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    ものみの塔 2009 | 4月15日
    • ヨブはエホバの名を尊んだ

      「エホバのみ名が引き続きほめたたえられるように」。―ヨブ 1:21。

      1 ヨブ記は,だれが,いつごろ書いたと考えられますか。

      モーセは,およそ40歳の時,ファラオの憤りを免れるためにエジプトから逃走し,ミディアンで暮らすようになりました。(使徒 7:23)モーセが,近くのウツの地に住んでいたヨブの試練について聞いたのは,そのミディアンの地にいた時であろうと思われます。そして,ヨブの最後の年月について知ったのは,さらに幾年もたって,モーセとイスラエル国民が荒野での旅の終わりごろウツの近くにいた時だったかもしれません。ユダヤ人の伝承によれば,モーセがヨブ記を書いたのは,ヨブの死後しばらくたってからのことです。

      2 現代のエホバの僕たちは,ヨブ記のおかげで,どのように力づけられていますか。

      2 ヨブ記のおかげで,現代の神の僕たちは信仰を強めることができます。なぜなら,天で起きた非常に重要な出来事について知ることができ,神の宇宙主権に関する最大の論争を銘記できるからです。また,忠誠を保つことに何が関係しているか,エホバがご自分の僕たちに苦しみを許されることがあるのはなぜか,といった点についてもよく理解できます。さらに,悪魔サタンこそエホバの主要な敵対者であり人類の敵である,ということも認識できます。そして,ヨブと同じく不完全な人間でも,エホバに対する忠節を,厳しく試されたとしても保つことができる,ということも分かります。では,ヨブ記の中で述べられている出来事を幾つか調べてみましょう。

      ヨブはサタンから試された

      3 ヨブはどんな人でしたか。サタンがヨブを標的としたのはなぜですか。

      3 ヨブは,影響力のある裕福な人で,道徳的に優れた族長でした。また,貧しい人たちを助ける,評判の良い助言者でもあったようです。そして何よりも,神を恐れる人でした。「とがめがなく,廉直で,神を恐れ,悪から離れていた」と述べられています。ヨブが悪魔サタンの攻撃の標的とされたのは,影響力のある裕福な人だったからではありません。敬虔な専心を示していたからなのです。―ヨブ 1:1; 29:7-16; 31:1。

      4 忠誠とは何ですか。

      4 ヨブ記の書き出しの部分には,み使いたちがエホバの前に立った,天における集会のことが述べられています。サタンもそこにいて,ヨブのことを悪く言いました。(ヨブ 1:6-11を読む。)サタンはヨブの所有物に言及したとはいえ,狙いは専らヨブの忠誠心に挑むことでした。「忠誠」という語には,廉直である,とがめられるところがない,義にかなっている,といった考えが含まれています。聖書中の用法によると,人間の忠誠とは,エホバに対する心の専心の全き状態のことです。

      5 サタンはヨブについてどんなことを主張しましたか。

      5 サタンは,神に対するヨブの崇拝は忠誠心にではなく利己心に基づいている,と主張しました。ヨブがエホバに対して忠節を保つとしても,それは神から報いと保護を受けている間だけのことだ,と言うのです。エホバは,その訴えに対する一つの答えを示すため,サタンに,その忠実な人を攻撃することをお許しになりました。その結果,1日のうちに,ヨブは自分の家畜が盗まれるか殺されるかしたこと,従者たちが殺害されたこと,自分の10人の子どもが命を失ったことを知りました。(ヨブ 1:13-19)ヨブはサタンの攻撃に屈してしまったでしょうか。霊感による記録によれば,ヨブはそうした不幸に見舞われた時,こう述べました。「エホバが与え,エホバが取り去られたのだ。エホバのみ名が引き続きほめたたえられるように」。―ヨブ 1:21。

      6 (イ)天で再び集会が開かれた時,どんなことがありましたか。(ロ)サタンは,エホバに対するヨブの忠誠心に挑んだ時,ほかのだれのことも念頭に置いていましたか。

      6 後に,天で再び集会が開かれました。その時もサタンは,ヨブのことを悪く言い,こう述べました。「皮のためには皮をもってしますので,人は自分の魂のためなら,持っているすべてのものを与えます。逆に,どうか,あなたの手を出して,彼の骨と肉にまで触れて,果たして彼が,それもあなたの顔に向かってあなたをのろわないかどうかを見てください」。注目したいのは,サタンが非難の対象を広げていることです。「人は自分の魂のためなら,持っているすべてのものを与えます」と言うことにより,ヨブの忠誠心だけでなく,エホバを崇拝する「人」すべての忠誠心に挑んだのです。その後,神はサタンがヨブを痛みの伴う病気で打つことをお許しになりました。(ヨブ 2:1-8)しかし,ヨブの試練は,それで終わったわけではありません。

      ヨブの取った立場から学ぶ

      7 ヨブは妻と慰問者たちからどのように重圧をかけられましたか。

      7 ヨブの妻は当初,夫が被ったのと同じ打撃を被りました。子どもと財産を失って,打ちのめされたことでしょう。痛みの伴う病気で苦しむ夫を見てつらかったに違いありません。ヨブに向かってこう叫びました。「あなたはなおも自分の忠誠を堅く保っているのですか。神をのろって死になさい!」 その後,男性3人がやって来ました。エリパズ,ビルダド,ツォファルです。ヨブを慰めるために来た,ということです。ところが3人とも,誤った推論に基づいて語ったため,「厄介な慰め手」となりました。例えばビルダドは,ヨブの子どもたちは悪行に携わったので当然の報いを受けた,という意味のことを述べました。エリパズは,ヨブの苦しみは過去に犯した罪に対する罰である,とほのめかしただけでなく,忠誠を保つ人が神にとって価値ある存在なのかどうか疑問視することさえしました。(ヨブ 2:9,11; 4:8; 8:4; 16:2; 22:2,3)ヨブは,そのような重圧のもとで忠誠を保ちました。もっとも,『神よりもむしろ自分の魂を義と宣する』ようになった時には,とがを犯したと言えます。(ヨブ 32:2)しかし,試練の間ずっと忠実だったことに変わりはありません。

      8 今日だれかに助言を与える人にとって,エリフはどんな良い模範となっていますか。

      8 次に,エリフのことが記されています。エリフもヨブの慰問に来ていました。エリフは最初,ヨブとその3人の友の議論に耳を傾けました。その4人より年下でしたが,彼らに勝る知恵を示します。ヨブに思いやり深く語りかけ,ヨブの廉直な歩みを褒めましたが,ヨブが自分にはとががないことを証明しようと躍起になってしまった,という点も指摘しました。そのあと,エリフはヨブを安心させるため,神に忠実に仕えることにはどんな場合でも価値がある,と述べました。(ヨブ 36:1,11を読む。)今日だれかに助言を与えなければならない人の倣うべき,なんと立派な模範でしょう。エリフは辛抱強さを示し,注意深く耳を傾け,褒めることのできる点は褒め,築き上げる助言を与えたのです。―ヨブ 32:6; 33:32。

      9 エホバはヨブを助けるためにどうされましたか。

      9 最後にヨブは,神から語りかけられ,畏敬の念に打たれます。『エホバが風あらしの中からヨブにお答えになった』とあります。ヨブが考え方を正せるようにと,エホバは親切に,しかし毅然として,一連の問いかけをなさったのです。ヨブは,進んでその戒めを受け入れ,「私は取るに足りない者となりました。……塵と灰の中でまさしく悔い改めます」と言いました。エホバはヨブに話しかけた後,3人の友に対して怒りを表明されました。なぜなら,その3人が「真実なこと」を語らなかったからです。ヨブはその友たちのために祈ることになりました。そして,「エホバは,ヨブがその友のために祈ったとき,彼の捕らわれた状態を元に戻し,エホバはさらに,すべてヨブのものであったものを,二倍にして与えはじめ」られました。―ヨブ 38:1; 40:4; 42:6-10。

      わたしたちはエホバをどれほど深く愛しているか

      10 エホバがサタンを無視することも滅ぼすこともしなかったのはなぜですか。

      10 エホバは宇宙を創造した方であり,創造された物すべての主権者です。では,そのような方が悪魔の挑戦を無視されなかったのはなぜでしょうか。それは,サタンを無視したとしても,あるいは滅ぼしたとしても,引き起こされた論争の解決にはならない,ということをご存じだったからです。悪魔は,エホバの際立った僕ヨブでも,経済的に恵まれた境遇でなくなれば,忠節を保つことはない,と主張していました。しかしヨブは,その点で試されても,引き続き忠節でした。するとサタンは,どんな人間も,身体面で苦しい目に遭えば神に背を向ける,と主張しました。ヨブは苦しい目に遭いましたが,忠誠を曲げませんでした。そのようにして,不完全とはいえ忠実な人ヨブの場合,サタンは偽り者であることが証明されました。では,神の他の崇拝者たちについてはどうでしょうか。

      11 イエスはどのようにサタンの挑戦に対する完ぺきな返答を提出しましたか。

      11 神の僕は各自,サタンからどんな仕打ちを受けようとも忠誠を保つとき,事実上,わたしの場合もその冷酷な敵の非難は誤りである,ということを証明していることになります。イエスは地に来て,サタンの挑戦に対する完ぺきな返答を提出しました。イエスは,人類最初の父親アダムと同じく,完全な人でした。イエスが死に至るまで忠実であったことは,サタンが偽り者で,その非難も誤りであることの決定的な証しとなりました。―啓 12:10。

      12 エホバの僕各人には,どんな機会と責任がありますか。

      12 にもかかわらず,サタンはエホバの崇拝者たちを試し続けています。わたしたち各人には,エホバに仕える動機が利己的なものではなくエホバに対する愛であることを自分の忠誠によって実証する機会と責任があります。わたしたちはその責任をどうみなしていますか。エホバに忠節を尽くすことを,特権と考えています。わたしたちは,耐え忍ぶための力をエホバが与えてくださること,またヨブの場合と同じように,試練に限度を設けてくださることを知っているので,安心できます。―コリ一 10:13。

      サタン ― ごう慢な敵対者また背教者

      13 ヨブ記から,サタンについてどんなことが分かりますか。

      13 ヘブライ語聖書には,サタンがエホバに挑戦して人類を迷わした,その恥ずべき歩みについて示されています。そしてクリスチャン・ギリシャ語聖書から,エホバに対するサタンの反対について,さらに情報が得られ,「啓示」の書では,エホバの主権が立証されることやサタンが最終的に滅ぼされることが分かります。一方ヨブ記からは,サタンの反逆の歩みについて多くの点を知ることができます。サタンが,天における集会に出席していた時,エホバを賛美するつもりなどなかったことや,悪意と陰険なもくろみを抱いていたこと,そしてヨブを訴え,試すことを許されるや,「エホバのみ前から出て行った」ことなどです。―ヨブ 1:12; 2:7。

      14 サタンはヨブに対するどんな態度をあらわにしましたか。

      14 ですから,ヨブ記の中でサタンは人類の無慈悲な敵として明らかにされています。天における,ヨブ 1章6節で言及されている集会から,2章1節で述べられている集会まで,どれほどの時が経過したかは分かりませんが,その間ヨブは容赦なく試されました。しかしヨブが忠実を保ったので,エホバはサタンに,『あなたはわたしを駆り立てて彼に向かわせ,理由もなく彼を呑み尽くさせようとするが,なおもヨブは自分の忠誠を堅く保っている』と言うことができました。それでもサタンは,自分の主張が間違っていたことを認めるどころか,ヨブを別の仕方で厳しく試してみることを要求しました。そのようにして悪魔は,ヨブを裕福だった時にも貧窮した時にも試しました。そうです,サタンは,貧しい人や災いを被った人に少しも同情しません。忠誠の人を憎んでいるのです。(ヨブ 2:3-5)いずれにせよ,ヨブが忠実であったため,サタンは偽り者だ,ということが明らかになりました。

      15 現代の背教者たちには,サタンとのどんな共通点がありますか。

      15 サタンは,被造物のうち最初に背教した者です。現代の背教者たちも,悪魔と同じような特徴を示しています。背教者の思いは,会衆内の個々の人,クリスチャンの長老たち,あるいは統治体に対する批判的な精神に毒されている,と言ってよいでしょう。背教者たちの中には,エホバという神の名を用いることに反対する人もいます。それらの人は,エホバについて学ぶことやエホバに仕えることに関心を抱いていません。自分たちの父サタンのように,忠誠の人を標的にしています。(ヨハ 8:44)ですから,エホバの僕が背教者と一切接触しないようにするのは,当然のことです。―ヨハ二 10,11。

      ヨブはエホバの名を尊んだ

      16 ヨブはエホバに対するどんな態度を示しましたか。

      16 ヨブは,エホバの名を用い,その名を賛美しました。子どもたちが死んだと知らされて打ちひしがれた時でさえ,神に何も不当なことを帰しませんでした。自分の損失を間違って神のせいにしましたが,それでもエホバの名を尊びました。後に自ら述べた格言的なことばの中で,「見よ,エホバへの恐れ ― これこそ知恵であり,悪から離れることが悟りである」と言明しました。―ヨブ 28:28。

      17 ヨブにとって,忠誠を保つのに何が助けになりましたか。

      17 ヨブにとって,忠誠を保つのに何が助けになったのでしょうか。明らかにヨブは,災いに見舞われる前から,エホバとの密接な関係を培っていました。エホバに対するサタンの挑戦についてヨブが知っていたという証拠はありませんが,ヨブは忠節を貫く決意でいました。「わたしは息絶えるまで,自分の忠誠を自分から奪い去らない!」と言ったのです。(ヨブ 27:5)ヨブは,どのようにしてその密接な関係を育んだのでしょうか。きっと,自分の遠い親戚であったアブラハム,イサク,ヤコブを神がどのように扱われたかについて聞いた事柄を心に収めていたのでしょう。また,創造物を観察してエホバの特質の多くを認識することもできたでしょう。―ヨブ 12:7-9,13,16を読む。

      18 (イ)ヨブはエホバに対する専心をどのように示しましたか。(ロ)わたしたちはヨブの立派な模範にどのように倣えますか。

      18 ヨブは,学んだ事柄によって,エホバに喜ばれたいと思うようになりました。また,定期的に犠牲をささげました。それは,家族のだれかが神に喜ばれないことをしたかもしれない,あるいは「その心の中で神をのろった」かもしれないと考えたからです。(ヨブ 1:5)厳しく試された時でも,エホバについて積極的なことを述べました。(ヨブ 10:12)なんと立派な模範でしょう。わたしたちも,エホバとその目的についての正確な知識をいつも取り入れなければなりません。研究,集会への出席,祈り,良いたよりの伝道といった霊的活動の健全な習慣を保ちます。さらに,エホバの名を知らせるために,できることは何でもします。そうすればエホバは,ヨブの忠誠を見て喜ばれたのと同じように,今日の神の僕たちの忠誠を見て心から歓ばれます。この点については,次の記事で考えましょう。

  • あなたの忠誠はエホバの心を歓ばせる
    ものみの塔 2009 | 4月15日
    • あなたの忠誠はエホバの心を歓ばせる

      「我が子よ,賢くあって,わたしの心を歓ばせよ。わたしを嘲弄している者にわたしが返答するためである」。―箴 27:11。

      1,2 (イ)ヨブ記には,サタンによるどんな挑戦のことが述べられていますか。(ロ)サタンがヨブの時代の後もずっとエホバを嘲弄していることは,どんなことから分かりますか。

      エホバはサタンに,ご自分の忠節な僕ヨブの忠誠を試すことをお許しになりました。その結果,ヨブは家畜や子どもたちを失い,また健康も損ないました。とはいえ,サタンはヨブの忠誠心に挑んだ時,単にヨブ一人を念頭に置いていたのではありませんでした。「皮のためには皮をもってしますので,人は自分の魂のためなら,持っているすべてのものを与えます」と主張したのです。この挑戦により,一つの論争が引き起こされました。ヨブ以外の人々もかかわる,ヨブの死後もずっと続いている論争です。―ヨブ 2:4。

      2 ヨブの試練の後600年ほどたって,ソロモンは霊感のもとにこう書きました。「我が子よ,賢くあって,わたしの心を歓ばせよ。わたしを嘲弄している者にわたしが返答するためである」。(箴 27:11)明らかに,ソロモンの時代にもサタンは,相変わらずエホバに挑戦していました。さらに,使徒ヨハネに与えられたある幻によれば,1914年に神の王国が設立されたあと天から追い出されたサタンは,神の僕たちのことを悪く言っています。そうです,この邪悪な体制の終わりの日がかなり進んだ今日でもなお,神の僕たちの忠誠心に挑んでいるのです。―啓 12:10。

      3 ヨブ記から,どんな貴重な教訓を学べますか。

      3 ではこれから,ヨブ記から学べる重要な教訓を三つ取り上げましょう。一つ目は,ヨブの試練に関連して,人類の真の敵はだれか,また神の民に対する反対はどこから来るかが明らかにされている,ということです。その敵とは悪魔サタンです。二つ目は,わたしたちもどんな試練に遭おうと,神と密接な関係にあれば忠誠を保てる,ということです。三つ目は,試練が生じて何らかの点で試されるとき,神はヨブの場合と同じように支えてくださる,ということです。今日エホバは,み言葉,ご自分の組織,また聖霊によって支えてくださいます。

      だれが真の敵かを忘れてはならない

      4 現在の世の状態に対して責めを負うべきなのはだれですか。

      4 多くの人はサタンの実在を信じていません。そのため,世の状態を憂慮しても,その元凶が悪魔サタンであることには気づきません。もっとも,人類の遭う災いの原因の多くは人間自身にあります。最初の二親であるアダムとエバが,創造者から独立する道を選び,以来その子孫も,思慮分別のない行動をしてきたのです。とはいえ,エバを欺いて神に背かせたのは悪魔です。その悪魔が,死にゆく不完全な人類の間に,自分の支配する世界体制を発展させてきました。サタンが「この事物の体制の神」であるゆえに,人間社会にはサタンと同じ基本的な特徴,すなわち誇り,闘争心,ねたみ,貪欲,欺き,反抗の精神が反映されています。(コリ二 4:4。テモ一 2:14; 3:6。ヤコブ 3:14,15を読む。)それらのものが政治紛争や宗教紛争,憎しみ,汚職,無秩序などを生み,これが人類の悲惨な状態の要因となっているのです。

      5 わたしたちは,自分の持つ貴重な知識をどうしたいと思いますか。

      5 エホバの僕であるわたしたちは,なんと貴重な知識を得ているのでしょう。悪化してゆく世の状態に対して責めを負うべき者はだれなのかを知っているのです。ぜひとも野外宣教に参加して人々に諸悪の根源を知らせたい,という気持ちになるのではないでしょうか。そして,まことの神エホバの側に立って,エホバがどのようにサタンと人類の災いを終わらせてくださるかを他の人に説明できるのは,うれしいことではないでしょうか。

      6,7 (イ)真の崇拝者たちに対する迫害を引き起こしてきたのはだれですか。(ロ)昔のエリフの示した模範にどのように倣えますか。

      6 サタンは,世の悲しみの多くを招いただけでなく,神の民の経験する反対をも引き起こしてきました。わたしたちを何としても試すつもりです。イエス・キリストは使徒ペテロに,「シモン,シモン,見よ,サタンは,あなた方を小麦のようにふるいにかけるため,あなた方を手に入れることを要求しました」と言いました。(ルカ 22:31)イエスの足跡に従うわたしたちも各々,何らかの試練を経験します。ペテロは悪魔を,『だれかをむさぼり食おうとしている,ほえるライオン』になぞらえました。パウロも,「キリスト・イエスにあって敬虔な専心のうちに生活しようと願う人はみな同じように迫害を受けます」と述べました。―ペテ一 5:8。テモ二 3:12。

      7 では,信仰の仲間に悲劇が生じた時,真の敵を忘れていないことをどのように示せるでしょうか。わたしたちは,悲劇に見舞われたその兄弟から遠ざかるのではなく,真の友としてヨブに語りかけた,昔のエリフのように行動します。兄弟と一緒になって,共通の敵であるサタンと闘うのです。(箴 3:27。テサ一 5:25)目指すところは,仲間の僕を,いかなる状況のもとでも忠誠を保ってエホバの心を歓ばせるよう,助けることです。

      8 サタンはヨブがエホバを敬うのをやめさせることができませんでしたが,それはなぜですか。

      8 サタンがヨブから最初に奪った資産は,家畜でした。そうした動物は価値のあるもので,ヨブの生計手段になっていたことでしょう。しかしヨブは,家畜を崇拝にも用いました。ヨブは,子どもたちを神聖なものとした後,「朝早く起きて,彼らすべての数にしたがって焼燔の犠牲をささげた。これは,ヨブが,『もしかすると,わたしの息子たちは罪をおかし,その心の中で神をのろったかもしれない』と言ったからである。ヨブはいつもこのようにするのであった」。(ヨブ 1:4,5)そうです,ヨブは定期的にエホバに動物を犠牲として捧げていたのです。しかし試練が始まると,もはやそうすることはできなくなりました。ヨブには,エホバを敬うための価値ある「貴重なもの」がありませんでした。(箴 3:9)とはいえ,自分の唇をもってエホバを敬うことはでき,実際,そうしました。

      エホバとの密接な関係を培いなさい

      9 わたしたちの持っている最も貴重なものは何ですか。

      9 わたしたちは,富んでいようと貧しかろうと,若かろうと年老いていようと,健康であろうとなかろうと,エホバとの密接な関係を培うことができます。神との緊密な絆があれば,どんな試練に直面しても,個人として忠誠を保ち,エホバの心を歓ばせることができます。現に,真理についてわずかな知識しかなくても,勇気ある立場を取り,忠誠を保った人たちがいます。

      10,11 (イ)一人の姉妹は,忠誠を試す苦難にどう対処しましたか。(ロ)この姉妹はサタンにどんな力強い返答をしましたか。

      10 バレンチーナ・ガルノフスカヤ姉妹の例を挙げましょう。忠実なヨブのように厳しい試練のもとでも忠誠を保った,ロシアの大勢の証人たちの一人です。1945年,20歳のころ,ある兄弟から証言を受けました。兄弟はそのあと二度,聖書について話すためにやって来ましたが,その後は一度も見かけませんでした。それでもバレンチーナは,近所の人に伝道し始めました。その結果,逮捕され,収容所での8年の刑を言い渡されました。そして,1953年に釈放されると,すぐに伝道活動を再開しました。そのため,再び逮捕され,投獄されました。この時は10年の刑でした。ある収容所で何年か過ごした後,別の収容所に移されました。そこには姉妹たちがいて聖書を1冊持っており,ある日,一人の姉妹がその聖書を見せてくれました。それはまさに,胸の躍るような一時でした。バレンチーナは聖書を,1945年に自分に証言してくれた兄弟が手にしていたのを見て以来,一度も目にしていなかったのです。

      11 1967年,バレンチーナは自由の身となり,ついにエホバへの献身の象徴として水のバプテスマを受けることができました。そして熱心に,自由を活用して宣教奉仕に参加しました。ところが,1969年になって再び逮捕され,この度は3年の刑を宣告されました。それでも伝道を続け,2001年に亡くなるまでに44人を,真理を学ぶよう助けました。バレンチーナは刑務所や収容所で通算21年を過ごしました。忠誠を保つために,自分の自由を含めすべてのものを進んで犠牲にしたのです。晩年にこう語りました。「自分の住まいを持ったことは一度もありませんでした。持ち物はすべて一つのスーツケースに収まりましたが,それでもエホバに仕えられることが幸せで,満ち足りていました」。人間は試練に直面すれば神に対する忠誠を保たない,と主張したサタンへの,なんと力強い返答でしょう。(ヨブ 1:9-11)バレンチーナはエホバの心を歓ばせたに違いありません。そしてエホバは,バレンチーナや忠実のうちに亡くなった他の人々すべてを生き返らせる時を切に待ち望んでおられることでしょう。―ヨブ 14:15。

      12 わたしたちとエホバとの関係において,愛はどんな役割を果たしますか。

      12 わたしたちとエホバとの友としての関係は,エホバに対する愛に基づくものです。わたしたちは神の持たれる特質を称賛します。また,神の目的に調和して生きるために,できる限りのことを行ないます。エホバに対するそうした愛は,悪魔の主張とは正反対の,自発的な無条件のものです。心からのこの愛こそ,試練のもとで忠誠を保つための力となります。一方,エホバは『ご自分の忠節な者たちの道を守られる』のです。―箴 2:8。詩 97:10。

      13 わたしたちがエホバのために行なう事柄を,エホバはどのように見てくださいますか。

      13 わたしたちは,自分のできることが限られているように思えるとしても,エホバを愛するゆえにその名を尊びます。エホバは,良い動機をご覧になり,わたしたちが自分のしたい事柄すべてを行なえないとしても,裁いたりはされません。わたしたちが何を行なっているかだけではなく,なぜ行なっているのかということも重要だからです。ヨブは,悲嘆に打ちひしがれ,多くのことを耐え忍んでいた時でも,悪く言う者たちに,エホバの道に対する自分の愛について語りました。(ヨブ 10:12; 28:28を読む。)ヨブ記の最後の章にあるとおり,神は,エリパズ,ビルダド,ツォファルに対して怒りを表明されました。その3人が真実を語らなかったためです。その際エホバは,4回,ヨブのことを「わたしの僕」と述べることにより,またヨブにそれら悪行者のために執り成しをするよう指示することにより,ヨブに対する是認を示されました。(ヨブ 42:7-9)わたしたちも,エホバに好意をもって見ていただけるように行動したいものです。

      エホバは忠実な僕たちを支える

      14 エホバは,ヨブが考え方を正せるよう,どのように助けをお与えになりましたか。

      14 ヨブは不完全な人間でしたが,忠誠を保ちました。しかし,極度の圧力のもとで,物事を正しく見られなくなってしまったこともあります。例えば,エホバに,「私はあなたに向かって助けを叫び求めますが,あなたはお答えになりません。……み手の全力をもってあなたは私に対して敵がい心を抱かれます」と言いました。それだけでなく,自己弁護に重きを置きすぎて,『私は誤っていません』,『わたしのたなごころには暴虐はなく,わたしの祈りは純粋だ』と言いました。(ヨブ 10:7; 16:17; 30:20,21)それでもエホバは,一連の問いかけをして,ヨブが自分自身に注意を向けるのをやめるよう親切に助けられました。また,神の至上性と人間の弱小さを一層よく理解できるようになさったのです。ヨブは,そうした指導を受け入れ,自分を正しました。―ヨブ 40:8; 42:2,6を読む。

      15,16 エホバは,今日ご自分の僕たちにどのように助けを差し伸べておられますか。

      15 エホバは今日でもご自分の僕たちに,親切かつ毅然とした導きを差し伸べておられます。わたしたちはさらに,大きな益も受けています。例えば,イエス・キリストが贖いの犠牲となって,罪の許しのための基盤を据えたので,わたしたちは不完全な人間であるにもかかわらず,その犠牲に基づいて神との密接な関係を持つことができます。(ヤコ 4:8。ヨハ一 2:1)また,試練に直面している時には,神の聖霊による支えや力添えを祈り求めることもできます。加えて,聖書全巻を持っており,読んで黙想するなら,信仰の試練に備えることができます。そうした研究は,宇宙主権と個人の忠誠に関する論争を理解するのに役立つのです。

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