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奇跡 ― それは本当に起きましたか聖書 ― 神の言葉,それとも人間の言葉?
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自然の法則に反するか
6 「自然の法則に反する」という理由で奇跡という概念に反論するのはなぜ論理にそうことではありませんか。
6 奇跡は「自然の法則に反する」,したがって真実のものではあり得ない,という反論についてはどうでしょうか。表面的には,これは説得力があるように見えます。しかし,述べられていることの真の意味をよく考えてください。多くの場合,奇跡とは通常の自然法則外で起きる事柄,と定義できるでしょう。a それはあまりにも予期外の事象に思えるため,それを見る人は,超人間的な介入を目撃したものと確信します。ですから,実際のところこの反論は,『奇跡は奇跡的であるから起こり得ない』と言っていることになります。そのような結論を急ぐ前に,現実の証拠を考慮してみることはどうでしょうか。
7,8 (イ)今日知られている自然の法則について言えば,科学者たちは,どんな事が起こり得るかという点について,なぜ以前より広い見方をしていますか。(ロ)神の存在を信じるとすれば,普通を超えた事柄を行なう力についてどんなことも認めるべきですか。
7 実際のところ,今日の教育ある人々は,一般的に知られている自然の法則がどこでも常に当てはまると主張する点では,デービッド・ヒュームほどに積極的ではありません。科学者たちは,一般によく知られる縦,横,高さの三次元だけでなく,それ以外の別の次元が宇宙内にいろいろ存在するのではないか,という点を好んで考察します。2 また,ブラックホール,つまり巨大な星であったものが内部に向かって崩壊し,その密度がほとんど無限大にまでなったものの存在についても理論付けがなされています。その付近における空間の構造は極めてゆがみ,時間そのものも停止してしまう,とされています。3 科学者たちはまた,ある種の条件下で時間が進行するのではなく逆戻りする可能性についても論じています。4
8 ケンブリッジ大学数学科のルーカス栄誉教授職にある,スティーブン・W・ホーキングは,宇宙がどのように始まったかの論議の中でこう述べました。「古典的な一般相対性理論において……宇宙の始まりは,無限の密度と時空のゆがみという特異性でなければならない。そのような条件のもとで,既知の物理法則はみな崩壊してしまうであろう」。5 それで,通常の自然法則に反する事柄は決して起こり得ないという見方に,現代の科学者たちは同意しません。普通と異なる条件下では,普通と異なる事象が起こり得ます。もとより,全能の神の存在を信じるとすれば,その神は,ご自身の目的にまさにかなう時に,普通を超えた ― つまり奇跡的な ― 事柄を生じさせる力を持たれる,ということをも認めるのが当然でしょう。―出エジプト記 15:6-10。イザヤ 40:13,15。
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奇跡 ― それは本当に起きましたか聖書 ― 神の言葉,それとも人間の言葉?
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a ここで「多くの場合」と言うのは,聖書に記されている奇跡の中には,地震や地滑りなどの自然現象がかかわっていたのではないかと考えられるものもあるからです。しかし,それらもやはり奇跡とみなされます。なぜなら,まさに必要とされた時にそれが起き,それゆえ明らかに神の導きによるものとみなし得るからです。―ヨシュア 3:15,16; 6:20。
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