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鉄聖書に対する洞察,第2巻
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聖書の記録が示すところによると,様々な道具,くぎ,門,武器,足かせ,筆記用具などが鉄で作られ,偽りの神々さえも鉄で作られました。
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鉄聖書に対する洞察,第2巻
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聖書時代の鉄は,炉や製錬法がまだ十分には発達していなかったため,決して完全に純化されたものではなく,炭素や他の元素が混ざっていました。西暦前4千年紀のトバル・カインは,鉄を鍛造して細工することで知られた最初の人でした。―創 4:22。
人間が初期の時代に使っていた鉄の一つは,いん鉄でした。エジプト人の墓では,いん石でできていることが判明した鉄の飾り玉が見つかっています。しかし,人間はいん石だけを鉄の供給源としていたわけではありません。酸化鉄や黄鉄鉱を採掘し,鉄を溶かすには高温が必要だったにもかかわらず,どちらも同じように製錬しました。(ヨブ 28:2; エゼ 22:20。「精錬する,精錬する者」を参照。)もっとも,鉄の利用は,低温で細工できる銅や青銅に比べると,かなり限られていました。それでも,鉄は非常に丈夫で有用なので,特に尊重されていたに違いありません。鉄は戦利品の中でもイスラエル人が大いに貴んだものの一つでした。(民 31:22; ヨシュ 6:19,24; 22:8)しかし,分捕った鉄より多くの鉄が,彼らの受け分となることになっていました。モーセは,彼らがパレスチナに着けば鉄の鉱床を見いだすであろうと約束しましたが,実際そのとおりになりました。(申 8:9)ほかに聖書の中で言及されている鉄の供給源としては,タルシシュや,「ウザルからのベダンとヤワン」も含まれていました。―エゼ 27:12,19。
イスラエル人は約束の地を征服する際,鉄の大鎌を備えた戦車に直面しました。(ヨシュ 17:16,18; 裁 1:19)サウルの治世の一時期,「イスラエルの全地には鍛冶屋[金属細工人]がい(ません)」でした。フィリスティア人が禁令を課していたので,王とその子ヨナタンしか剣を持っていませんでした。イスラエルは金属の道具をすべてフィリスティア人のところへ持って行って研いでもらわざるを得ませんでした。―サム一 13:19-22。
しかし後に,ダビデ王は神殿の建造に用いるためにばく大な量の鉄を蓄えました。ソロモンの治世下では,「十万タラント相当の鉄」,あるいは多くの翻訳によれば,「鉄十万タラント」が寄進されました。(代一 22:14,16; 29:2,7)もしこれが鉄の価値のことを言っていて,タラントが銀であったなら,この鉄は6億6,060万㌦の価値がありました。もし鉄の重さのことを言っているのであれば,それは約3,420㌧に上ります。
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