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占い ― 流行はまだ衰えていないものみの塔 1987 | 3月1日
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占い ― 流行はまだ衰えていない
「啓蒙と教化の進んだこの時代に,魔術や迷信に基づく信条を暴露するなど無用なことだと人は思うかも知れない」。これは,ノーベル賞受賞者18人を含む,著名な科学者186人が署名したある声明の中の一文です。彼らは何について話していたのでしょうか。それは星で運勢を判断する,ごく普通の占いの一つである占星術についてです。科学者たちによると,占星術は「現代社会に浸透して」います。あなたはなんらかの占いを信じておられるでしょうか。それとも占いには懐疑的ですか。あるいはその著名な科学者たちのように大反対でしょうか。占いをどう見るかは重要な問題です。ではその理由を考えてみましょう。
占いは極めて広く行なわれている風習です。パリの易者会議のスポークスマンによると,「半年ごとに霊媒のところへ行くフランス人は400万人に上る」ということです。米国にはパートタイムの占星術者が17万5,000人,専業の占星術者が1万人いると推定されています。英国にも占星術者は非常に多く,それぞれ自分の学校を持っています。フランスの雑誌「カ・マントレッセ」(「これは面白い」)は,「最も高度の発展を遂げた社会も含めてどこでも,われわれは類似の統計に出くわす。今世紀も終わりに近づいたが,心霊術は大いに栄えている」と述べています。
どんな人が,またなぜ占いに頼るのか
オカルトに関心があるのは教育のない下層階級の人々だけだ,と考える人がいるかもしれません。そのオカルトの中でも一番広く行なわれているのは占星術でしょう。しかしフランスの有名な占星術師マダム・ソレイユは,「右翼の人,左翼の人,さまざまな見解を持つ政治家,外国の首脳など,ありとあらゆる人がわたしのところに来ます。司祭や共産主義者でさえ来ることがあります」とはっきり述べています。また,魔術師のフレデリック・デュードネイが死亡した時,フランスの堅い日刊紙「ル・フィガロ」の一記事は,同魔術師の過去を回顧し,彼は「パリの名士,牧師,高官,作家,俳優など,多数の顧客を」引きつけたと述べました。
賭博師は賭けについて占星術師に相談します。事業家は投資のことで占星術師のところへ行きます。占星術師たちは,いつ旅行に出発すればよいか,どんな料理をすべきかといったことまで,進んでアドバイスします。また占いは他のさまざまな分野にもはいり込んでいます。いろいろな国の警察は,犯人や行方不明者の捜索に占い師の力を借ります。フランスの週刊誌「ル・フィガロ」によると,「米国国防総省は,ソ連の秘密軍事基地で行なわれる事柄についての情報を提供する千里眼を34人雇っている」ということです。同誌はまた,米国の国会議員チャールズ・ローズの言葉として,ソ連側もやはり超能力の力を借りていると伝えています。
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あなたの将来 ― それを知るより良い方法ものみの塔 1987 | 3月1日
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インドの占星術師たちは,「磨羯宮の中で八つの惑星が同じ黄経上にあるというまれな現象が生じたため」,世界的な大災厄が起こるということを1962年に予言していました。しかし,何事も起こりませんでした。もっと最近の例を挙げると,1980年の末ごろ,フランスの占星術師のほとんどは,当時のフランスの大統領ジスカールデスタンが再選されて大統領を2期務めることになると考えていましたが,選挙で勝ったのは対立候補のフランソワ・ミッテランでした。こうした失敗例を考えると,将来のことを知るのに占星術は確実な方法ではないということが分かります。
では別の方法があるのでしょうか。例えば,未来を予言する科学者たちの努力は助けになりますか。1970年にマグローヒル社(米国)は,1980年までにどんなことが起きるかについて,「ガンを征服するための薬がつくられ,火星や金星への有人宇宙飛行が可能になり,永久的な月基地が建設され,自動車は電気で走り,ホームコンピューターは一般化し,男女を産み分けることが可能になり,テレビや映画は立体画像になる」と予言しました。
1970年に同社の科学者たちは,「こうした[予言の]方法を取るのは,専門家グループの一致した意見に基づいて信頼できる予測を行なうことを目指しているからである」と言っていました。しかし,その専門家たちの予言は,それらの分野においても,また政治や経済など他の幾つかの分野においても,当たらなかったことが分かりました。
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あなたの将来 ― それを知るより良い方法ものみの塔 1987 | 3月1日
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ところで,今日,占星術や他の形のオカルトが大きな魅力を持っているのはなぜでしょうか。フランスの新聞ル・モンド・ディマンシュはこう答えます。「危機に直面すると人々は,安心感を得ようとして何でも行ない,何ものもそれをとどめることはできない。超心理学はわずかな努力に対して大きな慰めを与える。今は,さまざまな核利用,遺伝子の接合といった空恐ろしい事柄が科学によって成し遂げられる時代であるから,人々は未知で不合理なものに逃避し,人生の意味を再発見しようとする誘惑に駆られる」。そういうわけで,占星術のようなオカルトが広く興味の対象になっていても驚くには当たりません。それはイエスの預言の成就として今日人々が経験している「苦もん」の症状の一つなのです。
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