非公式の証言に喜びを見いだす
1 非公式の証言は奉仕の重要な一分野です。家から家の活動により,区域が頻繁に網羅されると共に,留守宅や立ち入ることのできない住宅も増えている現在,街路伝道と並んで今後わたしたちが力を入れるべき分野はこの非公式の証言です。すべての奉仕者は,意識的また計画的にこの証言に取り組み,自分が生活の中で大部分を過ごす所,例えば職場,学校,地域社会がエホバから与えられた特別の畑であることを認識しなければなりません。奉仕に多くの時間を毎日費やしている開拓者たちも,非公式の証言を自分の奉仕の一部として取り入れることができます。そのようにしている奉仕者たちは,確かにこの非公式の証言は奉仕のたいへん効果的な分野であることに気づいています。
2 これは偶然の証言ではなく,前もってきちんと計画された非公式の証言です。したがってわたしたちは,その日の行動をあらかじめ想定し,だれに,何を,どんな場で証言するかを具体的に計画しなければなりません。
3 不特定の人が証言の対象となる場合,まず相手の興味を引く話題や質問されそうな事柄を書き出し,話題ノートを作成してみます。わたしたちは宣教活動や周囲の人々の行動,生活習慣などを観察することによって人々が関心を持つ話題が何かをかなり見極めることができるようになります。また,ふさわしい出版物をいつも手元に備えておく必要があります。職場や学校に,あるいは外出や旅行の時にも出版物を携行することを習慣とするなら,証言の機会はおのずと開かれるようになります。また,玄関にきちんと並べられている出版物を見て,家を訪問した人が興味を示し研究が取り決められるようになったという経験は枚挙にいとまがありません。
4 非公式の証言を喜びある宣教活動の一部とするには,コロサイ 4章6節の原則を適用することが必要です。もしわたしたちが一方的に話し,相手が説教されていると感じるようになるなら,その人は二度と話を聞こうとしないかもしれません。一方,形式ばらない和やかな雰囲気で話し合いが行なわれるなら,人は心を開くようになるものです。
5 一人の姉妹は同じアパートに住む主婦たちに非公式の証言を行ない,「王国宣教」に連載された再訪問の実例を活用して4件の聖書研究を取り決めることができました。この姉妹は,経験を次のように結んでいます。『私は近所の人々に証言することに恐れを感じることはありませんでした。というのは,人々は私の家族のことをよく知っているので話しやすく感じたからです。また,以前私が抱えていたのと同じ問題で近所の人々が悩んでいることを知りましたので,聖書から益を受けてほしいといつも願っていました』。
6 現在エホバの証人となっている人々の中で,聖書に対する最初の関心の炎を親族によってともされた人は決して少なくありません。あなたは普段から未信者の親族に是非とも音信を伝えたいという願いを抱いておられますか。わたしたちは,見知らぬ人々を訪ねて定期的に戸別訪問を行ないますが,日ごろ会うことの少ない親族にどれほどの関心を向けているでしょうか。これらの人々もまた人前で弱さを見せないようにしているものの,実際には個人的な悩みや家族,会社,あるいは地域社会の中で問題を抱えながら日々を送っている一人であるかもしれないのです。(マタイ 9:36)では,早速対象となる人々のリストを作ってみてください。そして,周期的に王国の音信を伝える機会を探し求めてください。普通,親族や友人との間には既に親しい関係が築かれており,共通の話題や連絡を取りやすいという利点があります。
7 親族を訪問する場合には,事前に連絡を取り,長居を避け,気楽で和やかな雰囲気のうちに少しずつ真理を紹介することを目指してください。ここでも,事前に調べておいた,双方にとって興味ある話題,例えば家族,健康,生活,宗教などのうち相手にとって最も関心のある話題に的を絞る必要があります。そして,相手の述べる事柄に進んで耳を傾け,良い点を褒めたり,関心を表わしたりすることが大切です。最初の訪問で何もかも話そうとするのではなく,巧みに次回の話し合いに期待を持たせるか,折をみて電話をかけたり,手紙による証言を試みたりすることができます。ある一組の夫婦は,両方の親族に計画的に非公式の証言を試みた結果,合計7人の親族が聖書を学び霊的に進歩するという喜ばしい経験をしました。
8 極めて肝要な奉仕の分野と言える,この非公式の証言に対する積極的な態度をぜひ保ってください。たとえその場で実を結ばないとしても,後ほど芽を出し,立派な実を生み出すことがしばしばあるのです。開拓者も含め,すべての奉仕者が一日に15分間非公式の証言に携わるなら,日本中で年間約1,600万時間もの多くの時間が費やされることになります。あらゆる機会を活用して非公式の証言に携わることにより,良いたよりをすべての人に宣べ伝えるという責務を引き続き果たしてゆきましょう。―マタイ 28:19,20。