神の言葉を家族で定期的に研究する
「人は,パンだけによらず,エホバの口から出るすべてのことばによって生きなければならない」― マタイ 4:4。
1 子供にエホバの道を教えるという家族の頭の責務について,聖書は何と述べていますか。
エホバ神は家族の頭に,子供を教える責務についてたびたび思い起こさせました。子供を教えるなら,子供は当面の生活のために整えられ,後の生活の備えができるようにもなるのです。神を代表していたひとりのみ使いは,アブラハムに,家の者たちを教える責務があることを指摘しました。皆が「エホバの道を守(る)」ようになるためです。(創世記 18:19)イスラエル人の親は,子供たちに,神がイスラエルをエジプトからどのように救い出されたか,またシナイ山,すなわちホレブでどのように律法をお与えになったかを説明するようにと告げられました。(出エジプト記 13:8,9。申命記 4:9,10; 11:18-21)クリスチャンの家族の頭は,「エホバの懲らしめと精神の規整とをもって」子供を育ててゆくよう訓戒されています。(エフェソス 6:4)エホバに仕えているのが親のうちの片方だけの場合でも,その親は子供にエホバの道を教えることに努めます。―テモテ第二 1:5; 3:14,15。
2 家に子供がいない場合でも家族研究をする必要はありますか。説明してください。
2 これは,神の言葉を家族で研究すべきなのは子供のいる家庭だけである,という意味ではありません。夫と妻は,家に子供がいなくても家族研究をするなら,霊的な物事に対するりっぱな認識を示していることになります。―エフェソス 5:25,26。
3 家族研究の定期性が大切なのはなぜですか。
3 最善の結果を見るには,教えを定期的に与える必要があります。エホバが荒野でイスラエルに与えた,「人(は)パンだけによって生きるのではなく,エホバの口から出るすべての言葉によって人は生きる」という教訓に沿って教えるのです。(申命記 8:3)家族の事情に応じて,週に1回研究する家庭もあれば,短い研究を毎日行なう家庭もあることでしょう。どんな取り決めにするにせよ,研究を場当たり的なものにしてはなりません。そのための『時を買い取って』ください。そのような時間を確保するために必要な代価を払うことは,一種の堅実な投資です。家族の命がかかっているのです。―エフェソス 5:15-17。フィリピ 3:16。
念頭に置くべき目標
4,5 (イ)エホバはモーセを通して親たちに,子供を教える際の大切な目標として,どんな点を示しましたか。(ロ)今日,それには何が関係していますか。
4 家族研究を司会するとき,明確な目標を念頭に置くなら,最善の結果を見ることができます。目標になり得る事柄を幾つか取り上げましょう。
5 毎回の研究で,エホバ神への愛を強化するように努める。イスラエルが約束の地に入る前,モアブの平原に集合していたとき,モーセは,後にイエス・キリストが「律法の中で最大のおきて」と認めたものにイスラエルの注意を向けました。それはどんなおきてでしたか。「あなたは,心をつくし,魂をつくし,活力をつくしてあなたの神エホバを愛さねばならない」というおきてです。(マタイ 22:36,37。申命記 6:5)モーセはイスラエル人に,これをぜひとも自分自身の心に銘記し,子供たちに教えなさいと言いました。そうするには,繰り返しが必要になります。エホバを愛する理由に注意を向け,そうした愛を表わす妨げとなりかねない態度や行動に対処し,親自身の生活の中でエホバへの愛をはっきり示すのです。わたしたちの子供は,これと同じような教えを必要としているでしょうか。確かに必要としています。そして子供たちも,『心に割礼を受ける』ための,すなわち,神を愛するのに妨げとなるものを取り除くための助けが必要です。(申命記 10:12,13,16。エレミヤ 4:4)そのような妨げとなるものの中には,世にあるものを欲する気持ちや,世の活動に没頭する機会を持ちたいという欲求が含まれるでしょう。(ヨハネ第一 2:15,16)エホバへの愛は,活動的で,はっきり表現され,天の父に喜ばれる事を行なうよう動かすものでなければなりません。(ヨハネ第一 5:3)家族研究が長期的な益を及ぼすには,この愛を強めるような仕方で毎回の研究を司会しなければなりません。
6 (イ)正確な知識を分け与えるには,何が必要ですか。(ロ)聖書は,正確な知識の重要性をどのように強調していますか。
6 神のご要求についての正確な知識を分け与える。それには何が関係しているでしょうか。雑誌や書籍に記されている答えを読むことができる,というだけのことではありません。たいていの場合,かぎとなる語句やおもな考えを確実にはっきり理解させるための討議が必要です。正確な知識は,新しい人格を身に着けるうえで,また生活の諸問題に対処する際に真に重要な事柄に目を留め続けるうえで,さらにはそのようにして神に本当に喜ばれる事柄を行なううえでの肝要な要素です。―フィリピ 1:9-11。コロサイ 1:9,10; 3:10。
7 (イ)どんな質問をするなら,研究資料を実際に当てはめるよう家族を助けることができますか。(ロ)聖書は,そうした目標を持つことの価値をどのように強調していますか。
7 学んだ事柄を実際に当てはめるよう助ける。毎回の家族研究では,この目標を念頭に置いて,こう尋ねてください。『この資料は,わたしたちの生活に当然どんな影響を及ぼすだろうか。いま行なっている事柄で何か改めるべき点があるだろうか。調整したいと思うべきなのはなぜだろうか』。(箴言 2:10-15; 9:10。イザヤ 48:17,18)学んだ事柄を実際に当てはめることに十分の注意を向けることは,家族が霊的に成長するうえでの重要な要素であると言えます。
教材を賢明に用いる
8 奴隷級は,聖書研究のためのどんな教材を提供していますか。
8 「忠実で思慮深い奴隷」は,研究に活用できる多種多様な教材を提供しています。「ものみの塔」誌は,聖書と共に読む雑誌で,131の言語で入手できます。聖書研究用の書籍は153の言語で,ブロシュアーは284,カセットテープは61,ビデオテープは41の言語で発行され,聖書情報検索用のコンピューター・プログラムも九つの言語で用意されています。―マタイ 24:45-47。
9 家族で「ものみの塔」誌を研究する際,この節の参照聖句にある助言をどのように適用できますか。
9 多くの家庭では,家族研究の時に,会衆で行なう「ものみの塔」研究の予習をしています。それは大いに役立つことでしょう。「ものみの塔」誌には,世界じゅうのエホバの民を築き上げるために用意された,主要な霊的食物が収められています。「ものみの塔」誌を家族で研究する際には,節を読んで印刷されている質問に答える以上のことをしてください。理解するよう真剣に努めてください。時間を割いて,引用されていない参照聖句を調べてください。それらの聖句が,考慮中の節に述べられている考えとどのように関連しているか,家族に注解を求めます。心を鼓舞してください。―箴言 4:7,23。使徒 17:11。
10 子供が研究に加われるよう,またそれが楽しいひとときとなるように何ができますか。
10 家に子供がいるなら,研究が家族の単なるしきたりではなく,築き上げる,興味深い,楽しいひとときとなるように何ができるでしょうか。一人一人がふさわしく加われるように努めて配慮し,研究資料から注意がそれないようにしてください。できれば,子供一人一人に自分の聖書と研究用の雑誌を持たせてください。親は,イエスが示した温かさに見倣い,幼い子供をすぐそばに座らせ,その子を腕に抱くようにしてもよいでしょう。(マルコ 10:13-16と比較してください。)家族の頭は,研究資料の挿絵について子供に説明を求めることができます。幼い子供には,特定の聖句を読むよう前もって割り当てておくこともできます。年上の子供には,研究資料を実際に適用する機会について述べるよう割り当てるのもよいでしょう。
11 ほかにもどんな教材が用意されていますか。そうした教材を入手できる場合,家族研究の際にどのように用いるなら益が得られますか。
11 「ものみの塔」誌を討議のおもな資料として用いているとしても,多くの言語で入手できる,他の研究用の教材も忘れないでください。背景となる情報や,聖書の表現に関する説明が必要なら,「聖書に対する洞察」から得られるでしょう。また,「ものみの塔出版物索引」を調べて,あるいは協会の用意したコンピューター検索プログラムを用いて質問の答えを見いだせる場合もあります。もし自国語のものを入手できるのであれば,こうした教材を使うことを学ぶのも,家族研究の一環として価値があるでしょう。子供の関心を刺激するために,研究時間の一部を割いて,協会の教育的なビデオの一つを少し見たり,劇のカセットテープを幾らか聴いたりしてから,それについて話し合うこともできます。こうした研究用の教材を十分に活用するなら,家族研究は家族全員にとって興味深く,益の多いものとなるでしょう。
家族の必要に合わせる
12 家族の差し迫った必要を扱うのに家族研究の機会をどのように活用できますか。
12 あなたの家庭では,普通,その週に学ぶ「ものみの塔」誌の記事を研究しておられるかもしれません。それでも,家族の実状を常に把握しているようになさってください。母親は世俗の仕事を持っていないのであれば,子供が毎日学校から帰って来るとき一緒に時間を過ごせるかもしれません。その時に扱える事柄もあれば,あとで改めて注意を向けなければならない事柄もあるでしょう。家族の差し迫った必要があるなら,それを見過ごさないでください。(箴言 27:12)学校での問題だけでなく他の状況にも対処する必要があるかもしれません。適切な資料を選び,前もって家族に何を研究するかを知らせてください。
13 貧困にどう対処できるかを家族で話し合うことが有益かもしれないのはなぜですか。
13 一つの例を挙げましょう。世界のかなりの地域は貧困にさいなまれています。ですから,多くの場所では,貧困にどう対処するかを話し合うことが必要かもしれません。家族研究で現実の状況や聖書の原則をおもに取り上げることは,家族にとって益となるのではないでしょうか。―箴言 21:5。伝道の書 9:11。ヘブライ 13:5,6,18。
14 どんな状況のゆえに,暴力,戦争,またクリスチャンの中立に関するエホバの見方を家族で話し合うのは時宜にかなったことと言えますか。
14 ほかに,暴力行為についても話し合う必要があります。わたしたちは皆,エホバの見方を思いと心にしっかり銘記しなければなりません。(創世記 6:13。詩編 11:5)家族研究でこの論題を扱う際には,学校でのいじめにどう対処すればよいか,武道を習うかどうか,またふさわしい娯楽を選ぶにはどうすればよいかといった点を話し合うことができます。暴力的な争いはありふれたものとなっており,ほぼ例外なくどの国も,内戦,政治紛争や民族紛争,あるいは暴力団同士の抗争などに悩まされています。ですから,周囲の人々がさまざまな党派に分かれて闘っている中で常にクリスチャンらしく振る舞う,ということについて家族で話し合う必要があるかもしれません。―イザヤ 2:2-4。ヨハネ 17:16。
15 子供に性と結婚についてどのように教えるべきですか。
15 子供は成長するにつれ,年齢に応じて,性や結婚について教えてもらう必要があります。ほとんどの親が性について子供と全く話し合わない文化圏もあります。子供は情報を与えられていないと,他の若者からゆがんだ見方を教えられ,悲惨な結果を招くことがあります。ですから,エホバに見倣うほうが勝っているのではないでしょうか。エホバは聖書の中で,性について率直ながらも品位のある助言を与えておられます。神からの助言は,子供が自尊心を保ち,礼儀正しく異性と接する助けになります。(箴言 5:18-20。コロサイ 3:5。テサロニケ第一 4:3-8)こうした事柄をすでに話し合ったとしても,ちゅうちょせずに再度話してください。新たな状況が生じるので,繰り返すことは肝要です。
16 (イ)さまざまな家庭で,家族研究はいつ行なわれていますか。(ロ)あなたは家族研究を定期的に行なえるよう,障害にどのように対処しましたか。
16 家族研究はいつ行なえるでしょうか。世界じゅうのベテル家族に倣って,月曜日の晩に家族研究を予定している家族は少なくありません。別の予定に従っている家族もあります。アルゼンチンの,子供9人を含むある11人家族は,毎日午前5時に起きて家族研究をしました。仕事の予定がまちまちで,ほかの時間では無理だったのです。楽なことではありませんでしたが,それによって子供の思いと心に家族研究の大切さが刻み込まれました。フィリピンのある長老は,妻および育ち盛りの3人の子供との家族研究を定期的に行ないました。親は週日に子供一人一人との研究もして,めいめいが真理を自分のものにできるようにしました。米国では,証人ではない夫のいる一姉妹が,毎朝スクールバスの乗り場まで子供たちと一緒に歩き,バスを待っている間に10分ほど,聖書に基づくふさわしい研究資料を一緒に読んで話し合います。次いで母親が短い祈りをささげ,子供たちはバスに乗り込みます。コンゴ民主共和国のある女性の場合,未信者の夫が家族を見捨ててしまいました。この女性はわずかな教育しか受けていないため,研究のために奮闘しなければなりません。それで,成人した息子が毎週家に立ち寄って母親および弟たちとの研究を司会し,助けています。母親は入念に予習して,りっぱな手本を示しています。あなたの家庭でも,家族研究を定期的に行ないにくい事情があるでしょうか。それでも,あきらめないでください。定期的に家族研究をしようとする努力に,エホバの祝福を切に求めてください。―マルコ 11:23,24。
粘り強さの報い
17 (イ)家族研究を定期的に行なうには何が求められますか。(ロ)どんな経験は,エホバの道を家族に定期的に教えることの価値を例証していますか。
17 計画が必要であり,粘り強さが求められます。しかし,定期的に家族研究を行なうことの益を考えれば,努力するだけの価値は十分にあります。(箴言 22:6。ヨハネ第三 4)ドイツのフランツとヒルダは,自分たちの11人の子供を育てました。娘のマクダレーナは何年も後に,「今になって一番大切だったと思うのは,何らかの霊的な教育を受けずに終わる日が1日としてなかったということです」と述べました。マクダレーナの父親は,アドルフ・ヒトラーのもとで国家主義の精神が色濃くなったとき,試みに遭うことを察知し,聖書を用いて家族をその試みに備えさせました。やがて,年下の子供たちは拘束されて感化院に連れて行かれ,家族の他の者たちは逮捕されて刑務所や強制収容所に入れられました。処刑された者たちもいました。一家全員が確固とした信仰を保ちました。激しい迫害を受けたその時期だけでなく,生き延びた者たちは,その後の年月にも信仰を保ったのです。
18 ひとり親の努力も,どのように報われていますか。
18 ひとり親,また自分と同じ信仰を持たない配偶者のいる親で,同じように子供に聖書の教えを定期的に与えてきた人は大勢おられます。夫を亡くし,独り身の母親となったインドのある女性は,子供たち二人にエホバへの愛を教え込むことに心を砕きました。ところが,息子がエホバの民と交わるのをやめたため,落胆しました。この女性は,息子をしつける面で手抜かりがあったならお許しくださいと,エホバに嘆願しました。しかし,息子は学んだ事柄をすっかり忘れたわけではありませんでした。10年以上も後に戻って来て,霊的な面でよく進歩し,会衆の長老になったのです。今では,この息子とその妻は,全時間の開拓者として奉仕しています。エホバとその組織から与えられた助言を心に留めて,家庭で聖書の教えを定期的に与えてきたそれらの親は,深い感謝の念を抱いているに違いありません。あなたもその助言を家庭の中で当てはめておられますか。
説明できますか
□ 定期的な家族研究が大切なのはなぜですか
□ 毎回の家族研究で何を目標にすべきですか
□ どんな教材が活用できるようになっていますか
□ 研究を家族の必要に合わせてどのように調整できますか
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明確な目標を持てば,さらに良い家族研究ができる