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楽園に戻る道を開くものみの塔 1989 | 8月15日
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楽園に戻る道を開く
「イエスは彼に言われた,『今日あなたに真実に言いますが,あなたはわたしと共にパラダイスにいるでしょう』」― ルカ 23:43。
1,2 (イ)「パラダイス」にはどんな意味がありますか。エデンの園はどんなところだったに違いありませんか。(ロ)「園」に相当するヘブライ語は,クリスチャン・ギリシャ語聖書ではどのように翻訳されていますか。
人類は楽園<パラダイス>でその第一歩を踏み出しました。聖書巻頭の書には,人間の創造に関して次のように記されています。「エホバ神は地面の塵で人を形造り,その鼻孔に命の息を吹き入れられた。すると人は生きた魂になった。さらに,エホバ神はエデンに,その東のほうに園を設け,ご自分が形造った人をそこに置かれた」。(創世記 2:7,8)「エデン」という名には「楽しみ」という意味がありました。ですから,エデンの園は広々とした楽しみの公園で,変化に富んだ美しいものがたくさんありました。
2 「パラダイス」という語はギリシャ語に由来し,ギリシャ語では公園のような園を指します。「園」を意味するヘブライ語の名詞ガンを翻訳するために用いられたギリシャ語は,パラデイソスです。聖書の「マタイによる書」から「ヨハネへの啓示」まではギリシャ語で書かれましたが,西暦33年ニサン14日,カルバリの苦しみの杭の上で死刑の苦痛を味わっておられた時に主イエス・キリストが語った言葉も,このギリシャ語で記録されました。
イエスが一人の悪行者に与えた,パラダイスに関する約束
3 (イ)同情心のある悪行者はイエスに何を頼みましたか。(ロ)悪行者の願いは,イエスに関するその人の信仰について何を示していますか。
3 その時,二人の悪行者もイエスのかたわらで杭につけられていました。そのうちの一人は,イエスのもう一方の側で杭につけられていた強盗のような態度でイエスをあしざまに言い続けることはやめていました。同情心のあるその悪行者はイエスのほうを向き,「イエスよ,あなたがご自分の王国に入られる時には,わたしのことを思い出してください」と述べて,いま自分と並んではりつけになってはいても,イエスには将来王国に入る見込みがあるという信仰を言い表わしました。(ルカ 23:42。マルコ 15:32)その言葉は主イエスの心を感動させたに違いありません。その友好的な犯罪者は,イエス・キリストが無実であること,杭につけられて公衆の面前で辱めを受けるような極刑には値しないことを信じていました。(ルカ 23:41)また,そのようにお願いすることによって,イエスが死人のうちから復活させられ,王国に入ると信じていたことを示しました。この悪行者は,自分自身が復活を経験でき,イエスこそ自分を死人のうちから呼び出し,地上で新たな命を与えてくださる方であるということに対しても信仰を示しました。
4 イエスは悪行者の願いに対して,どのようにお答えになりましたか。その答えは何を示していますか。
4 イエスはその人に,「今日あなたに真実に言いますが,あなたはわたしと共にパラダイスにいるでしょう」と言われた時,同情心のあるその悪行者が復活することを示されました。信仰を示したその犯罪者にとって,その言葉は真の慰めとなったに違いありません。その人の復活が起こるには,まずイエスが復活させられなければなりません。次いでイエスは,人類の世の復活の日に,神から与えられた,復活を生じさせる力を働かせて,死人のうちからこの悪行者を呼び戻されます。―ルカ 23:43。ヨハネ 5:28,29。コリント第一 15:20,23。ヘブライ 9:15。
5,6 (イ)総督ピラトは,杭につけられたイエスの頭上に,どんなことを書きましたか。(ロ)イエスはその悪行者にどんな言語で話したと思われますか。
5 イエスはどんな言語でその約束をされましたか。当時その地域では,数種類の言語が用いられていました。そのことは,杭につけられたイエス・キリストの頭上に総督ポンテオ・ピラトが書かせた言葉から分かります。すべての通行人はそれを読んでイエスの素性を知ることができました。ヨハネ 19章19節と20節にはこう記されています。「ピラトはまた,罪名を書いて,それを苦しみの杭の上につけた。それは,『ユダヤ人の王ナザレ人イエス』と書かれていた。そのため,大勢のユダヤ人がこの罪名を読んだ。イエスが杭につけられた場所は都に近かったからである。それはヘブライ語,ラテン語,ギリシャ語で書かれていた」。
6 ベツレヘムで処女の母マリアから生まれたイエスは,生まれながらのユダヤ人,つまりヘブライ人でした。したがって,イエスは自分の誕生した土地で3年半宣べ伝えた時,その当時用いられていたユダヤ人の言語,つまりヘブライ語で宣べ伝えたものと思われます。それで,イエスは同情心のあるその悪行者に励ましの言葉をかける際に,ヘブライ語で話されたものと思われます。ですから,パラダイスに言及した時には,創世記 2章8節にある,ガンというヘブライ語を用いられたことでしょう。聖書のギリシャ語セプトゥアギンタ訳は,原語のガンを翻訳するのにパラデイソスという語を用いています。
7 イエスは復活させられた時,どのように栄光をお受けになりましたか。
7 イエスは杭につけられてから三日目に,つまりヘブライ人の暦でニサン16日に死人の中から復活させられ,その40日後,初めの住まいであった天に戻られました。ただしイエスはこのとき,以前よりも高められた状態にありました。(使徒 5:30,31。フィリピ 2:9)天のみ父にも備わっている特質,つまり不滅性を身に着けておられたのです。その日曜日,つまりニサン16日にイエスが死人の中から復活させられるまで,不滅性を備えておられたのはエホバ神ただおひとりでした。―ローマ 6:9。テモテ第一 6:15,16。
贖いによって道が開かれる
8 地球に関するエホバの最初の目的は何でしたか。エホバがその目的を断念してはおられないことを,何が示していますか。
8 以上の事柄はすべて,全地に楽園<パラダイス>の美を装わせる,そうです,地球全体を楽園にするという神の目的を果たすための手段でした。(創世記 1:28。イザヤ 55:10,11)使徒パウロはコリント第一 15章45節で,イエスのことを「最後のアダム」と呼んでいます。これは,神が地球に関するご自分の最初の目的を変えておられないこと,また,最初のアダムが果たし損なった目的をだれかが成し遂げるということを示唆しています。
9 イエスは,楽園に戻る道を開くために,何を備えられましたか。
9 パウロによれば,イエスは「対応する贖い」を備えてくださいました。(テモテ第一 2:6)イエス・キリストご自身,「ちょうど人の子が,仕えてもらうためではなく,むしろ仕え,自分の魂を,多くの人と引き換える贖いとして与えるために来たのと同じです」と語っておられました。そのために,イエス・キリストに信仰を働かせる人々は,永遠の命を得ることができるようになりました。―マタイ 20:28。ヨハネ 3:16。
10 (イ)神は,恵みを受ける,数の限られた人たちについて,どんな決定をされましたか。(ロ)「小さな群れ」を選ぶことはいつ始まりましたか。それを始めたのはだれですか。
10 イエスは死人の中から復活して天に昇られた時,人類のためにご自分の贖いの犠牲の価値を神に差し出すことができました。しかし,地の諸国民の中から「ご自分のみ名のための民」を取り出すことが,天の父であられるエホバ神の目的でした。(使徒 15:14)啓示 7章4節および14章1節から4節によると,その民は14万4,000人のみを数えることになっていました。それは,神の天の王国に召された「小さな群れ」です。(ルカ 12:32)エホバ神の特別な恵みを受けたそれらの人々を選ぶことは,イエス・キリストが十二使徒を選ぶことをもって始まりました。(マタイ 10:2-4。使徒 1:23-26)イエスはご自分の会衆の土台となる成員たちに,『あなた方がわたしを選んだのではありません。わたしがあなた方を選んだのです』と言われました。(ヨハネ 15:16)その人々は,王国の支配を受ける来たるべき全地球的な楽園をふれ告げる業の先頭に立ちます。
王国が到来する予定の時
11 メシアの王国は,いつ設立されることになっていましたか。
11 わたしたちは今日,神の王国が来ることを求めて,主イエス・キリストの名によりエホバに祈りをささげ続けています。(マタイ 6:9,10。ヨハネ 14:13,14)メシアの王国は「諸国民の定められた時」の終わりに設立される予定になっていました。(ルカ 21:24)その異邦人の時は1914年に満了しました。a
12 目に見えない,イエスの臨在を明確に示す際立った事柄に関するイエスの預言に調和して,1914年には何が起きましたか。
12 その年を特色づけたのは,人類史上初の世界大戦でした。それはイエスの預言と調和していました。イエスは,ご自分が地に対する王国の権を帯びて目に見えない様で臨在することを明確に示す際立った事柄について預言しておられました。弟子たちは,「わたしたちにお話しください。そのようなことはいつあるのでしょうか。そして,あなたの臨在と事物の体制の終結のしるしには何がありますか」とイエスに尋ねていました。それに答えてイエスはこう言われました。「国民は国民に,王国は王国に敵対して立ち上がり,またそこからここへと食糧不足や地震があるからです。これらすべては苦しみの劇痛の始まりです。そして,王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです」。―マタイ 24:3,7,8,14。マルコ 13:10。
13 (イ)神の王国について宣べ伝えられている事柄は,どんな点で良いたよりですか。(ロ)神の地上の証人たちはどれほどの期間,神の王国が来ることを祈り求め,疲れ果てることなくその祈りをささげてきましたか。
13 エホバの王国に関するこの良いたよりは,現在200以上の国や地域で宣べ伝えられており,さらに多くの地域にその業を広げる努力が払われています。それは,これから到来する世界政府に関するたよりではなく,現在すでに支配し,力を行使している王国に関するたよりです。その王国は1914年に設立されました。それによって,イエスが今から1,900年余り前に概説された祈りにこたえるための準備が整いました。その祈りは,その政府の王となる方が,王国を祈り求めるよう弟子たちに教えた時以来,王国の建設者にささげられてきました。ですから,その王国の創始者は,王国を求める願いを長い間お聞きになっています。地上のご自分の証人たちが今までずっとささげてきた祈りを喜んで聞いてこられました。その祈りは,彼らがその王国の到来に対する信仰を堅持していることを実証していたからです。あたかもその祈りが自分たちにとって古臭くなってしまったかのように,彼らが『天の父』にその祈りをささげる面で疲れ果てることはありませんでした。―マタイ 6:9,10。
14 エホバの証人が,神の王国の良いたよりをねばり強く宣べ伝えるのはなぜですか。
14 エホバの証人は,その王国が1914年に天で設立されたことを信じかつ表明しながら,王国のこの良いたよりをねばり強く宣べ伝えています。そうするのは,設立された王国がまだ地を全面的には支配しておらず,人類のすべての部族と人種に力と権威を行使し続けるのをこの世の諸王国に許してきたからです。(ローマ 13:1)ですから,王国は完全な意味で来なければなりません。つまり全地を支配する唯一無二の政府にならなければなりません。―ダニエル 2:44。
15 西暦33年のペンテコステ以来,イスラエルの王たちが油そそがれた時よりも大規模に,どんなことが行なわれてきましたか。
15 イエスはその王国の王として指名されてはいても,ひとりで支配されるのではありません。エホバ神はご自分に属する王なるみ子の追随者,14万4,000人を任命し,神のメシアの王国の共同相続者とされました。(ダニエル 7:27)古代イスラエルの王たちが聖なる油そそぎの油で大祭司から油そそがれたように,西暦33年のペンテコステの日以来,エホバはイエス・キリストの14万4,000人の共同相続者がご自分の聖霊で油そそがれるように,また天における霊の命に生み出して「王の王また主の主」と共になるようにされました。―啓示 19:16。列王第一 1:39と比較してください。
「最後のアダム」によって回復される楽園
16 イエスが杭につけられた時,王国に関する見通しはどんなものでしたか。しかし,イエスは間違ったたよりをふれ告げていたのではないとなぜ言えますか。
16 西暦33年にイエスが杭につけられた時,イエスが王国を持つことはほとんど不可能に見えました。しかしイエスは神の王国を宣べ伝えていた時に,間違ったたよりをふれ告げていたのではありません。王国の建設者は,イエスが杭につけられてから三日目に,イエスの弟子たちがささげることになる祈りは実現不可能な政府を求めるものではないことを確証されました。エホバは,祈り求められている王国においてご自分を代表することになっていた方を復活させ,その方に不滅性を付与されたのです。
17,18 (イ)イエスが「最後のアダム」と呼ばれていることにはどんな意味がありますか。(ロ)1914年以降の世界の出来事は何を示していますか。
17 イエスは,地上の最初の楽園の創造者から,楽園を再興する責務と,全地に広がる園に人が住むよう見届ける責務が自分に課されることを知っておられました。コリント第一 15章45節と47節にはこう記されています。「まさにそう書かれています。『最初の人アダムは生きた魂になった』。最後のアダムは命を与える霊になったのです。最初の人は地から出て塵で造られており,第二の人は天から出ています」。第二のアダムは天から下って来ました。エホバは,この地上に楽園を再建するためにその方をお用いになります。主イエスはそれを根拠にして,同情心のある悪行者に,「あなたはわたしと共にパラダイスにいるでしょう」と言われたのです。(ルカ 23:43)この会話からも,楽園が,栄光を受けた「最後のアダム」,つまりイエス・キリストの手中にある天の王国のもとで地上に確立されることが明らかになります。
18 1914年以降の世界の出来事は,イエス・キリストが語られた預言と合致しており,それゆえにイエスがその時以来権力を執っておられることを証明しています。1914年以後に生きてきたこの20世紀の世代の人々は,すでに70年余りの間,マタイ 24章にあるイエスの預言の中で挙げられている出来事の成就を経験してきました。ですから,この期間はその終わりに近づいており,地上の楽園の回復も間近に迫っています。―マタイ 24:32-35。詩編 90:10と比較してください。
目前に迫った,興奮を誘う新しい世の時代
19,20 (イ)ハルマゲドン後,エホバはご自分を愛する者たちを何に導き入れてくださいますか。(ロ)ハルマゲドンの少し後に,何を行なう必要が生じますか。
19 エホバがハルマゲドンの戦場で一点の疑念もなくご自分の宇宙主権を立証された後,ご自分を愛する者たちを導き入れる事物の体制は,退屈で変化に乏しいものではありません。神のみ子であり,メシアなる王イエスの健全な統治を受ける人類にとって,近づきつつある時代はまさしく大きな興奮を誘う時代となるでしょう。しなければならない有益な事柄は非常に多いことでしょう。エホバの天軍と,悪の結集した勢力の間で行なわれた全地を包囲する戦いにより,どんな傷跡が地上に残されていようとも,それはすべて除き去られることでしょう。痕跡は少しも残らないのです。
20 しかし,諸国家が残した戦争の装備はどうなりますか。そのうちの可燃性の部分を処分するためにかかる時間の長さに関する象徴表現からすると,そうした装備は膨大な量になることでしょう。(エゼキエル 39:8-10)ハルマゲドンを生き残った人たちは,諸国家の戦争のどんな残骸であれ,それに関連した物品を有用な目的に資するよう改造できるかもしれません。―イザヤ 2:2-4。
21 ハルマゲドンを生き残った人たちは,洪水を生き残った人たちが経験した事柄に類似したどんな状況に直面しますか。しかし,どんな大きな相違点がありますか。
21 全地球的な大洪水を奇跡的に生き残ったノアとその家族の現代版となる祝福された人たちは,ノアの家族が見たものに類似した地上の状況に直面することになるでしょう。しかし,悪魔サタンと配下の悪霊の勢力は,地を取り巻いている見えない天にもはや災いをもたらすことはなく,10世紀の間,完全に活動を拘束されます。(啓示 20:1-3)ハルマゲドンを生き残った人たちは,「全能者なる神の大いなる日」がこの惑星にどんな影響を与えていようともそれに立ち向かい,その日を通過した地を従わせるという,挑戦となる仕事を持つことになるでしょう。―啓示 16:14。
22 ハルマゲドンを生き残った人たちは,全地に楽園を広げるという挑戦にどのように応じますか。
22 ハルマゲドンの戦いを生き残ったこれらの人たちは比較的少数なので,普通に考えれば,全地に楽園を広げるという膨大な仕事を託されると脅威を感じるのではないかと思われるかもしれません。しかし彼らは,それとは逆に非常な興奮に満たされ,勇敢かつ従順にその仕事に着手するでしょう。彼らは,この地が神の象徴的な足台であることを十分に理解し,この宇宙の球体を,神がその足を置くにふさわしい,魅力的で美しい状態に変化させることを誠実に願っています。
23 ハルマゲドンを生き残った人たちは,楽園を回復する仕事が成功することを保証するものとして,どんな後ろ盾を得ることになりますか。
23 地に関する神の命令を果たすためこの喜ばしい奉仕に着手した後,それらの人たちが孤立無援のままにはされないということを知るのは喜びであり,励みになります。(イザヤ 65:17,21-24と比較してください。)楽園を回復する約束をなさった方,そして昇天の日に,「わたしは天と地におけるすべての権威を与えられています」と言われた方の行き届いた,絶大な後ろ盾が与えられるのです。(マタイ 28:18)その方は,次の記事から分かるように,その権威を今も有しておられ,同情心のある悪行者になさった際立った約束を果たすことがおできになります。
[脚注]
a 詳しくは,ものみの塔聖書冊子協会発行の「あなたの王国が来ますように」と題する本の134-138ページをご覧ください。エゼキエル 21:27もご覧ください。
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楽園に戻る道を開くものみの塔 1989 | 8月15日
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[13ページの図版]
「ワールド・マガジン」誌,1914年8月30日号に掲載された,「1914年における,すべての王国の終わり」と題する記事
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回復された楽園は神の栄光となるものみの塔 1989 | 8月15日
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回復された楽園は神の栄光となる
「わたしはわたしの足を置くその場所に栄光を与えるであろう」― イザヤ 60:13。
1,2 (イ)神は預言者イザヤを通して,地球に関し,何を予告されましたか。(ロ)千年後の将来を眺めるとき,何が見えますか。
エホバは地球をご自分の足の下の惑星として,ご自分の比喩的な足台として創造されました。神は預言者イザヤを通して,「わたしの足を置くその場所に栄光を与える」と予告されました。(イザヤ 60:13)わたしたちは,霊感を受けた聖書の助けにより,強力な望遠鏡で見るかのように,千年先の人間の将来を見ることができます。わたしたちの目は,喜びに満ちあふれた光景をとらえます。全地は,全宇宙で最も偉大な造園家が作り出した完ぺきな美しさで輝いています。人類のために楽園は地球全体に回復されていることでしょう。
2 そうです,楽園で人間の存在を開始させた神聖な至上者は,人間の最高の幸福を念頭においておられます。人類は何と愛情の深い創造者をいただいているのでしょう。この創造者について『神は愛です』と言うのは,決して行き過ぎたことではありません。(ヨハネ第一 4:8,16)回復された楽園では,人間として欠点のない完全な状態に達した円熟した男女が,愛ある兄弟姉妹として一緒に住みます。(イザヤ 9:6)彼らは愛を動機として,天と地の栄光ある創造者であられるエホバ神に完全に服しています。
3,4 (イ)天と地はどのように互いに対応しますか。(ロ)地上に楽園が回復される時,み使いたちはどのように反応するでしょうか。
3 神は何千年も前に,神の霊感によって記された,ご自分の領域に関する描写の中で,「天はわたしの王座,地はわたしの足台である」という印象的な言葉をご自分の選ばれた民に語られました。(イザヤ 66:1)神の「足台」の全き栄光,つまり楽園の地は,目に見えない高みにある神のみ座の栄光に対応するものであるべきです。
4 地球が創造された時,天界にある神のみ座のそばで仕えている者たちは,眼下の地上の光景について考慮しました。その者たちの目が地上の栄光ある輝きを熟視した時,彼らはうっとりとしたに違いありません。そして思わず歌声をあげずにはいられなかったことでしょう。(改訂標準訳のゼパニヤ 3:17,エルサレム聖書の詩編 100:2と比較してください。)喜びを感じておられた幸福な創造者は,ご自分の地上の筆記者に霊感を与え,「明けの星が共々に喜びにあふれて叫び,神の子たちがみな称賛の叫びを上げはじめた」と,天の光景を正確に描写させました。(ヨブ 38:7)楽園が回復される時,神のみ使いなる子たちは,その時にもまして大きな喜びの声を上げ,神に栄光を帰することでしょう。
5 地球に関する神の最初の目的が実現することについて,わたしたちはどのように感じるべきですか。
5 地を楽園にするという壮大な事柄がエホバ神の最初からの目的であることは,霊感による聖書によって確証されています。このことにわたしたちは本当に心の温まるのを覚えます。この地球に対する神の目的が,喜びを抱かせ,賛美をわき上がらせる最高潮に達することを,ご自分の卓越性を示しつつ栄光から栄光へと進まれる神に期待するのは,まさに正しいことです。すべての賛美は神にもたらされます。―詩編 150:1,2。イザヤ 45:18。啓示 21:3-5。
復活した人たちは,楽園の回復を助ける
6 ハルマゲドン後,地球にはどのようにして人が住むようになりますか。
6 ハルマゲドンを生き残る人たちは比較的少数ですが,地球に十分の数の人が住むようになるのは,彼らが子供を生むことだけにかかっているのではありません。エホバは,記念の墓にいる,そしてキリストの贖いの犠牲の益にあずかる人々をよみがえらせることによっても,『ご自分の足を置くその場所に栄光を与え』られます。そしてその人たちも,地球をずば抜けて美しい楽園へと変える喜ばしい業に携わる特権を得ることになります。―使徒 24:15。
7 ハルマゲドンを生き残る人たちは,イエスのどんな言葉を心に留めているでしょうか。
7 ハルマゲドンを生き残る人たちは,ある時,主イエス・キリストが心を動かされて言われた,魂をゆさぶるような次の言葉を常に心に留めていることでしょう。「このことを驚き怪しんではなりません。記念の墓の中にいる者がみな,彼の声を聞いて出て来る時が来ようとしているのです」。(ヨハネ 5:28,29)神の子は,ベタニヤの墓に遺体となって横たわっていたラザロに,「ラザロよ,さあ,出て来なさい!」と語りかけられましたが,記念の墓にいる死者が,それと同じような神の子の声を聞き始める時は,どんなにかすばらしい時となるでしょう。―ヨハネ 11:43。
8,9 地上の新たな命に復活する最初の人たちは,恐らくだれですか。それは,ハルマゲドンを生き残る人たちにどんな喜びをもたらしますか。
8 イエス・キリストの千年統治の期間中に,イエスの命令にこたえて地上の新たな命に復活する最初の人たちは,恐らくだれでしょうか。それはこの事物の体制が終わる前の終わりの日に死んだ「ほかの羊」であると考えるのが妥当でしょう。彼らは,より早い復活を経験するでしょう。(ヨハネ 10:16)新しい世に順応する際の困難は,彼らの場合が恐らく一番少ないことでしょう。―マタイ 25:34; ヨハネ 6:53,54と比較してください。
9 ハルマゲドンを生き残る人たちにとって,「大患難」の前の時代に死んだ「ほかの羊」に属する人々が復活するのを見るのは,大きな喜びでしょう。(マタイ 24:21)ハルマゲドンを生き残る人たちは,明確な識別力をもって彼らを認め,彼らを迎え,彼らと共に至高者なる神に対する一致した奉仕を再開することになります。
10 あなたはハルマゲドンを生き残ることにより,何を目撃するかもしれませんか。
10 あなたは,ハルマゲドンを生き残る人の一人となることにより,あなた自身の地上の親族の一人が最初に復活するのを目撃するかもしれません。そのことから受ける感情的な影響は,自分たちの12歳になるいとしい娘がイエス・キリストによってよみがえらされ,自分たちの腕の中に戻されたのを見た二親の感激と異なるはずはありません。「たちまち彼らは,狂喜のあまり我を忘れるほどになった」のです。(マルコ 5:42)死者がハデスと海から復活する時は,あなたも,まさに言葉では言い表わせない喜びを経験するでしょう。(啓示 20:13)何と栄光に輝く未来なのでしょう。その未来はまもなく現実のものとなります。
「全地に君」とする
11,12 (イ)詩編 45編16節は,何を強調していますか。(ロ)王なるイエス・キリストは,だれの中から「全地に君」を任命するかもしれませんか。
11 イエスは死者を復活させるご自分の力を働かせることにより,詩編 45編16節の成就をもたらすことができます。イエスはそれら死者のために,ご自分の完全な人間の命を贖いの犠牲として捨てられたのです。この詩は,王座に就けられた王としてのイエス・キリストに対して預言的に語られたものです。「あなたの[地的な]父祖に代わってあなたの子らが立ち,あなたは彼らを全地に君として任命するであろう」。この詩は,イエス・キリストが,この地上の子供たちの天的な父となり,彼らの中の子らを「全地に君として」立てることを強調しています。「ダビデの子」,またユダヤ人の処女マリアの長子としてのイエスには,最初の父親アダムにまでさかのぼる,地上の人間である父祖たちがいました。―ルカ 3:23-38。
12 詩編 45編16節は,以前にイエスの,肉による父祖であった人たちが,イエスにより死人のうちから復活させられてイエスの子らになる,と言っているのでしょうか。その通りです。では,詩編 45編16節はまた,ご自分がそれら父祖たちの子孫であることを考慮して,イエスはその父祖たちに王として特別な好意を示し,彼らだけを,楽園の状態になった「全地に君」として任命する,と言っているのでしょうか。そうではありません。そのようにこの預言が成就するとしたら,全地の「君」の数は限られてしまうでしょう。それに,イエスの父祖たちが全部,イエスの千年統治の期間中に地上で特に目立った立場を占めるに値するほど,顕著な存在だったわけではありません。王なるイエス・キリストは,ご自分の地的な父祖たちよりも多い数え切れないほどの人を「君」として任命されることでしょう。彼らはハルマゲドンを生き残った人のうちの,またキリスト教時代以前の信仰の人々を含む復活した「ほかの羊」の中の,資格ある人々です。イエスはそれらの人たちすべての中から資格のあるふさわしい人々を任命して,ご自分の地上の代表者である君としての職務に就かせることができます。
13,14 ハルマゲドンを生き残った人々は,復活したどんな人々を自分自身の目で見る特権にあずかりますか。
13 メシアの王国のもとで復活する見込みのあるそのような人々について考えてみましょう。ご覧なさい! 自分の目が信じられますか。最初の殉教者であるアベルが,そして,まことの神と共に歩み続けたエノクがいます。箱船を建造したノアもいます。イスラエル国民の父祖アブラハム,イサク,ヤコブがいます。(祭司の職に就いたレビ族の)モーセや,永遠の王国契約の当事者となったダビデがいます。また,イザヤ,エレミヤ,エゼキエル,ダニエル,そして聖書を記した他のヘブライ人預言者が,最後のマラキに至るまで全員います。もちろん,バプテスマを施す人ヨハネとイエスの養父ヨセフもいます。
14 ある時イエスはユダヤ人たちに,あなた方は「アブラハム,イサク,ヤコブ,およびすべての預言者が神の王国にいるのに自分[自身]が外に投げ出されているのを見る」と言われました。(ルカ 13:28)「全能者なる神の大いなる日の戦争」を生き残った地上の人々から成る「大群衆」には,「アブラハム,イサク,ヤコブ,およびすべての預言者」が楽園となったこの地上に復活し,「とこしえの父」であるイエス・キリストによる神の王国のもとで,君としての奉仕を行なっているのを文字通り見る特権が与えられるでしょう。―啓示 7:9,14; 16:14。イザヤ 9:6。
15 ハルマゲドンを生き残る人々には,たぐいまれなどんな特権が待ち受けていますか。
15 現在のこの悪い世の終わりを生き残る皆さんにとって,西暦前2370年の世界的な大洪水による最初の世の終わりを生き残ったノアとその直接の家族,つまり「八つの魂」と感想を述べ合うのは,魂を鼓舞する経験となるでしょう。皆さんのような経験をして二度と繰り返されることのないこの際立った事柄に関するエホバ神の証人として奉仕できる人は,とこしえにわたり,ほかには一人もいないのです。―ペテロ第一 3:20。マルコ 13:19。ペテロ第二 3:5-7。
同情心のある悪行者は思い出される
16,17 (イ)同情心のある悪行者をイエスが思い出される時,ハルマゲドンを生き残った人たちと,その時に生きている他の人たちは,どんな特権にあずかりますか。(ロ)復活したあの悪行者に関して,どんな希望がありますか。
16 その時までに,地上に楽園を回復する仕事はかなり進んでいるに違いありません。カルバリのイエスのかたわらで杭につけられ,イエスの頭上にある罪状書きを認めて,「イエスよ,あなたがご自分の王国に入られる時には,わたしのことを思い出してください」と述べたあの犯罪者は,回復された楽園における地上の命に復活させられるでしょう。(ルカ 23:42)その人が死者の中から戻って来るのを迎えるのは,ハルマゲドンを生き残った人々と,その時に生きている他の人々の特権となります。西暦33年のニサン14日にその人から深い同情心を示された,そして今や統治しておられる王イエス・キリストについて,彼らはその人に余すところなく教えることでしょう。
17 主イエス・キリストは千年にわたるご自分の統治期間中のいつか,必ずその人を思い出されるでしょう。同情心のある,復活したその悪行者は,きっと宇宙の主権者なるエホバ神への忠実を証明することによって,統治しておられる王,そして復活させてくださった王イエス・キリストに対する感謝を実証することでしょう。その時にその人は,回復された従順な人類の残りの人々と共に,とこしえにわたり,新しい世の楽園で生きるに値する者とみなされるでしょう。
全地球的な,回復されたエデンの園における生活
18 回復された楽園での生活はどのようなものになりますか。
18 回復された楽園では,すべての人がすべての人の友達です。一人一人が魂の奥深くで,世界的な家族関係の絆を感じるのです。すべての人がお互いを理解し,一つの世界共通語を話します。それは恐らく人間の最初の言語でしょう。地上の人はすべて,人間が存在し始めてから1,800年の間,つまりアダムが創造された西暦前4026年からペレグの時代(西暦前2269年から2030年)まで,その言語を用いました。そう言えるのは,「彼[ペレグ]の時代に地[つまり,地に住む人たち]が分けられたから」です。(創世記 10:25; 11:1)すべての人が生きる特権を享受し,新しい日を迎えるたびに,増し加えられた命の日に対する感謝がわき上がります。時間がたっても,病弱な体になってゆくことはありません。体には力が蓄えられるようになり,体力が消耗することもありません。―ヨブ 33:25と比較してください。
19 以前に障害を持っていた人たちに関して,どんなことが観察されるようになりますか。
19 そして,ご覧ください! かつては足のなえていた人が歩いています。そうです,喜びの余り小躍りしています。失われた腕と脚は,奇跡的に元通りになっています。以前に目の見えなかった人は見えるように,耳の聞こえなかった人は聞こえるように,口のきけなかった人は口をきき,純粋な喜びの歌声をあげるようになります。(イザヤ 35:5,6と比較してください。)人間の姿や形の醜さはなくなります。人間の男らしさと女らしさは見事な釣り合いを保ちます。(創世記 2:18)人間の完全さは,人間の完全な体の創造者であられるエホバ神の栄光となります。
20 自然界の力,食糧の供給,動物などに関して,どんなことが観察されるようになりますか。また,地球はどのように用いられるようになりますか。
20 地球は全体がこの上なく美しい場所になります。地上のどの場所からも,干ばつ,災害をもたらす豪雨,破壊を招くサイクロン,ハリケーン,台風,竜巻などに関する報告は少しも聞かれません。(マルコ 4:37-41と比較してください。)自然界の力はすべて,全地を快適な住みかとするために,完全な釣り合いを保つようにされています。どこにも食糧不足はありません。地は産物を十分に出すからです。(詩編 72:16)「それらはわたしの聖なる山のどこにおいても,害することも損なうこともしない」というエホバの言葉どおり,人間も動物も世界中で平和と安全を享受します。(イザヤ 11:9。6節から8節もご覧ください。)このように地球は,人が住み,地球の創造者であり所有者であられるエホバ神への崇拝と奉仕を行なうための喜ばしい場所に変えられます。地球は,それを創造した権利からして神の所有物なので,神を喜ばせ,神に栄光をもたらす方法で用いられるべきです。―イザヤ 35:1,2,6,7と比較してください。
21 請け戻された人類は,地上のすべての物事をどのように見ますか。どんな音楽が聞かれるようになりますか。
21 すがすがしく新しい! 人間の生活がすばらしく完全な状態の中で開始された場所,つまりエデンの楽園に一度も入ったことのない請け戻された人間にとって,地上のすべての物事はそのように映ります。(啓示 21:5)その時には非常に喜ばしい音楽が聞かれることでしょう。器楽曲も声楽曲も,すべてエホバを賛美するのです。―歴代第一 23:4,5。詩編 150:3-6。
22 新しい世の楽園で生活するのは,どんな気分でしょうか。
22 人間が十分に豊かな命を持ち,アダムの最初の罪のために生じた,死に向かう過程すべてがぬぐい去られた地上で生きるのは,どんなにかすばらしいことでしょう。(ヨハネ 10:10と比較してください。)そうです,地球は,是認された人間一人一人が,最初の人間アダムの創造の際に付与されたエホバ神の像と様を輝かせる場所になるのです。(創世記 1:26,27)その時の地球はもはや,セラフにとっても,ケルブにとっても,また天の輝かしいみ使いたちにとっても,見て不快なものではなくなります。それらの被造物は,愛すべき顔を地に向け,目を凝らし,楽園の美しさで飾られた地球を見る時,自分たちが直接に顔を見る特権にあずかっている方,つまり宇宙の主権者であられるエホバに対してただ賛美と感謝のみを表明するでしょう。―マタイ 18:10。
幸福で終わりのない将来
23 油そそがれたクリスチャンに関して,どんなことの生じる可能性がありますか。それは地上の楽園に住む人々にどんな結果をもたらしますか。
23 天の王国に対する自分たちの「召しと選び」を確実にし,この天への復活によって祝福されてきた,それら油そそがれたクリスチャンすべての名前が,将来のいつか,地上の楽園に住む人類に対する情報として完全に公表されることは可能性の範囲内にあり,恐らくそうなるでしょう。(ペテロ第二 1:10。詩編 87:5,6)ですから,霊によって生み出された14万4,000人の,イエス・キリストの油そそがれた弟子たちが地上の楽園に存在しないことは,十分に理解されるようになって,すべての人が満足し,それら油そそがれた弟子たちのことを,彼らと共に心から歓ぶことになるでしょう。
24 (イ)エホバはご自分の「足台」に関して,どんなことを成し遂げられますか。(ロ)新しい世が決して終わらないことは,どうして分かりますか。どんな預言的な歌が成就を見ますか。
24 全宇宙の完ぺきな主権者であられるエホバに対して不屈の専心を保つすべての人にとって,終わりのない将来は幸福なものとなります。気持ちの良い程度に満たされた楽園の地は,比喩的な意味で神の足を置くことのできる「足台」としてふさわしい,称賛に値する場所になるでしょう。そうです,エホバはとこしえにわたって,『ご自分の足を置くその場所』に栄光を与え,全人類は揺らぐことのない従順を神に示します。(マタイ 5:34,35。使徒 7:49)新しい世は終わりのない世になるでしょう。「君としてのその豊かな支配と平和に終わりはない」からです。(イザヤ 9:7)その時,ユダヤのベツレヘムでイエスが誕生した西暦前2年に天のみ使いたちが歌った,「上なる高き所では栄光が神に,地上では平和が善意の人々の間にあるように」という預言的な歌は,成就を見るでしょう。―ルカ 2:13,14。
25 (イ)「ほかの羊」の「大群衆」に属する人々は,今どんなことに感謝していますか。(ロ)わたしたちの心からの願いはどんなものであるはずですか。
25 りっぱな羊飼いの「ほかの羊」の「大群衆」に属する人々は,回復された楽園を約束する,魂を鼓舞する言葉に感謝しています。いま神の組織と交わり,主イエス・キリストの予告された業,すなわち,最終的な証しとして人の住む全地に王国の良いたよりを宣べ伝える業に熱心に携わるのは彼らの特権です。(マタイ 24:14。マルコ 13:10)エホバの証人としてわたしたちが誠実に心から願っているのは,独り子であられるイエス・キリストの王としての支配のもとで,汚れのない忠誠をとこしえまでも保ち,宇宙の主権者であられるエホバ神に永遠の栄光をもたらし,エホバ神の正しさを立証することです。「ハレルヤ!」―啓示19:1,3,4,6,改訂標準訳,新国際訳。箴言 10:9。
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