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    ものみの塔(研究用)2017 | 1月
    • サムエルがサウル王を叱責している

      慎みが非常に大切なのはなぜか

      「知恵は,慎みある者たちと共にある」。―箴 11:2。

      歌: 38,69

      説明できますか

      • 慎みが大切なのはなぜですか

      • 慎みはどのように謙遜さと関係していますか

      • どうすれば,与えられた割り当てに喜びを見いだせますか

      1,2. 当初は慎み深かったサウルが神に退けられたのはなぜですか。(冒頭の挿絵を参照。)

      古代イスラエルのサウル王は支配を始めた時,慎み深く,人々から敬われていました。(サム一 9:1,2,21; 10:20-24)しかし,王になるとすぐ,せん越な行動を取るようになります。神の預言者サムエルが予定の時にギルガルに到着しなかったため,もどかしく感じました。フィリスティア人は戦いの用意をしており,イスラエル人はサウルのもとを離れようとしていました。サウルは,「今すぐに何とかしなければ」と思ったことでしょう。それで,自分に権限がないにもかかわらず,神への犠牲をささげました。神はそれを喜ばれませんでした。―サム一 13:5-9。

      2 そこへサムエルが到着し,サウルを叱責しました。しかしサウルは矯正を受け入れず,言い訳をし,責任を転嫁し,自分の行動を正当化しようとしました。(サム一 13:10-14)サウルはその後もせん越に行動したため,結局王権を失い,もっと残念なことにエホバの是認も失ってしまいました。(サム一 15:22,23)王として良いスタートを切りましたが,悲惨な最期を遂げました。―サム一 31:1-6。

      3. (イ)多くの人は慎みについてどう考えていますか。(ロ)これからどんな点を学びますか。

      3 今日の競争社会で成功するには,他の人たちより抜きん出なければならない,と考える人が少なくありません。そのために慎みをかなぐり捨てています。例えば,政治家に転身したある有名な映画俳優はかつてこう言いました。「慎みなどわたしには無関係だ。これからもそうだ」。こうした風潮の中でも慎みが大切なのはなぜでしょうか。慎みとは何ですか。慎みを示すとはどんなことではありませんか。この記事ではこうした点を取り上げます。次の記事では,難しい状況に置かれる時や周囲からの圧力を受ける時,どうすれば慎みを保てるかを考えます。

      慎みが大切なのはなぜか

      4. せん越な行為とは何ですか。

      4 聖書では,慎みとせん越さが対比されています。(箴言 11:2を読む。)ダビデは賢明にも,「せん越な行為から[わたしを]とどめてください」とエホバに願い求めました。(詩 19:13)「せん越な行為」とは何でしょうか。自分に権限がない事柄を,性急に,差し出がましく行なうことです。わたしたちは皆,受け継いだ罪のゆえにせん越に行動してしまうことがあります。しかしサウルの例が示すように,そうした行動を繰り返しているなら,遅かれ早かれ神との関係に重大な影響が及びます。詩編 119編21節によると,エホバは「せん越な者たちを叱責され」ます。なぜでしょうか。

      5. せん越な行為が重大な事柄と言えるのはなぜですか。

      5 せん越な行為は,単なる間違いよりも重大な事柄です。第一に,慎みに欠けた行動を取るなら,正当な主権者エホバに誉れをもたらしていないことになります。第二に,自分の権限を越えて行動するなら,他の人と衝突するかもしれません。(箴 13:10)第三に,せん越に行動したことが他の人の目に明らかになるなら,気まずい思いをしたり,恥をかいたりするでしょう。(ルカ 14:8,9)せん越な行為は良い結果をもたらしません。聖書が述べるとおり,慎みを示すのは常に正しいことです。

      慎みがあるとはどういうことか

      6,7. 謙遜さとは何ですか。慎みは謙遜さとどのように関係していますか。

      6 慎みは謙遜さと密接な関係があります。聖書によると,謙遜さとは誇りや尊大さのないことです。「へりくだった思い」とも述べられています。(フィリ 2:3)謙遜な人はたいてい慎み深さも備えており,自分の能力や成し遂げた事柄を正しく評価し,自分の間違いを認め,提案や新しい考えを受け入れることができます。謙遜さはエホバに大いに喜ばれます。

      7 聖書によると,慎みも謙遜さと同様,自分を正しく評価し,自分の限界を認めることを意味しています。ですから,慎みのある人は他の人に敬意を払い,親切に接します。

      8. 慎みに欠けた考えや行動には,どんな兆候がありますか。

      8 慎みに欠けた考えや行動はどのようにして始まるのでしょうか。幾つかの兆候があります。例えば,自分自身や自分の特権を過度に重視するかもしれません。(ロマ 12:16)不適切な仕方で自分に注意を向けることもあります。(テモ一 2:9,10)自分の立場や個人的な見方,または特定の人との関係に基づいて,強い意見を述べるかもしれません。(コリ一 4:6)そのような場合,気づかないうちに慎みを欠いて,せん越さを示している可能性があります。

      9. ある人たちは,どのようにせん越になりましたか。聖書中の例を挙げてください。

      9 肉の欲望に屈すると,慎みに欠けた行動をしてしまうかもしれません。多くの人は,野心やねたみや怒りに負けて,せん越に行動しました。聖書に出てくるアブサロム,ウジヤ,ネブカドネザルなどは,肉の業に屈してせん越さを示したため,エホバから懲らしめを受けました。―サム二 15:1-6; 18:9-17。代二 26:16-21。ダニ 5:18-21。

      10. 他の人の動機を性急に判断すべきでないのはなぜですか。聖書中の例を挙げて説明してください。

      10 人が慎みに欠けた行動をしてしまう理由はほかにもあります。例えば,創世記 20章2-7節とマタイ 26章31-35節の記述について考えてみましょう。アビメレクとペテロは,せん越に行動したように見えますが,罪深い欲望に促されて行動したのでしょうか。それとも,すべての事実を把握していなかったに過ぎないのでしょうか。あるいは,つい無思慮に行動してしまったのでしょうか。わたしたちは人の心を読めないので,他の人の動機を性急に判断しないようにするのは賢明であり,愛のあることです。―ヤコブ 4:12を読む。

      自分の立場をわきまえる

      11. 慎みがあれば,神の取り決めにおける自分の立場をどのように見るはずですか。

      11 慎みを示すことは,神の取り決めにおける自分の立場をわきまえることから始まります。秩序の神エホバは,わたしたち一人一人に,神の家の者としての立場や務めを与えておられます。会衆内での役割はそれぞれ異なりますが,だれもが必要とされています。エホバは過分のご親切により,各人に賜物,優れた特質,能力,才能を与えておられます。そうした贈り物を,神に栄光をもたらし,他の人を助けるために用いることができます。(ロマ 12:4-8)エホバはわたしたちに,誉れと信頼と責任の伴う家令としての務めを与えてくださったのです。―ペテロ第一 4:10を読む。

      イエスは創造の業を助け,人間として生まれ,弟子たちを教え,犠牲の死を遂げた。今は王国の王として支配している

      割り当てが変化する時,どのようにイエスに倣えるか(12-14節を参照)

      12,13. 神の取り決めにおける自分の立場が変わることがあるのはなぜですか。

      12 神の取り決めにおけるわたしたちの立場は,時と共に変化することがあります。イエスについて考えましょう。イエスは当初,神とふたりだけで存在していました。(箴 8:22)その後,神と共に,他のみ使いや宇宙や人間を創造しました。(コロ 1:16)後にイエスは地上での割り当てを受けました。無力な赤子として生まれ,大人へと成長しました。(フィリ 2:7)犠牲の死を遂げた後は霊者として天に戻り,1914年に神の王国の王となりました。(ヘブ 2:9)しかし将来,イエスの立場はさらに変化します。千年統治の後,王国をエホバに渡し,「神がだれに対してもすべてのものとなるようにするのです」。―コリ一 15:28。

      13 わたしたちの割り当ても時おり変わることがあります。自分の決定によって変化する場合も少なくありません。例えば,結婚したり,子育てを始めたりするかもしれません。後に,生活を簡素にして全時間奉仕を始めるかもしれません。こうした決定には,新たな特権や責任が伴います。状況が変わって,もっと活動できるようになることもあれば,あまり活動できなくなることもあります。しかし,年齢や健康状態にかかわりなく,エホバは一人一人がどうすれば最善の仕方で奉仕できるかをご存じです。神は,わたしたちにできる以上のことを期待したりはせず,わたしたちの努力を高く評価してくださるのです。―ヘブ 6:10。

      14. 慎みがあれば,どんな状況のもとでも満足し,喜びを保つことができます。なぜそう言えますか。

      14 イエスは,神から与えられたどんな割り当てにも喜びを見いだしました。わたしたちも自分の割り当てに喜びを見いだせます。(箴 8:30,31)慎み深い人は,会衆内の今の割り当てや責任に不満を抱いたりはしません。特権が得られるのだろうかと気をもむことも,他の人が成し遂げている事柄に気を乱されることもありません。むしろ,今の割り当てに喜びとやりがいを見いだすよう努めます。エホバから与えられた割り当てと見ているからです。それと共に,エホバが他の人に与えておられる役割や立場に敬意を払います。慎みがあれば,他の人を心から敬い,喜んで支えることができます。―ロマ 12:10。

      慎みを示すとはどんなことではないか

      15. ギデオンの慎み深さから何を学べますか。

      15 ギデオンは慎み深く行動する点で優れた手本を示しました。エホバのみ使いが最初に現われた時,ギデオンは自分が取るに足りない者であると述べました。(裁 6:15)エホバからの割り当てを受け入れた後は,自分に求められている事柄を十分に理解したかどうかを確かめ,エホバに導きを求めました。(裁 6:36-40)ギデオンは大胆で勇敢な人でしたが,思慮深く慎重に行動しました。(裁 6:11,27)自分の業績に乗じて王になろうとはせず,務めを終えた後はすぐに自分の家に戻りました。―裁 8:22,23,29。

      16,17. 慎み深い人は,霊的な進歩についてどんな見方をしますか。

      16 慎みを示すとは,奉仕の特権をとらえようと努めたり,それを受け入れたりしない,という意味ではありません。聖書は,わたしたちすべてが進歩すべきであると述べています。(テモ一 4:13-15)では,新たな割り当てを受けなければ進歩できないのでしょうか。必ずしもそうではありません。今の割り当てがどんなものであれ,クリスチャンの特質を磨き,エホバから与えられた能力を向上させることができます。そうすれば,いっそう効果的にエホバに仕え,他の人たちを助けることができるでしょう。

      17 慎み深い人は,新たな割り当てを受け入れるなら何が求められることになるかを前もって考えます。そして,自分の状況を正直に吟味します。例えば,他の重要な務めをおろそかにせずに,その割り当てを果たせるでしょうか。新たな責任を果たす時間を作り出すため,今の仕事の一部をだれかにゆだねることができるでしょうか。自分の状況について,祈りのうちに現実的に分析するなら,今の能力や限界を超えて仕事を引き受けることを避けられます。慎みがあれば,割り当てを辞退することもできるでしょう。

      18. (イ)慎み深い人は,新しい割り当てをどのように果たしますか。(ロ)慎み深くあるために,ローマ 12章3節はどのように役立ちますか。

      18 新しい割り当てを受け入れた場合,ギデオンの例から,成功するためにはエホバからの指示と祝福が欠かせない,という点を思い起こすことができるでしょう。わたしたちは,「慎みをもって……神と共に歩む」よう勧められているのです。(ミカ 6:8)それで,新たな責任を与えられた時にはいつでも,エホバが聖書や組織を通して教えてくださっている事柄を祈りのうちに熟考する必要があります。自分の不安定な足取りを,エホバの安定した導きに合わせて調整しなければなりません。わたしたちを「大いなる者とする」のは,自分の能力ではなくエホバの謙遜さである,ということを忘れないようにしましょう。(詩 18:35)慎みをもって神と共に歩むことを選ぶ人は,自分を過大評価することも過小評価することもありません。―ローマ 12:3を読む。

      19. 慎みを培うべきなのはなぜですか。

      19 慎み深い人は,創造者また宇宙主権者であるエホバに当然の誉れをもたらします。(啓 4:11)慎みがあれば,神の取り決めの中で与えられた立場に満足し,そこで産出的な奉仕を行なえます。兄弟姉妹に敬意を示すので,エホバの民の一致を促進できます。自分より他の人の益を考えます。注意深く行動するので,重大な過ちを避けられます。ですから,慎みは神の民すべてにとって非常に大切な特質です。エホバに愛されるためには,この特質を培わなければなりません。では,圧力を受けたり難しい状況に置かれたりする時,どうすれば慎みを保てるでしょうか。次の記事で考えましょう。

  • 難しい状況のもとでも慎みを保つ
    ものみの塔(研究用)2017 | 1月
    • ユダから来た預言者が老人に欺かれる

      難しい状況のもとでも慎みを保つ

      「慎みをもってあなたの神と共に歩[め]」。―ミカ 6:8。

      歌: 48,95

      次のような時,慎みはどのように助けになりますか

      • 割り当てが変化する時

      • 批判や称賛を受けた時

      • 難しい決定を下す時

      1-3. ユダから来た預言者は何をしませんでしたか。どんな結果になりましたか。(冒頭の挿絵を参照。)

      ヤラベアム王の統治期間中のことです。エホバはユダから1人の預言者をベテルに遣わし,この背教したイスラエルの王に痛烈な裁きの音信を伝えました。謙遜な預言者は神からの音信を忠実に知らせました。エホバは,激怒したヤラベアムから預言者を保護されました。―王一 13:1-10。

      2 預言者は帰り道で,ベテルから来た老人に出くわします。老人は自分がエホバの預言者だと言います。この若い預言者は老人に欺かれ,エホバの明確な指示に背いてしまいます。「[イスラエル]ではパンを食べてはならず,水も飲んではならない。自分の来た道を通って戻ってはならない」と指示されていたのです。預言者はエホバからの不興を買い,道でライオンに会って殺されてしまいました。―王一 13:11-24。

      3 当初慎み深かった預言者が,老人に欺かれてせん越に行動してしまったのはなぜでしょうか。聖書は特に述べていません。もしかすると,「慎みをもって……神と共に歩む」べきである,ということを全く忘れてしまったのかもしれません。(ミカ 6:8を読む。)エホバと共に歩むとは,エホバを信頼し,神の主権を支持し,神の導きに従うことを意味します。慎み深い人は,自分が愛情深い全能の父といつでも意思を通わせることができ,またそうしなければならない,ということを強く意識しています。この預言者は,エホバに指示を確認することもできましたが,そうしたとは聖書に述べられていません。わたしたちも,難しい決定を迫られ,どうすべきかはっきり分からないことがあります。そのような時,慎み深くエホバの導きを求めるなら,重大な過ちを犯さないですむでしょう。

      4. この記事ではどんなことを学びますか。

      4 前の記事では,慎みがクリスチャンにとって非常に大切なのはなぜか,またどのように慎みを示すべきかを学びました。では,慎みが試みられるどんな状況があるでしょうか。どうすれば慎みを培い,圧力のもとでもそれを保てるでしょうか。こうした点について考えるため,慎みが試みられる3つの状況を取り上げます。それぞれの状況において,どのように賢明に行動できるかを考えましょう。―箴 11:2。

      状況が変化する時

      5,6. バルジライはどのように慎みを示しましたか。

      5 自分の状況や割り当てが変化する時,慎みが試みられるかもしれません。バルジライは80歳の時,宮廷に住むようダビデから招かれました。非常に光栄なことだと感じたでしょう。招きに応じれば,王との交友を引き続き楽しむことができます。しかしバルジライは辞退しました。高齢の自分は王の重荷になってしまう,と考えたのです。それで代わりに,息子の一人と思われるキムハムを推薦しました。―サム二 19:31-37。

      6 バルジライは慎みがあったので,道理にかなった決定を下せました。ダビデの招きを辞退したのは,自分には責任を担う資格がないと感じたからでも,静かな余生を送りたいと思ったからでもありません。自分の状況の変化を受け入れ,限界を認めたからです。自分にできる以上のことを引き受けたいとは思わなかったのです。(ガラテア 6:4,5を読む。)立場を得ることや目立つこと,あるいは人から認められることに思いが向くなら,どうなるでしょうか。自己本位な見方や競争心が強まり,やがて失望を味わうことになります。(ガラ 5:26)他方,慎みがあれば,他の兄弟姉妹と一致協力して神に栄光をもたらし,他の人を最善の仕方で助けることができるでしょう。―コリ一 10:31。

      7,8. 慎みがあれば自分に頼ることをしません。なぜですか。

      7 より大きな責任や権限が与えられると,慎みが試みられるかもしれません。ネヘミヤはエルサレムの人々の窮状について聞いた時,エホバに熱烈に祈りました。(ネヘ 1:4,11)ネヘミヤはエホバに祝福され,アルタクセルクセス王によって総督に任命されました。目立った立場,富,権限を得ていましたが,自分の経験や能力に頼ることは決してありませんでした。むしろ,神と共に歩み続けました。神の律法を調べることによって,いつもエホバの指示を求めました。(ネヘ 8:1,8,9)民に威張り散らしたりはせず,自費で民に仕えました。―ネヘ 5:14-19。

      8 ネヘミヤの手本から何を学べますか。慎みがあれば,割り当てが変わったり,より大きな責任を与えられたりした時にも,自分に頼ることはしない,ということです。自分の経験だけに頼る長老は,エホバに祈らずに会衆の事柄を扱い始めるかもしれません。ある兄弟姉妹は,先に決定を下してから,その決定を祝福してくださるようエホバに祈るかもしれません。こうした行動は慎み深いと言えるでしょうか。慎み深い人はいつも,神のみ前における自分の立場や,神の取り決めにおける自分の役割を思いに留めます。大切なのは自分の能力ではありません。自分がよく知っている状況や問題に直面した時には特に,自分に頼らないよう注意する必要があります。(箴言 3:5,6を読む。)わたしたちは神の家の者の一人として,家庭や会衆における自分の役割をどのように果たせるかを考えます。立場を得たり,“出世”したりすることを考えることはありません。―テモ一 3:15。

      批判や称賛を受けた時

      9,10. 慎みがあれば,不当な批判にどのように対処できますか。

      9 不当な批判を受けた時,感情をコントロールするのは簡単ではありません。ハンナはたびたび涙を流しました。彼女と張り合っていたペニンナから絶えずあざけられたからです。夫から愛されていましたが,子どもができませんでした。後に,幕屋で祈っていると,大祭司のエリはハンナが酔っていると思い込み,ハンナをとがめます。ハンナはいたたまれない気持ちになったでしょう。それでも自分の感情を制し,エリに敬意をこめて返答しました。心を打つハンナの祈りは聖書に記録されています。その祈りは,信仰や賛美や感謝の表現であふれています。―サム一 1:5-7,12-16; 2:1-10。

      10 慎みがあれば,「善をもって悪を征服してゆ[く]」こともできます。(ロマ 12:21)サタンの体制では不当な扱いを受けることが少なくありません。それで,悪い人たちの行動にいきり立たないようにする必要があります。(詩 37:1)兄弟姉妹との間でそのような問題が生じると,もっと大きな心痛を味わうかもしれません。慎み深い人はイエスの手本に倣います。「[イエス]は,ののしられても,ののしり返したりしませんでした。……むしろ,義にそって裁く方に終始ご自分をゆだねました」。(ペテ一 2:23)イエスは復しゅうがエホバのものであることをわきまえていました。(ロマ 12:19)わたしたちも,謙遜であるよう,また「危害に危害……を返す」ことのないよう命じられています。―ペテ一 3:8,9。

      11,12. (イ)慎みがあれば,へつらいや過度の称賛に対してどんな態度を示せますか。(ロ)慎みがあれば,どんな服装や身繕いや振る舞いをするはずですか。

      11 慎みは,へつらいや過度の称賛によっても試みられます。驚くような状況の変化が生じても立派な態度を示したエステルについて考えましょう。エステルは非常に美しい女性で,1年にわたり美容のためのマッサージを受けました。ペルシャ帝国中からやって来た若い女性たちと毎日過ごしました。女性たちは王の気を引こうと競い合っていました。それでもエステルは落ち着きと敬意のある態度を保ちました。女王となるよう王から選ばれた後も,虚栄心を抱いたり,慎みを失ったりすることはありませんでした。―エス 2:9,12,15,17。

      王国会館における慎み深い服装と身繕い,慎みに欠けた服装と身繕い

      あなたの服装や身繕いは,エホバと他の人たちへの敬意を示すものですか。それとも慎みが欠けていますか(12節を参照)

      12 慎みがあれば,いつも品位ある服装や身繕いや振る舞いをするでしょう。自慢したり,自分に過度の注意を引いたりしても,人々の心を勝ち得ることはできません。むしろ,「もの静かで温和な霊」を示すことが大切です。(ペテロ第一 3:3,4を読む。エレ 9:23,24)自分を良く見せようとする気持ちは,やがて行動に表われます。例えば,自分は大きな特権を得ているとか,内部情報を知っているとか,責任ある兄弟たちと親しくしているといったことをほのめかすかもしれません。何かのアイデアや成し遂げた事柄に関して,実際には他の人たちも貢献していたのに,自分の功績であるかのような話し方をするかもしれません。イエスはこの面でも素晴らしい手本を示しました。人々を教える際に,ヘブライ語聖書から引用したり,それに言及したりしました。慎み深くも,自分の知性や知恵に注意を向けるのではなく,教えの源であるエホバに栄光をもたらしたのです。―ヨハ 8:28。

      難しい決定を下す時

      13,14. 慎みは,良い決定をするうえでどのように役立ちますか。

      13 難しい決定を下す時にも,慎みが試みられます。使徒パウロはカエサレアにいた時,預言者アガボから,エルサレムに行ったら捕まるだろうと告げられました。殺される可能性もありました。兄弟たちは最悪の結果を恐れ,エルサレムに行かないようにと懇願します。しかし,パウロは思いとどまりません。自信過剰になることも,恐怖で萎縮してしまうこともありませんでした。エホバを全く信頼し,エホバが許されるならどこへでも行って,割り当てを成し遂げるつもりだったのです。パウロの気持ちを知った兄弟たちは,慎みを示し,エルサレムに行くというパウロの決定に反対するのをやめました。―使徒 21:10-14。

      14 慎みがあれば,先の状況を十分に予測したりコントロールしたりできない時でも,良い決定を下すことができます。例えば,全時間奉仕を始めることを考えているとしましょう。でも,病気になった時どうなるでしょうか。年老いた親を助けることが必要になったら,どうすればよいのでしょうか。自分が年を取ったら,生活はどうなるでしょうか。どんなに祈ったり調査したりしても,このような質問に対するはっきりした答えは得られません。(伝 8:16,17)しかし,エホバへの信頼があれば,自分の限界を認め,受け入れることができます。調査し,他の人に相談し,導きを祈り求めた後は,神の霊が導く方向に足を踏み出す必要があります。(伝道の書 11:4-6を読む。)そうすれば,エホバは祝福してくださるでしょう。あるいは,別の方向に進むよう優しく導いてくださるかもしれません。―箴 16:3,9。

      慎みを培う

      15. エホバについて熟考することは,謙遜さを保つ助けになります。なぜそう言えますか。

      15 慎みを示すことには多くの益があります。では,どうすればこの特質をさらに培えるでしょうか。4つの方法を考えましょう。1つ目に,エホバの卓越した特質と立場について熟考するなら,エホバへの畏敬の念が深まり,慎みをいっそう培うことができます。(イザ 8:13)わたしたちは,み使いや人間とではなく,全能の神と共に歩んでいるのです。そうした認識があれば,「神の力強いみ手のもとにあって謙遜な者」になりたいと思うことでしょう。―ペテ一 5:6。

      16. 神の愛について黙想することは,慎みを培ううえでなぜ役立ちますか。

      16 2つ目に,エホバの愛について黙想することも役立ちます。使徒パウロは,人体の中でほかより誉れが少ない部分を「より豊かな誉れをもって」包む,と述べました。(コリ一 12:23,24)エホバは,限界のあるわたしたち一人一人を気にかけてくださいます。他の人と比べたり,間違いをしたからといって愛を差し控えたりすることはされないのです。エホバが愛してくださっていることを思うと,神の家の者としてどこで奉仕していても安心感を抱けます。

      17. 他の人の良い点を探すなら,どんな益が得られますか。

      17 3つ目に,神に倣って他の人の良い点を探すなら,エホバへの奉仕における自分の役割についてふさわしい見方ができます。脚光を浴びようとしたり,主導権を握ろうとしたりするのではなく,慎み深く他の人の助言を求め,提案に従います。(箴 13:10)他の人に特権が与えられる時,その人と共に喜びます。そして,「世にいる[わたしたち]の仲間の兄弟全体」を祝福しておられるエホバを賛美します。―ペテ一 5:9。

      18. 品位ある服装や振る舞いに関して鋭敏な感覚を身に着けるため,どのように良心を訓練できますか。

      18 4つ目に,聖書の原則に沿って自分の良心を訓練するなら,品位ある服装や振る舞いに関して鋭敏な感覚を身に着けることができます。慎みを示してエホバの見地から物事を見るなら,良い判断を下せます。定期的に研究し,祈り,学んだ事柄を当てはめることによって,良心を徐々に強化することができるでしょう。(テモ一 1:5)他の人の益を優先させることもできます。そのようにして自分の分を果たすなら,エホバは「[わたしたち]の訓練を終え」,慎みや他の特質を示せるようにしてくださるのです。―ペテ一 5:10。

      19. どうすれば永遠にわたって慎みを保てますか。

      19 ユダから来た預言者は,1度のせん越な行ないによって,自分の命と神のみ前での良い立場を失いました。しかし,難しい状況のもとでも慎みを保つことは可能です。昔の忠実な人たちや今日の慎み深い人たちは,そのことを実証してきました。エホバと共に長く歩めば歩むほど,いっそう慎み深い人になれます。(箴 8:13)今の立場がどのようなものであれ,エホバと共に歩めること自体,比類のない素晴らしい特権です。この特権を大切にし,慎みをもって永遠にエホバと共に歩み続けましょう。

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