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『戦いはあなた方のものではなく,神のもの』目ざめよ! 2000 | 4月22日
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扇動罪容疑の弁護
1947年,私は,扇動の容疑で審理された最初の事件でスタイン氏を補佐しました。それはエメイ・ブーシェの事件でした。エメイは自宅の近くでパンフレットを何枚か配布したのです。エメイ事件の審理で,わたしたちは,「ケベックの燃える憎しみ」の内容に偽りはなく,エホバの証人に対する非人道的な行為を強い言葉で抗議しているに過ぎないことを論証しました。また,そうした非人道的な行為に携わった人たちが全く起訴されていないことも示しました。エメイはその点を公にしただけで有罪とされたのです。結局のところ,起訴した者たちによれば,真実を語ることは犯罪になるということなのです。
ケベックの裁判所は,「扇動罪」について,政府を批判した人は有罪とされるという350年前のあいまいな定義をよりどころにしていました。デュプレッシも,自分の政権に対する批判を封じるためにその定義を盾に取りました。しかし1950年,カナダ最高裁判所は,現代の民主主義国家における「扇動罪」は,政府に対する暴力行為や反乱の教唆を要件とする,というわたしたちの見解を受け入れました。「ケベックの燃える憎しみ」にそのような教唆は全くなく,言論の自由の面で適法なものでした。このただ一つの極めて重要な判決によって,123件に及ぶ扇動容疑事件すべてが消えてしまいました。エホバがどのように勝利を与えてくださるかをじかに見る思いでした。
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『戦いはあなた方のものではなく,神のもの』目ざめよ! 2000 | 4月22日
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[21ページの図版]
エメイ・ブーシェ
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