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  • 氷と火の国で忍耐強く宣べ伝える
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  • 良いたよりがアイスランドに伝わる
  • さらに多くの働き人が収穫に遣わされる
  • 首都周辺
  • 東端へ
  • 北のルートを行く
  • 増加を望める明るい前途
エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1993
塔93 9/15 24–28ページ

氷と火の国で忍耐強く宣べ伝える

アイスランドは,北大西洋上にあって,北アメリカとヨーロッパのほぼ中間に位置します。北極圏に接してはいますが,暖かい北大西洋海流のおかげで,気候は意外に寒冷ではありません。アイスランドは氷と火の国と呼ばれてきました。なぜなら,この国にはヨーロッパで最大の氷河があり,同時に世界有数の活火山地帯でもあるからです。高温の蒸気や硫黄分を含んだガスを発する,多数の温泉や硫気孔や火山地域のことはよく知られています。

ヨーロッパで二番目に大きなこの島の26万人の住民は,今から1,100年余り前にここに定住したバイキングの子孫です。アイスランド語はバイキング時代の古期スカンディナビア語と本質的に同じものです。アイスランド人は,おもに13世紀に書かれた自国の古い武勇伝を好んで読んだので,古期スカンディナビア語からほとんど変わらなかったのです。

16世紀になると,聖書がアイスランド語に翻訳されるようになりました。「新約聖書」が1540年に,そして1584年までには聖書全巻が出されました。国民の90%以上が,国教である福音ルーテル教会に属しています。聖書はほとんどの家庭にありますが,聖書が神の言葉であると信じている人はごくわずかです。アイスランド人は大抵,宗教についてはおうような見方を持っており,一般的に独立的な考え方の持ち主です。

良いたよりがアイスランドに伝わる

王国の良いたよりを最初に聞いたアイスランド人たちは,当時カナダに住んでいました。そのうちの一人に,ギオルグ・フョールニル・リンダルがいます。アイスランド出身の両親を持つ彼は,アイスランド語が話せました。エホバ神に献身して間もなく,ゲオルグは良いたよりの全時間伝道者になりました。1929年,当時40歳だった彼は,あの氷と火の国に住む人々に良いたよりを携えてゆきました。

途方もなく膨大な仕事が,一人の人の肩にかかることになりました。アイスランドは南北に約320㌔,東西に約500㌔の大きさです。フィヨルドや入り江の多い海岸線は,ほぼ6,400㌔にも及びます。その当時は,道路と呼べる道路もなく,車も,ほかの近代的な旅行手段もないに等しい状態でした。それでも,リンダル兄弟は10年以内に島全体を網羅し,とても多くの書籍を配布しました。兄弟は島の沿岸を船で回り,内地の農場を訪問する時は2頭の馬を用いました。1頭は自分が乗るため,もう1頭は文書や荷物を運ぶためでした。

ほぼ18年の間,アイスランドのエホバの証人はリンダル兄弟一人だけでした。兄弟は一生懸命に働きましたが,その間,王国を支持する立場を定める人を一人も見ることはありませんでした。1947年3月25日,ものみの塔ギレアデ聖書学校の卒業生の最初の人たちが到着した時,リンダル兄弟の長くて,孤独な忍耐は終わりを告げました。収穫にもっと働き人を遣わしてくださるようにとの兄弟の祈りを,エホバがついに聞き届けてくださった時の兄弟の喜びをご想像いただけると思います。(マタイ 9:37,38)リンダル兄弟はその後もアイスランドで奉仕を続け,1953年にカナダに戻りました。

さらに多くの働き人が収穫に遣わされる

1947年にやって来た宣教者は,デンマーク人の兄弟二人でした。2年後,宣教者がさらに到着しました。これらの宣教者が,アイスランドに引っ越してきていた数人の仲間と共に宣べ伝える業を続けると,非常に多くの出版物が配布されました。アイスランド人は,ほとんどの人が愛書家ですが,良いたよりにこたえ応じる人はそれほど多くありません。27年にわたって植えたり,水を注いだりした末,これら忍耐強い兄弟たちは,ようやく自分たちの労苦の実を見られるようになりました。1956年に7人の新しい人が王国を支持する立場を定め,エホバに献身したのです。

過去10年間に王国伝道者の数は2倍以上になりました。現在,七つの会衆と,孤立した群れが一つあり,良いたよりの宣明者は合計で280名を数えます。島を巡って,これらの諸会衆を訪ねてみることにしましょう。

首都周辺

長年ずっと忍耐してきた兄弟姉妹たちは,豊かな祝福を受けてきました。現在では,首都レイキャビークに活気にあふれた会衆が二つあり,1975年に献堂された支部事務所と同じ建物の中の,りっぱな王国会館で集まり合っています。

1956年にバプテスマを受けた7人の中に,フレズリックとエイダがいます。フレズリックは,こう語っています。「宣教者が住んでいた家の小さな屋根裏部屋で集会をしていたのを覚えています。いすが12脚置けるだけの広さでしたが,時々いつもより大勢の人が来たりすると,ドアを開けて隣の小さな部屋も使いました。二つの会衆とも王国会館がいっぱいになる今とは雲泥の差です」。

最初の大会が開かれた時,フレズリックは給食部門の責任者でした。「私は自分でほとんどの仕事をしました。同時に,大会のプログラムの割り当てが毎日三つか四つあることも珍しくありませんでした。台所で働いている時はエプロンを着け,話をする時間になると背広を着て,大急ぎで会場に駆け込みました。エプロンをしたままですよ,と兄弟たちに注意されることが何度もありました。現在では,プログラムを扱うりっぱな長老たちを含め,400名から500名が大会に出席します。給食部門の仕事を喜んで手伝ってくれる兄弟たちも大勢います」。

レイキャビークから一番近い会衆は,西へ50㌔ほど行ったケブラビーク会衆です。そこまでは,一面溶岩で覆われた野原の中を車で通り抜けて行くのです。アイスランドは国土の10%が溶岩に覆われています。こうした溶岩原で最初に発生する植物は地衣類や苔類などですが,比較的古い溶岩原では野イチゴや低木も見られます。

1965年に設立されたケブラビーク会衆には,19人の伝道者がいます。国際空港が近く,米軍基地もこの土地にあります。基地内では,エホバの証人が家から家への奉仕をすることはできませんが,たくさんの聖書研究がそこで司会され,真理を学んだ人も少なくありません。

レイキャビークから東へ約55㌔行ったセルフォスには,別の会衆があります。ここでは,アイスランドで最大規模の酪農場をはじめ,牛や羊を飼う緑の農地が見られます。途中,風光明媚な渓谷にある小さな町,クベーラゲルジのそばを通ります。渓谷一帯の温泉から立ち上る蒸気は遠くからでも見えます。ここは国内でも指折りの広大な温泉地帯なので,この資源を利用するために多数の温室が造られ,トマトやキュウリ,また種々の花が栽培されています。

この地方には,小さいものの,活発な会衆が一つあり,19人の王国伝道者がいます。シフルズル・スババとグズルーン・スババは,この会衆が設立された1988年ごろ,この小さなグループを支援するためにレイキャビークから引っ越してきました。ここの長老はシフルズル一人だけです。10年ほど前にエホバの証人になるまでは,彼は有名なミュージシャンで,いろいろなバンドでドラムを演奏していました。現在は,窓拭きの仕事をしたり,音楽を教えたりして生計を立てています。芸能人として暮らしていた時は,麻薬の乱用,大酒,結婚生活の崩壊など,多くの問題を抱えていました。今では,目的のある人生を送り,エホバに仕え,シフルズルはとても満ち足りています。

東端へ

セルフォスを後にして,約680㌔のドライブに出かけます。ほとんどが狭くて,でこぼこの砂利道です。東海岸の町,レイサルフィヨルズルにある次の会衆へ向かっているのです。30分もしないうちに,アイスランドで最も有名なヘクラ火山が見えてきます。この山は今世紀に入って4回も噴火しました。

1973年にベストマンネイヤル(ウェストマン諸島)で,大規模な火山の噴火がありました。5,300人ほどの島民は全員,数時間のうちに本島へ無事避難しました。町が復旧すると,島民のほとんどはだんだんと町へ戻って行きました。現在そこには二人のエホバの証人が住んでおり,この小さな町の人々に良いたよりを伝えています。それから車を2時間走らせると,堂々たるバトナ氷河の美しい姿を目にするという醍醐味があります。これは他をはるかにしのぐアイスランド最大の氷河で,その面積は8,300平方㌔を占めます。さらに,道沿いにある数々の美しい滝や川のそばも通って行きます。

ドライブに10時間ほどかけて,やっと目的地に着きました。アイスランドで一番新しいレイサルフィヨルズルの会衆で,12名の伝道者に会います。1988年の後半に宣教者の家ができるまで,この地方にエホバの証人は一人もいませんでした。スウェーデン人の宣教者の夫婦で,1963年からアイスランドで奉仕しているチェルとイーリスが,人口1万5,000人のこの田舎の地方で働く割り当てを受けています。約500㌔にわたる海岸線沿いに並んだ小さな漁村に,大勢の人が住んでいます。

チェルはこう語っています。「アイスランドの,この地方での王国の業をエホバが豊かに祝福してこられたことに疑いの余地はありません。1993年1月1日付で会衆が設立され,私たちは良い聖書研究をたくさん司会しています。研究生たちはよく進歩しています。リンダル兄弟が馬に乗っていたころから比べると交通手段は変わったとはいうものの,日照時間のきわめて少ない冬期に,凍結してつるつる滑る山道を越えるのは,四輪駆動のジープといえどもなかなか容易ではありません。ある時などジープが凍結した道で風にあおられ,斜面を二,三回転しながら落ちたことがありました。けがもなくその場を切り抜けられた時は,本当にほっとしました」。

アイスランドでの30年間を振り返って,イーリスはこう語ります。「長年にわたって,大勢の人がほかの国々から援助に来てくださいました。いろいろな事情で帰らなければならない人がほとんどでしたけれど,そうした兄弟たちは確かに,植えたり,水を注いだりする業に多大の貢献をしてくださいました。私たちはとどまることができてうれしく思っています。今,収穫が始まっているのを目にする特権があるからです。この土地でも,エホバはご自分の業を速めておられます」。

増加に大きく貢献しているのは,新しい人たちが仕事仲間に証言していることです。アトリーという男性は宣教者から真理を学び,自分が働いている建設会社の人たちに証言するようになりました。現在,二人の同僚が宣べ伝える業に携わっており,そのうちの一人は,1992年11月に夫婦でバプテスマを受けました。3人目の同僚はエホバの証人と聖書を勉強しています。

北のルートを行く

レイサルフィヨルズルを後にして,西へ向かいます。次の会衆はここから300㌔ほど離れたアークレイリの町にあります。1950年代の初め,特別全時間伝道者がその町に割り当てられました。伝道を開始した途端に,僧職者たちからの激しい反対に遭いました。地元の新聞には,エホバの証人に警戒するようにとの記事が載せられました。町の人々の中には,心霊術に関係している人も大勢いました。多数の開拓者や宣教者の忍耐と辛抱の結果,今では35人の王国伝道者から成る,活発で愛にあふれた会衆があります。

この会衆の長老の一人,フレズリックは漁師でした。1982年の地域大会に出席して,フレズリックは自分が学んでいる事柄が真理であると確信しました。自分の家族や友人,そして同僚に証言しようと心に決めて,彼はアークレイリに戻りました。フレズリックは,会衆の活動にもっと時間を充てられるよう,漁師の仕事をやめる計画を立てました。彼は恋人のヘルガに,自分はエホバの証人になるつもりなので,結婚するまではもうこれ以上同棲できないと告げました。そして,フレズリックは彼女にも聖書を学んでほしいと思いました。どうしても『未信者と結婚』したくなかったからです。(コリント第一 7:39)驚いたことに,ヘルガは研究を始めました。二人は1983年2月に結婚し,その後間もなくバプテスマを受けました。やがて,フレズリックの母親と妹も真理を受け入れました。

最後に立ち寄るのは,アークレイリから350㌔ほど行った所にあるアクラネスです。山脈を三つ越え,美しい渓谷を幾つも通り抜けて行きます。これまではでこぼこの狭い砂利道がほとんどだったので,それに比べると,舗装されたここの道路のドライブは快適です。アクラネスにはアイスランドで一番小さい会衆があります。伝道者は5人で,そのうちの二人は長老として奉仕しています。会衆の成員は二家族から成っています。これらの家族は,“マケドニア人の呼びかけ”にこたえ応じ,レイキャビークの比較的大きな会衆を後にして,必要の大きな所で奉仕するため,この小さな町に住むことにしたのです。(使徒 16:9,10)これまで2年以上にわたって,これらの兄弟たちは,成長させてくださるのはエホバであることを確信しながら,辛抱強くこの区域で良いたよりを宣べ伝えてきました。―コリント第一 3:6。

増加を望める明るい前途

地熱エネルギーや人工の光を利用した温室栽培により,アイスランドの農民は,多種多様の果物,野菜,そのほかの植物を育てることができるようになりました。同様にエホバの証人も,霊的な真理,優しくて温かい説得,そしてエホバの聖霊という祝福により,アイスランドの野外におけるすばらしい成果を目にしてきました。

今年のキリストの死の記念式には542名が出席し,現在200件近い家庭聖書研究が司会されています。加えて,未割り当て区域で奉仕するようにとの励ましに対して積極的な反応があるため,この広大な島に住む羊のような人々すべてがりっぱな羊飼いであられるイエス・キリストの声を聞くであろうという確信を抱くことができます。(ヨハネ 10:14-16)過去64年間にわたり,多大の辛抱と忍耐をもって氷と火の国で良いたよりを宣べ伝えてきた忠実な王国宣明者にとって,何と喜ばしい結果なのでしょう。

[24ページの地図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

アークレイリ

アクラネス

ケブラビーク

セルフォス

ベストマンネイヤル

レイサルフィヨルズル

ヘクラ

ゲイシル

バトナ氷河

レイキャビーク

[クレジット]

Jean-Pierre Biardの地図に基づく

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