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  • 『あなたの行かれる所にわたしも行きます』
    ものみの塔 2012 | 7月1日
    • 『あなたの行かれる所にわたしも行きます』

      ルツは,風の吹きすさぶモアブの高原の道を,ナオミに付き添って歩いています。ほかにはだれもおらず,広漠とした風景の中を進んで行くのは,この二人の小さな影だけです。日が傾き,道に落ちる影も長くなってくると,ルツはしゅうとめを見て,そろそろ夜休む場所を見つけなければと考えます。ナオミを心から愛していて,ナオミのためなら何でもするつもりなのです。

      二人とも,深い悲しみに耐えていました。ナオミは,何年も前に夫を亡くしていましたが,しばらく前に息子のキルヨンとマフロンまで相次いで亡くし,嘆き悲しんでいました。マフロンの嫁であるルツも,夫の死を悼み悲しんでいました。二人は,イスラエルの村ベツレヘムという同じ目的地へ向かっていましたが,旅の目的は異なっていました。ナオミにとっては故郷に帰る旅でしたが,ルツにとっては親族のもとを去り,生まれ育った国とその風習すべてを ― その地の神々を含めて ― 後にし,知らない土地へ向かう旅だったのです。―ルツ 1:3-6。

  • 『あなたの行かれる所にわたしも行きます』
    ものみの塔 2012 | 7月1日
    • 一方ナオミは,故国の状態を知りたがっていました。そしてある日,旅商人からと思われますが,飢きんは終わったと聞きます。エホバがご自分の民に注意を向けられ,ベツレヘムは再び,その名のとおり「パンの家」になっていたのです。そこでナオミは,故郷に帰ることにしました。―ルツ 1:6。

      ルツとオルパはどうするでしょうか。(ルツ 1:7)二人は,ナオミと共に辛い経験をしてきたので,ますますナオミに親近感を抱くようになっていました。特にルツは,ナオミの親切心やエホバに対する揺るぎない信仰に心を惹かれていたようです。3人のやもめは,一緒にユダに向かって旅立ちました。

      ルツ記を読むと,善良で正直な人も悪い人も悲劇や死別を経験する,ということが分かります。(伝道の書 9:2,11)また,愛する人を亡くして耐え難く思う時には,他の人たちに,とりわけナオミの崇拝していた神エホバを避け所とする人たちに慰めを求めるとよい,ということも分かります。―箴言 17:17。

      ルツの示した忠節な愛

      3人で何キロか進んだ頃,ナオミは,また別のことが心配になります。付き添ってくれている若い嫁たち二人は,自分と息子たちに愛を示してくれました。その二人に今後さらに辛い思いをさせることになると思うと,耐えられません。『二人が郷里を後にして一緒に付いて来ても,ベツレヘムで何もしてやれない』と思ったのです。

      ついにナオミは口を開き,「行きなさい。それぞれ自分の母の家に帰りなさい。あなた方が,死んだあの子たちに,そしてこのわたしに尽くしてくれたと同じように,エホバがあなた方に愛ある親切を尽くしてくださいますように」と言います。そして,『エホバが二人に新たな夫を与え,新たな生活を始めさせてくださるように』とも述べます。「そうして彼女が口づけすると,ふたりは声を上げて泣きはじめ」ました。ルツとオルパがそれほど強い愛着を抱いていたのは,ナオミが心優しい利他的なしゅうとめだったからです。二人とも,「いいえ,わたしたちはあなたと一緒にあなたの民のところに帰ります」と言いつづけます。―ルツ 1:8-10。

      しかしナオミは,頑として聴き入れません。強い口調で,『イスラエルに行っても,あなた方のためにしてあげられることはほとんどありません。わたしには養ってくれる夫も,あなた方と結婚できる息子もいないし,再婚して息子を生む見込みもないのですから』と述べ,『あなた方の面倒を見てあげられないことが何よりも辛いのです』と言います。―ルツ 1:11-13。

      その言葉にオルパは折れました。モアブには家族がいます。母親がおり,戻って行ける実家があります。確かに,モアブにとどまるほうがいいように思えました。それで,沈んだ様子でナオミに別れの口づけをし,引き返して行きました。―ルツ 1:14。

      ルツはどうするでしょうか。ナオミの言葉はルツにも当てはまるものでした。『しかし,ルツは堅く彼女に付いて離れませんでした』。ナオミは,また歩き始めたものの,ルツが付いて来ていることに気づき,こう諭します。「ご覧なさい,やもめとなったあなたの相嫁は自分の民と自分の神々のもとに帰りました。あなたも,やもめとなった相嫁と一緒に帰りなさい」。(ルツ 1:15)この言葉は,一つの重要な点を明らかにしています。オルパは自分の民のもとに帰っただけでなく,「自分の神々」のもとにも戻りました。ケモシュその他の偽りの神々を崇拝し続けることで満足したのです。ルツもそうだったでしょうか。

      人けのないその道でナオミと向き合ったルツの心には,何の迷いもありませんでした。ナオミへの愛と,ナオミの仕える神への愛があふれていたのです。それで,ルツは言いました。「あなたを捨て,あなたに付いて行くのをやめて引き返すようにと勧めることはしないでください。あなたの行かれる所にわたしも行き,あなたが夜を過ごされる所でわたしも夜を過ごすのです。あなたの民はわたしの民,あなたの神はわたしの神となります。あなたが死なれる所でわたしも死に,そこにわたしも葬られるのです。もしも死以外のものがわたしとあなたとを隔てるとしたら,エホバがわたしに対してそのようにされ,それに付け加えもされますように」。―ルツ 1:16,17。

      その意味深い言葉は,ルツの死後も約3,000年にわたって人々に影響を与えてきました。その言葉には,忠節な愛という貴重な特質が完璧なまでに表われています。ルツの愛はとても強く,忠節なものであり,ルツはナオミの行く所ならどこへでも付いて行こうと思っています。二人を引き離すものがあるとしたら,それは死だけなのです。ルツはナオミの民を自分の民とします。モアブで知っていたものすべてを ― モアブ人の神々をも ― 後にするつもりです。それで,オルパとは違い,『わたしもナオミのようにエホバを自分の神としたい』と心から言うことができました。b

      それでナオミとルツは,二人だけでベツレヘムへの長い旅路を進んで行きます。それは1週間にも及ぶ旅だった,と考えられています。二人は,悲嘆していたとはいえ,一緒にいることで互いにある程度慰めを得たに違いありません。

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