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チョウ,植物,アリ ― 肝要な相互関係目ざめよ! 2001 | 5月22日
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季節が巡って7月になると,西ヨーロッパに生息する優雅な青いチョウは,次の世代をもうける時期が来たことを察知します。しかし,子孫を残すには,交尾の相手以外にも必要なものがあります。湿地で青い花をつけるリンドウや,おなかのすいた赤いアリの助けも必要です。どうしてでしょうか。このチョウのライフ・サイクル(生活環)の中で,植物やアリはどんな役割を果たしているのでしょうか。
それら3種類の生物がかかわっている,たいへん興味深い関係を観察できる場所の一つは,オランダ北部にあるドゥインゲルデルフェルト国立公園です。この国立公園は,青いチョウの大集団の生息地です。春から夏にかけて,ドゥインゲルデルフェルトのヒースの茂った荒地は,湿地の青いリンドウ,湿原のピンクのギョリュウモドキや黄色いスイセンなど,多数の顕花植物の織り成す多彩なじゅうたんに一変します。青いチョウはとりわけ,ギョリュウモドキの優美な花や,リンドウの青い花に引き付けられますが,その理由は二つあります。ギョリュウモドキは花蜜を吸える格好の場所,それにリンドウは貯蔵所とみなされています。
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チョウ,植物,アリ ― 肝要な相互関係目ざめよ! 2001 | 5月22日
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ドゥインゲルデルフェルト国立公園が今後も青いチョウにとって安全な場所であるようにするため,この国立公園の管理者たちは現在,何世紀も前の農夫たちが用いていたのと同じ農法を利用して,ヒースの茂る荒地を維持しようとしています。昔のように,羊飼いは羊の群れを連れて,ヒースの茂る荒地を歩き回っており,もっと硬い草の生えている草原では牛が草をはんでいます。羊や牛がきれいに草をはむ場所には,ナツザキエリカや湿原のギョリュウモドキその他の植物が生育できます。(現在,この国立公園には580種ほどの植物が生育しています。)これに呼応して,ドゥインゲルデルフェルトの青いチョウも自分たちの役目を果たして,その数が増えています。実際,ヒースの茂る荒地として,ヨーロッパで最大かつ最重要なこの国立公園は,一般のチョウにとっても住みよい場所なので,オランダに生息するチョウのすべての種の60%をここで見ることができます。
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