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目ざめよ! 1993
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子どもの人権 ― 裁判所の判断

「お化けみたいな点を取らなければ上へはあがれない。まずこの中からはそんな点を取る者はいないだろう」。神戸市立工業高専の剣道の担当教師は,一昨年の春,一年次を留年になっていた5人の学生および9人の新入生にこう告げました。この学生たちは皆,エホバの証人で,『剣をすきの刃に打ち変える』という聖書の教えに従う自分たちは剣道実技には良心的に参加できないという立場を表明していたのです。―イザヤ 2:4。

それに対して学校側は,学生たちの信条に対する配慮を全く示さず,「学校をやめてしまえ」などと高圧的な態度で学生たちに剣道を何としても行なわせようとしました。平成2年度に留年になった5人は,当初から「他のことでいくらがんばっても単位は出さない」などと言われていました。

平成2年度に留年した5人のうち二人は翌年も留年になり,退学を迫られました。結果として,二人のうち一人はやむなく自主退学の道を選びましたが,もう一人はその処分に納得できず自主退学を拒んだため退学処分になり,2年間を棒に振ったことになりました。

退学処分を受けたこの学生はどんな成績だったのでしょうか。平成3年度のこの学生の成績は42人から成るクラスで1番の成績でした。これは不合格になった体育の48点を含めても,全教科の平均点が90.2点でクラスで1番だったことを意味しています。能力があり,品行方正で勉学の意志を持つ若者が,自分の宗教的信条のゆえに剣道実技に参加できないというだけの理由で,教育を受ける機会を奪われたのです。これまで,神戸高専で退学処分になった学生は二人いましたが,一人は性行不良と学校の秩序を乱したこと,もう一人は学力不足と不登校がその処分の理由でした。一方,今回退学処分を受けた学生は,自分の宗教的信条ゆえに,体育という科目の一部を成す剣道の授業のうちの実技部分を受けなかったため体育の学力不足ということで退学処分になったのです。

学校側は初めから学生個々の信条など認めないという態度で事に当たりました。学生たちは剣道実技の授業中静かに座って見学し,その授業についてレポートを書いたり,自分たちの良心に反しない準備運動には加わったりしましたが,学校側はそうした努力を全く認めようとはしませんでした。事実,教師たちは退学処分を受けた学生が,剣道の授業を受けられないという意思表示を入学直後にした際,「そういうこと[剣道]を拒否するやつは教育を受ける資格などない」とまで言いました。明らかにこの問題に関連する子どもの人権を全く顧みない“言葉の暴力”です。

日本国憲法は思想良心の自由,信教の自由を保障しています。また,教育基本法は「すべて国民は,ひとしく,その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって,人種,信条,性別,社会的身分,経済的地位,又は門地によって,教育上差別されてはならない」とし,「宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は,教育上これを尊重しなければならない」と規定しています。

こうした法律の精神に照らしてみるとき,全教科のうちの体育という一教科の全授業時間の約5分の1(十数時間)だけに当たる剣道を自らの良心的な理由で受けられないとする学生から,ただそれだけの理由で教育を受ける権利を奪い去ってしまうのは余りに偏った処分と言えるのではないでしょうか。

そのため5人は,神戸地方裁判所へ留年処分を不当としてその取り消しを求める訴えを起こしていました。信教の自由をうたった憲法をいただく国の裁判所であれば,自分たちの信仰を守りながら勉強したいという気持ちを分かってくれると確信していたのです。これに対して,神戸地方裁判所は,2月22日に原告である学生たちの請求をいずれも棄却する判決を言い渡しました。しかも,原告の信教の自由が一定の制約を受けたことを認めたうえで,それが学生たちの不利益になっていないというのです。信教の自由の重みを,また子どもの権利をこのような形でしか評価しない判決がこの日本で出されることに驚きの念を禁じえません。

[27ページの図版]

訴えを起こした5人

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