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アルコールの誤用と健康目ざめよ! 2005 | 10月8日
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安全な飲酒
以上,健康への様々な危険を挙げましたが,それがすべてというわけではありません。2004年にネイチャー誌(英語)に掲載されたある記事は,「アルコールの摂取が少量ずつでも,けがをする危険が増え,また60種類ほどの病気にかかる可能性が高まる」と指摘しました。このことを考えると,安全な飲酒とはどのようなものでしょうか。今日,世界中の大勢の人が,安全と言える範囲内で時折,お酒をたしなんでいます。健康のかぎは節度です。では,節度ある飲酒とは何でしょうか。大抵の人は,自分の飲酒量は節度あるものだと思っていることでしょう。酔っぱらったり,アルコールに依存したりしていなければ大丈夫と考えるかもしれません。しかし,ヨーロッパの男性の4人に1人はアルコールの消費量が危険域に達しているとされています。
様々な資料は節度ある飲酒を次のように定義しています。男性の場合,一日当たりの純アルコールの摂取量が20㌘,つまり目安としての標準量2杯分です。同じく女性の場合は,10㌘つまり1杯分です。フランスと英国の保健当局は,「良識ある限度」を提案しており,男性は3杯,女性は2杯としています。さらに,米国立アルコール乱用・アルコール中毒対策研究所は,「65歳以上の人は一日当たりのアルコール摂取量を1杯に抑える」よう勧めています。c とはいえ,アルコールに対する反応は人によって違います。場合によっては,こうした少なめの摂取量でも多すぎるかもしれません。例えば,「アルコールと健康に関する,米国議会への第10回特別報告」によると,「気分障害や不安障害を抱える人の場合,節度ある量でも有害となり得る」とのことです。年齢,病歴,体格といった要素も考慮に入れるべきです。―「危険を減らす」という囲み記事をご覧ください。
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アルコールの誤用と健康目ざめよ! 2005 | 10月8日
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[8ページの囲み記事]
危険を減らす
世界保健機関の精神衛生薬物依存局は,低リスクの飲酒目安として以下のものを公表しています。低リスクと言ってもリスクがないわけではありません。また人によってアルコールへの反応は異なります。
■ 一日当たりの標準量2杯分を超えないe
■ 1週間に少なくとも二日は飲まない日を設ける
次の状況下では大抵の場合,標準量1杯分や2杯分でも多すぎる
■ 車を運転,もしくは機械を操作する場合
■ 妊娠している,もしくは母乳を与える場合
■ ある種の薬を服用している場合
■ 特定の病状を抱えている場合
■ 自分でお酒の量を制御できない場合
[脚注]
e 標準量1杯分とは,アルコールが10㌘含まれている量を指します。
[クレジット]
Source: Brief Intervention for Hazardous and Harmful Drinking
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