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第9部 ― 西暦前551年以降 ― 東洋における,正しい道の探究目ざめよ! 1989 | 5月8日
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天道教 ― 天の道に関する朝鮮半島の宗教
朝鮮半島におけるキリスト教以外の主要な宗教としては,道教によって強化された仏教と,儒教があります。中国から導入された後,それらは朝鮮半島の民俗宗教やシャーマニズムの影響を受け,さらに宗教百科事典によれば,「選択され,変形され,程度の差こそあれ,朝鮮半島に行き渡っていた社会的および知的状況に適合するようにされ」ました。a
朝鮮半島のもう一つの宗教として,1905年に改称した天道教,つまり「天の道の宗教」があります。1860年に崔済愚によって創始されたこの宗教は,当初は,キリスト教を指す語である西学,つまり「西洋の学問」に対して,東学,つまり「東洋の学問」と呼ばれていました。天道教はキリスト教と対抗するために発展したと言える一面もあります。ドイツの作家ゲールハルト・ベリンガーによると,天道教は,教祖が意図したとおり,「儒教の人間的な親切や公正,道教の受動性,仏教の慈悲」を混合しようとしています。天道教はまた,シャーマニズムとローマ・カトリックの要素をも含んでいます。宗教上の一致を促進するという主張に反して,1935年までに少なくとも17の分派が生み出されました。
「天の道の宗教」の中心となっているのは,人間は本質的に神のようなものであり,神の一部であるという信条です。それで,「神であるかのように人を扱え」というのが主要な道徳律であり,「最高の気遣い,敬意,誠意,尊厳,平等,公正」をもって同胞を扱うことが求められている,とロード・アイランド大学のヤン-チュン・キムは説明しています。
そうした高い原則を追求して,社会秩序を変革しようと努めることにより,教祖崔済愚は政府との闘争に巻き込まれてゆきました。政治への干渉の結果,教祖もその後継者も処刑されました。そうした干渉はまた,1894年の日清戦争を誘発させました。実際,政治活動は朝鮮半島の新しい宗教の特徴であり,東学の運動はその最初のものにすぎませんでした。国家主義が主要なテーマになることも多く,将来,朝鮮半島は世界的に傑出した立場を与えられる,とされます。
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第9部 ― 西暦前551年以降 ― 東洋における,正しい道の探究目ざめよ! 1989 | 5月8日
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a シャーマニズムは,いやしの魔術を行なうとされ,霊界と交信する道士,つまりシャーマンを中心としています。
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