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なぞを解く目ざめよ! 1986 | 8月22日
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聖書は人間の創造に関して,「人は生ける魂となりぬ」と述べています。(創世記 2:7,ジェームズ王欽定訳)この聖句で,人間にその存在の構成要素として魂が与えられたとは少しもほのめかされていないことに注目してください。むしろ,魂とは明らかに人間自身のことです。では,人が死ぬとどうなるのでしょうか。
聖書はイエス・キリストについて,「彼は己が魂を注ぎ出して死に至らしめた」と預言していました。(イザヤ 53:12,欽定訳)さらに,人類一般について,聖書は「罪を犯した魂は必ず死ぬ」と述べています。(エゼキエル 18:4,20,日本聖書協会 口語訳聖書)人間という魂はすべて,神への不従順によって罪人となった最初の人間アダムから罪を受け継いだために,死にます。聖書は「罪の支払う報酬は死である」とも述べています。(ローマ 5:12; 6:23,口語訳)ですから,死に際して,魂,すなわち感覚を有する人は死ぬことになります。a
では,死者が生きている人と交信することは可能なのでしょうか。聖書には,「[人は]息を引き取ると,塵に帰る。その同じ時に,すべて彼の考えは終わる」とあり,「主を賛美するのは死者でもなく,沈黙へと下る者たちでもない。しかし,わたしたち生きている者は,主をほめたたえる」とも記されています。―詩編 146:4; 115:17,新英訳聖書。
『考えが終わってしまう』ために神を賛美できないのですから,死者が生きている人々と交信したり,何らかの超常現象を引き起こしたりすることは決してできません。では,だれがそうした現象を引き起こしているのでしょうか。
なぞは解かれた
人間は生命の最高の形態というわけではありません。聖書が明らかにしているところによると,神は男と女を創造するずっと前に,大勢の霊の子たち,つまり目に見えないみ使いたちを創造されました。(ヨブ 38:4,7)その後,み使いたちの一人が神に反対し始め,神をそしるまでになって,サタン(反対者)また悪魔(そしる者)となりました。やがて他の霊の被造物が悪魔サタンとともに反逆するようになり,反逆的なみ使いたち,つまり悪霊たちの組織が出来上がりました。この悪霊たちがオカルトの超常現象を引き起こしているのでしょうか。
その通りです。洪水前の時代にこれら「まことの神の子ら」は肉体を着けて現われ,地上に住むことができました。(創世記 6:1,2。ユダ 6)しかし霊界に戻ってからは,超常現象を引き起こすことによってのみ,人間と接触できるにすぎません。超常現象は人類史のいつの時代にもごく普通に見られました。
とりわけ悪霊たちは,死者の親族や友人で生きている人たちと交信し,死者が霊界のどこかで今も生きているという偽りを信じ込ませようとしてきました。悪霊たちにとって,死者を真似るのは少しも問題ではありません。人々が生きている間にじっくり観察できるからです。そのようなわけで,声の響きや物の言い方など,その人の生活に関係した微細な点も正確に真似ることができるのです。
では,忠節なみ使いたちはどうなのか,と尋ねる方がいるかもしれません。今日,それらのみ使いたちも人間と交信できるのではないか,というわけです。確かに,神は初期の時代にみ使いを用いて人間と交信させましたが,今では,わたしたち人間に対する直接的で適正な伝達手段としての完成された聖書が存在しています。(テモテ第二 3:16,17)その中でエホバは,人間が霊たちとの交信を試みることを明確に禁じておられます。
神は預言者イザヤを通してこう言われます。「しかし,人々は,さえずったり,つぶやいたりする占い師や霊媒からの音信を求めるよう,あなた方に告げるであろう。彼らは言う。『結局,人々は霊からの音信を求め,生きている者のために死者に相談すべきである』。あなた方は彼らにこう答えるべきである。『主があなた方に教えておられることに聴き従え! 霊媒の言うことに聴き従ってはならない ― 彼らがあなた方に告げることは,あなた方の益にはならない』」― イザヤ 8:19,20,今日の英語訳。
神がオカルト的な慣行を避けることについてイスラエル国民に細かい指示をお与えになったのも不思議ではありません。彼らが約束の地に入る際に,神はカナン人の「忌むべき習慣」に巻き込まれないよう警告されました。(レビ記 18:3,30)それらの習慣の詳細は申命記 18章10節と11節に列挙されています。その中には,占いに頼ること,魔術を行なうこと,吉凶の兆しを求めること,呪術を行なうこと,まじないで他の人を縛ること,出来事の職業的な予告者に相談すること,死者に問い尋ねることなどが含まれています。
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なぞを解く目ざめよ! 1986 | 8月22日
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昔のイスラエルに対する神の命令は,オカルトを退けるべき一層重要な理由を強調しています。「すべてこうした事を行なう者はエホバにとって忌むべきもの」なのです。(申命記 18:12)霊感を受けて聖書を書き記したクリスチャンたちはこの基本的な真理を認めています。使徒パウロは「[堕落した]肉の業」の一つに「心霊術の行ない」を挙げています。(ガラテア 5:19,20)さらに,使徒ヨハネは,「心霊術を行なう者[の分は]火と硫黄で燃える湖の中にあるであろう。これは第二の死を表わしている」という神の警告を書き記しました。―啓示 21:8。
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なぞを解く目ざめよ! 1986 | 8月22日
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ですから,自分はオカルトに過度の魅力を感じていないと思っていても,用心が必要です!「冷静さを保ち,油断なく見張っていなさい」という聖書の忠告に注意を払ってください。オカルトの背後にいる者がだれなのか,それを忘れないことです。「あなた方の敵対者である悪魔がほえるライオンのように歩き回って,だれかをむさぼり食おうとしています」。(ペテロ第一 5:8)あなたがその「だれか」になってはなりません!
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