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底知れぬ深み聖書に対する洞察,第2巻
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パークハーストの「新約聖書希英辞典」(ロンドン,1845年,2ページ)によると,ギリシャ語のアビュッソスには,「非常に,またはひときわ深い」という意味があります。リデルとスコットの「希英辞典」(オックスフォード,1968年,4ページ)によると,それは「測りがたい,果てしない」を意味します。
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底知れぬ深み聖書に対する洞察,第2巻
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この語の語根の「測りがたい」という意味合いが「底知れぬ深み」の特徴をなしていることに関して,ヘースティングの「宗教・倫理百科事典」(1913年,第1巻,54ページ)は興味深い説明を加えています。ローマ 10章6,7節に関して同事典は次のように注解しています。「聖パウロの言葉遣いの伝える印象は,その領域の広大さである。すなわち,我々が試みてもとうてい探りえない広大さである」。パウロは,「天」と「底知れぬ深み」に達することの不可能性を,信仰によって義に達することの可能性と対照させているのです。パウロはローマ 11章33節でこれと関連のあるバトスという語を用いており,その用法はこの点を説明するものです。「ああ,神の富と知恵と知識の深さ[バトス]よ。その裁きは何と探りがたく,その道は何とたどりがたいものなのでしょう」。(コリ一 2:10; エフェ 3:18,19も参照。)したがって,「底知れぬ深み」の表わしている場所は,ローマ 10章6,7節と調和して,神または,神に任命された「底知れぬ深みのかぎ」を持つみ使い(啓 20:1)以外にはだれも達することのできない状態をも意味しているものと思われます。リデルとスコットの「希英辞典」(4ページ)がアビュッソスの語義の一つとして挙げているのは,「広大無辺の虚空」です。
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