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聖書の42番目の書 ― ルカによる書『聖書全体は神の霊感を受けたもので,有益です』
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2,3 どんな外的また内面的な証拠は,医者ルカがこの福音書の筆者であることを示していますか。
2 その記述のどこにもルカの名は出て来ませんが,古代の権威者たちは,ルカがその筆者であるという点で一致しています。この福音書はムラトーリ断片(西暦170年ごろ)の中でルカの著作とされており,イレナエウスやアレクサンドリアのクレメンスなどの2世紀の著述家によって受け入れられていました。内面的な証拠もその点を強力に裏付けています。
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聖書の42番目の書 ― ルカによる書『聖書全体は神の霊感を受けたもので,有益です』
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したがって,この福音書の記述は,西暦56年から58年ごろ,カエサレアで書かれたと考えられます。それは,パウロの3回目の宣教旅行が終わってルカが彼と共にフィリピから帰ってからのことであり,パウロが上訴のためローマに連れて行かれる前,カエサレアの獄で2年間待っていた間のことです。その期間,ルカはそこ,パレスチナにいましたから,イエスの生涯と宣教に関し,『すべてのことについて始めから正確にそのあとをたどる』のに好都合な場所にいました。
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聖書の42番目の書 ― ルカによる書『聖書全体は神の霊感を受けたもので,有益です』
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5 ルカはイエスの生涯の出来事について『正確にそのあとをたどる』ための資料をどこから得たと考えられますか。
5 ルカは12使徒の一人ではなく,イエスの死後にはじめて信者になったとさえ考えられますから,彼自身は,自分の福音書に記録したすべての事柄の目撃証人ではありませんでした。しかし,宣教者としての活動の分野でパウロと極めて密接に交わっていました。(テモテ第二 4:11。フィレモン 24)したがって,当然予想されることですが,ルカの書いたものにはパウロの影響が表われています。その点は,ルカ 22章19,20節とコリント第一 11章23節から25節にある主の晩さんに関する二人の記述を比べると,分かります。それ以外の資料として,ルカはマタイの福音書を参照することもできたでしょう。そして,『すべてのことについて正確にそのあとをたどる』ために,イエスの生涯の出来事に関する多くの目撃証人,つまり当時まだ生き残っていた弟子たち,そして恐らくはイエスの母マリアにも親しく会見することができたでしょう。わたしたちは,信頼できる細目事項を集めるために彼があらゆる手段を尽くしたことを確信できます。
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聖書の42番目の書 ― ルカによる書『聖書全体は神の霊感を受けたもので,有益です』
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9 ルカの記録したイエスのどんな預言は西暦70年に著しい成就を見ましたか。
9 ルカは,ヘブライ語聖書の預言がイエス・キリストにいかに正確に成就したかについてもはっきり示しています。彼は,その点に関し,霊感のもとになされたイエス自身の証言を引用しています。(24:27,44)さらに彼は,将来に起きる事柄に関するイエスの預言をも正確に記録しています。その中には,その詳細な予告どおり,驚くほどの成就をすでに見たものも多くあります。例えば,まさにイエスの予告どおり,エルサレムは先のとがった杭の攻囲柵で囲まれ,西暦70年に恐怖の大虐殺に遭って滅びました。(ルカ 19:43,44; 21:20-24。マタイ 24:2)ローマ軍に同行して目撃証人となった一般の歴史家フラビウス・ヨセフスは,杭を用意するため,周辺のいなかは16㌔ほど遠くまで樹木をすべて伐採され,攻囲柵は長さ7.2㌔ほどに達し,多数の女子供が飢きんのために死に,そして100万人以上のユダヤ人が命を失い,9万7,000人が捕虜となったことを証言しています。今日に至るまで,ローマにあるティツスの凱旋門は,エルサレムの神殿からの戦利品を携えたローマ軍の凱旋行列の模様を描き出しています。e わたしたちは,ルカの記録した霊感による他の預言も同じように正確に成就することを確信できるのです。
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