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    ものみの塔 1990 | 2月1日
    • 「不法の人」の実体を見極める

      「不法の者が表わし示されますが,主イエスはその者を……無に至らせるのです」― テサロニケ第二 2:8。

      1,2 不法の人の実体を見極めるのが肝要なのはなぜですか。

      わたしたちは不法の時代に生活しています。不法は世界的な現象です。不法な略奪者に対する恐れ,彼らがわたしたちの身体や財産を脅かす傾向はどこにでも見られます。しかし,幾世紀にもわたって活動してきた,それよりもはるかに陰険な不法分子が存在しています。その分子は聖書の中で,「不法の人」と呼ばれています。

      2 この不法の人の実体を見極めるのは肝要なことです。なぜでしょうか。その者は,神のみ前におけるわたしたちの良い立場と,とこしえの命という希望を台なしにしようと腐心しているからです。どのようにそうしていますか。真理を捨てさせ,その代わりに偽りを信じ込ませ,それによって「霊と真理をもって」神を崇拝することからわたしたちをそれさせるのです。(ヨハネ 4:23)この者の行動からして,この特定の不法分子が神と神の目的,それに神の献身した民に反対していることは明らかです。

      3 聖書はどのように,不法の人にわたしたちの注意を引いていますか。

      3 聖書はテサロニケ第二 2章3節でこの不法の人について述べています。使徒パウロは神の霊感を受けてこのように書きました。「だれにも,またどんな方法によってもたぶらかされないようにしなさい。なぜなら,まず背教が来て,不法の人……が表わし示されてからでなければ,[この邪悪な事物の体制を滅ぼすエホバの日]は来ないからです」。ここでパウロは,この体制の終わりに先立ち,背教が進展し,不法の人が現われることを預言しました。事実,パウロは7節で,「この不法の秘事はすでに作用しています」と述べました。ですから,1世紀において,この不法の者はすでに姿を現わしていました。

      不法の人の起源

      4 不法の人を起こした者,また不法の人を背後で支えている者はだれですか。

      4 この不法の人を起こした者,また不法の人を支援しているのはだれですか。パウロはこう答えています。「不法の者が存在するのはサタンの働きによるのであり,それはあらゆる強力な業と偽りのしるしと異兆を伴い,また,滅びゆく者たちに対するあらゆる不義の欺きを伴っています。彼らがこうして滅びゆくのは,真理への愛を受け入れず,救われようとしなかったことに対する応報としてなのです」。(テサロニケ第二 2:9,10)したがって,サタンは不法の人の父であり支持者です。また,ちょうどサタンがエホバとエホバの目的,またエホバの民に反対しているように,不法の人も,当人が気づいているか否かにかかわりなく,同じ立場を取っています。

      5 不法の人とその者に従う人たちには,どんな定めが待ち受けていますか。

      5 不法の人と共に行く者たちは,不法の者と同じ定めにあります。つまり,滅びです。「不法の者が表わし示されますが,主イエスはその者を……除き去り,その臨在の顕現によってこれを無に至らせるのです」。(テサロニケ第二 2:8)不法の人とその支持者たち(「滅びゆく者たち」)が滅びるその時は間もなく到来します。それは,「主イエスがその強力なみ使いたちを伴い,燃える火のうちに天から表わし示される時」です。「その際イエスは,神を知らない者と,わたしたちの主イエスについての良いたよりに従わない者に報復をするのです。実にこれらの者たちは……永遠の滅びという司法上の処罰を受けます」。―テサロニケ第二 1:6-9。

      6 パウロは,不法の人に関するさらに別のどんな情報を与えていますか。

      6 パウロはこの不法の人についてさらに説明を加え,こう述べています。「彼は,すべて『神』と呼ばれる者また崇敬の対象とされるものに逆らい,自分をその上に高め,こうして神の神殿に座し,自分を神として公に示します」。(テサロニケ第二 2:4)それでパウロは,サタンが不法の人,つまり誤った崇敬の対象となり,自分を神の律法よりも上に置くことさえする人を起こすことについて,警告を与えています。

      不法の人の実体を見極める

      7 パウロは一個人について語っていたのではないと結論できるのはなぜですか。不法の人は何を表わしていますか。

      7 パウロは一個人について語っていたのでしょうか。そうではありません。パウロはこの「人」がパウロの時代にも明確に存在し,エホバがこの体制の終わりに滅ぼす時まで存在し続けると述べているからです。ですから,この人は幾世紀にもわたって存在してきました。言うまでもなく,文字通り一人の人がそんなに長く生きたためしはありません。ですから,「不法の人」という表現は,人々の一団もしくは級を表わしているに違いありません。

      8 不法の人とはだれですか。その実体を見極めるための特色にはどんなものがありますか。

      8 それはだれのことですか。証拠が示すところによると,それは,幾世紀にもわたり,自分勝手な考えで自分を高めていた,尊大で野心的なキリスト教世界の僧職者たちの一団です。その点は,キリスト教世界に数千という異なる宗派があることから分かります。各宗派には独自の僧職者がおり,教理や慣行のある面において相反しているのです。この分裂した状態は,彼らが神の律法に従っていないことの明確な証拠です。彼らは神から出た者ではあり得ません。(ミカ 2:12; マルコ 3:24; ローマ 16:17; コリント第一 1:10と比較してください。)それらの宗教すべてに共通しているのは,彼らが聖書の教えを固守せず,「書かれている事柄を越えてはならない」という規範に違反していることです。―コリント第一 4:6。マタイ 15:3,9,14もご覧ください。

      9 不法の人は聖書の真理を非聖書的などんな信条に替えてきましたか。

      9 ですから,この不法の人は複合的な人であり,キリスト教世界の宗教上の僧職者たちを指しています。法王(教皇)であれ,司祭であれ,総主教であれ,プロテスタントの牧師であれ,キリスト教世界のすべての僧職者は,同世界の宗教上の罪に対する責任を負っています。彼らは神の真理を異教の偽りに替え,人間の魂の不滅,地獄の火,煉獄,三位一体などの非聖書的な教理を教えてきました。彼らは,イエスから次のように言われた宗教指導者たちに似ています。「あなた方は,あなた方の父,悪魔からの者であって,自分たちの父の欲望を遂げようと願っているのです。……彼は偽り者であって,偽りの父……です」。(ヨハネ 8:44)彼らの慣行によってもその不法が暴露されます。神の律法に反する活動に参加しているからです。イエスはそのような人たちに対して,「不法を働く者たちよ,わたしから離れ去れ」と言われます。―マタイ 7:21-23。

      自分たちを高める

      10 不法の人と政治支配者はどんな関係にありますか。

      10 歴史が示しているとおり,この不法の人級に属する人々は,実際に世界の支配者たちに指図するほどの,はなはだしい誇りと高慢さを示してきました。“王権は神から与えられた”という考え方にかこつけて,僧職者たちは支配者たちと神との間の重要な仲立ちであると主張してきました。彼らは王や皇帝をその位につけたり退けたりしてきました。また,民衆を支配者につかせたり逆らわせたりすることもできました。彼らは,イエスを退けたユダヤ人の祭司長たちのように,「わたしたちにはカエサルのほかに王はいません」と言ってきたも同然です。(ヨハネ 19:15)しかしイエスは明確に,「わたしの王国はこの世のものではありません」と教えられました。―ヨハネ 18:36。

      11 僧職者たちはどのように自分たちを高めてきましたか。

      11 この不法の人級は自分を一般の人々の上になお一層高めるため,普通は黒い色の独特な服を採用し,さらには冠や十字架や司教冠に加え,人目を引くあらゆる種類の宝物で身を飾りました。(マタイ 23:5,6と比較してください。)しかし,イエスとその追随者たちはそのような服を持たず,一般の人たちと同じ服装をしました。さらに僧職者は,「父」,「聖なる父」,「師」,「尊師」,「閣下」,「猊下」といった称号を自らに付していますが,それらの称号によってますます『自分をすべての者の上に高め』ています。しかしイエスは,宗教的称号について,「地上のだれをも父と呼んではなりません」と教えられました。(マタイ 23:9)同様にエリフも,ヨブの偽善的な慰め手たちの誤りを指摘した際,「どうか,人にえこひいきを示すことをわたしにさせないでもらいたい。地の人にわたしは称号を贈ることはしない」と述べました。―ヨブ 32:21。

      12 パウロは,僧職者たちが実際にはだれに仕えていると語りましたか。

      12 パウロは当時,不法の人がすでに活動を開始していると述べた時,その人の不法な態度を反映する人々について,次のようにも語りました。「そのような人たちは偽使徒,欺まんに満ちた働き人で,自分をキリストの使徒に変様させているのです。それも不思議ではありません。サタン自身が自分をいつも光の使いに変様させているからです。したがって,彼の奉仕者たちが自分を義の奉仕者に変様させているとしても,別に大したことではありません。しかし,彼らの終わりはその業に応じたものとなります」― コリント第二 11:13-15。

      真の崇拝に対する反逆

      13 パウロが予告していた背教とは何ですか。

      13 この不法の人は背教と共に進展する,とパウロは述べました。事実,この不法の人級の実体を解明するためにパウロが提出した第一の鍵は,『まず背教が来てからでなければ,エホバの日[エホバがこの邪悪な事物の体制を滅ぼす時]は来ない』ということです。(テサロニケ第二 2:2,3)しかし,「背教」とは何を意味していますか。この文脈における「背教」は,単に霊的な弱さによって道からそれたり,離れ落ちたりすることではありません。ここで「背教」を表わすのに用いられているギリシャ語は,とりわけ「背信」あるいは「反抗」を意味しました。この語を「反逆」と訳している翻訳も数種類あります。ウィリアム・バークレーによる訳では,「大いなる反逆が起こるまでは,その日が来ることはあり得ません」となっています。エルサレム聖書はそれを「大いなる反抗」と呼んでいます。それで,パウロが論じている事柄の文脈の中では,「背教」とは真の崇拝に対する反抗を意味しているのです。

      14 背教が本格的に進展し始めたのはいつですか。

      14 この背教,この反逆はどのように進展してきたのでしょうか。テサロニケ第二 2章6節でパウロは自分の時代に関して,不法の人の「抑制力となっているもの」について書きました。それは何でしたか。それは使徒たちによる抑制力でした。使徒たちの存在が,聖霊によって与えられた強力な賜物と相まって,背教がその時代に広まるのを防いでいたのです。(使徒 2:1-4。コリント第一 12:28)しかし,1世紀の終わりころまでに使徒たちが死に絶えると,抑制のためのブレーキは除かれました。

      非聖書的な僧職者階級が出来上がる

      15 イエスはクリスチャン会衆のためにどんな取り決めを確立されましたか。

      15 イエスによって設立された会衆は,1世紀に,長老たち(監督たち)と奉仕の僕たちの指導のもとで発展しました。(マタイ 20:25-27。テモテ第一 3:1-13。テトス 1:5-9)それらの人たちは会衆から取り出されました。彼らは有能で霊的な男子でしたが,イエスの場合がそうだったように,特別な神学上の訓練を受けたわけではありませんでした。実際,イエスの反対者たちは,「どうしてこの人は,学校で学んだこともないのに学識があるのだろうか」と不思議に思いました。(ヨハネ 7:15)また,宗教上の支配者たちは使徒たちに関しても,それと同じことを言っています。「さて,ペテロとヨハネのおくすることのない話し方を見,またそれが無学な普通の人であることを知った時,彼らは不思議に思うのであった。そして,その二人について,彼らがいつもイエスと一緒にいたことに気づくようになった」― 使徒 4:13。

      16 背教の影響によって,会衆の組織に関する1世紀のクリスチャンの型からそれてゆく事態はどのように生じましたか。

      16 しかし,背教によって,ユダヤ教の僧職者に由来する概念が,また,やがては異教ローマの宗教機構に由来する概念が持ち込まれました。時の経過と共に,また真の信仰からの逸脱が生じて,非聖書的な僧職者階級が出来上がりました。冠をいただいた教皇が枢機卿会を統率し始め,枢機卿は幾百人という司教や大司教の中から選ばれ,司教や大司教には,神学校で訓練を受けた司祭が昇格しました。このように,1世紀の後ほどなくして,キリスト教世界で不可解な僧職者階級が幅をきかせるようになりました。この階級は1世紀のクリスチャンの長老と奉仕の僕たちに倣ったものではなく,異教の宗教制度に倣ったものでした。

      17 不法の人の力が強固にされたのは,特にいつだと言えますか。

      17 早くも西暦3世紀には,普通の信者たちが平信徒という二流の地位に追いやられていました。背教した不法の人は徐々に統制力を手中に収めました。この力はローマ皇帝コンスタンティヌスの治世中に,とりわけ西暦325年に行なわれたニケア公会議の後に強固にされました。その後に教会と国家が結合し,こうして不法の人,つまりキリスト教世界の僧職者たちは,まことの神エホバに反抗した,何世紀にもわたる背教者の系譜を形成しました。彼らが従った律法と取り決めは自分自身のものであって,神のものではありません。

      異教の教え

      18 不法の人は冒涜的な異教のどんな教えを取り入れましたか。

      18 不法の人はその発展の過程において,異教の教えを借りることもしました。例えば,「わたしはエホバである。それがわたしの名である。わたしはわたしの栄光をほかのだれにも与え(ない)」,「わたしはエホバであり,ほかにはいない。わたしのほかに神はいない」と言っておられる方を,謎めいた理解不能の三位一体の神に置き換えてきました。(イザヤ 42:8; 45:5)このように,神の真理を,人間の,時には異教の概念で置き換える傾向は進展し,さらに別の冒涜行為を含むまでになりました。それは,聖書に登場する謙遜なマリアをキリスト教世界の“神の母”とし,それに崇敬の念を示すことです。このようにして,そうした偽りの教えを広めた張本人,つまり僧職者階級は,キリストによってまかれたりっぱな種の生長を阻止しようとしてサタンがまいた「雑草」の最も生い茂った部分となりました。―マタイ 13:36-39。

      19 キリスト教世界は幾世紀もの間に,どのように分かたれてきましたか。しかし,何は存続してきましたか。

      19 キリスト教世界は,分裂や断絶が生じて幾百もの宗教組織や宗派に分かたれました。しかし,新しいどの宗教組織や宗派も,わずかな例外を除き,なおも僧職者と平信徒の区別を保持していました。このように,不法の人級は今日に至るまで存続してきました。また,今日もなお,独特の服や仰々しい称号を用いて,一般の人々の上に自分たちを高めています。不法の人級が自らに栄光を付し,自らを神のような立場に高めると述べた時,パウロが誇張していたのでないことは明らかです。

      教皇制度

      20 カトリック系のある情報源は,法王のことをどのように描写していますか。

      20 そのように栄光を付している一つの例は,ローマ教皇(法王)の制度です。イタリアで出版されたルシオ・フェラーリスによる教会辞典は,法王のことを,「尊厳と高貴に満ちているゆえに,単なる人間ではなく,いわば神であり,神の代理者である」と描写しています。法王の冠は「天と地と地獄の王としての」三重冠になっています。その辞典はさらに続けて,「法王は,いわば地上の神であり,キリスト教信者の唯一の君であり,あらゆる王の中で最も偉大な王である」と述べ,「法王は時に,神の律法に逆らう行動を取ることができる」と付け加えています。さらに,新カトリック辞典は法王について,「法王大使は外交団の他の成員より優先される」と述べています。

      21 法王の行動を,ペテロおよびみ使いの行動と比べてください。

      21 法王はイエスの弟子たちとは異なり,しばしば非常に手の込んだ服を身に着け,人間の追従を喜んで受け入れます。また,人々を自分の前にかがませて指輪に接吻させ,自分は特別な椅子に乗ってそれを他の人にかつがせます。幾世紀にもわたり,法王は何といううぬぼれを示してきたのでしょう。それは,ペテロの示した謙遜で飾らない態度とは何と対照的なのでしょう。ペテロは,ローマの士官コルネリオがペテロに敬意をささげてその足もとにひれ伏した時,「立ち上がりなさい。……私は結局のところ一人の人間にすぎません!」と言いました。(使徒 10:25,26,カトリックのエルサレム聖書)また,使徒ヨハネに啓示を与えたみ使いとも非常に対照的です。ヨハネはそのみ使いの前でうやうやしく身をかがめようとしましたが,み使いは,「気をつけなさい! そうしてはなりません! わたしは,あなた,また預言者であるあなたの兄弟たち,そしてこの巻き物の言葉を守り行なっている者たちの仲間の奴隷にすぎません。神を崇拝しなさい」と宣言しました。―啓示 22:8,9。

      22 不法の人の実体は,聖書的などんな規範によって明らかにされますか。

      22 僧職者たちに対するこうした評価は厳しすぎるでしょうか。それは,偽預言者の実体を見極めるためにイエスがお与えになった,「あなた方は,その実によって彼らを見分けるでしょう」という規範を適用することによって見定めることができます。(マタイ 7:15,16)では,過去何世紀もの間,また20世紀の現代,僧職者はどんな実を生み出してきましたか。この不法の人はどんな定めにありますか。また,不法の人と同じ定めにあるのはだれですか。本当に神を恐れる人々には,この不法の人に関してどんな責任がありますか。続く二つの記事では,それらの点が扱われます。

  • 「不法の人」に対する神の裁き
    ものみの塔 1990 | 2月1日
    • 「不法の人」に対する神の裁き

      「りっぱな実を生み出していない木はみな切り倒されて火の中に投げ込まれます」― マタイ 7:19。

      1,2 不法の人とは何ですか。その人はどのように進展しましたか。

      使徒パウロは来たるべき「不法の人」について神の霊感のもとに予告した時,すでに今その者は姿を現わし始めている,と述べました。前の記事で説明されたように,パウロは真のキリスト教からの背教において先頭に立つ人々の級について語っていました。真理からのそうした逸脱は,1世紀,特に最後の使徒たちの死後に始まりました。不法の人級は,神の言葉に反する教理と慣行を取り入れました。―テサロニケ第二 2:3,7。使徒 20:29,30。テモテ第二 3:16,17; 4:3,4。

      2 やがてこの不法の人級は進展を遂げ,キリスト教世界の僧職者たちになりました。その力は,背教した諸教会が異教の国家と結合した4世紀になって,ローマ皇帝コンスタンティヌスによって強固にされました。キリスト教世界が相変わらず数多くの宗派に分かたれている間,僧職者たちは平信徒の上に,また多くの場合,世俗の支配者たちの上にも自分たちを高め続けました。―テサロニケ第二 2:4。

      3 不法の人はどんな定めにありますか。

      3 不法の人はどんな定めにありますか。パウロは,「不法の者が表わし示されますが,主イエスはその者を……除き去り,その臨在の顕現によってこれを無に至らせるのです」と予告しました。(テサロニケ第二 2:8)これは,神がサタンの体制全体を終わらせる時に,僧職者が滅びることを意味しています。神はみ使いたちの刑執行隊の指導に当たらせるため,ご自分に従う天の王キリスト・イエスを用いられます。(テサロニケ第二 1:6-9。啓示 19:11-21)僧職者たちがそのような定めにあるのは,神とキリストを辱め,幾億人もの人々を真の崇拝から引き離してきたからです。

      4 不法の人はどんな原則に従って裁かれますか。

      4 イエスは次のように述べて,どんな原則に従って不法の人が裁かれるかをお示しになりました。「羊の覆いを付けてあなた方のもとに来る偽預言者たちに警戒していなさい。内側では,彼らはむさぼり食うおおかみです。あなた方は,その実によって彼らを見分けるでしょう。いばらからぶどうを,あざみからいちじくを集めることなどないではありませんか。同じように,良い木はみなりっぱな実を生み出し,腐った木はみな無価値な実を生み出すのです。良い木は無価値な実を結ぶことができず,腐った木がりっぱな実を生み出すこともできません。りっぱな実を生み出していない木はみな切り倒されて火の中に投げ込まれます。……わたしに向かって,『主よ,主よ』と言う者がみな天の王国に入るのではなく,天におられるわたしの父のご意志を行なう者が入るのです」― マタイ 7:15-21。テトス 1:16; ヨハネ第一 2:17もご覧ください。

      クリスチャンのりっぱな実

      5 クリスチャンのりっぱな実の土台となるものは何ですか。また,基本的なおきてとは何ですか。

      5 クリスチャンのりっぱな実の土台となるものがヨハネ第一 5章3節に記されています。そこには,「そのおきてを守り行なうこと,これがすなわち神への愛……です」とあります。また,「あなたは隣人を自分自身のように愛さねばならない」というのが,基本的なおきてです。(マタイ 22:39)ですから,神のまことの僕たちは,人種や国籍にかかわりなく,隣人への愛を抱かなければなりません。―マタイ 5:43-48。ローマ 12:17-21。

      6 クリスチャンの愛は,特にだれに対して示されなければなりませんか。

      6 神の僕たちは,特に自分の霊的な兄弟である人たちへの愛を抱かなければなりません。「『わたしは神を愛する』と言いながら自分の兄弟を憎んでいるなら,その人は偽り者です。自分がすでに見ている兄弟を愛さない者は,見たことのない神を愛することはできないからです。そして,神を愛する者は自分の兄弟をも愛しているべきであるという,このおきてをわたしたちは彼から受けているのです」。(ヨハネ第一 4:20,21)その愛は真のクリスチャンを見分けるしるしになる,とイエスは言われました。「あなた方の間に愛があれば,それによってすべての人は,あなた方がわたしの弟子であることを知るのです」― ヨハネ 13:35。ローマ 14:19; ガラテア 6:10; ヨハネ第一 3:10-12もご覧ください。

      7 真のクリスチャンはどのように世界中で結ばれていますか。

      7 兄弟愛は,神の僕たちを結び合わせて一致させる“接着剤”のようなものです。「愛を身に着けなさい。それは結合の完全なきずななのです」。(コロサイ 3:14)それに,真のクリスチャンは世界中の兄弟たちと一致していなければなりません。神の言葉はこのように勧めているからです。「あなた方すべての語るところは一致しているべきです。あなた方の間に分裂があってはなりません。……同じ思い,また同じ考え方でしっかりと結ばれていなさい」。(コリント第一 1:10)全世界的な規模でこの愛と一致を保つため,神の僕たちはこの世の政治問題に関して中立を保たなければなりません。イエスは,「わたしが世のものではないのと同じように,彼らも世のものではありません」と言われました。―ヨハネ 17:16。

      8 イエスはクリスチャンが行なうべき事柄をどのように実際に示されましたか。

      8 ペテロがイエスを捕縛するために来た男たちの一人の耳を剣で切り落とした時,イエスは,ご自分がどの程度のことを考えておられるのかを明示されました。イエスは,神のみ子を反対者たちから守るためであれば,そうした武力を用いるのもよいと言われましたか。そのようなことは言われませんでした。むしろ,ペテロに対して,「あなたの剣を元の所に納めなさい」と言われました。(マタイ 26:52)ですから,真のクリスチャンは,諸国家の戦争や人間の血を流す他のどんな行為にも携わりません。過去何世紀もの間,また現代にも大勢の人たちが経験してきたように,中立の立場ゆえにそうした行為を拒んで殉教するとしても,携わらないのです。彼らは,キリストのもとにある神の王国のみが,戦争と流血を永久に除き去ることを知っています。―詩編 46:9。マタイ 6:9,10。ペテロ第二 3:11-13。

      9 (イ)初期クリスチャンについて,歴史はどんなことを教えていますか。(ロ)これは,キリスト教世界の宗教組織とどのような点で対照的ですか。

      9 1世紀のクリスチャンが人間の血を流そうとしなかったことは,歴史的に確証されています。英国の元神学教授,ピーター・デ・ロサは次のように書いています。「血を流すことは由々しい罪であった。それゆえにクリスチャンは剣闘士による闘いに反対した。……ローマを守るためには戦争や武力の行使が必要だったが,クリスチャンはそれに参加できないと感じた。……クリスチャンはイエスと同じように,自分たちを平和の使者とみなした。どんな状況にあろうとも,死の使いにはなれなかった」。一方,一致を欠いたキリスト教世界の宗教組織は愛に関するおきてを破り,おびただしい量の血を流してきました。彼らは平和の使者ではなく,幾度も死の使いとなってきました。

      血の罪を負う大いなるバビロン

      10 大いなるバビロンとは何ですか。そのように呼ばれるのはなぜですか。

      10 サタンは「この世の支配者」であり,「この事物の体制の神」です。(ヨハネ 12:31。コリント第二 4:4)サタンの世の一部となっているのが,キリスト教世界および同世界の僧職者を含め,サタンが幾世紀にもわたって築き上げてきた,全地に及ぶ偽りの宗教の体制です。聖書はこの偽りの宗教の世界的な体制を,「大いなるバビロン,[霊的な意味の]娼婦たちと地の嫌悪すべきものとの母」と呼んでいます。(啓示 17:5)今日の偽りの宗教の源は,古代都市バビロンにまでさかのぼります。その都市は偽りの宗教と,神を辱める教理や慣行にどっぷりつかっていました。そのようなわけで,古代バビロンの対型は,大いなるバビロンと呼ばれます。これは偽りの宗教の世界帝国のことです。

      11 聖書は大いなるバビロンについて何と述べていますか。それはなぜですか。

      11 神の言葉は宗教上のバビロンについて,「彼女の中には,預言者と聖なる者たちの血,そして地上でほふられたすべての者の血が見いだされた」と述べています。(啓示 18:24)この世界的な宗教組織は,どのような意味で,ほふられたすべての者の血に対する責任を負っているのでしょうか。それらすべての宗教 ― キリスト教世界の諸教会,およびキリスト教以外の諸宗教 ― は諸国家の戦争を支持し,容認し,そうした戦争の先頭に立つことさえしました。それに,自分たちに同意しない,神を恐れる人々を迫害し,殺してきました。

      神を辱める記録

      12 キリスト教世界の僧職者のほうが,他の宗教の指導者たちよりも責めを負うべきなのはなぜですか。

      12 流血に関しては,キリスト教世界の僧職者のほうが,他の宗教の指導者たちよりも責めを負うべきです。なぜでしょうか。彼らは神のみ名だけでなく,キリストの名をも自らに付しているからです。そうすることによって,彼らにはイエスの教えに従う責務が生じました。(ヨハネ 15:10-14)しかし実際にはそうした教えに従わなかったため,神とキリストに大きな非難をもたらしました。流血に関する僧職者の責任は,十字軍,他の宗教戦争,異端審問所,迫害など,直接的なものもあれば,教会員が他の国に住む仲間の教会員を殺す戦争を容認したことなど,間接的なものもあります。

      13 僧職者たちは,11世紀から13世紀にかけて行なわれたどんなことに責任を負っていますか。

      13 例えば,11世紀から13世紀にかけて,キリスト教世界の僧職者たちは十字軍を導入しました。その結果,神とキリストの名において恐ろしいほどの血が流され,略奪が行なわれました。幾十万もの人たちが命を奪われました。1212年の子供十字軍に参加するよう勧められた幾千人もの子供たちが無意味な死に方をしたことも,十字軍の歴史に含まれています。

      14,15 カトリックの一著述家は,カトリック教会が13世紀に導入した事柄について,どのように注解していますか。

      14 13世紀になってローマ・カトリック教会は,神を辱めるもう一つの恐ろしいもの,つまり異端審問を公に認可しました。それはヨーロッパで始まってから南北アメリカに広がり,6世紀余り存続しました。異端審問は,カトリック教会と意見を異にするすべての人を拷問にかけ根絶することを目的とした残忍な企てであり,教皇制度に源を発し,教皇制度によって支持されました。教会は以前にもカトリック教徒以外の人々を迫害しましたが,異端審問はそれよりもはるかに規模の大きなものでした。

      15 「愛国的なカトリック教徒」を自任するピーター・デ・ロサは,近著「キリストの代理者 ― 教皇制度の汚点」の中でこう述べています。「教会は,ユダヤ人に対する迫害,異端審問,幾千幾万もの異教徒の殺害,裁判の一部としてヨーロッパに拷問を再導入したことなどに関して,責任がある。……教皇は皇帝の任命や廃位をさえ行ない,皇帝に対して,拷問と死の脅しをもって臣民にキリスト教を課するよう命令した。……福音は多大の損害を被った」。殺された人たちの唯一の“犯罪”は,聖書を持っていたということでした。

      16,17 異端審問に関して,どんな注解がなされていますか。

      16 デ・ロサは13世紀初頭の教皇インノケンティウス3世について,こう述べています。「[ローマ]皇帝ディオクレティアヌス[3世紀]の治世下に,最後の,そして最も激しい迫害が生じ,世界中で約2,000人のクリスチャンが死亡したと見られている。教皇インノケンティウスの十字軍[フランスの“異教徒”に対するもの]における最初の悪らつな出来事に際して,その十倍の数の人々が殺された。……一人の教皇が,ディオクレティアヌスが殺したよりもはるかに多くのクリスチャンを一挙に殺したことを知るのは,大きなショックである。……[インノケンティウス]は,キリストが異議を唱えた事柄を行なう際に必ずキリストの名を用いたが,そのことに少しも良心の呵責を感じなかった」。

      17 「[異端審問官は]教皇の名のもとに,人間の品性に対する人類史上最も残虐な,最も長期間にわたる攻撃を加えた」と,デ・ロサは述べています。また,スペインのドミニコ会の異端審問官トルケマダに関しては,「1483年に任命されたこの人物は,15年間圧制を加えた。その犠牲者は11万4,000人を超え,そのうち1万220人が火あぶりにされた」と言っています。

      18 ある著述家は異端審問の特色についてどのように述べていますか。また,それが6世紀余りも続いた理由として,どんなことを挙げていますか。

      18 この著述家は結論として,こう述べています。「どんな組織も異端審問に関するこの記録には当惑を覚えるであろう。カトリック教会にとっては身の破滅を招くような記録だ。……歴史が示しているのは,教皇制度は6世紀余の間,常に基本的な公正の不倶戴天の敵であったということである。13世紀以降の80人の歴代の教皇の中で,異端審問の神学や機構を非とした人は一人もいなかった。逆に彼らは,この致死的な機構の働きに,次から次へと独自の残酷さを加味していった。謎となるのはこの点である。つまり,事実上は異教的なそうした状況の中で,どうして教皇は幾世代も存続できたのか,教皇がイエスの福音のあらゆる面を否定できたのはどうしてなのか」。デ・ロサは答えます。「教皇は“不謬の”前任者たちを否認するよりも,福音を否認することを好んだ。前任者たちを否認すれば,教皇制度そのものの威信を傷つけることになるからである」。

      19 僧職者の大部分は,他のどんな不法な活動を容認しましたか。

      19 僧職者たちが暴力を行使して奴隷制度を導入した時に果たした役割も,やはり不法なものでした。キリスト教世界に属する諸国家は無数のアフリカ人を誘拐し,故国から遠く離れた所へ連れてゆき,幾世紀もの間,彼らを奴隷として身体的かつ精神的に酷使しました。積極的に反対したのは,僧職者階級の中でも比較的少数でした。奴隷制度は神のご意志であると主張した僧職者もいました。―マタイ 7:12をご覧ください。

      20世紀における血の罪

      20 今世紀に,不法の人の血の罪はどのように頂点に達しましたか。

      20 不法の人による血の罪は今世紀に頂点に達しました。歴史を通じて最も悪質な戦争,幾千万もの人命を奪った戦争を僧職者たちは支援したのです。彼らは二つの世界大戦の両陣営を支持しました。それらの大戦では同じ宗教に属する人々,つまり“兄弟たち”が殺し合いました。例えば,第二次世界大戦では,フランスとアメリカのカトリック教徒がドイツとイタリアのカトリック教徒を殺し,イギリスとアメリカのプロテスタント信者がドイツのプロテスタント信者を殺しました。時には,同じ宗教に属しているばかりか,国家的な背景が同じ人を殺したこともありました。二つの世界大戦はキリスト教世界の中心で勃発したものです。僧職者たちが,愛に関するおきてに従っていたら,そして愛することを追随者たちに教えていたら,そのような大戦は起きなかったでしょう。

      21 世俗の情報源は,僧職者が戦争に関与してきたことについて,何と述べていますか。

      21 ニューヨーク・タイムズ紙はその点を次のように確証しています。「過去における地元のカトリックの聖職位階制は,自国民の関係した戦争をほぼ常に支持し,軍隊を祝福し,戦勝祈願をささげたが,他の陣営の別の司教団は,それとは逆の結果を公に祈り求めた。……キリスト教の精神と戦争という行為の間にある矛盾は……武器の残忍さがエスカレートするにつれ,多くの人にいよいよ明らかになってきたように思える」。さらに,US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌は,「世界におけるキリスト教の威信は,いわゆるキリスト教の国々が頻繁に暴力を行使してきたことによって,著しく損なわれてきた」と述べています。

      22 現代において,僧職者はほかにもどんなことに対する責任を負っていますか。

      22 また,今日では公の異端審問所こそありませんが,僧職者は自分たちとは異なる「預言者」と「聖なる者たち」を迫害するため,国家権力を用いてきました。『法の覆いの下で災いを画策する』よう政治指導者たちに圧力をかけてきました。彼らはそのようにして,今世紀の,神を恐れる民の業の禁止,投獄,殴打,拷問,それに死をさえ助長したり是認したりしてきたのです。―啓示 17:6。詩編 94:20,新英訳聖書。

      言い開きをするよう求められる

      23 神が不法な僧職者たちに対して言い開きをするよう求められるのはなぜですか。

      23 確かに,偽りの宗教には,預言者たちの血,聖なる者たちの血,地上でほふられたすべての者の血が見いだされます。(啓示 18:24)最も悪質な流血行為がキリスト教世界で生じた以上,最も重い罪を負っているのは僧職者です。聖書が彼らを「不法の人」と呼ぶのは何とふさわしいのでしょう。しかし神の言葉はこのようにも述べています。「惑わされてはなりません。神は侮られるような方ではありません。何であれ,人は自分のまいているもの,それをまた刈り取ることになるのです」。(ガラテア 6:7)ですから神は,不法な僧職者たちに対して言い開きをするよう求められるでしょう。

      24 世界を揺り動かすどんな出来事が間もなく生じますか。

      24 「不法を働く者たちよ,わたしから離れ去れ」と,イエスは言われました。(マタイ 7:23)また,「りっぱな実を生み出していない木はみな切り倒されて火の中に投げ込まれます」とも宣言されました。(マタイ 7:19)不法の人がすべての偽りの宗教ともども火のような終わりを迎える時は足早に近づいています。その時,彼らが娼婦として相手をした政治分子は,彼らに矛先を向けるでしょう。「これらは娼婦を憎み,荒れ廃れさせて裸にし,その肉を食いつくし,彼女を火で焼き尽くすであろう」。(啓示 17:16)世界を揺り動かすそうした出来事が間もなく生じるので,神の僕たちは,そのことを他の人たちに知らせなければなりません。次の記事では,それらの僕たちがどのようにそれを行なっているかを調べましょう。

  • 「不法の人」の正体を暴露する
    ものみの塔 1990 | 2月1日
    • 「不法の人」の正体を暴露する

      「わたしの民よ,彼女の罪にあずかることを望まず,彼女の災厄を共に受けることを望まないなら,彼女から出なさい」― 啓示 18:4。

      1,2 (イ)「不法の人」の実体をどのように見極めることができますか。(ロ)神に仕えると主張しながら,血の罪を負っている人たちを,神はどうご覧になりますか。(マタイ 7:21-23)

      神の言葉は「不法の人」の到来について予告していました。そして,この不法分子が,天の神の刑執行者キリスト・イエスによって『除き去られ,無に至らせられる』ことも予告していました。(テサロニケ第二 2:3-8)前の記事で示されたように,その不法の人とはキリスト教世界の僧職者たちのことです。ずっと昔,彼らは神の言葉の真理を捨て,三位一体,地獄の火,魂の不滅といった異教の教えを取り入れました。それに加え,彼らは神の律法に反する業を生み出しました。パウロは,ある人たちに警戒するようテトスに呼びかけましたが,その人たちと同じように,「彼らは神を知っていると公言しますが,その業では神を否認しています。彼らは忌むべき者,不従順な者であり,どんな良い業に対しても是認を受けていないのです」。―テトス 1:16。

      2 イエスは言われました。「羊の覆いを付けてあなた方のもとに来る偽預言者たちに警戒していなさい。内側では,彼らはむさぼり食うおおかみです。あなた方は,その実によって彼らを見分けるでしょう」。偽預言者たちは「無価値な実」を生み出します。(マタイ 7:15-17)僧職者が悪い実を生み出している証拠となっているのは,彼らのはなはだしい血の罪です。彼らは幾世紀にもわたり十字軍や異端審問,それに幾千万もの人々の血を流してきた戦争を支持しました。自分と同じ宗教組織に属する人々が殺し合う戦争の両陣営のために祈り,その両陣営を祝福してきました。それとは対照的に,使徒パウロは,「わたし(は)すべての人の血について潔白である」と言うことができました。(使徒 20:26)僧職者たちはそうではありません。神はそのような者たちに,「たとえあなた方が多くの祈りをしようとも,わたしは聴いてはいない。あなた方のその手は流血で満ちている」と宣言されます。―イザヤ 1:15。

      3 世界的な意義を持つどんな出来事が足早に近づいていますか。

      3 神が不法の人に対して裁きを執行される時は足早に近づいています。間もなく,イエスが予告されたように,「世の初めから今に至るまで起きたことがなく,いいえ,二度と起きないような大患難がある」のです。(マタイ 24:21)その未曾有の苦難の時は,キリスト教世界の諸宗教を含む偽りの宗教の世界帝国,つまり大いなるバビロンの処刑をもって始まります。政治的な分子が「娼婦を……荒れ廃れさせて裸にし,その肉を食いつくし,彼女を火で焼き尽くす」ことになっています。(啓示 17:16)大患難は,「全能者なる神の大いなる日の戦争」であるハルマゲドンにおいて,サタンの世の残存部分が滅びることをもって終わります。―啓示 16:14,16; 19:11-21。

      他の人々を愛する責務がある

      4 「霊と真理をもって」神を崇拝する人々は何を忘れてはなりませんか。

      4 世界を揺るがすそうした出来事が,人の住む地に間もなく臨むことからすると,「霊と真理をもって父を崇拝する」人々にはどんな責務がありますか。(ヨハネ 4:23)その一つとして,イエスの次の言葉を忘れてはなりません。「わたしのおきてを守り行なうなら,あなた方はわたしの愛のうちにとどまることになります。わたしが父のおきてを守り行なってその愛のうちにとどまっているのと同じです。……わたしがあなた方を愛したとおりにあなた方が互いを愛すること,これがわたしのおきてです。友のために自分の魂をなげうつこと,これより大きな愛を持つ者はいません。わたしが命令していることを行なうなら,あなた方はわたしの友です」― ヨハネ 15:10-14。ヨハネ第一 5:3。

      5,6 (イ)イエスはご自分の弟子たちに,彼らを見分けるものとなるどんなことを行なうよう命令されましたか。(ロ)これはどのような意味で新しいおきてでしたか。

      5 ですから,真のクリスチャンには,他の人々,特にすべての国にいるクリスチャンの兄弟姉妹たちを愛する責務があります。(使徒 10:34。ガラテア 6:10。ヨハネ第一 4:20,21)実際,クリスチャンは仲間同士,「互いに対して熱烈な愛」を抱かなければなりません。(ペテロ第一 4:8)世界的な規模のそのような愛によって,彼らは真の崇拝者として見分けられるのです。イエスはこう言われたからです。「わたしはあなた方に新しいおきてを与えます。それは,あなた方が互いに愛し合うことです。つまり,わたしがあなた方を愛したとおりに,あなた方も互いを愛することです。あなた方の間に愛があれば,それによってすべての人は,あなた方がわたしの弟子であることを知るのです」― ヨハネ 13:34,35。

      6 そのおきてのどこが新しいのでしょうか。モーセの律法のもとにあったユダヤ人には,「あなたの仲間を自分自身のように愛さねばならない」という命令が与えられていたのではないでしょうか。(レビ記 19:18)その通りです。しかし,イエスは「わたしがあなた方を愛したとおりに」と述べて,新たに付け加えられた事柄を示されました。イエスの愛には,他の人のために自分の命を与えることが含まれていました。そしてイエスの弟子たちは,喜んでイエスと同じようにしなければなりませんでした。(ヨハネ 15:13)そのような犠牲はモーセの律法では要求されていなかったので,これは一層高いレベルの愛でした。

      7 今世紀において,愛の律法に従ってきたのはどの宗教ですか。

      7 今世紀において,この愛の律法に従ってきたのはどの宗教でしょうか。決してキリスト教世界の宗教ではありません。彼らは二つの世界大戦や他の紛争で互いに殺し合い,幾千万人もの命を奪ったからです。全地で愛の律法に従ったのはエホバの証人です。エホバの証人は諸国家の戦争において厳正中立の立場を保ってきました。イエスは,わたしの追随者は『世のものであってはならない』と言われたからです。(ヨハネ 17:16)そのようなわけで,彼らはパウロのように,自分は「すべての人の血について潔白である」と言うことができました。その一例として,1921年11月27日にワシントン特別区の大会で,エホバの僕たちが採択した決議の冒頭の部分に注目してください。

      「わたしたちの主キリスト・イエスと,その使徒たちの教えに従うため真剣に努力するクリスチャンとして,わたしたちはこのように考えます。戦争は蛮行の名残であり,良い道徳を破壊し,キリスト教徒にとっては不名誉の種です。主イエス・キリストから教えられた種々の原則からすると,聖別されたクリスチャンは,戦争にも,流血行為にも,どんな形の暴力行為にも携わることができません」。

      8 歴史の記録は,第二次世界大戦中のエホバの証人について,何を物語っていますか。

      8 この見解は第二次世界大戦中にどのように適用されましたか。人間の歴史を通じて最も悪質なこの戦争において,約5,000万人が殺されました。しかし,エホバの証人に殺された人は一人もいません。例えば,ドイツの僧職者はほとんど例外なく,ナチ主義を積極的に,あるいは消極的ながら支持しました。それとは対照的に,ナチの支配下にあったエホバの証人は厳正中立を保ち,ヒトラー万歳を唱えたり,ヒトラーの軍事機構の一部となったりすることを拒みました。ですから彼らは,他の国の霊的な兄弟たちや,ほかの人を殺すことは一度もありませんでした。そして他のすべての国のエホバの証人も,中立を保ちました。

      9 ナチの支配下にあったドイツとオーストリアのエホバの証人にはどんなことが生じましたか。

      9 エホバの証人の中には,愛の律法に従って自分の友のために魂をなげうった人が大勢いました。フリードリヒ・ツィッフェル著「ドイツにおける諸教会の闘い」に関する書評には,証人たちに関して次のように記されています。「この小さな宗教団体の成員の97%は,国家社会主義[ナチ]による迫害の犠牲者になった。その3分の1は処刑ないしは他の暴力行為,飢え,病気,強制労働などによって命を奪われた。その強制労働の厳しさは前例のないもので,国家社会主義のイデオロギーとは相いれない,妥協を退ける信仰ゆえに生じた結果だった」。オーストリアの場合,処刑されたり,殴殺されたり,ナチの強制収容所において病気や極度の疲労のため死亡したりしたエホバの証人は,全体の25%でした。

      10 愛の律法に従ったために死んだ人たちは,どんな確信を抱いていましたか。

      10 愛の律法に従ったために殉教した人々は,「神は不義な方ではないので,[彼ら]……の働きと,……[彼らが]み名に示した愛とを忘れたりはされない」ことを確信していました。(ヘブライ 6:10)彼らは次のことを知っていました。「世は過ぎ去りつつあり,その欲望も同じです。しかし,神のご意志を行なう者は永久にとどまります」。(ヨハネ第一 2:17)彼らは,とこしえの命の見込みをもって復活させられるという確かな希望を抱いていました。―ヨハネ 5:28,29。使徒 24:15。

      11 エホバの僕たちはどんな点で類例のない存在ですか。彼らの中で,現在どんな預言が成就していますか。

      11 エホバの僕たちは,「わたしたちは,自分たちの支配者として人間より神に従わねばなりません」という,最高法廷でペテロと他の使徒たちが述べた規範に従う点で類例のない存在です。(使徒 5:29)エホバの証人はそのように行動するので,『神が支配者としてのご自分に従う者たちにお与えになった』聖霊による後ろ盾を得ています。(使徒 5:32)聖霊は,エホバの証人がイザヤ 2章2節から4節の預言を成就するのを可能にする力です。その聖句は,わたしたちの時代に真の崇拝が再び確立され,あらゆる国と宗教から出て来る人々が,流れのようにその崇拝に向かうことを予告していました。そのために生じる結果は次のようなものです。「彼らはその剣をすきの刃に,その槍を刈り込みばさみに打ち変えなければならなくなる。国民は国民に向かって剣を上げず,彼らはもはや戦いを学ばない」。エホバの僕たちは平和な新しい世での生活に向けて準備をしているので,もはや戦いを学びません。愛の律法を学ぶのです。―ヨハネ 13:34,35。

      12 愛の律法に従う人たちは,他の人のために何をしなければなりませんか。

      12 クリスチャンの愛には『隣人を自分自身のように愛する』ことも含まれるので,神の僕たちは自分が知っている事柄について利己的な態度を取ることはできません。(マタイ 22:39)神に仕えることを望み,新しい世で生きることを願う人はまだ大勢います。時間が残されているうちに,それらの人たちも愛の律法と,宇宙の主権者であられるエホバ神に関連した他の多くの真理を学ぶ必要があります。彼らは,エホバだけがわたしたちの崇拝に値する方であって,その崇拝をどのようにささげるべきかを教わらなければなりません。(マタイ 4:10。啓示 4:11)すでにそれらの事柄を学んだ人たちは,それを他の人たちに語る責務があります。他の人たちもエホバの恵みに入れるようにするためです。―エゼキエル 33:7-9,14-16。

      不法の人の正体を暴露する

      13 わたしたちの世界的な証しの一部として,わたしたちは何を知らせなければなりませんか。なぜですか。

      13 「王国の……良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです」とイエスは言われました。(マタイ 24:14)この世界的な証しの一部として,神の僕たちは,偽りの宗教,とりわけキリスト教世界の僧職者に対する神の裁きを知らせる責務を負っています。それらの僧職者は,クリスチャンであると主張するゆえに,神の目に一層責めを負うべき存在です。神に仕えることを願う人が彼らの影響から自由にされ,生き残るための適正な手段を講じることができるよう,彼らの正体は暴露されなければなりません。イエスが言われたとおり,「真理はあなた方を自由にする」のです。―ヨハネ 8:32。

      14 偽りの宗教に関して,どんな明確な音信をふれ告げなければなりませんか。

      14 したがって,エホバの証人は偽りの宗教に関する,霊感による次の音信を知らせなければなりません。「わたしの民よ,彼女の罪にあずかることを望まず,彼女の災厄を共に受けることを望まないなら,彼女から出なさい。彼女の罪は重なり加わって天に達し,神は彼女の数々の不正な行為を思い出されたのである。……彼女の災厄は一日のうちに来る。それは死と嘆きと飢きんであって,彼女は火で焼き尽くされるであろう。彼女を裁いたエホバ神は強い方だからである」― 啓示 18:4-8。

      15 1914年という年は,エホバの時刻表の中でどんな役割を果たしていますか。第一次世界大戦後にどんな結果が生じましたか。

      15 聖書預言は,この事物の体制の「終わりの日」が,重大な年1914年に始まったことを示しています。(テモテ第二 3:1-5,13。マタイ 24:3-13)その年以降,わたしたちは「終わりの時」に生きています。(ダニエル 12:4)第一次世界大戦の直後,エホバの僕たちは,エホバの時刻表に調和して,マタイ 24章14節の予告どおり,神の王国を告げ知らせる業を精力的に拡大し始めました。そして,偽りの宗教,とりわけ背教したキリスト教世界の不法な僧職者階級の正体をいよいよ強烈に暴露し始めました。

      16 不法の人の正体を暴露する業は,70年余の間に,どのように力を増し加えてきましたか。

      16 神の僕たちはこれまで70年余り,不法の人の欺まん的な活動に用心するよう,いよいよ力を増し加えながら,人々に警告を与えてきました。第一次世界大戦後にそうした活動に携わった証人たちはわずか数千人に過ぎませんでしたが,今ではそれが,全地の6万を超える会衆に組織された,350万人余りの活発な奉仕者たちの「強大な国民」になっています。(イザヤ 60:22)神の僕たちは,人類の唯一の希望として神の王国を熱心にふれ告げながら,僧職者の真の姿,つまり欺まん的な不法の人であることを暴露しています。その活動の規模は拡大しています。

      なぜそれほど強力に暴露するのか

      17 エホバの僕たちが不法の人の正体を強力に暴露してきたのはなぜですか。

      17 近年エホバの僕たちが,不法の人の正体を強力に暴露してきたのはなぜでしょうか。それは,すでに救いへの道を歩んでいる,幾百万というエホバの羊の大群衆を,サタンの世と,その偽りの宗教から守らなければならないからです。(ヨハネ 10:16。啓示 7:9-14)さらに,僧職者たちの正体を暴露しなければ,まだ神の羊の群れの一部になっていない,正直な心を持った人々は,間違った歩みをどのように避けたらよいか分からないでしょう。ですから,イエスが当時の偽善的な宗教指導者たちについて,「彼らは盲目の案内人なのです。それで,盲人が盲人を案内するなら,二人とも穴に落ち込むのです」と述べて人々に事実を知らせたように,それら正直な心を持った人々にも事実を知らせなければなりません。―マタイ 15:14。コリント第二 4:4; 11:13-15もご覧ください。

      18 真理を求める人たちは,何を知る必要がありますか。

      18 僧職者たちはサタンの世の一部です。(ヨハネ 8:44)しかしそれは,神が間もなく打ち砕いて終わらせる世です。(ペテロ第二 3:11-13。ヨハネ第一 2:15-17)そのため,神の言葉はこのように警告しています。「したがって,だれでも世の友になろうとする人は,自分を神の敵としているのです」。(ヤコブ 4:4)僧職者はその警告を無視し,相変わらず政治に介入しています。そして,追随者たちに対しては,政治家の努力によってより良い世界が実現すると告げています。しかしそれは偽りの希望です。サタンの下にあるこの世は過ぎ去ろうとしているからです。ですから,この世に希望を託す人々は欺かれているのです。彼らには,この世がどこに向かっており,何に取って代わられるかということに関する真理が知らされなければなりません。―箴言 14:12; 19:21。マタイ 6:9,10。啓示 21:4,5。

      19 近年,報道媒体の中で,一部の僧職者のこの世的な傾向はどのように暴露されてきましたか。

      19 近年は報道媒体を通して,一部の僧職者のこの世的な傾向が暴露されてきました。あるテレビ伝道師たちの放縦で贅沢な生活様式はその一例でしょう。現代のポピュラーソングの一作詞家は,「イエスはテレビ番組の中で[1万㌦の]ロレックス[の腕時計]をはめるだろうか」という題の歌を作りました。その歌はこのように続きます。「イエスは地上に戻って来たら政治活動をするだろうか。[豪華な]パームスプリングズに自分の別荘を作り,自分の財産を隠そうとするだろうか」。それに加え,同性愛行為を容認したり行なったりする僧職者が次第に増加しています。今でさえ,米国のカトリック教会は,子供に対する性的虐待の罪を犯した司祭たちの罪をつぐなう賠償金として,幾百万ドルものお金を支払っています。―ローマ 1:24-27。コリント第一 6:9,10。

      20 神の僕たちが,不法の人の正体を暴露し続けなければならないのはなぜですか。

      20 神の僕たちがそうした悪行を黙認することはできません。むしろそのような悪行は,他の人の益のために暴露されなければなりません。ほかの羊の大群衆は,神の律法を破らせようとする人々から守られなければなりません。それに,「行なわれているすべての忌むべきことのために嘆息し,うめいている者たち」を捜し出し,偉大な牧者であられるエホバ神と,その「りっぱな羊飼い」キリスト・イエスの保護的な導きのもとに集めなければなりません。―エゼキエル 9:4。ヨハネ 10:11。箴言 18:10。

      21 エホバの証人はこれからも何を宣明し続けますか。

      21 ですから,神の民はためらうことなく,不法の人つまりキリスト教世界の僧職者を含め,サタンの世全体に対する神の復しゅうについて宣明します。神の民は,啓示 14章7節にある,「神を恐れ,神に栄光を帰せよ。神による裁きの時が到来したからである」というみ使いの音信を,熱意を込めてふれ告げます。そして彼らは,その宣明の中に,啓示 18章4節にある,「わたしの民よ,彼女の罪にあずかることを望まず,彼女の災厄を共に受けることを望まないなら,彼女から出なさい」という,偽りの宗教に関する緊急な警告を含めることでしょう。

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