「来なさい!」と招くための助け
まだ寒さの厳しかった2月7日の朝,海老名市にある,ものみの塔協会の敷地に大型コンテナ3台が入って来ました。25㌧のクレーン車も到着しました。敷地内の新工場3階南側の壁の一部が取り払われ,大きな開口部ができています。大型コンテナの中には,細心の注意を払って梱包された精密な製本用の機械が入っていました。
搬入されようとしていた機械は2台の糸かがり機と製本ラインです。糸かがり機は印刷の済んだ折丁と呼ばれる本の一部を縫い合わせる機械です。一方,製本ラインは糸かがりが済み,断裁を終えた本の中身と表紙を一体にするシステムです。幾つかの荷に分けられた,合計20㌧もある製本ラインを運び入れるには,安全に気を配り,慎重に作業を進める必要があります。フォークリフトを使ってコンテナから下ろされた大きな機械はクレーンで吊り上げられ,建物の開口部からせり出すように取り付けられた架台の上に載せられます。次いで,ころを使って機械は工場の中へ運び込まれました。糸かがり機は,エレベーターで工場の4階に引き上げられました。
機械の設置
これらの機械を設置し,オペレーターを訓練するために,ものみの塔協会のドイツ支部から二人の技術者が派遣されました。二人は,機械を製作した会社での訓練を受けており,二人の手で設置された機械は製作会社の設置した機械とみなされます。どちらの機械もテストが重ねられ,オペレーターに訓練が与えられました。3月の初めには,糸かがり機のテストが,そして20日過ぎには製本ラインのテストが終了し,生産が始まりました。
新しい糸かがり機は,従来の機械が1日にポケット版サイズの本1万冊分を生産していたところを,1日に1万5,000ないし2万冊分を生産することが可能です。あまりの速さに,長年糸かがり機で働く奉仕者が,「これは若い元気な人の操作する機械だ」と述べたほどです。しかし,新しい機械の長所はスピードだけではありません。「この機械で縫ったほうが品質もよく,丈夫な本ができるのです」とオペレーターの一人は説明しています。
製本ラインも従来のラインと比べて1.4倍ほどの速度で本を生産することができるようになります。製本する本に合わせてコンピューターで機械を調整するので,セットの時間も短くて済みます。ポケット版のデラックス聖書を生産する際にラインに11人が必要とされていたのに対し,このシステムでは7人で済みます。
しかし,なぜこのような製本の機械が必要とされるのでしょうか。それは日本国内,および日本のものみの塔協会から文書の供給を受けている他の国々における,聖書の理解を促す出版物に対する需要が高まっているためです。こうして生産される出版物は,心の清い人々を,命の水へ「来なさい!」と招くための手段となっているのです。―啓示 22:17。