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主人の持ち物を管理する王国宣教 1999 | 6月
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8 アメリカでの印刷がどれほど拡張されても,全世界の必要を賄うに足りるほどになったことは一時もありません。そのため戦後の数年間に,印刷業務は他の多くの国や地域で開始されたり,すでに進められたりしていました。それにはカナダ,デンマーク,英国,ギリシャ,南アフリカ,スイス,西ドイツなどが含まれています。1970年代の初めまでに,オーストラリア,ブラジル,フィンランド,ガーナ,日本,ナイジェリア,フィリピンが加わっていました。これらの国の幾つかでは,製本された書籍も生産されていました。また1970年代の初めごろ,ギレアデの宣教者たちは印刷の技術の訓練を受け,それらの国の幾つかに遣わされ,地元の兄弟たちによる印刷業務を助けました。
9 1980年代に,雑誌を印刷していた国や地域は,最高で51に達したこともありました。a 主人の持ち物をなんとりっぱに用いていたのでしょう。王国の業の発展を示す実に強力な証拠です。そして,幾百万というエホバの証人が一人一人,寛大に『自分の貴重なものをもってエホバを敬って』いたことの何と強力な証しでしょう。(箴 3:9)こうして彼らは,エホバがさまざまな仕方で祝福して与えてくださったものを管理できる,りっぱな家令であることを実証しました。
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主人の持ち物を管理する王国宣教 1999 | 6月
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組織面での異なった必要
12 これらの新しいシステムにより,エホバの証人の世界的な印刷業務に関して,組織面で必要とされる事柄も変化しました。オフセット輪転機は,古い凸版印刷機よりもはるかに高速ですが,ずっと高価でもあります。執筆,翻訳,アート,グラフィックスなどの関連作業を支援するコンピューター・システムも,以前のシステムをはるかに上回る可能性を持っていますが,これにもさらに費用がかかります。やがて,51の国や地域で雑誌を印刷するのがもはや経費の節約にならないことが判明しました。それで1990年代に,「忠実な家令」は再度状況を見直しました。どのような結論に達したでしょうか。
13 調査により,印刷業務を統合すれば,エホバの証人と,証人たちを支持する人々から寄付された「貴重なもの」をより効果的に活用できることが明らかになりました。そのため,印刷を行なう支部の数は徐々に減らされました。ドイツは雑誌や文書の印刷を東ヨーロッパや西ヨーロッパの多くの国や地域から引き継いでおり,それには以前に自分たちで印刷を行なっていた幾つかの国や地域も含まれています。イタリアは雑誌と文書を,アフリカの幾つかの地域と,ギリシャ,アルバニアを含むヨーロッパ南東部に供給しています。アフリカで雑誌を印刷するのはナイジェリアと南アフリカだけになっています。同様の統合は世界じゅうで行なわれました。
考慮すべき種々の要素
14 1998年7月までに雑誌の印刷はヨーロッパの幾つかの国や地域で中止されました。それにはオーストリア,デンマーク,フランス,ギリシャ,オランダ,スイスなどが含まれます。ヨーロッパでの印刷の荷を担うのは,イギリス,フィンランド,ドイツ,イタリア,スペイン,スウェーデンです。こうして,不必要な経費をかけずに,世界的な業のために,寄付がいっそう有効に活用されます。引き続きどの国や地域で印刷が行なわれ,どこでとりやめるかという決定は,どのように下されたのでしょうか。「忠実な家令」は,主人の持ち物を賢く管理するようにという命令に即して,それぞれの場所で印刷を行なうのが実際的かどうかを注意深く検討しました。
15 幾つかの国や地域で印刷が中止され,他の国や地域と統合された最大の理由は実際性です。一つの国で他の幾つかの国のために文書を印刷するのは,さらに都合がよく,高価な設備をいっそう有効に用いることになります。現在印刷が行なわれているのは,コストが他より低く,資材が手に入り,発送施設の良い所です。こうして主の持ち物は適正に用いられています。もちろん,ある国で印刷を中止するからといって,そこでの宣べ伝える業が止まるわけではありません。印刷物は今後も豊富に供給され,それらの国や地域にいる幾十万というエホバの証人は,引き続き熱意を持って隣人に「平和の良いたより」を伝えるでしょう。(エフェ 2:17)そのうえ,この再組織は,ほかにも幾つかの益をもたらしています。
16 益の一例として,デンマーク,ギリシャ,オランダ,スイスの近代的な印刷設備の大部分は,ナイジェリアとフィリピンに送られました。ヨーロッパの国々の経験あるオペレーターたちは,印刷機と共に行き,地元のオペレーターたちにその使い方の訓練を施すようにという招きに応じました。こうして現在それらの国では,他の国や地域で作られていたのと同じ,質の高い雑誌が生産されています。
17 さらに別の益もあります。今後,雑誌を印刷する費用は,印刷を続ける幾つかの国や地域で負坦することになります。その結果,印刷を中止する国や地域では,資金を王国会館の建設や,貧しい国の兄弟たちの必要を顧みるなど他の用途に充てることができます。したがって,主人の持ち物を注意深く用いると,コリント人へのパウロのこの言葉を国際的な規模で,いっそう効果的に適用できます。「このように言うのは,ほかの者には易しく,あなた方には厳しく,というつもりではないからです。むしろ,均等を図ることによって,あなた方の当面の余分が彼らの欠乏を埋め合わせ……こうして均等になるためなのです」― コリ二 8:13,14。
18 この統合の結果,世界各地のエホバの証人は,これまで以上に緊密に結び合わされます。デンマークの証人たちにとって,以前は自分たちで印刷していた雑誌がドイツで印刷されるとしても問題ではありません。兄弟たちはドイツの兄弟たちの奉仕に感謝します。ドイツのエホバの証人は,自分たちの寄付がデンマーク用の聖書関係の文書の生産に用いられていること,また,ロシア,ウクライナ,その他の国や地域のために用いられるという事実に憤慨するでしょうか。もちろんそのようなことはありません。それらの国や地域の兄弟たちの寄付が,今後は必要な他の用途に充てられることを知って幸福に感じます。
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