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これは,わたしたちの霊的相続財産であるものみの塔 2013 | 2月15日
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これは,わたしたちの霊的相続財産である
「これは,エホバの僕たちの相続財産である」。―イザ 54:17,バイイングトン訳(英語)。
1. エホバは人類の益のために,何を大切に保存してこられましたか。
「生ける,いつまでも存在される神」エホバは人類のために,命を与える音信を保存してこられました。それは決して消滅しません。「エホバのことばは永久に存続する」からです。(ペテ一 1:23-25)わたしたちは,エホバが,み言葉 聖書の中にそうした重要な情報を大切に保存してこられたことを,本当に感謝しています。
2. 神は,民が用いることができるように,何をみ言葉の中に保存されましたか。
2 神はご自身で選んだ名をみ言葉の中に保存し,民がそれを用いることができるようにされました。聖書で「エホバ神」という語が最初に出てくるのは,「天と地……の歴史」に関するくだりです。(創 2:4)神のみ名は十戒の一部として,石の書き板に数回,奇跡的に刻み込まれました。例えば,その第一のおきては,「わたしはあなたの神エホバ」という言葉で始まっています。(出 20:1-17)神のみ名は生き続けました。み名を除き去ろうとするサタン的な試みがあっても,主権者なる主エホバがその都度,み名を保存してこられたからです。―詩 73:28。
3. 宗教上の偽りがはびこっていても,神は何を保存してこられましたか。
3 さらにエホバは,み言葉の中に真理を保存されました。世界には宗教上の偽りがはびこっていますが,感謝すべきことに,神は霊的な光と真理を与えてくださいました。(詩編 43:3,4を読む。)人類の大多数が闇の中を歩いているのとは対照的に,わたしたちは神の霊的な光の中を,喜びをもって歩み続けています。―ヨハ一 1:6,7。
わたしたちには,尊ぶべき相続財産がある
4,5. 1931年以降,わたしたちはどんな素晴らしい特権を得ていますか。
4 クリスチャンであるわたしたちには,貴重な相続財産があります。「コリンズ・コウビルド英英辞典」はこう述べています。「国の相続財産とは,多年にわたり続いてきた,また世代から世代へと受け継がれてきた国民性・伝統・生活の特色すべてのことである」。わたしたちの霊的相続財産には,祝福として,神の言葉の正確な知識を享受し,神およびその目的に関する真理の明快な理解を得ることが含まれます。さらに,素晴らしい特権も伴っています。
1931年の大会でエホバの証人という名称が与えられたのは喜び
5 1931年,米国オハイオ州コロンバスで開かれた大会で,その素晴らしい特権がわたしたちの霊的相続物の一部となりました。その大会の印刷されたプログラムに“JW”という文字がありました。ある姉妹はこう述べています。「JWが何を表わしているかいろいろ推測されました。ただ待っていなさい(Just Wait)とか,注意していなさい(Just Watch)という意味ではないか,と言う人もいれば,正しく言い当てた人もいました」。それまでは聖書研究者と呼ばれていましたが,1931年7月26日の日曜日の決議により,エホバの証人(Jehovah's Witnesses)という名称を採択したのです。聖書的なその名を与えられたのは感動的なことでした。(イザヤ 43:12を読む。)ある兄弟は,「大会会場に割れるような歓声と拍手が響き渡ったのを決して忘れないでしょう」と述懐しています。世の人たちはだれもその名称を欲しませんでしたが,神はわたしたちが80年余りその名称を用いるのを祝福してくださいました。エホバの証人であるというのは,本当に素晴らしい特権なのです。
6. わたしたちの霊的相続財産には,どんな正確な情報が含まれていますか。
6 わたしたちの霊的相続財産には,正確で貴重な,多くの歴史情報も含まれています。例えば,アブラハム,イサク,ヤコブについて考えてください。それらの族長たちは,どうすればエホバに喜ばれるかについて,家族で話し合ったに違いありません。ですから,廉直なヨセフが性の不道徳を退け,「神に対して罪をおかす」ことがなかったのも当然です。(創 39:7-9)キリスト教の伝統も,口頭あるいは模範によって伝えられました。使徒パウロが諸会衆に伝えた主の晩さんに関する事柄もその一つです。(コリ一 11:2,23)書き記されたみ言葉には,今日のわたしたちが「霊と真理をもって」神を崇拝するために必要な詳細な事柄も含まれています。(ヨハネ 4:23,24を読む。)聖書は全人類に益を与えるものですが,とりわけエホバの僕たちは,聖書に感謝しています。
7. わたしたちの相続物には,励みを与えるどんな約束が含まれていますか。
7 わたしたちの霊的相続財産には,『エホバがわたしたちの側におられる』ことを示す,比較的最近出版された情報も含まれています。(詩 118:7)そのおかげでわたしたちは,迫害されていても,安心感を抱けます。霊的相続財産は増え続けています。励みを与える次の約束が果たされていることも,その一つです。「『あなたを攻めるために形造られる武器はどれも功を奏さず,裁きのときにあなたに敵して立ち上がるどんな舌に対しても,あなたは有罪の宣告を下すであろう。これはエホバの僕たちの世襲財産[つまり,「相続財産」,バイイングトン訳]であり,彼らの義はわたしからのものである』と,エホバはお告げになる」。(イザ 54:17)サタンの武器庫にあるどんなものも,わたしたちに永続的な害を与えることはできないのです。
8. この記事と続く記事では,どんな点について考えますか。
8 サタンの狙いは,神の言葉を打ち砕き,エホバという名を除き去り,真理を覆い隠すことでした。しかし,それが成功するはずはありません。エホバはサタンのそうした試みすべてをくじかれたからです。では,この記事と続く記事を通して,エホバ神は(1)どのようにみ言葉を保存してこられたか,(2)どのようにみ名を保存してこられたか,(3)どのような意味で真理の源かつ保存者であられるか,を調べましょう。
み言葉を保存された
9-11. 聖書が様々な攻撃を生き延びてきたことは,どんな事実から分かりますか。
9 エホバは,どんな妨げがあってもみ言葉を保存してこられました。「カトリック百科事典」(イタリア語)はこう述べています。「1229年,トゥールーズの宗教会議は,アルビジョア派とワルド派に対抗すべく,平信徒がそれ[地方語による聖書]を用いることを禁じた。……1234年,スペインのタラゴナで開かれた会議では,ジェームズ1世のもとで同様の禁令が出された。……ローマ教皇庁は1559年,初めてこの問題に介入し,パウロ4世が定めた禁止目録により,地方語による聖書を教皇庁の許可なく印刷・所有することは禁じられた」。
10 聖書は様々な攻撃に遭っても,保存されてきました。1382年ごろ,ジョン・ウィクリフとその仲間たちは,世界初の英訳聖書を完成させました。ウィリアム・ティンダルも聖書翻訳に携わり,1536年に死に処されました。杭に縛り付けられたティンダルは,「主よ,イングランド王の目を開きたまえ」と叫んだと言われています。それから絞め殺され,火で焼かれました。
11 1535年,マイルズ・カバデールも英訳聖書を出しました。“新約聖書”と,“旧約聖書”の創世記から歴代誌まではティンダル訳を用い,それ以外の部分は,ラテン語訳と,マルティン・ルターによるドイツ語訳から翻訳した聖書です。現代はどうでしょうか。「新世界訳聖書」は,その明快さ,聖書本文への忠実さ,宣教における有用さゆえに,高く評価されています。わたしたちは,どんな悪霊や人間もみ言葉の保存を妨げ得ないことを,歓ぶことができます。
み名を保存された
ティンダルなど幾人もの人たちが,神の言葉のために命をなげうった
12. 神のみ名を保存する点で,「新世界訳」はどんな役割を果たしてきましたか。
12 エホバ神はご自身のみ名がみ言葉の中に保存されるよう見届けてこられました。その点で重要な役割を果たしているのが「新世界訳」です。その序文の中で,献身した人たちから成る翻訳委員会はこう記しています。「この翻訳の最大の特色は,訳文中の正当な箇所に神のみ名を復元していることです。これは,一般に受け入れられている『エホバ』という語形を,ヘブライ語聖書部分に6,973回,クリスチャン・ギリシャ語聖書部分に237回用いることによってなされました」。今日,この聖書の全巻もしくは一部分は116余りの言語で入手でき,印刷部数は1億7,854万5,862部を上回ります。
13. 人間が創造されて以来,人間は神の名を知っている,と言えるのはなぜですか。
13 人間は創造された時から,神の名前を知っていました。アダムとエバはその名と正確な発音を知っていました。大洪水後,ハムが父親のノアに不敬な態度を示した時,ノアは,「セムの神エホバがほめたたえられるように。[ハムの息子]カナンは彼に対する奴隷となれ」と言いました。(創 4:1; 9:26)神ご自身こう宣言されました。「わたしはエホバである。それがわたしの名である。わたしはわたしの栄光をほかのだれにも与え……ない」,「わたしはエホバであり,ほかにはいない。わたしのほかに神はいない」。(イザ 42:8; 45:5)エホバはみ名が保存され,全地に知られるようにされました。エホバという名を用い,エホバの証人として奉仕できるのは素晴らしい特権です。わたしたちはいわば,「神の名によってわたしたちの旗を揚げる」と喜び叫んでいるのです。―詩 20:5。
14. 神のみ名は,聖書以外のどんなものにも出てきますか。
14 神のみ名は聖書だけに出てくるのではありません。死海の約20㌔東のディバン(ディボン)で発見されたモアブ碑石について考えてみましょう。この碑石にはイスラエルの王オムリの名が出ており,モアブの王メシャの,イスラエルに対する反抗が記されています。(王一 16:28。王二 1:1; 3:4,5)しかし,この碑石で特に注目に値するのは,神のみ名がテトラグラマトンの形で出ていることです。テトラグラマトンは,イスラエルで出土した,陶片に書かれたラキシュ書簡にも繰り返し出てきます。
15. セプトゥアギンタ訳とは何ですか。それが作られたのは,どんな事情があったからですか。
15 初期の聖書翻訳者たちも,神のみ名の保存に貢献しました。西暦前607年から537年まで続いたバビロン捕囚の後も,故国に戻らなかったユダヤ人は少なくありません。西暦前3世紀の時点で,多くのユダヤ人がエジプトのアレクサンドリアに住み着いており,ヘブライ語聖書のギリシャ語訳を必要としていました。ギリシャ語は当時の国際語だったからです。西暦前2世紀には完成していたこの翻訳が,セプトゥアギンタ訳です。その写本の一部には,エホバという名がヘブライ語で記されています。
16. 1640年に発行された「ベイ詩編書」の中で,神のみ名はどのように使われていますか。
16 アメリカにあった英国の植民地で最初に発行された印刷物「ベイ詩編書」(英語)にも,神のみ名が見られます。その初版(1640年印刷)には,ヘブライ語から当時の英語に翻訳された「詩編」が含まれており,例えば1編1,2節に神のみ名が使われています。「さいわいなる人」は邪悪な者の助言に歩まず,「かかる人の慕う喜びはイェホバの律法にあり」といった具合です。神のみ名に関して詳しくは,「神のみ名は永久に存続する」と題するブロシュアーをご覧ください。
霊的な真理を保存される
17,18. (イ)あなたは「真理」をどう定義しますか。(ロ)「良いたよりの真理」は何から成っていますか。
17 わたしたちは喜びにあふれて「真理の神エホバ」に仕えます。(詩 31:5)「コリンズ・コウビルド英英辞典」によれば,「ある物事に関する真理とは,想像もしくは創作される事柄ではなく,その物事に関する事実全体のこと」です。聖書のヘブライ語でよく「真理」と訳される語は,真実で信頼できる事柄,忠実で事実に合致した事柄と関連しています。「真理」と訳されるギリシャ語は,事実に調和する事柄や,適切で正しい事柄を指しています。
18 エホバは霊的な真理を保存し,わたしたちがその真理に関する知識をいよいよ豊かに得られるようにしてこられました。(ヨハ二 1,2)真理の理解は漸進的に明らかにされてゆきます。「義なる者たちの道筋は,日が堅く立てられるまでいよいよ明るさを増してゆく輝く光のよう」だからです。(箴 4:18)わたしたちは,イエスが神への祈りの中で述べた,「あなたのみ言葉は真理です」という言葉に心から同意します。(ヨハ 17:17)記された神の言葉には,キリスト教の教え全体から成る,「良いたよりの真理」が含まれています。(ガラ 2:14)キリスト教の教えには,エホバのみ名と主権,イエスの贖いの犠牲,復活,神の王国などに関する事実が含まれます。真理を覆い隠そうとするサタンの試みがあっても,神は真理を保存してこられました。その点について考えましょう。
真理に対する攻撃をくじかれる
19,20. ニムロデはどんな人でしたか。ニムロデの時代,どんな企ては失敗に終わりましたか。
19 大洪水後,「エホバに敵対する力ある狩人ニムロデのようだ」という言い習わしがありました。(創 10:9)エホバ神に敵対したニムロデは事実上サタンの崇拝者であり,イエスの敵対者たちに似ていました。イエスは彼らにこう述べています。「あなた方は,あなた方の父,悪魔からの者であって,自分たちの父の欲望を遂げようと願っているのです。その者は,……真理の内に堅く立ちませんでした」。―ヨハ 8:44。
20 ニムロデの領土には,チグリス川とユーフラテス川に挟まれたバベルその他の諸都市が含まれていました。(創 10:10)バベルおよびその塔の建設は西暦前2269年ごろ,恐らくニムロデの指揮のもとで始まりました。エホバのご意志は人間が地に増え広がることでしたが,建設者たちはそれに反対し,こう述べました。「さあ,我々のために都市を,そして塔を建て,その頂を天に届かせよう。そして,大いに我々の名を揚げて,地の全面に散らされることのないようにしよう」。しかしその企ては放棄せざるを得ませんでした。神が「全地の言語を混乱させ」,塔を建設していた者たちを散らされたからです。(創 11:1-4,8,9)サタンが,すべての人から崇拝されるための宗教を始めようとしたのであれば,その計略は完全な失敗に終わりました。一方,エホバの崇拝は歴史を通じて広まってゆき,今もその勢いは日一日と強まっています。
21,22. (イ)真の崇拝にとって偽りの宗教が深刻な脅威となったことは一度もありません。なぜですか。(ロ)次の記事ではどんな点を考慮しますか。
21 真の崇拝にとって偽りの宗教が深刻な脅威となったことは一度もありません。偉大な教訓者エホバが,み言葉の保存を見届け,人類の前にみ名を掲げ,霊的真理を豊かに与えてきたからです。(イザ 30:20,21)真理によって神を崇拝することは喜びをもたらします。しかしそのためには,エホバに全く頼って聖霊の導きに従い,霊的に目覚めている必要があります。
22 次の記事では,幾つかの偽りの教理の進展について調べます。聖書の光に照らして見るなら,そうした教理の誤りが明らかになるでしょう。さらに,真理の卓越した保存者であられるエホバが,貴重な霊的相続財産の一部である真の教えをもって,どのようにわたしたちを祝福してこられたかが分かるでしょう。
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霊的相続財産に感謝していますかものみの塔 2013 | 2月15日
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霊的相続財産に感謝していますか
「神[は]諸国民に注意を向け,その中からご自分のみ名のための民を取り出された」。―使徒 15:14。
1,2. (イ)「ダビデの仮小屋」とは何ですか。どのように建て直されることになっていましたか。(ロ)今日,どんな人たちがエホバの僕として共に奉仕していますか。
西暦49年,エルサレムで開かれた統治体の歴史的な会合において,弟子ヤコブはこう述べました。「シメオン[ペテロ]は,神が初めて諸国民に注意を向け,その中からご自分のみ名のための民を取り出された次第を十分に話してくれました。そして,預言者たちの言葉はこのことと一致しています。こう書いてあります。『これらの事の後,わたしは戻って,倒れたダビデの仮小屋を建て直すであろう。その荒れ跡を建て直してそれを再び立てるであろう。残っている人たちが,すべての国の民,わたしの名によって呼ばれる民と共に,切にエホバを求めるためであると,昔から知られたこれらの事を行なっておられるエホバが言われる』」。―使徒 15:13-18。
2 「ダビデの仮小屋」,つまりダビデの王家は,ゼデキヤ王が退位させられた時に倒れました。(アモ 9:11)しかし,その「仮小屋」は,ダビデの子孫であるイエスを永遠の王として建て直されます。(エゼ 21:27。使徒 2:29-36)ヤコブがその歴史的な会合において指摘したように,アモスのこの預言は,ユダヤ人と異邦人の両方から王国の相続人を集めることにおいて成就していました。今日,油そそがれたクリスチャンの残りの者とイエスの幾百万もの「ほかの羊」は一つに結ばれ,エホバの僕として聖書の真理を宣明しています。―ヨハ 10:16。
エホバの民が直面した難題
3,4. バビロンにいたエホバの民は,どのように霊的に生き続けましたか。
3 ユダヤ人がバビロンに捕囚にされた時,「ダビデの仮小屋」が倒れていたことは明らかです。バビロンでは偽りの宗教が蔓延していました。では,神の民は,捕囚にされていた西暦前607年から537年までの70年間,どのようにして霊的に生き続けたのでしょうか。わたしたちも,サタンの支配するこの世で生き続けるためにその方法を用いています。(ヨハ一 5:19)助けとなっているのは,豊かな霊的相続財産です。
4 書き記された神の言葉も,霊的相続物の一つです。バビロンに捕囚にされたユダヤ人は聖書全巻を持っていませんでしたが,十戒を含むモーセの律法は知っていました。「シオンの歌」を知っており,多くの格言を思い出すことができ,エホバの昔の僕たちの偉業に精通していました。実際,ユダヤ人はシオンを思い出して泣きました。エホバを忘れていなかったのです。(詩編 137:1-6を読む。)偽りの教理や慣行のあふれたバビロンにいても,霊的に生き続けることができました。
三位一体は新しい教えか
5. 古代バビロンおよびエジプトには,三つ組の神つまり三位一体に関するどんな証拠がありますか。
5 三つ組の神つまり三位一体は,バビロンにおける崇拝の顕著な特色でした。バビロニア人が崇拝していた三つ組の神の一つは,シン(月の神),シャマシュ(太陽の神),イシュタル(豊饒と戦争の女神)で成っていました。古代エジプトでは,神は多くの場合,女神と結婚している者とみなされました。その女神が息子を産み,「三つ組の神,もしくは三位一体を構成していたが,それでもその三位一体の中で父は必ずしも長ではなく,時には女王の夫君の役割に甘んじていることもあり,女神がその土地の主神の地位にとどまっていた」。(新ラルース神話百科事典[英語])エジプトの三位一体の一例として,オシリスと女神イシス,および息子ホルスの三つ組の神を挙げることができます。
6. 聖三位一体とはどんな教理ですか。わたしたちは,そうした誤った教えからどのように守られてきましたか。
6 キリスト教世界にも聖三位一体という教理があります。父と子と聖霊が一つの神を構成する,と聖職者たちは言います。しかし,その教理はエホバの主権に対する攻撃です。三つで一つの神なので,エホバには3分の1の意味しかない,と思わせているからです。エホバの民はそうした誤った教えを信じないよう守られてきました。「イスラエルよ,聴きなさい。わたしたちの神エホバはただひとりのエホバである」という,霊感による言葉を受け入れているからです。(申 6:4)イエスはこの言葉を引用しました。真のクリスチャンで,その言葉に同意しない人がいるでしょうか。―マル 12:29。
7. 三位一体を信じている人が,エホバ神への献身の象徴としてのバプテスマを受けることができないのは,なぜですか。
7 イエスは追随者たちに,「すべての国の人々を弟子とし,父と子と聖霊との名において彼らにバプテスマを施し」なさい,と命じました。しかし聖三位一体の教理はその言葉と相いれません。(マタ 28:19)真のクリスチャン,またエホバの証人としてバプテスマを受けるには,父エホバの至上性と,神のみ子イエスの立場や権威を認めなければなりません。バプテスマ希望者は,聖霊が三位一体の一部ではなく神の活動する力であることも信じていなければなりません。(創 1:2)三位一体の教理を捨てない人は,エホバ神への献身の象徴としてのバプテスマを受けることができません。わたしたちは霊的相続物によって,神を辱める教えから守られてきました。そのことに本当に感謝できるのではないでしょうか。
心霊術が醜い頭をもたげる
8. バビロニア人は神々と悪霊たちをどう見ていましたか。
8 バビロニアの宗教には,偽りの教理,神々,悪霊たち,心霊術などが混在していました。国際標準聖書百科事典(英語)はこう述べています。「バビロニアの宗教において神々に次いで重要だったのは悪霊たちである。悪霊たちは多種多様な心身の病気で人間を苦しめることができた。それら悪霊たちとの闘いは生易しいものではなく,宗教活動の大半はその闘いに向けられていた。悪霊たちと闘う人間を助けるべく,あらゆる場所で神々に祈りがささげられた」。
9. (イ)多くのユダヤ人は,バビロン捕囚の後,どのように偽りの教理の餌食になりましたか。(ロ)わたしたちはどのように,意図的に悪霊たちとかかわる危険から守られていますか。
9 多くのユダヤ人はバビロン捕囚の後,非聖書的な考えの餌食になりました。ギリシャ思想が入り込んだため,悪霊は良いこともする,という見方を取り入れ,悪霊の支配を受けやすくなったユダヤ人は少なくありませんでした。しかし,わたしたちは霊的相続物により,意図的に悪霊たちとかかわる危険から守られています。神がバビロンの心霊術的な慣行を非とされたことを知っているからです。(イザ 47:1,12-15)心霊術に関する神の見方も導きとなっています。―申命記 18:10-12; 啓示 21:8を読む。
10. 大いなるバビロンの慣行と信条についてどんなことが言えますか。
10 心霊術は,バビロニア人だけでなく,偽りの宗教の世界帝国である大いなるバビロンの支持者たちも行なっています。(啓 18:21-24)「注釈者の聖書辞典」(英語)はこう述べています。「[大いなる]バビロンは一つの帝国もしくは文化以上のものを包含している。その領域は地理上の,もしくは一時的な境界線によるよりも,むしろ最有力な偶像礼拝によって定められている」。(第1巻338ページ)心霊術や偶像礼拝などの罪に満たされている大いなるバビロンは,まだ存在していますが,長くは続きません。―啓示 18:1-5を読む。
11. 心霊術について,どんな警告が発せられてきましたか。
11 エホバは,「怪異な力を借りることにわたしは我慢できない」と宣言しておられます。(イザ 1:13)心霊術は,19世紀の人々の考え方に大きな影響を与えていました。そのため「シオンのものみの塔」(英語)1885年5月号はこう述べました。「死者は別の世界で,あるいは別の形態を取って生き続けているという考えは,新しいものではない。それは古代人の宗教の一部であり,あらゆる神話の原点となっている」。その記事はこう続きます。死者が生きている人と交信するという非聖書的な考えは,「霊となった人間のふりをした“悪霊たち”が行なっている欺きを覆い隠し,その欺きを強力なものとしてきた。彼らは自分の正体を隠すためのこの方法をしきりに用いて,多くの人の考えや生活を支配してきた」。「聖書は心霊術について何と述べているか」(英語)と題する初期の出版物は,比較的最近の出版物と同じような警告を発していました。
魂は死後の世界で責め苦に遭うのか
12. ソロモンは霊感を受け,死者の状態について何と述べましたか。
12 この質問に,「真理を知るようになった人々すべて」は答えることができます。(ヨハ二 1)わたしたちは次のソロモンの言葉に同意できるに違いありません。「生きている犬は死んだライオンよりもましだからである。生きている者は自分が死ぬことを知っている。しかし,死んだ者には何の意識も……ない。……あなたの手のなし得るすべてのことを力の限りを尽くして行なえ。シェオル[人類共通の墓],すなわちあなたの行こうとしている場所には,業も企ても知識も知恵もないからである」。―伝 9:4,5,10。
13. ユダヤ人は,ヘレニズムの文化や宗教の影響をどのように受けましたか。
13 ユダヤ人は死者に関する真理を知っていたはずです。しかし,ギリシャがアレクサンドロス大王の将軍たちによって分割された時,ギリシャの宗教やヘレニズム文化などを用いてユダをシリアと融合させようとする運動が起こりました。その結果ユダヤ人は,人間の魂は不滅であるという教えや,死後には責め苦の場所があるという教えを受け入れました。しかし,死後の世界つまり冥界には苦しむ魂が満ちているという考えは,ギリシャ人から出たものではありません。バビロニア人も,「冥界は……恐怖に満ちた場所……強大な力を持つ,どう猛な神々や悪霊によって支配され」る場所である,と考えていました。(「バビロニアとアッシリアの宗教」[英語])そうです,元々はバビロニア人が魂の不滅を信じていたのです。
14. ヨブとアブラハムは死と復活について,何を知っていましたか。
14 義人ヨブは聖書を持っていませんでしたが,死に関する真理を知っていました。また,エホバが,ヨブの復活を慕われる愛の神であることを知っていました。(ヨブ 14:13-15)アブラハムも復活を信じていました。(ヘブライ 11:17-19を読む。)神を恐れるそれらの人たちは,人間の魂の不滅を信じていませんでした。魂が不滅であれば復活はあり得ないからです。ヨブとアブラハムは神の霊の助けにより,死者の状態を理解し,復活への信仰を働かせることができたに違いありません。これらの真理も,わたしたちの相続財産の一部です。
「贖いによる釈放」― 非常に重要
15,16. わたしたちはどのように罪と死から釈放されていますか。
15 神は,受け継いだ罪と死からわたしたちを救出する手だてについての真理も明らかにしてくださいました。わたしたちはそのことに感謝しています。(ロマ 5:12)イエスは,「仕えてもらうためではなく,むしろ仕え,かつ自分の魂を,多くの人と引き換える贖いとして与えるために来た」のです。(マル 10:45)「キリスト・イエスの払った贖いによる釈放」について知るのは,何という喜びでしょう。―ロマ 3:22-24。
16 1世紀のユダヤ人と異邦人は,自分の罪を悔い改めて,イエスの贖いの犠牲に信仰を働かせる必要がありました。そうしなければ許しは得られませんでした。今日でも同じです。(ヨハ 3:16,36)三位一体や魂の不滅など,偽りの教理にしがみついているなら,贖いの益にはあずかれません。しかし,わたしたちは違います。「[神の]愛するみ子」に関する真理を知っています。「このみ子によって,わたしたちは贖いによる釈放,すなわち罪の許しを得て」いるのです。―コロ 1:13,14。
エホバのみ名のための民として前進しなさい
17,18. 神の民の歴史に関する有益な情報はどこから得られますか。その歴史を学ぶなら,どんな益が得られますか。
17 わたしたちが学んでいる正しい教え,神の僕としての経験,霊的・物質的な祝福は,まだまだたくさんあります。例えば「年鑑」には,これまで数十年にわたり,世界中の多くの国における興味深い活動報告が掲載されてきました。「信仰を実践する人々」というDVDの第1部と第2部,「エホバの証人 ― 神の王国をふれ告げる人々」などの書籍にも,神の民の歴史が詳しく示されています。また,雑誌にもしばしば,仲間の兄弟姉妹の心温まる経験談が掲載されます。
18 イスラエルの民が,エジプト人の束縛から神がどのように救出してくださったかを熟考して益を得たように,わたしたちもエホバの組織の歴史を調べてみるなら,益を得られます。(出 12:26,27)年老いたモーセは,神の驚くべきみ業について証言できました。イスラエル人にこう勧めています。「昔の日々を思い出し,代々にわたる過去の年月を思い見よ。あなたの父に問え。彼は告げることができる。あなたの年寄りたちに聞け。彼らはそれをあなたに言う」。(申 32:7)エホバの「民」,その「放牧地の羊」として,わたしたちすべては喜びのうちに神の賛美を告げ知らせ,その力強い行ないについて語ります。(詩 79:13)また,神の民の歴史を調べ,そこから学び,将来の計画を立てるのは良いことです。
19. 霊的な光を享受しているわたしたちは,何を行なうべきですか。
19 暗闇の中をさまようことなく,神からの霊的な光を享受できるのは本当にうれしいことです。(箴 4:18,19)ですから,神の言葉を勤勉に研究しましょう。真理を熱心に伝えましょう。主権者なる主エホバを賛美した詩編作者の次の祈りの言葉に倣うのです。「わたしはあなたの義を,ただあなたの義だけを語り告げるのです。神よ,あなたはわたしの若い時からわたしを教えてくださいました。わたしは今に至るまであなたのくすしいみ業について告げ知らせています。そして,神よ,老齢と白髪に至るまでもわたしを捨てないでください。後の世代にあなたのみ腕について,来たるべき者たちすべてにあなたの力強さについてわたしが語るまで」。―詩 71:16-18。
20. 関連し合うどんな問題がありますか。その問題について,あなたはどう思われますか。
20 わたしたちはエホバの献身した民として,神の主権と人間の忠誠という,関連し合う問題があることを理解しています。実際わたしたちは,エホバが宇宙の主権者であり,心からの専心をささげるにふさわしい方であるという確かな真理を宣明しています。(啓 4:11)また,神の霊に導かれて,柔和な者たちに良いたよりを告げ知らせ,心の打ち砕かれた者を包帯で包み,嘆き悲しむ者を慰めます。(イザ 61:1,2)神の民と全人類を支配しようとするサタンの企てがあっても,わたしたちは霊的相続財産に深く感謝し,固い決意をもって神への忠誠を保ち,主権者なる主エホバを今も,そして永遠までもたたえます。―詩編 26:11; 86:12を読む。
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