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わたしたちが受けた特別な贈り物目ざめよ! 2011 | 5月
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人間の手
わたしたちの手は驚くべき精密さを備えており,見事な働きをします。針に糸を通すことも斧を振るうことも,絵を描くこともピアノを弾くこともできます。手は優れた感覚器でもあります。少し触れるだけで,毛皮,紙,皮膚,金属,水,木などを見分けることができます。このように,手には物をつかんだり操ったりする以上の能力があります。周囲の状態を感知することもできるのです。手は温かさや愛情を表現する手段でもあります。
人間の手が器用に動き,表現力に富み,感覚を持ち,いろいろなことができるのはなぜでしょうか。理由は幾つもありますが,そのうち四つを考えてみましょう。
1. 人の両手の骨の数は合計50以上あります。体全体の骨の約4分の1に相当する数です。手は,骨や関節や靱帯など各部の絶妙な組み合わせによって,非常に柔軟に動きます。
2. 手の親指は他の指と向かい合い,その付け根は鞍関節になっています。鞍関節は,鞍のような形をした二つの関節面が直角に組み合わさったもので,その構造は実に見事です。この関節や,それにつながっている筋肉や他の細胞の働きにより,親指は驚くほど柔軟に動き,強さも発揮します。
3. 手をコントロールするのは3種類の筋肉です。そのうち2種類の強い筋肉,すなわち伸筋と屈筋は前腕に位置し,腱によって指を動かします。これらの筋肉が手のひらにあったなら,手は分厚くなり動かしにくくなるでしょう。3種類目の,もっと小さな筋肉は手のひらにあり,それによって指は正確に動きます。
4. 人の指は言ってみれば生きたセンサーです。指先には1平方㌢あたり2,500もの感覚受容器があります。それらの受容器には種類があり,それぞれに機能が異なります。そのおかげで素材の感触,温度,湿り具合,震動,圧力,痛みなどを感知できるのです。人の指が最も感度の高いタッチセンサーと言われるのも,うなずけます。
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わたしたちが受けた特別な贈り物目ざめよ! 2011 | 5月
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[5ページの図/図版]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
緻密な造りの骨
鞍関節
筋肉によるコントロール
感度の高い指先
[図版]
手が多くのことを上手にこなせるのはなぜか
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