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サタンによる支配は必ず失敗するものみの塔 2010 | 1月15日
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サタンによる支配は必ず失敗する
『邪悪な者は決して良い結果を見ることはない』。―伝 8:13。
1 邪悪な者が裁かれるという知らせが慰めとなるのはなぜですか。
邪悪な者は遅かれ早かれ裁きを受けることになります。自分のしてきたことの責任を取ることになるのです。(箴 5:22。伝 8:12,13)これは慰めとなる知らせです。義を愛する人や,邪悪な者による不公正や虐待に耐えてきた人にとっては,特にそうでしょう。裁きを受ける邪悪な者として真っ先に挙げられるのは,悪の父である悪魔サタンです。―ヨハ 8:44。
2 エデンで提起された論争を解決するのに時間が必要だったのはなぜですか。
2 うぬぼれにとらわれたサタンは,エデンで人間に働きかけ,エホバによる統治を退けさせました。そのため人類の最初の二親は,サタンにくみしてエホバの正当な権威に挑戦し,神から見て罪人となりました。(ロマ 5:12-14)エホバは,その不敬な反逆の歩みがどんな結果になるかをご存じでした。とはいえ,その必然の結果は理知ある被造物すべてにとって明白なものとならなければなりませんでした。ですから,この論争を解決し,反逆者たちが全く間違っていたことを納得のゆく仕方で証明するには,時間が必要でした。
3 人間の政府に対するわたしたちの立場はどのようなものですか。
3 人間はエホバによる監督を退けたので,独自の政治形態を作り上げなければなりませんでした。使徒パウロは,ローマの仲間の信者への手紙の中で,そうした人間の政府を「上位の権威」と呼んでいます。パウロの時代,上位の権威はおもに,ネロ帝(西暦54年から68年まで支配)のもとでのローマ政府でした。パウロは,そうした上位の権威は「神によってその相対的な地位に据えられている」と述べました。(ローマ 13:1,2を読む。)神による統治よりも人間の支配のほうが上位にあると主張していたのでしょうか。そうではありません。エホバが人間の支配を許しておられる限り,クリスチャンは「神の取り決め」に敬意を払い,そうした支配者を受け入れるべきである,と言っていたに過ぎません。
災いに至る道
4 人間の支配が失敗せざるを得ないのはなぜか,説明してください。
4 とはいえ,サタンの影響を受けた人間の支配は確実に失敗します。なぜでしょうか。一つには,神の知恵に基づいていないからです。エホバだけが完全な知恵を有しておられます。ですから,どんな支配が成功するかについて信頼できる導きを与えることができるのは,エホバだけです。(エレ 8:9。ロマ 16:27)人間はたいてい試行錯誤によって学びますが,エホバは最善の行動の仕方を常にご存じです。エホバの導きに従わない政府はどれも貧弱なものにならざるを得ません。邪悪な動機を別にして,この点だけからしても,サタンが始めた人間の支配による統治が必ず失敗することは最初から明らかでした。
5,6 サタンがエホバに逆らう歩みを始めた原因は何だと考えられますか。
5 分別があれば,失敗が目に見えている試みに着手したりはしません。強行するなら,自分の間違いを認める羽目になります。歴史によって幾度も証明されてきたように,全能の創造者に逆らう立場を取るのは無益なことです。(箴言 21:30を読む。)しかし,うぬぼれと誇りのために盲目になったサタンは,エホバに背を向けました。災いに行き着くしかない道へと突き進んだのです。
6 後にバビロニアの支配者がサタンのようなせん越さを表わし,こう豪語しました。「わたしは天に上る。わたしは神の星の上にわたしの王座を上げ,北の最果ての会見の山に座すのだ。わたしは雲の高き所の上に上り,自分を至高者に似せる」。(イザ 14:13-15)この支配者の無分別な企ては失敗し,バビロニア王朝は不名誉な終わりを迎えました。同様に,サタンとその世は間もなく破滅に至ります。
なぜ許されているのか
7,8 エホバが悪の存在をしばらくのあいだ許されたことには,どんな益がありますか。
7 次のような疑問が生じるかもしれません。エホバはなぜ,人間がサタンの側につき,確実に失敗する新たな統治計画に従うのを止めなかったのでしょうか。全能の神は,もちろんそうすることもできました。(出 6:3)しかし,あえてそうなさいませんでした。ご自分の知恵により,人間の反逆への介入を一時的に控えるのが長期的に見れば最善の結果になる,と判断されたのです。最終的には,エホバが義にかなった愛ある支配者であることは立証され,忠実な人は神の決定から益を得ます。
8 サタンの誘いを退け,神の支配から独立した道へ進んだりしていなければ,人類は多くの難儀を避けられました。それでも,人間の自治を少しのあいだ許すというエホバの決定には益があります。神に聴き従って神を信頼することの知恵が,心の正しい人に深く印象づけられています。人間は幾世紀もの間,多くの種類の政府を試みてきましたが,どれも理想的なものとは言えません。この事実は,エホバによる統治がまさに最善であるという神の崇拝者たちの確信を強めます。エホバがサタンの邪悪な支配を許された結果,神の忠実な崇拝者を含め,人類は苦難を経験してきました。とはいえ,悪が一時的に許された結果,忠実な崇拝者たちは益も受けてきました。
反逆によってかえってエホバの栄光がたたえられている
9,10 サタンの支配によってどのように,エホバの栄光がたたえられる結果になっているか,説明してください。
9 サタンの影響を受けて自らを治めることを人間に許しても,エホバの統治の仕方は全く信用を失っていません。むしろ正反対の結果になっています。人間に自治能力がないことについてエレミヤが霊感のもとに述べた言葉の正しさが,歴史によって証明されています。(エレミヤ 10:23を読む。)さらに,サタンの反逆により,エホバがご自分の立派な特質をいっそう際立った仕方で表わす機会が生じています。どうしてそう言えますか。
10 災いだらけのサタンの支配を背景にして,エホバの完全な特質が,さもなければあり得ないほどくっきりと浮かび上がっています。こうしてエホバは,その方を愛する人々の目に大いなるものとなっています。逆説的に聞こえるかもしれませんが,サタンの統治の仕方によって,かえってエホバの栄光がたたえられているのです。ご自分の主権に対する挑戦をエホバが完璧に扱っておられることが浮き彫りになっています。この点を例証するために,エホバの特質の幾つかを取り上げ,サタンの邪悪な支配に応じてエホバがどのようにそれらの特質をいっそう示してこられたかを見てゆきましょう。
11 エホバの愛はどのように発揮されてきましたか。
11 愛。聖書は,『神は愛である』と教えています。(ヨハ一 4:8)そもそも,人間の創造は神の愛の表われです。さらに,わたしたちが,畏怖の念を起こさせるほどくすしく造られていることも,神の愛の証しです。また,エホバは愛をもって,幸福に必要なすべてのものが備わった美しい住まいを与えてくださいました。(創 1:29-31; 2:8,9。詩 139:14-16)とはいえエホバは,人類に悪が入り込むと,新たな仕方で愛を表わされました。どのようにでしょうか。使徒ヨハネは,イエスの次の言葉を引用しています。「神は世を深く愛してご自分の独り子を与え,だれでも彼に信仰を働かせる者が滅ぼされないで,永遠の命を持てるようにされた」。(ヨハ 3:16)神は,罪人を贖うためにご自分の独り子を地に遣わすという,これ以上ない驚くべき方法で人類への愛を示されたのです。(ヨハ 15:13)この偉大な愛の表明は人間にとって模範ともなっており,人間には,毎日の生活において神の自己犠牲的な愛を反映する機会があります。イエスはまさにそうしました。―ヨハ 17:25,26。
12 エホバの力はどのように表わされますか。
12 力。『全能者なる神』だけが,生命を創造する力をお持ちです。(啓 11:17。詩 36:9)人間は誕生の時,いわば真っ白な紙のようです。死ぬ時,その紙は生涯中の決定や行動や経験で埋め尽くされています。当人の人格や個性を形成した事柄です。エホバの記憶はそうした情報をしまっておくことができます。エホバは定めの時に,それぞれ特有の命の型を持った人として,個々の人をよみがえらせることができます。(ヨハ 5:28,29)ですから,人の死は神が当初意図されたことではありませんが,それによって,ご自分の力が死者にまで及ぶことをエホバがお示しになる機会が生まれています。エホバはまさに,『全能者なる神』です。
13 イエスの犠牲によって,エホバの完全な公正がどのように実証されましたか。
13 公正。エホバは偽ることはなく,不正を行なうこともありません。(申 32:4。テト 1:2)真実と公正に関する最高の規準に常に従われます。不利益になるように見える時でも,そうなさいます。(ロマ 8:32)エホバにとって,愛するみ子イエスが不忠実な冒とく者であるかのようにして苦しみの杭の上で死ぬのをご覧になるのは,本当につらいことであったに違いありません。それでも,不完全な人間への愛の気持ちから,このつらい出来事が起きるのを進んでお許しになりました。公正に関するご自分の完全な規準を固守するためです。(ローマ 5:18-21を読む。)不正の満ちる世の存在により,エホバにとって,ご自分が究極の公正を示す方であることを実証なさる機会が生じました。
14,15 エホバの最高の知恵と辛抱はどのように発揮されてきましたか。
14 知恵。アダムとエバが罪を犯した直後に,エホバは,二人の反逆によって生じた悪影響すべてを除き去る方法を明らかになさいました。(創 3:15)このような即座の対応により,また目的の詳細に関するご自分の僕への漸進的な開示により,エホバの知恵にひときわ焦点が当たりました。(ロマ 11:33)何ものも,物事を首尾よく扱う神の能力を妨げることはできません。世には,不道徳,戦争,理不尽,不従順,無慈悲,不公平,偽善がはびこっているので,エホバには,本当の知恵とはどのようなものかを被造物に示す十分の機会があります。弟子ヤコブはこう述べています。「上からの知恵はまず第一に貞潔であり,次いで,平和を求め,道理にかない,進んで従い,憐れみと良い実とに満ち,不公平な差別をせず,偽善的でありません」。―ヤコ 3:17。
15 辛抱,また辛抱強さ。もしエホバが人間の不完全さ,罪,欠点に対応する必要がなかったとしたら,辛抱,また辛抱強さというエホバの特質がこれほどまでに際立つことはなかったでしょう。エホバが幾千年も進んで対応してこられたことから分かるとおり,エホバはそれらの素晴らしい特質を完璧に有しておられます。わたしたちはそのことに深く感謝すべきです。使徒ペテロはいみじくも,「わたしたちの主の辛抱を救いと考えなさい」と述べました。―ペテ二 3:9,15。
16 エホバが進んで許す方であることが大きな喜びの理由となるのは,なぜですか。
16 進んで許す。わたしたちはみな罪人であり,何度もつまずきます。(ヤコ 3:2。ヨハ一 1:8,9)エホバが進んで「豊かに」許してくださるのは,本当に感謝すべきことです。(イザ 55:7)次の点も考えてみてください。わたしたちは不完全な罪人として生まれたので,神がとがを許してくださる時の深い喜びを経験できる状況にあります。(詩 51:5,9,17)エホバの心温まるこの特性を個人的に経験すると,エホバへの愛が強まり,エホバの手本に倣って他の人に接するよう促されます。―コロサイ 3:13を読む。
世界が病んでいるのはなぜか
17,18 サタンによる支配は,どんな点で失敗してきましたか。
17 サタンの統治によって生み出された世の体制全体は,これまで幾世紀ものあいだ絶えず失敗を繰り返してきました。1991年,ヨーロピアン紙(英語)はこう述べました。「世界は病んでいるか。そのとおりである。しかし,神がそうしたのではない。世界の病はその住民が負わせたものである」。これはまさに真実です。人類の最初の二親はサタンの影響を受け,エホバによる支配よりも人間の支配を選びました。そのようにして,失敗が必至の統治の仕方を開始させたのです。世界の人々が経験している苦痛や難儀は,人間の支配が恐ろしい病に冒されていることのしるしです。
18 サタンの統治の仕方は利己心に訴えます。しかし,利己心が愛を征服することはありません。愛はエホバの統治の仕方の基盤です。サタンによる統治は,安定,幸福,安全をもたらす点で失敗してきました。エホバによる支配の正しさは立証されています! そのことを示す現代の証拠がありますか。あります。次の記事で考えましょう。
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エホバによる支配の正しさは立証される!ものみの塔 2010 | 1月15日
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エホバによる支配の正しさは立証される!
『至高者が人間の王国の支配者である』。―ダニ 4:17。
1,2 人間の支配が失敗している理由は何ですか。
人間の支配は失敗しています。そのことに疑問の余地はありません。主な理由は,首尾よく支配する知恵が人間に欠けていることです。人間の支配が失敗していることは,今日,特に明らかです。非常に多くの支配者が,「自分を愛する者,金を愛する者,うぬぼれる者,ごう慢な者,……忠節でない者……容易に合意しない者,中傷する者,自制心のない者,粗暴な者,善良さを愛さない者,裏切る者,……誇りのために思い上がる者」となっているのです。―テモ二 3:2-4。
2 はるか昔,人類の最初の二親は,神による支配を退けました。独立を選んだつもりだったかもしれません。しかし実際には,サタンによる支配に服していたのです。「この世の支配者」サタンの影響を強く受けて,人間が6,000年のあいだ不適切な支配を行なってきたため,現在は史上最悪の状態にあります。(ヨハ 12:31)今日の人類の状態について,「オックスフォード 20世紀の歴史」(英語)は,「完全な世界を探して」も無駄であると述べ,こう続けています。「それは見つからないどころか,そうした世界を作ろうとする試みは,災いや全体主義体制をもたらし,最悪の場合は戦争につながる」。人間の支配が失敗であることをなんと率直に認めているのでしょう。
3 アダムとエバが罪を犯さなかった場合の神による支配について,何と言えますか。
3 ですから,見事に機能する唯一の種類の支配,神による支配を人類の最初の二親が退けたのは,実に悲しむべきことです。もちろん,アダムとエバが忠実を保っていたならエホバがどのように地球の統治を組織なさったかは,正確には分かりません。とはいえ,全人類が受け入れる神の支配は愛と公平が特徴となったに違いありません。(使徒 10:34。ヨハ一 4:8)さらに,神の比類のない知恵を考えると,人類がエホバの支配のもとにとどまっていたなら,人間の支配を支持する人々による過ちはすべて避けられたに違いありません。神の支配,神権政治は,「すべての生きているものの願いを満たし」たことでしょう。(詩 145:16)一言で言えば,完全な支配だったことでしょう。(申 32:4)人間がそれを退けたのは,実に悲しむべきことです。
4 サタンはどの程度,統治することを許されていますか。
4 銘記すべき点として,エホバは人間の自治を許されたとはいえ,被造物を支配する権利は決して放棄なさいませんでした。強力なバビロンの王でさえ,結局のところ『至高者が人間の王国の支配者である』ことを認めざるを得ませんでした。(ダニ 4:17)長期的に見れば,神の王国によってご意志がなされます。(マタ 6:10)もちろん短期的には,エホバはサタンが「この事物の体制の神」として行動するのを許しておられます。反対者サタンが提起した論争に対して納得のゆく答えを与えるためです。(コリ二 4:4。ヨハ一 5:19)それでもサタンは,エホバが許しておられる以上の事を行なえたことはありません。(代二 20:6。ヨブ 1:11,12; 2:3-6と比較。)そして,いつの時代も,神の大敵対者の支配する世で生活しながらも神に服することを選ぶ人がいます。
イスラエルに対する神の支配
5 イスラエルは神にどんな誓いをしましたか。
5 アベルの時代から族長の時代まで,幾人もの忠実な人がエホバを崇拝し,エホバの命令に従いました。(ヘブ 11:4-22)モーセの時代,族長ヤコブの子孫はエホバとの契約関係に入り,イスラエル国民となります。西暦前1513年,イスラエル人は,自分たちと子孫がエホバを支配者として受け入れることを誓い,「エホバの話されたすべてのことをわたしたちは喜んで行ないます」と言いました。―出 19:8。
6,7 神によるイスラエルの支配には,どんな特徴がありましたか。
6 エホバがイスラエル人をご自分の民として選んだことには目的がありました。(申命記 7:7,8を読む。)関係していたのは,イスラエル人の福祉だけではありません。神のみ名と主権も関係しており,このほうが重要でした。イスラエルは,エホバが唯一まことの神であることの証人となるのです。(イザ 43:10; 44:6-8)それでエホバは,その国民にこう言われます。「あなたは,あなたの神エホバにとって聖なる民であり,エホバは地の表にいるすべての民の中からあなたを選んでご自分の民とし,特別な所有物とされた」。―申 14:2。
7 神の統治の仕方は,イスラエル人の不完全さを考慮に入れたものでした。とはいえ,神の律法は完全であり,それを与えた方の特質を反映していました。モーセを通して与えられたエホバのおきては,神の神聖さ,公正に対する愛,進んで許す態度,辛抱をはっきり際立たせています。ヨシュアとその世代の人々が生きていた間,国民はエホバのおきてに従い,平和と霊的祝福を享受しました。(ヨシュ 24:21,22,31)イスラエルの歴史のこの時期は,エホバの支配の仕方が成功することの実例となっています。
代償が伴う人間の支配
8,9 イスラエルは,賢明でないどんな要望をしましたか。どんな結果になりましたか。
8 しかし時たつうちに,イスラエル人は幾度も神の支配に背を向け,神の保護を失って苦しみました。やがてイスラエルは,預言者サムエルを通して,目に見える人間の王を要求します。エホバは,その要望を聞き入れるようサムエルに告げた後,こう言われます。「彼らが退けたのはあなたではない。彼らは,わたしが彼らの王であることを退けたからである」。(サム一 8:7)エホバはイスラエルが目に見える王を持つことをお許しになりましたが,人間の王による支配の代償について警告なさいました。―サムエル第一 8:9-18を読む。
9 歴史は,エホバの警告の正しさを証ししています。人間の王の支配はイスラエルに深刻な問題をもたらしました。王が不忠実だった時は特にそうでした。イスラエルのこの例を考えると,歴史を通じて,エホバを知らない人間の作る政府が永続的な良い結果をもたらしてこなかったのも当然です。平和と安全を実現させる努力に神の祝福を祈り求める政治家もいますが,神はご自分の支配に服さない人をどうして祝福できるでしょうか。―詩 2:10-12。
神の支配のもとにある新しい国民
10 イスラエルが,神の選ばれた国民に取って代わられたのはなぜですか。
10 イスラエル国民は,エホバに忠実に仕える気がないことを示しました。しまいには,神の任命されたメシアを退けます。それでエホバは,彼らを退け,一群の人々が彼らに取って代わって新しい国民を形成するようになさいます。その結果,西暦33年に,エホバの油そそがれた崇拝者から成るクリスチャン会衆が誕生しました。この会衆は事実上,エホバの統治権のもとにある新しい国民でした。パウロはそれを「神のイスラエル」と呼んでいます。―ガラ 6:16。
11,12 イスラエルと「神のイスラエル」の間には,監督することに関してどんな類似点がありますか。
11 元のイスラエル国民と新しい「神のイスラエル」の間には,相違点も類似点もあります。クリスチャン会衆では,古代イスラエルとは異なり,人間の王がおらず,罪人のために動物の犠牲をささげる必要もありません。イスラエル国民とクリスチャン会衆の類似点の一つは,年長者つまり長老の取り決めです。(出 19:3-8)クリスチャンの長老は群れを支配したりしません。会衆を牧し,クリスチャンの活動において骨惜しみせずに指導の任に当たります。会衆の成員一人一人に愛をもって接し,全員の誉れと尊厳を認めます。―コリ二 1:24。ペテ一 5:2,3。
12 「神のイスラエル」の成員とその仲間である「ほかの羊」は,イスラエルに対する神の扱いを黙想して,エホバとその統治の仕方への認識を深めます。(ヨハ 10:16)例えば,歴史が示すとおり,イスラエルの人間の支配者は,良くも悪くも民に大きな影響を与えました。このことから,クリスチャンの間で指導の任に当たる人たちは,古代の王とは違って支配者でないとはいえ常に信仰の良い手本でなければならない,という点を銘記させられます。―ヘブ 13:7。
今日,エホバはどのように支配しておられるか
13 1914年に,どんな画期的な出来事がありましたか。
13 クリスチャンは今日,人類に対する人間の支配が終わりに近づいていることを世界中の人々にふれ告げています。エホバは1914年に,ご自分の任命した王イエス・キリストが治める神の王国を天に設立なさいました。その時,「征服しに,また征服を完了するために」出て行く権威をイエスにお与えになりました。(啓 6:2)新たに即位した王イエスは,「あなたの敵のただ中で従えてゆけ」と命じられます。(詩 110:2)残念ながら,諸国家はエホバの支配に服することをずっと拒んでいます。まるで「エホバはいない」かのように行動し続けているのです。―詩 14:1。
14,15 (イ)わたしたちは今日,どのように神の王国の支配を受けていますか。それで,どんな自問をすべきですか。(ロ)今日でも,神の支配の優越性はどんなことから分かりますか。
14 「神のイスラエル」の油そそがれた成員のうち少数の人々がまだ残っており,イエスの兄弟であるそれらの人々は引き続き,「キリストの代理をする大使」として行動しています。(コリ二 5:20)彼らは忠実で思慮深い奴隷級として任命されて,油そそがれた者と増大するクリスチャンの群衆を世話し,その人々に霊的な食物を供給しています。今やクリスチャンには,地上で永久に生きる希望を持つ幾百万もの人々が含まれています。(マタ 24:45-47。啓 7:9-15)この取り決めにエホバの祝福があることは,真の崇拝者たちが楽しんでいる霊的繁栄から明らかです。
15 わたしたちが各自,次のように自問するのはよいことです。『クリスチャン会衆内で自分の担うべき責任を十分に認識しているだろうか。エホバによる統治をきちんと支持しているだろうか。エホバの支配する王国の臣民であることを誇りに感じているだろうか。道理にかなった範囲で可能な限り神の王国について人々に伝え続ける,という決意を抱いているだろうか』。わたしたちは一団として,統治体の指導に進んで柔順に服し,会衆の任命された長老に協力しています。そのようにして,神による支配を受け入れていることを表わすのです。(ヘブライ 13:17を読む。)進んで柔順に服する結果として,この分裂した世にあって,類を見ない世界的な一致が生じています。さらに,平和と義が生み出され,エホバに栄光がもたらされ,エホバによる支配が紛れもなく最善であることが明らかになっています。
エホバの支配は輝かしい成功を収める
16 今日,すべての人はどんな決定をしなければなりませんか。
16 エデンで提起された論争が解決される時は迫っています。ですから今,人々は決定を下す必要があります。一人一人が,エホバによる統治を受け入れるか,それとも人間の支配にしがみつくかを決めなければなりません。わたしたちには,柔和な人たちが正しい決定を下せるよう助けるという特権があります。間もなくハルマゲドンにおいて,エホバによる統治が,サタンの影響を受けた人間主体の政府に永久に取って代わります。(ダニ 2:44。啓 16:16)人間の支配は終わり,神の王国は全地を掌握します。全き意味で,エホバによる統治の正しさが立証されるのです。―啓示 21:3-5を読む。
17 柔和な人が支配に関して良い決定をするうえで,どんな事実は助けになりますか。
17 エホバを支持するという明確な決定をまだ下していない人は,神による支配が人類にもたらす益を祈りのうちに考慮すべきです。人間の支配は,テロを含め,犯罪の問題を解決できていませんが,神の支配は邪悪な者すべてを地上から除き去ります。(詩 37:1,2,9)人間の支配のもとでは絶えず戦争が生じてきましたが,神の支配は「地の果てに至るまで戦いをやめさせ」ます。(詩 46:9)人間と動物の間の平和も回復させます。(イザ 11:6-9)人間の支配には貧困や飢えの問題が付きまといますが,神の支配はそれらを根絶します。(イザ 65:21)良い意図を持つ人間の支配者でさえ,病気と死を取り除くことはできていませんが,神の支配のもとでは,年老いた人や病気の人が若い時の活力を取り戻して喜びます。(ヨブ 33:25。イザ 35:5,6)地球は楽園となり,死者も復活して来るのです。―ルカ 23:43。使徒 24:15。
18 神による支配が最善であると信じていることを,どのように示せますか。
18 サタンは,人類の最初の二親を創造者に背かせて害悪を生じさせました。神の支配はそのすべてをぬぐい去ります。しかも考えてみてください。サタンは約6,000年間,害悪を生じさせてきましたが,神は1,000年以内に,キリストを通してそうした害悪すべてをぬぐい去られるのです。神による統治の優越性が見事に示されているのではないでしょうか。神の証人であるわたしたちは,神を支配者として受け入れています。では,自分がエホバの崇拝者,その王国の臣民であり,エホバの証人であることに誇りを感じている,ということを,一日一日,いえ一時間一時間,示してゆきましょう。そして,あらゆる機会を活用して,耳を傾ける人すべてに,エホバによる支配がまさに最善であることを知らせてゆきましょう。
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