ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 目91 10/22 11–14ページ
  • ラドン ― あなたの家にある危険物?

視聴できるビデオはありません。

申し訳ありません,ビデオをロード中にエラーが発生しました。

  • ラドン ― あなたの家にある危険物?
  • 目ざめよ! 1991
  • 副見出し
  • 関連する記事
  • ラドンとは何か
  • 問題の原因
  • どれほど危険か
  • あなたの家はいかがですか
  • 放射能 ― あなたはどんな危険にさらされていますか
    目ざめよ! 1992
  • 放射線はどれほど危険か
    目ざめよ! 1982
  • 読者の声
    目ざめよ! 1992
  • 読者の声
    目ざめよ! 1992
もっと見る
目ざめよ! 1991
目91 10/22 11–14ページ

ラドン ― あなたの家にある危険物?

米国東部のリマリック原子力発電所で働いていた一人の技師は,発電所の敷地に入らなくても,放射線を測定する警報装置が自分の体に反応することに気づきました。原子力発電所内で放射線を浴びているのではないことが明らかになったとき,自宅の検査が行なわれ,汚染源はそこだということが分かりました。

二重の心臓バイパス手術を受けて回復していた68歳の宣教者は,血液を増強するための薬物治療を受けていたにもかかわらず,貧血がなかなか治りませんでした。医師は幾つかの質問をした中で,「これまで放射線にさらされたことがありますか」と尋ねました。

宣教者は,「はい,20代の初めに2年間,ある工場で技師として働いていたので,そこでラドンにさらされました」と答えました。

医師は,「問題は恐らくそれでしょう」と結論しました。

原子力発電所の技師も,貧血を患っていた人も,目に見えない危険な物質,ラドンにさらされたことがあったのです。

『ラドンとは一体何ですか。わたしの家でもそれが危険物になるんですか』とお尋ねになるかもしれません。

ラドンとは何か

ラドンは,臭いも色もない気体で,希ガスまたは不活性ガスとして知られる6種類の元素の一つです。しかしラドンは,他の5種類の希ガスとは異なり,放射性があります。ラドンは,放射性元素であるラジウムの崩壊によって発生します。

放射性元素は,一定の放射線または粒子線を放出し,崩壊が進んで他の物質に変化します。例えば,放射性金属であるウランは時がたつとラジウムになります。金属であるラジウム原子は放射線を放出して,ラドンの原子に変化します。次いでラドンは崩壊し,娘元素として知られる放射性物質になります。

放射性物質が崩壊する速度は,半減期と呼ばれる時間で表わします。ラドンの半減期は4日弱です。つまり約4日で,元のラドンの量の半分が崩壊して他の物質になるということです。一方ラジウムの半減期は1,660年,ウランの半減期は何と45億年です。それで,ウランの半減期はラジウムよりずっと長いので,天然のウランはラジウムより豊富です。

問題の原因

ウラン鉱石には必ず,ある程度の量のラジウムと微量のラドンが含まれています。この放射性ガスは家の中に入ってくる可能性があり,それが問題の原因になるのです。

岩石や地中に含まれるウランの量は,場所によってかなり違います。ですから,ある地域では相当な量のラドンが地中からゆっくりしみ出ているかもしれないのです。ラドンは,戸外に出てゆくならやがて消えてしまいます。しかしラドンがたまたま家の下にあれば,そこにたまり,床や壁の割れ目,または汚水だめや排水管を通って家の地下室に徐々にしみ出てくるかもしれません。

また,ラドンは地下水に含まれていることもありますから,水道設備を通って家に入り込んでくる可能性もあります。そのような水を飲むよりも,何かを洗ったり,シャワーを浴びたり,料理をしたりするときに水から放出されるラドンを吸い込むほうが危険です。

冒頭で取り上げたリマリック原子力発電所の技師の経験は,危険がひそんでいることを示す実例です。その人の家の基礎は,ウランを含む岩石の露頭に据えられていたことが分かりました。居間の放射線の測定値は3,200ピコキュリーでしたが,EPA(米環境保護局)は,家の中の測定値が1㍑当たり4ピコキュリーを超える場合はラドン濃度を減らす措置を取るよう勧めています。a

概算によると,その家族は,この家に住んでいた1年間に,何と胸部X線撮影26万回分と同じ量の放射線を浴びていました。それで,その家族が肺ガンにかかる危険性は非常に高くなりました。賢明にもその家族は事態が改善されるまで別の所で暮らすことにしました。「私はたばこを吸いませんし,妊娠中はアルコールにも絶対手を出しませんでした。でも結局は,赤ちゃんをひどい放射能の中で育てているんです」と,妻は嘆きながら言いました。

多量の放射線が見つかった場所は,デンマーク,フランス,ドイツ,ギリシャ,イタリア,オランダ,スウェーデン,英国にもあります。ラドンにさらされたウラン鉱山の労働者が肺ガンで死ぬケースは珍しくありません。事実,ニューヨーク・タイムズ紙の一記者は,「[ラドンが]肺ガンを引き起こすことを疑う人はいない。ウラン鉱山の労働者の半数は肺ガンで死んだ。彼らは仕事をする日には毎日,ラドンが崩壊してできた物質を大量に吸い込んでいた」と述べています。

どれほど危険か

肺の中に吸い込まれたラドンは崩壊する前にほとんど吐き出されてしまうので,ラドン自体が健康に重大な問題を引き起こすことはありません。しかし“娘元素”,つまりラドンが崩壊してできた放射性物質は危険かもしれません。それらの物質は化学的に活性化しており,肺の中に小さなほこりの粒子があればそれに付着します。そうすると肺組織は放射線の影響を受けるようになるかもしれません。カリフォルニア大学ローレンス・バークレイ研究所の古参科学者アンソニー・ネロ2世博士が説明しているとおり,「それら[ラドンが崩壊してできた放射性物質]は半減期が短いので,いったん肺に集められると,[そこで]崩壊する可能性が非常に高い」のです。

家の中でラドンにさらされることの危険性が研究されるようになったのは最近のことです。どの程度までさらされても安全かということは,実際のところだれにも分かりません。今年の初めにEPAは,危険性を以前より少なく見積もりました。「以前は,ラドンに起因するガンで死亡する人は年間2万1,000人と見積もっていたが,今では大体1万6,000人と考えている」とEPA局員のリチャード・J・ギモン博士は述べています。それでも同博士は,「今でもラドンは,人々が直面している大きな健康上の危険の一つである」と言います。しかし,家でラドンにさらされたためにガンになった例を間違いなく指摘できる人はいません。

実際,ラドンに関する懸念はかなり誇張されていると考える人もいます。元EPA長官ウィリアム・ミルズは,ラドンに起因すると考えられているガンによる死者の数は,喫煙が原因であるはずの死者を多く含んでいるために水増しされている,と述べています。「私の考えでは,ラドンの危険性は実のところゼロかゼロに近い数字である」というわけです。カナダ保健福祉省のラドン課の責任者,ロジャー・イートンも同じような意見で,「我々の経験から言えば,肺ガンという病気は,喫煙が関係していなければ,まれにしかかからない病気である」と述べています。

ラドンにさらされる人が受ける危険は,喫煙によって非常に高くなるようです。サイエンス誌によれば,喫煙者が肺ガンにかかる危険性は,ラドンにさらされるときに少なくとも10倍は高くなります。なぜ非喫煙者よりも喫煙者のほうがラドンの影響を受けやすいのかは分かっていませんが,喫煙によって損なわれた肺は,ラドンが崩壊してできた放射性物質を引き留める傾向があるのかもしれない,と考えている専門家もいます。

ラドンの危険地帯として知られている場所もあります。米国ニュージャージー州クリントンでは,ある地域内の検査を受けたすべての家で,ラドンの放射線が多量に検出されました。中でも放射線量の非常に多い家が5軒あり,一生その家に住むならば,何と1日にたばこを20箱吸う人と同じほど肺ガンにかかる危険性が高いと推定されました。

ネロ博士は,「この地域には,ラドンの量が20ピコキュリーを超える家に住んでいる人が少なくない。その値は炭坑労働者の労働基準を上回っている」と説明しています。同博士の推定では,「そのような家に住む人は約10万人おり,本当に援助を必要としている」ということです。

EPAの警告によると,アメリカの家のうち800万軒のラドンの量は,政府の決めた1㍑当たり4ピコキュリーという基準を恐らく超えているだろうということです。しかし,危険な家に関するEPAの推定は大げさだと考える専門家もいます。そのような専門家は,少量のラドンがどの程度の危険を引き起こすかということについても疑問を投げかけています。ピッツバーグ大学で放射線と健康の関連を研究している物理学教授バーナード・L・コーヘン博士は,「私はデータをもとに,少量の放射線にさらされても基本的には危険がないと解釈している。ほとんどの家で検出される程度の非常に少量の放射線によって影響を受けることはない」と述べました。

あなたの家はいかがですか

ラドンがどれほどの危険を及ぼすかということは,あなたの住んでいる場所の地中にウランがどれほど集中しているかで大体決まります。もう一つの重要な要素は,家の下にある土の種類です。土中のラジウム含有量が少ないとしても,透過性のある土であればあるほど,侵入してくるラドンの量は増えるからです。

もう一つの別の危険な要素は,あなたの家の建て方です。例えば,最近の多くの家は,熱を逃さないために事実上密閉状態になっています。そうすると家の中にしみ込んできたラドンは,なかなか外に出て行きません。EPAの局員が説明しているとおり,「家を閉め切ろうとすればするほど,汚染レベルは高くなる」のです。それでラドンの危険性の点では,少々すき間のある古い家のほうが安全かもしれません。

米国でウランの危険地帯として知られているのは,ペンシルバニア州東部からニュージャージー州北部を通ってニューヨークに至る地域です。ミネソタ州とノースダコタ州の間のレッド川流域もそうです。もし,そのような危険地帯として知られているところに住んでいるなら,ラドンの量を測定するために家の中の空気を検査してもらうのが賢明かもしれません。

しかし家がどこにあっても,予想通りの検査結果が出るとは限りません。ペンシルバニア州のある家のラドンの量は2,694ピコキュリーでしたが,隣の家の測定値は何とわずか3.6ピコキュリーでした。逆に,ウランの危険地帯として知られているところではなくても,室内のラドン量が思いがけなく多いということもあり得ます。このように予測ができないので,EPAの主事は,「皆さんにお願いしているのは,10ないし20㌦(約1,400円ないし2,800円)を費やして,問題があるかどうかを調べることです」と述べています。

家を検査してもらうことに決めた場合,様々な方法があります。環境保全を受け持つ地元当局から情報を得るのもよいでしょう。「基準が定められているのは,人が生活している部屋の平均放射線量に関してだが,EPAの検査のほとんどは,地下室に感知器を取り付けて行なう」と,ネロ博士は語っています。そして,「測定は数か月間続けるべきであり,1年間続けるのが理想的である」ということを強調しています。

検査を依頼する会社を選ぶときによく注意するのは賢明でしょう。会社によって評判が違うからです。ラドン感知器を購入することもできます。しかし報告によると,機種によってかなり精度が異なります。

検査の結果,家の中の放射線量が多いことが分かれば,問題に取り組むことができます。恐らく,地下室の壁や床の割れ目をふさいだり,換気をよくするために換気扇を使えば,それで十分でしょう。前述のニュージャージー州クリントンのある地域では,すべての家で多量の放射線が検出されましたが,最初に作業を行なった10軒の家の放射線量は,6か月以内に安全なレベルにまで下がりました。問題を正すための仕事に1,500㌦(約21万円)以上かかることはまれで,ほとんどの場合はもっと安く済みました。

くだんの原子力発電所の技師のようなごくまれなケースには,大がかりな作業が必要かもしれません。その家の場合は,地下室の床のコンクリートとその下の土のかなりの部分を取り除かなければなりませんでした。さらに,ラドンを遮蔽する特別のプラスチックで家の基礎を覆い,コンクリートの割れ目をすべてシリコンでふさぎました。最後に,特別な換気装置を取り付けました。この作業には3万2,600㌦(約456万円)の費用がかかりましたが,効果は十分で,ラドンの量を安全なレベルまで減らすことができました。

幸い,証拠が示すところによると,家の中でのラドンの脅威は恐れられていたほど広範には及んでいないようです。しかし,もし心配であれば,自分自身が安心するためにも,家の中を検査してもらうのがよいかもしれません。

[脚注]

a 1㍑当たり4ピコキュリーという放射線にさらされると,たばこを一日に半箱吸う場合と同じほどガンにかかる危険性があると言われています。

[13ページの図版]

ラドンが家の中に入り込むかもしれない経路

井戸水からの蒸気

床や壁の割れ目

ゆるんだ排水管

花こう岩

井戸水

床の割れ目

小穴の多いブロック

    日本語出版物(1954-2026)
    ログアウト
    ログイン
    • 日本語
    • シェアする
    • 設定
    • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
    • 利用規約
    • プライバシーに関する方針
    • プライバシー設定
    • JW.ORG
    • ログイン
    シェアする