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中世の優れた医学者たち目ざめよ! 2012 | 9月
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アブー・アルカーシムの手術器具の絵を載せたアラビア語の写本
アブー・アルカーシム(アルブカシス)も医学史において際立った人物です。この10世紀の人は,現在のスペインに位置するアンダルシアの出身で,創意工夫に富んでいました。手術に関する300ページの論文を含む,全30巻の概説書を著わしました。その論文の中で,腸線を使った体内の縫合,尿路に挿入した器具による膀胱結石の除去,甲状腺切除,白内障手術など,先進的な医療処置について記述しています。
また,「比較的現代的な臨床技術」を用いて,難産に対処し,肩の脱臼を治しました。外科処置に綿を使用し,骨の固定にギプスを使った最初の人でもあります。抜けた歯の再移植,入れ歯の製作,歯列矯正,歯石除去などの技術についても述べています。
手術に関する彼の論文は,絵入りで手術器具を説明した最古のものです。およそ200種の手術器具の絵が載せられ,いつ,どのように使うかも記されています。そのような手術器具の中には,1,000年たった現在でもデザインがほとんど変わっていないものもあります。
天然痘の薬の調合を監督するイブン・シーナー
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