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見えないものに目を凝らす ― 何が明らかになるか目ざめよ! 2000 | 8月22日
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当時,ロシアの化学者ドミトリー・イワノビッチ・メンデレーエフは,元素はでたらめに造られたのではないと結論していました。そしてついに1869年3月18日,彼の論文「元素体系概説」が,ロシア化学会で発表されました。その中で,メンデレーエフはこう断言しています。『わたしは,偶然によるものではなく,何らかの明確かつ精密な原理に導かれた体系を確立したい』。
この有名な論文の中で,メンデレーエフはこう予言しました。「これからも未知の単体が数多く発見されるにちがいない。例えば,アルミニウムとケイ素に似た,原子量65から75までの元素である」。メンデレーエフは16個の新しい元素のために空欄を残しておき,予言の根拠について尋ねられると,こう答えました。「根拠など必要ありません。自然の法則は,文法の法則とは異なり,例外を許さないのです」。そして,こう付け加えました。「わたしの知らない元素が発見されるとき,もっと多くの人がわたしたちに注意を払うようになると思います」。
まさにその通りになりました。「その後15年の間にガリウム,スカンジウム,ゲルマニウムが発見され,それらの属性はメンデレーエフの予言と正確に一致しており,周期表の妥当性とその作成者の名声を不動のものとした」とアメリカーナ百科事典(英語)は説明しています。20世紀の初頭までに,存在している元素すべてが発見されました。
化学研究者エルマー・W・マウラーが述べているように,「この見事な配列が偶然に生じたはずがない」ことは明らかです。調和のとれた元素の秩序が偶然に生じる可能性について,化学の教授ジョン・クリーブランド・コスランはこう述べています。「[メンデレーエフが]存在を予言していた元素がその後すべて発見され,それらの元素がほぼ予言どおりの属性を持っていることによって,そうした可能性は事実上,消え去った。メンデレーエフの偉大な概説が『周期的偶然』と呼ばれることなどない。むしろ,それは『周期律』なのである」。
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見えないものに目を凝らす ― 何が明らかになるか目ざめよ! 2000 | 8月22日
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[9ページの図版]
ロシアの化学者メンデレーエフは,元素が偶然にできたのではないと結論した
[クレジット]
Courtesy National Library of Medicine
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