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エホバに倣って人を許すものみの塔(研究用)2025 | 2月
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自分の気持ちを無視しない
5. 格言 12章18節にある通り,誰かから傷つけられるとどう感じることがありますか。
5 私たちは人の言動に深く傷つくことがあります。それが仲の良い友達や家族だと特に傷つきます。(詩 55:12-14)時には,剣で突き刺されたかのように鋭い心の痛みを感じることがあるかもしれません。(格言 12:18を読む。)そういう時,つらい気持ちを押し殺して無視しようとしてしまうことがあるかもしれません。でも,それは刺さったナイフをそのままにしておくようなものです。同じように,傷ついた気持ちをただ無視しているなら,心の傷は癒えないでしょう。
6. 誰かに傷つけられると,どう感じることがありますか。
6 誰かに傷つけられると,最初は怒りを感じるかもしれません。聖書にも書かれているように,何かのことで腹が立つ時はあるものです。でも,そうした感情のままでいてはいけないとも警告されています。(詩 4:4。エフェ 4:26)感情は大抵,行動に影響を与えるからです。怒りの気持ちから良い結果が生まれることはほとんどありません。(ヤコ 1:20)次の点を覚えておきましょう。怒りを感じるのは自然な反応ですが,怒ったままでいるかは自分で決められます。
怒りを感じるのは自然な反応ですが,怒ったままでいるかは自分で決められます。
7. 傷つけられると,ほかにもどんな気持ちになるかもしれませんか。
7 ほかの人からひどいことをされると,ほかにもいろいろな心の痛みを感じます。アン姉妹はこう言います。「私が小さい時,父は母を捨てて私のベビーシッターと再婚しました。見放されたように感じました。2人に子供が生まれた時,自分の居場所がなくなったように思いました。自分は邪魔者なんだと思いながら大きくなりました」。ジョルジェット姉妹は夫が不倫をした時どう感じたか,こう言っています。「夫とは幼なじみで,一緒に開拓奉仕もしていたんです。心がずたずたになりました」。ナオミ姉妹はこう言っています。「主人から傷つけられるなんて思ってもみませんでした。私に隠れてポルノを見ていたということを打ち明けられた時,とてもショックを受けました。裏切られたと感じました」。
8. (ア)人を許すのが大切なのはどうしてですか。(イ)人を許すならどんな良いことがありますか。(「トラウマになるような経験をした場合」の囲みを参照。)
8 ほかの人が言うことやすることはコントロールできません。でも,自分の反応をコントロールするよう努力することはできます。大抵の場合,一番良いのは許すことです。どうしてそういえますか。私たちを愛しているエホバが,人を許すことを願っているからです。怒ったままで許そうとしないなら,愚かなことをしてしまう可能性があります。さらに,体にも良くない影響があるかもしれません。(格 14:17,29,30)クリスティーン姉妹はこう言っています。「傷ついた気持ちにのみ込まれてしまうと,笑うことが少なくなります。どんな物を食べるかも気にしなくなってしまいます。あまり眠れなくなり,感情をコントロールするのがもっと難しくなります。そうなると,夫婦の関係やほかの人との関係にも影響が出ます」。
9. 憤りを捨てるべきなのはどうしてですか。
9 自分を傷つけた人が間違いを認めようとしないとしても,痛みを和らげるためにできることがあります。先ほどのジョルジェット姉妹はその点についてこう言っています。「時間はかかりましたが,別れた夫への怒りや憤りを捨てるようにしました。そうすると,とても穏やかな気持ちになりました」。憤りを捨てるなら,イライラした気持ちになって心が乱されることを避けられます。それは自分のためになり,前向きに人生を歩んでいくのに役立ちます。(格 11:17)では,なかなか相手のことを許せない場合,どうすればいいでしょうか。
感情をコントロールする
10. 心の傷が癒えるのに時間がかかるのはどうしてですか。(挿絵も参照。)
10 どうすれば怒りの気持ちや傷ついた気持ちを乗り越えられるでしょうか。まず,心の傷が癒えるには時間がかかるということを認めましょう。ひどいけがをして治療を受けた場合,傷が治るには時間が必要です。同じように,感情を傷つけられた場合に心から相手を許せるようになるには,時間がかかることがあります。(伝 3:3。ペテ一 1:22)
けがをしたとき,傷が癒えるには適切な治療と時間が必要。心の傷にも同じことがいえる。(10節を参照。)
11. 祈ることで人を許しやすくなるのはどうしてですか。
11 相手を許すことができるようエホバに祈って助けを求めることは大切です。c 先ほどのアン姉妹は祈りがどう役立ったかについてこう言っています。「『良くないことを言ったりしたりしてしまうことがありますが,家族みんなのことを許してください』とエホバに祈りました。それから父親と奥さんに手紙を書き,2人を許していることを伝えました」。姉妹は,そうするのは簡単ではなかったと認めています。でも,こう言っています。「私がエホバに倣って許すよう努力するのを見て,2人がエホバについてもっと知りたいと思ってくれたらうれしいです」。
12. 自分の感情ではなくエホバに頼る必要があるのはどうしてですか。(格言 3:5,6)
12 自分の感情ではなくエホバに頼りましょう。(格言 3:5,6を読む。)エホバはいつでも,私たちにとって何が一番良いかを知っています。(イザ 55:8,9)私たちのためにならないことを求めたりはしません。それでエホバが許すよう勧めているのであれば,そうすることは必ず私たちのためになると確信できます。(詩 40:4。イザ 48:17,18)自分の感情を頼りにするなら,いつまでたっても許すことはできないかもしれません。(格 14:12。エレ 17:9)先ほどのナオミ姉妹はこう言っています。「最初は,ポルノを見た主人を許せなくても仕方がないと思っていました。また傷つけられるんじゃないかとか,私がどれだけつらい気持ちになったかを主人が忘れてしまうんじゃないかと思ったからです。エホバはそんな私の気持ちを分かってくれていると考えていました。でもやがて,エホバが私の感情を理解してくれているからといって,それに同意しているわけではないということに気付きました。エホバは私がどう感じているかや,心の傷が癒えるのに時間がかかるということを分かった上で,許すことを望んでいます」。d
前向きな気持ちを持つ
13. ローマ 12章18-21節にある通り,私たちは何をする必要がありますか。
13 自分を深く傷つけた人を許すというのは,単にその件について触れないようにすればいいということではありません。兄弟姉妹に傷つけられた場合は特に,仲直りすることを目指しましょう。(マタ 5:23,24)そのためには,怒りや憤りの気持ちに負けずに憐れみ深く許せるよう,気持ちを切り替える努力をすることが必要です。(ローマ 12:18-21を読む。ペテ一 3:9)そうするために何が役立ちますか。
14. 私たちはどんな見方をするよう努力するべきですか。どうしてですか。
14 自分を傷つけた人をエホバと同じ見方で見るよう努力しましょう。エホバは人の良いところに注目しようとする方です。(代二 16:9。詩 130:3)相手の良いところが目に留まるか,悪いところが目に付くかは,自分がその人のことをどう思っているかに大きく左右されます。良い点に注目しようとするなら,その人を許しやすくなります。例えば,ジェラドという兄弟はこう言います。「仲間に傷つけられても,その人の良いところをいっぱい思い出すようにするなら,許しやすくなります」。
15. 許したことを相手に伝えるとよいことが分かるどんなエピソードがありますか。
15 許したことを相手に伝えることもできるかもしれません。そうするとよいのはどうしてですか。先ほどのナオミ姉妹はこう言っています。「主人から『許してくれてる?』と聞かれた時,『許してるよ』と答えようとしましたが,言葉に詰まってしまいました。心から許せていなかったことに気付きました。その後,許していることをきちんと言葉にして伝えられた時,主人は安心して涙を流しました。そして私も,自分でもびっくりするほど晴れやかな気持ちになりました。主人のことをまた信じられるようになり,以前のように仲良くなりました」。
16. 許すことについてどんな点を学びましたか。
16 エホバは私たちが人を許すことを望んでいます。(コロ 3:13)もちろん,そうするのが簡単ではないこともあります。心が傷ついた時には,自分の気持ちを無視したりせずに正直に向き合いましょう。そうした上で,感情をコントロールすることが大切です。そして,前向きな気持ちを持ちましょう。そうすれば人を許すことができるでしょう。(「許すための3つのステップ」の囲みを参照。)
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