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ノルウェー2012 エホバの証人の年鑑
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ノルウェーの他の場所にも赴く
3人の熱心な聖書文書頒布者<コルポーター>(全時間の伝道者)が1903年にやって来て,ノルウェーにおける宣べ伝える業に弾みがつきました。その3人は,フリチョフ・リンドクビスト,ビクトル・フェルト,E・R・グンデルセンです。フリチョフは首都のクリスティアニア(現在のオスロ)に住み,1904年,彼の家はものみの塔協会の事務所になりました。そこでは,文書の注文や「シオンのものみの塔」誌の予約が処理されました。
1903年の終わりに,ノルウェー中部のトロンヘイムで伝道していたグンデルセン兄弟は,ロッテ・ホルムに証言し,ロッテは文書を受け取りました。後にロッテは故郷のナルビク地方に戻りました。ナルビク地方は北極圏にあり,ロッテはノルウェー北部で最初の伝道者になりました。後にビクトル・フェルトはナルビクに行き,二組の夫婦が聖書研究者になるよう援助しました。これらの夫婦はロッテと連絡を取り,やがてこの少数の人たちが聖書研究を行なうため定期的に集まるようになります。ロッテの妹ハルゲルも真理を受け入れ,二人は後にノルウェー各地で開拓者として熱心に奉仕しました。
フェルト兄弟とグンデルセン兄弟は1904年と1905年にベルゲンで伝道し,とてもよい反応がありました。「シオンのものみの塔」1905年3月1日号(英語)はこう伝えています。「[ベルゲンの]フリーミッション教会の著名な説教師が,輝く光に引き寄せられた。そして今では,いつも熱心に耳を傾ける大勢の聴衆を前に,全き真の福音を語っている」。
この説教師はテオドール・シモンセンです。テオドールは,わたしたちの出版物から学んだ新たな素晴らしい真理を教えたために,後にフリーミッション教会から追放されました。こうして教会は人材を失い,聖書研究者は兄弟を得ました。エホバの民の中で,テオドールは兄弟としても話し手としても有用な働きをしました。後に彼はクリスティアニアに住み,そこには人数の増す聖書研究者の会衆がすでにありました。
初期の開拓者たち
1905年ごろ,国内の四つの都市に聖書研究者の会衆がありました。それはシーエン,クリスティアニア,ベルゲン,ナルビクです。やがて熱意にあふれる伝道者たちが開拓奉仕を始め,良いたよりを国の他の地域に携えてゆきました。それら初期の開拓者には興味深い背景があります。
ノルウェーで最初に開拓者になった姉妹はヘルガ・ヘスです。孤児だったヘルガはベルゲンに住み,17歳の時に日曜学校の教師になりました。テオドール・シモンセンが聖書研究者の書籍から学んだ事柄をフリーミッション教会で話した時,その話を聴いたヘルガは興味を持ち,同じ文書を読みはじめました。そして日曜学校の教師を辞め,1905年,19歳の時に,ハーマルとイェービクで良いたよりを広めるようになりました。
アンドレアス・エイセトは,1908年のある日,コングスビンゲルの近くにあった家の農場で薪を割っていました。その時,開拓者の訪問を受け,「世々に渉る神の経綸」の本を受け取りました。20代初めのアンドレアスは,その本で読んだ事柄に魅了され,文書をさらに注文しました。そして数か月後には,農場を弟の一人に譲り,開拓奉仕を始めました。その後の8年間,国内のほぼ全域で伝道しました。最初に向かったのは北で,内陸部を夏には自転車で移動し,冬には足で蹴って進むそりで移動したのです。トロムセーに到達すると,今度は南下し,クリスティアニアに至る沿岸全域で奉仕しました。
アンナ・アンデルセンは,モスの近くにあるリュッゲ出身で,やはり初期の開拓者の一人です。アンナは長年にわたって救世軍の士官として,困窮した人を助けることに専念していました。1907年ごろ,わたしたちの出版物を何冊か読み,真理を見つけたことを悟ります。クリスティアンスンでは,やはり救世軍の士官であるフルダ・アンデルセン(結婚後はエイセト)と接触し,フルダも聖書に関心を持ちました。そのうちこの二人の女性は,沿岸を航行する蒸気船で北への長旅に出,ロシアとの国境に近いヒルケネスまで足を伸ばしました。二人はどの港でも上陸し,文書を配布しました。1912年ごろ,アンナは開拓者になります。それから数十年にわたって船や自転車で国の全域を移動し,ノルウェーのほぼすべての町に聖書文書を携えてゆきました。南部のクリスティアンサンではかなりの時を過ごし,人数を増す会衆の中で貴重な働きをしました。
カルル・グンベルは,聖書研究者になる前は海軍の士官でした。開拓奉仕を始めたのは,30代半ばの1911年ごろで,カルルは航海術の教官をして生計を立てていました。見た目は怖そうですが,人柄のよいユーモアのある人として知られていました。高齢になるまでノルウェー全域で伝道しました。海軍士官,また航海術の教官としての立場は,良いたよりを広めるうえで大いに役立つことになります。その点はこの後に取り上げます。
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ノルウェー2012 エホバの証人の年鑑
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[98ページの図版]
初期の開拓者: (1)ヘルガ・ヘス,(2)アンドレアス・エイセト,(3)カルル・グンベル,(4)フルダ・アンデルセン,(5)アンナ・アンデルセン
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