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植物に見られる興味深いパターン目ざめよ! 2006 | 9月
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仮に,次のような課題が与えられたとしましょう。成長点の周りに無駄なスペースが生じないように,新しい部分が効率よく成長してゆく植物をデザインするというものです。例えば,新たな原基が成長する場所を,直前に成長したものから5分の2回転した所とします。このようにすると,原基は五つ目ごとにどれも同じ場所から,同じ方向に成長するという問題を抱えることになります。そうすると複数のまっすぐな列ができてしまい,列と列の間に無駄なスペースが存在するようになります。(図3をご覧ください。)実のところ,単純な分数で表わされる角度であれば,どのような割合のものでも何本かの列が生じてしまい,スペースをうまく埋めることはできません。唯一,“黄金角”と呼ばれる角度,つまり約137.5度であれば,成長部分が理想的な仕方で無駄なく配列されます。(図5をご覧ください。)この角度が特別なのはなぜでしょうか。
黄金角は,単純な分数では表わせない理想的な角度と言えます。その割合はだいたい8分の5で,13分の8であればもっと近く,21分の13であればさらに近づきます。しかしどの分数も,黄金比の割合を正確に表わすことはできません。そのようなわけで,成長点で形成される新たな部分と直前の部分とがこの一定の角度を保っているかぎり,どの二つの部分も決して同じ方向に成長することはありません。(図4をご覧ください。)その結果,放射状の列ではなく,らせん状の筋が成長点から伸びてゆきます。
面白いことに,成長点から原基が成長してゆく様子をコンピューターでシミュレーションする場合,新たに成長する部分の角度を黄金角にかなりの精度で近くしなければ,きれいならせん模様が表われません。0.1度でもずれると,その模様はなくなってしまいます。―図5をご覧ください。
花びらは何枚?
興味深いことに,黄金角に基づいて形成されるらせんの数は通常,フィボナッチ数という数列のいずれかの数字に該当します。この数列は,13世紀のイタリアの数学者レオナルド・フィボナッチによって初めて紹介されたもので,数列の1より後の数字は,その前の二つの数字を足したものとなり,1,1,2,3,5,8,13,21,34,55などと続きます。
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植物に見られる興味深いパターン目ざめよ! 2006 | 9月
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『神はすべてのものを美しく造られた』
芸術家たちは,目に最も麗しく映るのは黄金比に配置されているものであることを昔から知っていました。植物がちょうどこの興味深い角度で新たな部分を成長させるのはなぜでしょうか。これも生物界に見られる知的設計の一例である,と結論する人は少なくありません。
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