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シナイ写本を救うものみの塔 1988 | 10月15日
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ティッシェンドルフは,ヨーロッパの極めて優れた図書館を4年間尋ね回ってから,1844年5月に,紅海の海面より1,400㍍も高い場所にある,シナイ山麓の聖カタリナ修道院に到着しました。要塞のような修道士の隠れ家に近づくには,ロープにつるされたかごに乗って,壁の小さな穴を通って行かなければなりませんでした。
報いのある発見
ティッシェンドルフは数日間,修道院の三つの図書館を探し回ることを許されましたが,成果はありませんでした。その後,ちょうど帰ろうとしていた時に,探し求めていたものを発見しました。それは古代の羊皮紙で,主要な図書館の広間にあった大きなかごの中にぎっしり詰め込まれていました。図書館員は,すでに二かご分が焼かれ,ここにあるものも焼却されることになる,とティッシェンドルフに語りました。ティッシェンドルフはそれらの羊皮紙の中に,自分がこれまで見たことのある写本の中で最も古い写本,つまりヘブライ語聖書の一部のギリシャ語訳が129葉含まれているのを発見して驚きました。43葉はもらえましたが,残りはゆずってもらえませんでした。
ティッシェンドルフは1853年に再び修道院を訪れましたが,発見できたのはその同じ4世紀の写本の創世記の断片だけでした。「その写本はもともと旧約聖書全巻を含んでいたが,大半はかなり前に破棄された」というのが彼の得た確証でした。完全にそろった写本は730葉から成っていたようで,ベラム,つまり羊ややぎの上等な皮にギリシャ語のアンシャル体(大文字)で書かれていました。
その6年後,ティッシェンドルフは三度シナイの修道院を訪れましたが,思いがけないことに帰る前の晩になって,15年前に自分が火から救った紙葉だけでなく,他の多くの紙葉を見せてもらいました。それらの写本には,クリスチャン・ギリシャ語聖書全巻と,ヘブライ語聖書のギリシャ語訳の一部が含まれていました。
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シナイ写本を救うものみの塔 1988 | 10月15日
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[31ページの図版]
シナイ山であると伝えられる山のふもとにある聖カタリナ修道院。[挿入写真]同修道院の現在の図書館
[クレジット]
Pictorial Archive (Near Eastern History) Est.
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Pictorial Archive (Near Eastern History) Est.
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