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  • 問題は広がっている
    目ざめよ! 1998 | 4月22日
    • 問題は広がっている

      ロバートは11歳の少年にすぎませんでしたが,ひとけのないガード下でうつぶせになっているのを発見されました。後頭部に銃弾2発が撃ち込まれていました。仲間の青少年ギャングのメンバーに殺されたものと見られています。

      15歳のアレックスは,ギャングのメンバーになりかかっていました。早死にへの道を進んでいたとも言えるでしょう。しかし,友達が死ぬのを見て,『自分はそんなふうになりたくない』と思いました。

      暴力的なストリート・ギャングと言うと,かつては,ロサンゼルスのブラッズやクリップスという名の広く知られたギャングと結びつけて考えられたものです。現在,ギャングは世界じゅうに見られるようになりました。しかし,どこのギャングも非常によく似ています。

      英国の“テディボーイ”という非行少年たちが世間を驚かせたのは1950年代のことです。ロンドンのタイムズ紙によれば,彼らは斧,ナイフ,自転車のチェーンなどを凶器として,罪のない人々に「ひどい傷を負わせ」ました。『ナイフを振るうけんかが起こり,喫茶店は荒らされ,コーヒースタンドは壊され』ました。人々は嫌がらせを受け,金品を奪われ,さんざん殴られ,場合によっては殺されました。

      ドイツのハンブルクのディ・ウェルト紙は,最近になって「ディスコの行き帰り」の若者が「野球のバット,ナイフ,銃」を用いるギャングに襲われていると伝えています。ミュンヘンの「南ドイツ新聞」は,ベルリンのスキンヘッドが「すぐに弱者と分かる人,すなわちホームレス,障害者,老後を送る女性」をだれかれ構わず襲うと報じました。

      スペインの「目ざめよ!」通信員によれば,スペインで十代のギャングの問題が見られるようになったのは最近のことですが,深刻化しているということです。マドリードの新聞「ABC」は,「スキンヘッド ― 路上の新たな悪夢」という見出しを掲げました。スペイン生まれの元スキンヘッドの一人は,「外国人ども,売春婦,同性愛者」をいつもかぎ出していたと語り,「暴力ざたのない晩は退屈[だった]」とも言いました。

      南アフリカのケープ・タイムズ紙は,その国の暴力犯罪がおおかた「ギャングの悪徳文化の副産物」であると述べています。ケープタウンで発行されたある本には,アフリカのギャングが貧しい居住区の「寄生虫」となり,「地域住民の間で略奪や強姦を行ない,縄張りや取り引き先や女性をめぐるギャングの乱闘に明け暮れている」ことが記されています。

      ブラジルの新聞「オー・エスタド・デ・サンパウロ」は,国内でギャングが「恐るべき勢いで増えている」と述べています。それによれば,ギャングは自分たちと対立しているギャング,裕福な若者,別の人種の人,貧しい移住労働者たちを襲うということです。また,ある日の出来事として,幾つかのギャングが網を張って,「ビーチで人々から金品を奪い……互いに乱闘を起こし」,リオデジャネイロの目抜き通りを「戦闘地帯」に変えたことも伝えています。ブラジルからはさらに,ギャングの数はサンパウロやリオデジャネイロといった大都市でも,もっと小さい町でも増えているということが伝えられています。

      カナダの雑誌「マクレアンズ」が1995年に伝えたところによると,警察の推計ではカナダのウィニペグ市で少なくとも八つのストリート・ギャングが活動しているということでした。さらに,米国の幾つかの新聞は,米国南西部の孤立したインディアン居住区にまでギャング風の服装や落書きを広めた,ギャングのメンバーたちの写真を掲載しました。

      昨年ニューヨーク市では,ギャングの関係する暴力事件が立て続けに発生しました。元々ロサンゼルスで幅を利かせていたギャング,ブラッズとクリップスのメンバーたちが関与していたということです。ニューヨーク市長によれば,警察は7月から9月にかけて,ストリート・ギャングが直接関係した事件で702人を逮捕しました。

      この問題は,もはや大都市に限ったものではありません。米国中部で発行されているクワッド・シティー・タイムズ紙は,「十代の若者の間で暴力行為が増え,薬物の使用が広まり,絶望感が増している」ことを伝えています。

      痛ましい問題

      あるギャングは,初めは友達同士のグループだったということです。しかし,そのリーダーが取りざたされるにつれて暴力ざたも増えてゆきました。このリーダーは祖母の家に住んでいましたが,その家はたびたび銃撃に遭いました。中に祖母がいた時もそうでした。ある新聞が報じたところによれば,その家に撃ち込まれた銃弾は50発余りに上るということです。銃撃は,孫のギャングの仕業に対する報復として行なわれたようです。そればかりか,そのリーダーの兄はギャングの関係する活動のために投獄されていましたし,いとこは,暴力から逃れるために引っ越していましたが,家を訪れたさい,通りかかったバンに乗っていた何者かに撃たれました。

      ロサンゼルスでは,ギャングのメンバーが1台の車に発砲し,罪のない3歳の子供を死亡させました。その母親とボーイフレンドは,普通は入ってはならないような道路に間違って乗り入れてしまったのです。一発の銃弾が校舎に撃ち込まれ,生活を向上させるよう生徒を助けていた一人の教諭に当たりました。ギャングとは何の関係もないのにギャングの犠牲になって死亡した人は,ほかにも大勢います。ニューヨークのブルックリンに住む一人の母親は,最も気の毒な例として近所で知られるようになりました。3人の若い息子をすべてギャングの抗争で失ったのです。

      若者の暴力という,こうした世界規模の問題の原因はどこにあるのでしょうか。どうすれば愛する我が子を守ることができますか。そもそもギャングはどのように形成されるのでしょうか。それに入る若者たちがとても多いのはなぜでしょうか。これらの疑問は続く記事で取り上げます。

  • ギャングについて知っておくべきこと
    目ざめよ! 1998 | 4月22日
    • ギャングについて知っておくべきこと

      カリフォルニアのあるギャングのメンバーだったウェードは,こう語りました。「僕たちは近所の子供同士にすぎませんでした。小学校に上がったのも一緒でした。ただ,正しい決定をしなかったのです」。

      ギャングはたいがい,近所の仲間同士から始まる場合が多いものです。十代の初めか,それより年下の若者たちが街角に集まります。一緒に行動しているうちに,近くのもっとまとまっているグループから身を守るために団結します。しかしやがて,仲間のうち最も暴力的なメンバーたちのレベルで行動しはじめ,危険な犯罪行為にかかわるようになります。

      別の地区の対立するギャングは,その新しいグループを敵とみなすことがあります。こうして怒りは暴力につながります。麻薬の売人は,違法な薬物を売るためにそのギャングを利用します。それに伴って他の犯罪行為にも携わるようになります。

      ルイスの友達がギャングを結成したのは,ルイスが11歳の時でした。ルイスは12歳で薬物を使うようになり,13歳で初めて逮捕されました。自動車の盗み,住居侵入,武装強盗に携わりました。また,ギャングの乱闘や暴力ざたで刑務所に入ったり出たりしました。

      意外な人がギャングの一員であるのを知って驚かされることもあります。マーサは身だしなみの整った,よくできるハイスクールの生徒です。成績は良く,学校での行儀に問題はありませんでした。しかしマーサは,マリファナやヘロインやコカインを売るギャングのリーダーでした。友達の一人が何度か撃たれた末に死亡したことで怖くなり,ようやく生活を改めました。

      なぜギャングに入るのか

      意外なことですが,ギャングのメンバーの中には,愛情を求めて入ったと言う人たちがいます。仲間意識,家では見いだせない親密さを探していたのです。ドイツのハンブルクの新聞「ディー・ツァイト」は,若者たちがほかでは見いだせない安心感をストリート・ギャングの中に見いだそうとすると述べています。ギャングのメンバーだったエリックは,家庭で愛情が得られないと「もっと良いものを求めて外の人たちのところに行く」と言っています。

      ギャングのメンバーだった一人の父親は,若いころの体験についてこう書いています。「私は治安びん乱,ギャングの乱闘,暴力ざた,果ては車からの銃撃による殺人未遂のために何度も刑務所に入ったり出たりしていました」。後に息子のラミーロが生まれましたが,父親としてその子のためにほとんど時間を取ってやれませんでした。ラミーロも大きくなるとギャングに入り,ギャングの乱闘のあと警察に逮捕されました。ギャングから足を洗うようにと父親が強く言うと,ラミーロは「今はそれが僕の家族なんだ」と声を荒らげました。

      テキサス州のある病院に勤務している看護婦は1年と少しの間に,銃で撃たれて担ぎ込まれた若者114人と話をしました。こう言っています。「不思議なことに,そのような若者が母親とか家族のだれかに会いたいと言うのを聞いたことは一度もありません」。

      意味深いのは,貧しい地区の子供たちだけがギャングに加わるわけではないということです。数年前に,カナダの雑誌「マクレアンズ」は,警察の言葉として,その都市で最も裕福な地区と最も貧しい地区の子供が同じギャングの中に交じっていたことを伝えています。これらの若者は,背景はさまざまですが,似たような理由で団結します。家では見いだせない,家族の連帯感を求めているのです。

      若者たちがギャングのメンバーになることを普通の生き方だと思って成長する地域もあります。16歳のフェルナンドは,こう説明しています。「ギャングに入れば問題を解決できると考えるのです。『友達を作ろう。みんな体は大きいし,銃を持っている。僕を守ってくれるに違いない。これで何も怖いものはないんだ』と思うのです」。しかし,ギャングのメンバーになるとやがて,ギャングに入ればその敵の標的になるということを知ります。

      ギャングがいるのは多くの場合,お金がほとんどなく,銃があまりに多い地区です。報道では,大都市の学校でクラスの生徒の3人に二人が片親の家庭の子供であるといったことが伝えられます。時には生徒の親が薬物中毒になっていて,夜も家に帰るとは限らないうえ,生徒自身も毎朝学校に通う前に,自分が産んだ,父親のいない子供を託児所に連れていかなければならないということもあります。

      カリフォルニア州知事のピート・ウィルソンはこう言っています。「我々が手に負えない問題を抱えているのは,成長過程にあって父親のいない子供が多いからだ。愛情をそそぎ,指導や懲らしめを与え,価値観を教える,手本にできる男性がいない。つまり,なぜ自尊心を持つべきか,なぜ他の人に敬意を払うべきかという感覚が欠落しているのだ」。同知事は,一部の若者が「あたかも良心のかけらもなく人を撃ち殺したりできる」のは,他の人を思いやれないからだと述べています。

      ギャングの増える大きな要因は,家族の連帯感やしつけや道徳面でのしっかりした手本の欠けていることですが,ほかにも関係する要素があります。例えば,次のようなものです。暴力を問題の安易な解決策とするテレビ番組や映画。貧しい人がとかく失敗者とされ,人並みの事ができないということを絶えず思い知らされる社会。仕事で疲れきった若い母親が,監督の行き届かない子供を一人かそれ以上養うために奮闘しなければならない,片親だけの家庭の増加。こうした要素のほとんど,もしくはすべて,それにおそらく他の要素も相まって,ストリート・ギャングという深刻化する世界的な問題が生じました。

      抜け出すのは難しい

      確かに,ギャングのメンバーの中には,しばらくするといつの間にかギャングから離れて他の活動に携わるようになる人もいます。別の地方にいる親族のもとに身を寄せて,ギャングの生活から逃げる人もいます。しかし多くの場合,ギャングから抜け出すのはそれほど簡単ではありません。

      一般に,ギャングのメンバーは,数人のメンバーによる激しい殴打に耐えなければ,生きてギャングを去ることを許されません。事実,あるギャングから抜け出したいと思った人々は,実際に銃で撃たれる羽目になりました。一命を取り留めたら去ってもよいとされたのです。ギャングから抜け出すために,これほどひどい仕打ちを受けなければならないのは割に合うことでしょうか。

      ギャングの元メンバーの一人は,なぜ抜け出したいと思ったかについて,「友人のうち,すでに5人が死んでいるので」と述べています。実際,ギャングのメンバーの生活は,信じられないほど危険なことがあります。タイム誌は,シカゴのあるギャングの元メンバーについてこう伝えています。「ギャングだった7年間に,腹部に銃弾を受け,頭部を枕木で打たれ,乱闘で腕を折られ,自動車の盗みで2度投獄された。……しかし,ついにまともになったため,かつての友人たちからさえ付けねらわれるようになった」。

      生活を改めることは可能

      ブラジル人のエレノは,かつてヘッドバンガーズというギャングのメンバーでした。そのギャングは,ナイフで,時には銃で乱闘を行なっていました。エレノは自分が恵まれていないと感じ,物を壊したり人を襲ったりすることに満足を覚えていました。職場の同僚が聖書についてエレノに話しました。後にエレノはエホバの証人の大会に出席し,自分と同じギャングに属していたものの,そこから離れたかつての仲間や,対立するギャングの元メンバーに会いました。彼らは互いを兄弟として迎え入れていました。以前ならとてもあり得ないことです。

      こうしたことは本当に起きるのでしょうか。確かに起きます。最近,「目ざめよ!」誌の代表者が,かつてはロサンゼルスの大きなギャングのメンバーで,今ではエホバの証人の会衆と共に奉仕している人々と会合しました。数時間にわたる話し合いの後,その一人は息をつくと上体を起こし,こう言いました。「これはどうでしょう。ブラッズとクリップスの元メンバーが一堂に会し,兄弟として互いに愛を抱いているのです」。その人たちは,無情なギャングのメンバーだったのに親切で愛を示す人に変化できたのは,聖書を注意深く研究して敬虔な原則を学び取ったからだと,口をそろえて言いました。

      この1990年代にそのようなことが本当に起きるのでしょうか。ギャングのメンバーは実際に今,そのような変化を遂げられるのでしょうか。遂げられます。神の言葉の中に収められている強力な励ましを進んで調べ,聖書の原則に生活を合わせるなら,それは可能です。もしあなたがギャングのメンバーであれば,そのような変化を遂げることについて真剣に考えるのはいかがでしょうか。

      聖書は,『あなた方の以前の生き方にかなう古い人格を捨て去り』,「神のご意志にそいつつ真の義と忠節のうちに創造された新しい人格を着ける」ようにと促しています。(エフェソス 4:22-24)どうすればその新しい人格は身につくのでしょうか。聖書によれば,人格は「正確な知識により」,「それを創造した[神]の像にしたがって新たに(する)」ことができます。―コロサイ 3:9-11。

      変化しようと努力する価値はあるのでしょうか。確かにあります。ギャングに入っている人であれば,そのような変化を遂げるには,おそらく助けを必要とするでしょう。ご近所には,喜んでお手伝いしたいと思っている人たちがいます。それにしても,子供に最も積極的な感化を与える立場にあるのは親です。ですから今度は,ギャングから子供を守るため,親には何ができるかということを考慮します。

  • 子供をギャングから守る
    目ざめよ! 1998 | 4月22日
    • 子供をギャングから守る

      「子供は気遣ってくれる人を必要としている」―「うちの子に限って ― 親が子供をギャングから守るには」(英語)。

      わたしたちにとって,神との関係に次いで極めて貴重なものの一つは,自分の子供たちです。親は子供と話をし,その言葉に耳を傾け,子供を抱き締め,子供が自分にとって非常に大切な存在であることをぜひ分からせたいものです。良い事柄を教えなければなりません。正直で人の助けになるようにということや,どうすれば満ち足りた生活を送れるか,他の人に親切にするどんな方法があるかといった事柄を教えるのです。

      ある少年鑑別所の所長は,現代の大きな問題を的確に指摘し,「家庭で価値観が教えられていない」と言っています。それはまさに親が行なうよう心がけるべきことです。子供にどんな生き方をしてほしいのかを自分の生き方で示し,そのような生き方をすればいっそう喜びある生活が送れることを子供が見て取れるようにしなければなりません。親が正しい価値観を教えなければ,子供がそうした価値観にそって生きることを期待できるでしょうか。

      米国の教員向けの雑誌「トゥデー」(英語)は,ギャングに魅力を感じるのはだいたいにおいて「自分を落ちこぼれとみなす」若者や,「安心感,帰属意識,社会に認められることを求めている」若者であるとしています。親がこれらのものを家庭で子供たちに間違いなく与えるなら,すなわち安心感,また家庭でも自分の生活の中でも物事がうまくいっているという確信を得させるなら,子供がギャングの空約束に引き寄せられることはずっと少なくなるでしょう。

      カリフォルニア州警察の,あるギャング取締班の責任者は,戸口を訪れた警察官から,お宅のお子さんが問題を起こしたのですがと告げられると,親は驚きの表情を見せると語っています。我が子のことはよく知っていたつもりなのに,その子が悪いことをしたというのが信じられないのです。ともかく子供は新しい友達を見つけて変わってしまっていました。親はそれに気づかなかったわけです。

      用心が肝要

      ギャングの活動が盛んな地域に住む人々は,若者でも大人でも良い判断を働かせ,ギャングを挑発したり威嚇したりすべきでないと言います。ギャングのメンバーが大勢たむろしているところには近寄らないようにし,衣服のスタイルや色合いも含め,その外見や行動をまねてはなりません。そのまねをすると,対立するギャングの標的にされかねません。

      また,ギャングの一員になりたいと言わんばかりの服装をしたり行動を取ったりするなら,仲間になるようメンバーから圧力をかけられるかもしれません。地元のギャングの傾向を知っておくことの大切さについて,3人の子供を持つシカゴの父親は具体例を挙げ,『帽子を右向きにかぶるなら,彼らは私になめられていると感じるでしょう』と述べました。それがもとで暴力を振るわれるおそれもあります。

      子供に深い関心を示す

      ある母親はこう語りました。「子供のことをよく知っていなければなりません。つまり,子供が何を考え,何をしているかということを知るのです。子供の生活に個人的な関心を払わなければ助けようがありません」。別の母親は,親が食い止めない限りギャングの問題はなくならないだろうと言いました。そして,こう付け加えました。「子供に愛を注ぎましょう。子供がぐれたら親の負けです」。

      お子さんの友達をご存じですか。放課後どこに行っているか,夕方,暗くなってからどこにいるかをご存じですか。もちろん,子供が学校から帰ってくる時に母親がみな家にいられるわけではありません。それでも,独り身の母親で,家賃を支払い,子供を養うために奮闘している人たちは,他の母親やだれか信頼できる人と取り決めを設けて,午後の時間に子供を見守ってもらえるかもしれません。

      大きなギャングが幅を利かせている地区に住む一人の男性は,自分の子供をギャングからどのように守っているかと尋ねられました。その人は,息子を連れてその近辺を回り,ギャングの活動の結果を見せるようにしていると言いました。落書きや荒れ放題の建物を指して,「その地区は安全には見えないこと,またギャングのメンバーはぶらついているだけで,生活の中で意味ある事柄を成し遂げていないこと」を教えます。「それから,聖書の原則に従って生活するならそのような結果にならずにすむことを説明します」と言い添えました。

      子供の勉強に誠実な関心を示すといった普通のことが子供の保護となります。もし学校で父兄懇談会や授業参観など,父兄が招かれて先生と話し合う機会があれば,ぜひ行くようにしてください。お子さんの先生を知り,子供を気にかけていること,また子供の学校教育に関心があることを伝えてください。もし学校で授業参観の計画がなければ,先生と話をする機会を見いだすようにし,学校での子供の進歩のことや,親としてどのように助けになれるかといったことを話し合ってください。

      米国のある大都市で実施された調査によると,家族に宿題を手伝ってもらうか,宿題をするよう家族から言われた生徒のうち,ギャングに入ったのは9%でした。しかし,そのような関心が払われなかった家庭では,その倍の18%の生徒がギャングに入っていました。家族が愛し合い,固いきずなで結ばれているなら,また健全な事柄を一緒に行なうなら,子供がギャングの空約束に引き寄せられることは少なくなるでしょう。

      子供が本当に必要とする事柄

      子供は親が必要としているのと同じもの,つまり愛や思いやりや愛情を必要としています。愛情をこめてやさしく触れてもらったり,自分が大切な存在であることを言葉で表現してもらったことのない子供は少なくありません。自分の子供には決してそういうことがないようにしたいものです。子供を抱き締め,愛していることを告げ,親として教えてきた品行方正な生活を送るよう見届けることに努めたいものです。子供は掛けがえのないもので,ぜひともそうしてあげたいと思うでしょう。

      ギャングに入っていたことのあるジェラルドは,こう説明しています。「私には尊敬できる父親がいませんでした。生活の中で感じていたその物足りなさを埋めようとしてギャングに入りました」。ジェラルドは12歳で薬物を用いるようになりました。しかし17歳の時,母親がエホバの証人と定期的に家庭聖書研究をするようになりました。母親は聖書の優れた原則を生活に当てはめました。ジェラルドは言います。「母親の変化を見て,『これには何かがあるに違いない』と思いました」。母親のりっぱな手本が生き方を改めるきっかけとなったのです。

      親は子供たちに良い手本を示さなければなりません。つまり,親自身が,子供に教えているような生き方をするということです。家族の所有物ではなく,家族が行なっている事柄のゆえに,子供が家族を誇りに思えるようであるべきでしょう。また,自分の品行方正な振る舞いについて誇りに思えるように子供を助ける必要もあります。その点について,ロサンゼルス郡の元地方検事アイラ・レイナーはこう語っています。「子供をギャングに取られる前に子供の心をとらえなければなりません」。

      必要とするものを与える

      最も大切なのは,子供に与える物質的なものではありません。真に価値があるのは,りっぱな道徳規準を持つ,愛情深い,人を気遣う大人に成長するよう子供を助けることです。聖書によると,義人ヤコブは自分の子供たちのことを,「神が[私]に恵みとして与えてくださった子供たち」と言いました。(創世記 33:5)自分の子供をそのようにみなすなら,すなわち神からの贈り物とみなすなら,愛をこめて子供に接したり,正直で,廉直で,品行方正な生活を送るよう子供を教えたりする点でいっそう機敏になるでしょう。

      こうして親は,自分の生き方を通して子供に正しい手本を示すようできる限りのことをします。子供が家族についてふさわしい健全な誇りを持てるようにします。それは家族の所有物ではなく,人となりを誇る気持ちです。そうすれば,子供が街をうろついている若者に支えを求めることは少なくなるでしょう。

      孫のいる一人の男性は若いころを振り返り,「どんなことがあっても,家族の恥となるようなことはすまいと思っていました」と述べています。そのように思ったのは,親が自分を愛してくれていることが分かっていたからだと,その人は認めています。確かに,親から愛を示されたことのない人にとって,我が子に愛を示すのは簡単ではないかもしれません。それでも,親であれば子供に愛を示すように努める必要があるのです。

      このことが非常に大切なのはなぜでしょうか。その理由について,ユタ州ギャング調査官協会の発行する「ワッツ アップ」という雑誌はこう述べています。「若者は愛されていると感じ,安心感,つまり金銭面ではなく,感情面での安心感を抱くと,ギャングに入る必要を感じなくなる場合が多い」。

      愛を示し合うそのような家族は今ではまず存在しないと思う方もいらっしゃることでしょう。しかし,それは存在します。世界各地のエホバの証人の会衆に,そのような家族を数多く見いだせます。もちろん,それらの家族も完ぺきとは言えませんが,非常に有利な立場にあります。子育てについて聖書の述べる事柄を研究し,聖書の敬虔な原則を自分の生活に当てはめようと励んでいるのです。しかも,それらの原則を子供に教えています。

      エホバの証人は,「アメリカ医師会ジャーナル」誌(英語)に掲載された次のことばに同意します。「十代の若者たちに,“イエス”と言って受け入れられる何かを与えないで,ただ“ノー”と言ってきっぱり断わらせるのは無理である」。つまり,子供に健全な良い事柄を受け入れてもらいたいなら,その方向に子供を導かなければならないのです。

      ある父親が述べたようなことを言わないですむようにしたいものです。『息子はそれまで一度も経験したことのない交友や敬意をギャングの中で見いだしたようです』。また,ある若者が述べた次のような言葉を我が子から聞きたいとも思いません。「僕は家族が欲しくてギャングに入ったんだ」。

      親がそのような家族とならなければなりません。さらに,掛けがえのない子供たちが,愛し合う温かな家族の一員でいられるよう,親としてできる限りのことをしなければなりません。

  • 子供をギャングから守る
    目ざめよ! 1998 | 4月22日
    • 子を気遣う親のためのチェックリスト

      ✔ 家で子供と時を過ごし,家族で一緒に物事を行なう

      ✔ 子供の友達やその家族を知り,子供がどこに,だれと出かけるかを見届ける

      ✔ 困ったことがあればいつでも相談に来てよいことを子供に知らせる

      ✔ 他の人に敬意を払い,その権利や考えを尊重するよう子供に教える

      ✔ 子供の支えとなるために先生方と知り合う。先生には,感謝していることや,その働きを支持していることを伝える

      ✔ 問題を正すのに,わめいたり暴力を振るったりしない

      [写真]

      お子さんには温かい愛情が必要

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