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あの選択を後悔したことは一度もありません目ざめよ! 1989 | 8月22日
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帆は風でマストからはぎ取られていました。潮の流れは容赦なく私たちを危険な岩場の方へ運んでいきます。数分もすれば遭難は必至と思われました。
それは1937年12月のことでした。私たちは全長16㍍で2本マストのヨット,ライトベアラー号に乗り,インドネシアからオーストラリアに向かって航海を続けていました。このヨットは,インドネシアの島々に神の王国の音信を携えてゆくため,すでに3年間用いられていました。
万事休す,と思われたその時,副船長が,補助エンジンは普通,ギヤをバックに入れた時のほうが強力であると本に書かれていたのを思い出しました。そこですぐにエンジンのギヤをバックに入れたところ,それが効を奏したのです。これには皆驚き,大いに胸をなで下ろしました。ヨットは際どいところで岩場から後退したのです。
これは50年以上も前の話です。では,私はどのようにしてライトベアラー号唯一の女性乗組員となったのでしょうか。
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あの選択を後悔したことは一度もありません目ざめよ! 1989 | 8月22日
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[11ページの図版]
ライトベアラー号,1935年1月
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