広める活動の一端を担っています。とはいえ,警告に注意を払わない人たちに残されている時間は尽きようとしています。

      エホバの怒りはいつ「燃え上がる」か

      16,17. エホバはご自分の民を敵がいつ攻撃するかを知っています。なぜですか。

      16 エホバは最終的な戦争の日を定めています。ご自分の民への攻撃がいつ行われるかをすでに知っています。(マタ 24:36)敵がいつ攻撃するか,なぜ分かるのでしょうか。

      17 この本の前の章で学んだように,エホバはゴグに,「あなたの顎にかぎを引っ掛け」ると言います。国々を決戦へといわば引いて行くのです。(エゼ 38:4)これは,エホバがご自分から攻撃を仕掛けるということではなく,敵の自由意志を奪って無理やり戦わせるということでもありません。エホバは人の心を読むことができ,敵が一連の状況に応じてどう行動するかが分かるのです。(詩 94:11。イザ 46:9,10。エレ 17:10)

      18. 人々が全能の神と戦うことになるのはなぜですか。

      18 エホバが争いを始めるわけではなく,敵に戦いを強制するわけでもないのであれば,なぜ単なる人間が全能の神と戦うことになるのでしょうか。1つの理由として,人々はその時までに,神は存在しないか,いても人間の物事に介入しない,と決め付けていると考えられます。地上の間違った宗教組織を一掃した後なので,そのように考えるのかもしれません。もし神がいるのなら,神のものだと主張する組織がむざむざ滅ぼされるのを放っておくわけがない,と結論するのでしょう。次の事実を理解していないからです。それらの宗教は神の名誉をひどく傷つけていたのであり,そうした宗教を滅ぼすという考えを人々の心に入れたのは,ほかでもない神ご自身なのです。(啓 17:16,17)

      19. 間違った宗教が滅ぼされた後,どんなことが起きると考えられますか。

      19 間違った宗教が滅ぼされた後,程なくしてエホバは,ご自分の民を使って痛烈なメッセージを伝えさせると考えられます。「啓示」の書の中で,重さ20㌔ほどのひょうに例えられているメッセージです。(啓 16:21)それはおそらく,政治体制や商業体制が終わりを迎えようとしているという宣告であり,人々はそれに悩まされて神を冒瀆します。このメッセージが伝えられることにより,国々は神の民を永久に沈黙させようと総攻撃を仕掛けるのかもしれません。私たちのことを,無防備で簡単に滅ぼせる相手だと考えるのです。それは大きな間違いです。

      エホバは激しい怒りをどのように表すか

      20,21. ゴグとは何でしたか。ゴグはどうなりますか。

      20 この本の第17章で取り上げたように,「マゴグの地のゴグ」という預言的な称号は,私たちを攻撃する諸国家の連合体を指しています。(エゼ 38:2)しかし,その連合体を構成する国々は,いわば細い糸で結ばれているにすぎません。表面的には協力しているように見えても,対抗心や誇りや愛国主義的な野心がくすぶっています。エホバにとって,各自の剣が「自分の兄弟に向けられる」ようにするのは簡単なことです。(エゼ 38:21)とはいえ,国々は人間によって滅びるのではありません。

      21 敵たちは滅ぼされる前に,人の子のしるしを見ます。おそらく,エホバとイエスの力の表れである超自然の現象を見るのでしょう。そして,見た事柄によって非常に動揺することになります。イエスが予告した通り,「人々は,世界を襲う事柄に対する恐れと予想から気を失います」。(ルカ 21:25-27)エホバの民を攻撃したのはひどい間違いだったことに気付き,恐ろしくなるのです。創造者である神,大軍を率いるエホバが,強大な軍司令官であることを彼らは思い知らされます。(詩 46:6-11。エゼ 38:23)エホバは天の軍勢や自然界の力を解き放って,ご自分に仕える忠実な人たちを守りながら敵を除き去るに違いありません。(ペテロ第二 2:9を読む。)

      大勢の警察官や兵士たちが町に入って捜索しているのを,イエスと天使たちが天から見ている。兄弟が2人のエホバの証人を家に入れている。

      エホバは,ご自分の民が敵に脅かされる時,天の軍勢を使って敵に怒りを浴びせる。(21節を参照)

      22,23. 神の民を守るのは誰ですか。自分たちの務めについてどう感じるに違いありませんか。

      エホバの日について知っている私たちは,何を行いたいと思うか。

      22 イエスは熱意を抱いて,天の軍勢を率いて神の敵を攻撃し,天の父を愛して仕える人たちを守ることでしょう。選ばれて天に行った人たちも深い感慨を覚えるに違いありません。神に選ばれた人たちのうち地上に残っている最後の人たちは,ハルマゲドンが始まる前のある時点で天での命に復活させられ,14万4000人全員がイエスと共に戦うことになります。(啓 17:12-14)天に行った人たちの多くは,終わりの時代にほかの羊と一緒に活動を行い,親しい友情関係を築いていたことでしょう。その人たちが天で権威と力を与えられ,自分たちを試練の間忠実に支えてくれた仲間をハルマゲドンの際に守るのです。(マタ 25:31-40)

      23 イエスが率いる天の軍勢には天使たちも含まれます。(テサ二 1:7。啓 19:14)天使たちはすでに,イエスがサタンと邪悪な天使たちを天から追放するのを手伝いました。(啓 12:7-9)また,エホバを崇拝したいと思う人たちを地上で集める活動にも関わってきました。(啓 14:6,7)ですから,エホバが忠実な人たちを天使に守らせるというのは適切なことです。最も重要なこととして,エホバの軍勢を構成する者たちは皆,エホバの敵を滅ぼすのを手伝うことにより,エホバの名を神聖なものとし立証できます。エホバの名を高く掲げ,名誉を回復できるのです。そのことを誇らしく思うに違いありません。(マタ 6:9,10)

      24. ほかの羊の大群衆は将来どんな態度を示しますか。

      24 ほかの羊の大群衆は,非常に強力で意欲にあふれた軍勢に守ってもらえるので,恐れる理由は何もありません。「真っすぐに立ち,頭を上げ」ます。「救出が近づいているからです」。(ルカ 21:28)エホバの日が来る前に,私たちには行うべき大切な務めがあります。守ってくださる憐れみ深い天の父エホバを知って愛するよう,できるだけ多くの人を助けるのです。(ゼパニヤ 2:2,3を読む。)

      ハルマゲドンの時の,ある町の様子。通りで警察官たちが武器で同士打ちをする中,エホバの天使が神の民を守っている。

      ハルマゲドンの際,神の民が戦うことはない。敵が同士討ちをする中,天使が民を守る。(エゼ 38:21)(22-24節を参照)

      25. 次の章ではどんなことを考えますか。

      25 人間の戦争が混乱と惨めさをもたらすのに対し,ハルマゲドンの後には秩序と幸福が行き渡ります。エホバの激しい怒りが静まり,エホバの戦士たちが剣をさやに収め,大戦争に幕が下ろされたら,一体どうなるのでしょうか。次の章では,その素晴らしい将来について考えます。

  • 「私の非常に激しい怒りが燃え上がる」
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
日本語出版物(1954-2026)
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