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  • エホバのヨベル ― わたしたちにとって歓びの時
    ものみの塔 1987 | 1月1日
    • エホバのヨベル ― わたしたちにとって歓びの時

      「こうしてあなた方は五十年目を神聖なものとし,その地においてそのすべての住民に自由をふれ告げなければならない。それはあなた方にとってヨベルとなる。……それはあなた方にとって聖なるものとされるべきである。……そうすればあなた方は必ずその地に安らかに住まうことになるであろう」― レビ記 25:10-12,18。

      1 自由の鐘にはどんな文字が刻まれていますか。その言葉はどこから取られていますか。

      どこに住んでおられるとしても,米国ペンシルバニア州のフィラデルフィアにある有名な自由の鐘のことはお聞きになったことがあるでしょう。この鐘は「独立宣言の採択を告げ知らせるため,1776年7月8日に教会のほかの鐘と一緒に鳴らされた。そこに刻まれた『地の住民すべてに達するよう,全地に自由をふれ告げよ』という言葉は,聖書から取られたものである(レビ記 25:10)」と,ワールドブック百科事典は述べています。

      2 あなたは自由が得られる見込みについてどのように感じますか。しかし,それに関して,どのような疑問が生じるかもしれませんか。

      2 自由には今でも大きな魅力があるのではないでしょうか。誤った概念,政治的な圧力や抑圧,老齢や病気のゆえに体が弱り,死んでゆくこと ― それらから本当に解放される見込みがあったとしたら,あなたは歓ばれるのではないでしょうか。そうであれば,あなたには歓べる確かな理由があります。そして,まもなく,その理由はいっそう強力なものとなるでしょう。しかし,十分な自由を与えてくれる政府がまだ一つも存在せず,科学者も医師も,年を取ること,病気,結局は死を迎えることなどを防げないので,『どうしてそのようなことがあり得るのですか』と尋ねる方がいるかもしれません。それでも,繰り返しますが,真の自由について歓べる根拠は確かにあるのです。それを理解するため,今も将来もあなたに影響を与え得る,背景となる重要な情報について考えてみましょう。

      3 ヨベルとは何でしたか。その年にはどんなことが生じましたか。

      3 上の引用聖句には「ヨベル」という語が用いられています。ヨベルは,イスラエルの地のために1年にわたる安息を守る期間でした。合計49年に及ぶ農耕上の一連の七つの安息年のあとに,ヨベルが続きました。50年目に当たるヨベルは,エホバがご自分の民にお与えになった地に関する一連の安息の祝いの最高潮を成し,神の民の父祖に当たる「エホバの友」,つまりアブラハムになされた約束を成就するものでした。(ヤコブ 2:23。イザヤ 41:8)ヨベルの時には,その地にあまねく自由がふれ告げられました。それは,負債のゆえに自分の身を売って奴隷状態にあったすべてのイスラエル人にとって自由を意味しました。ヨベルに関する別の特色は,(恐らく経済的な破綻が生じたために)売却されたすべての世襲所有地が戻されることでした。―レビ記 25:1-54。

      4 ヨベルはいつ,どのように布告されましたか。

      4 そのような背景を考えると,ヨベルが自由を祝う年となった理由がよく理解できます。贖罪の日に角笛を鳴り響かせることによってヨベルが布告されました。a モーセがレビ記 25章9節と10節で書いている通りです。「あなたは,第七の月,その月の十日に,高音の角笛を鳴り響かせるように。贖罪の日にあなた方の全土に角笛を鳴り響かせるべきである。こうしてあなた方は五十年目を神聖なものとし,その地においてそのすべての住民に自由をふれ告げなければならない。それはあなた方にとってヨベルとなる。あなた方は各々自分の所有地に帰るように。各々自分の家族のもとに帰る」。西暦前1473年,イスラエル人はヨシュアの指導のもとにヨルダンを渡って約束の地に入り,その地でヨベルを祝うことになっていました。

      最初の自由がふれ告げられる

      5 これから,解放とヨベルに関するどんな面について考えますか。

      5 以上述べた事柄は,自分たちの生活とはほとんど関係のない古代史のように思えるかもしれません。ユダヤ人の子孫でない人にとっては特にそうかもしれません。しかし,イエス・キリストは,大いなるヨベルを期待できる正当な理由をわたしたちに示されました。わたしたちが自由について歓べる根拠となっているのはそのことなのです。その理由を理解するには,1世紀において,イエスがどのように二つの面で解放のための備えをされたかを理解する必要があります。それから,これがどのようにわたしたちの生活における二つの解放に相当するかを考えましょう。ただし,それら二つの解放は,規模のはるかに大きなもので,歓ぶべきはるかに強力な理由を示しています。

      6,7 (イ)イザヤ 61章1-7節は,どんなすばらしい出来事を予告していましたか。(ロ)イザヤの預言が成就していることを,イエスはどのように指摘されましたか。

      6 古代のヨベルの年に直接触れたものではありませんが,イザヤ 61章1節から7節には,将来に生じる型の解放に預言的な言及がなされています。「主権者なる主エホバの霊がわたしの上にある。それは,エホバがわたしに油をそそぎ,柔和な者たちに良いたよりを告げるようにされたからである。神はわたしを遣わして,心の打ち砕かれた者を包帯で包み,とりこにされた者たちに自由を,捕らわれ人たちには目が大きく開かれることをふれ告げ,エホバの側の善意の年とわたしたちの神の側の復しゅうの日とをふれ告げ,嘆き悲しむすべての者を慰め(られた。)……定めのない時まで続く歓びが彼らのものとなる」。しかし,この預言はどのように,またいつ成就するのでしょうか。

      7 西暦30年の過ぎ越しの祝いの後,イエス・キリストは安息日に会堂に入られました。そこで,イエスはイザヤの預言の一部を読み,それを自分自身に当てはめました。ルカ 4章16節から21節は一部,次のように述べています。「彼は巻き物を開き,こう書いてある所を見いだされた。『エホバの霊がわたしの上にある。貧しい者に良いたよりを宣明させるためわたしに油をそそぎ,捕らわれ人に釈放を,盲人に視力の回復を宣べ伝え,打ちひしがれた者を解き放して去らせ,エホバの受け入れられる年を宣べ伝えさせるために,わたしを遣わしてくださったからである』。……その時,彼はこう言い始められた。『あなた方がいま聞いたこの聖句は,きょう成就しています』」。

      8 (イ)イエスはどんな予備的な解放をお与えになりましたか。(ロ)この点は,ヨハネ 9章1-34節にどのように示されていますか。

      8 イエスが宣明された良いたよりは,それを受け入れるユダヤ人に霊的な解放を与えました。真の崇拝の正確な意味と,真の崇拝に求められる事柄について目が開かれることにより,彼らは多くの誤った考えから解放されました。(マタイ 5:21-48)この自由には,イエスが行なわれた身体的な癒しよりも大きな価値がありました。したがって,イエスは生まれつき盲目の人の目を開かれましたが,その人にはイエスを神からの預言者として認めることにより,いっそう永続的な善がもたらされました。その人が得た新たな自由は,自分たちの伝統や誤った信条のとりこになっていた宗教指導者の状態と対照を成していました。(ヨハネ 9:1-34。申命記 18:18。マタイ 15:1-20)それでもこれは,最初の,あるいは予備的な自由にすぎませんでした。1世紀においてさえ,イエスは古代イスラエルのヨベルに対応する別の種類の解放に関して助けを与えることになっていたのです。そう結論するのが道理にかなっているのはなぜですか。

      9 霊的に解放された人々に関してさえ,どんな奴隷状態は残りましたか。

      9 イエスは今まで盲目だった人に,「この裁きのためにわたしはこの世に来ました。すなわち,見えない者が見えるようになり,見える者が盲目になるためです」と言われました。そしてパリサイ人に向かって,「あなた方が盲目であったなら,あなた方には罪がなかったでしょう。しかしあなた方は今,『わたしたちは見える』と言います。あなた方の罪は残るのです」と告げられました。(ヨハネ 9:35-41)そうです,死に至る罪は,ちょうど今と同じように,やはり大きな問題でした。(ローマ 5:12)使徒たちを含め,最初の解放,つまりイエスがお与えになった霊的な解放から益を受けたユダヤ人は,依然として不完全な人間のままでした。彼らは,相変わらず罪およびその結果として生じる死の奴隷でした。イエスはそういう状態を変えることができましたか。イエスはそういう状態を変えられましたか。もしそうだとしたら,それはいつのことですか。

      10 イエスは,どんな付加的な自由を与えると約束されましたか。

      10 それよりも前,イエスはこう言われました。「わたしの言葉のうちにとどまっているなら,あなた方はほんとうにわたしの弟子であり,また,真理を知り,真理はあなた方を自由にするでしょう」。それを聴いていたユダヤ人は,「わたしたちはアブラハムの子孫であって,だれにも奴隷になったことなどありません。『あなた方は自由になるでしょう』と言われるのはどうしてですか」と答えました。イエスは彼らに答えられました。「きわめて真実にあなた方に言いますが,すべて罪を行なう者は罪の奴隷です。そして,奴隷は家の者たちの中にいつまでもとどまっているわけではありません。子はいつまでもとどまっています」。(ヨハネ 8:31-36)ですから,アブラハムの肉の子孫は,罪への奴隷状態からユダヤ人を解放することはできませんでした。イエスは自由に関する歴史的に有名なこの言葉を,イスラエルがどのヨベルにおいて経験した事柄よりも大きな,将来起きる事柄に注意を向けさせるために語られたのです。

      クリスチャンのヨベルが始まる

      11 クリスチャンのヨベルに関して,西暦33年にもっぱら注意が向けられるのはなぜですか。

      11 ユダヤ人は,モーセの律法契約の中にあるヨベルが大いなるヨベルの予型であることを知りませんでした。(コロサイ 2:17。エフェソス 2:14,15)クリスチャンのためのこのヨベルとは,人を自由にすることのできる「真理」,つまり,み子イエス・キリストを中心とした真理と関係しています。(ヨハネ 1:17)罪とその影響からの自由をさえもたらすこの大いなるヨベルが祝われるようになったのはいつからですか。西暦33年の春のペンテコステの日からです。この日は,イエスがご自分の犠牲の価値をエホバ神に差し出すために天に上られた十日後に当たります。―ヘブライ 9:24-28。

      12,13 イエスの死後にどんなことが起こったため,弟子たちはまもなく特異な経験をすることになりましたか。

      12 イエスよりも前の人間が,死人のうちから復活させられて永久に生き続けたことはありませんでした。(ローマ 6:9-11)むしろ,すべての人は死の眠りにつき,人類が復活する予定の時まで眠り続けるでしょう。イエス・キリストは神の力によって復活させられ,霊感を受けて記された聖書が言うところの「死の眠りについている者たちの初穂」となられました。―コリント第一 15:20。

      13 復活の50日後,復活させられたイエス・キリストが天に上り,ご自分の完全な人間としての犠牲の価値を携えてエホバ神のみ前に入られ,その価値を人類のために適用されたことを示す証拠が明らかにされました。それが明らかにされたのは,西暦33年のペンテコステの日です。イエスの指示に従った約120人の弟子たちは,エルサレムで一緒に集まっていました。その時キリストは,ヨエル 2章28節と29節の成就として,それらの弟子たちに聖霊を注がれました。火のような舌が弟子たちの頭のあたりにとどまり,彼らは自分たちになじみのない言葉で話し始めました。(使徒 2:16-21,33)これは,復活させられたイエス・キリストが天に上り,人類のために適用すべく,完全な人間としての犠牲の価値を携えて神のみ前に入られたことの証拠でした。

      14 (イ)二つの契約に関して,キリストの弟子たちはどのような状況にありましたか。(ロ)新しい契約にはどんな際立った祝福が伴っていましたか。

      14 それらの弟子たちはその後どうなりましたか。一つには,モーセの律法契約から自由にされました。神は律法契約を生来のイスラエルと結ばれましたが,それを苦しみの杭にくぎづけにして今や無効とされたのです。(コロサイ 2:13,14。ガラテア 3:13)律法契約は,生来のイスラエル国民ではなく,霊的イスラエルという新しい「国民」と結ばれた新しい契約に取って代わられました。(ヘブライ 8:6-13。ガラテア 6:16)エレミヤ 31章31節から34節で予告されていたこの新しい契約は,古代の預言者モーセよりも偉大な仲介者を通して取り決められました。わたしたちは解放に関心があるので,新しい契約の一つの面に特に注目しなければなりません。使徒パウロはこの点に注意を喚起し,こう書きました。「『これが,それらの日の後にわたしが彼らに対して締結する契約である』……『そして,わたしは彼らの罪と彼らの不法な行ないをもはや決して思い出さない』……それで,これらに対する許しのあるところには,もはや罪のための捧げ物はありません」― ヘブライ 10:16-18。

      15 油そそがれた者たちにとって,クリスチャンのヨベルが西暦33年のペンテコステに始まったと言えるのはなぜですか。(ローマ 6:6,16-18)

      15 イエスは,「もし子があなた方を自由にするならば,あなた方は本当に自由になるのです」と述べて,罪からのこの解放について指摘しておられます。(ヨハネ 8:36)考えてみてください。キリストの犠牲に基づいて罪からの自由が得られるのです! ペンテコステの日以降,神は信じる者たちを義と宣し,次いでそれらの人たちを,キリストと共に天で統治する見込みを持つ霊的な子として養子にされました。「あなた方は,再び恐れを生じさせる奴隷身分の霊を受けたのではなく,養子縁組の霊を受けたので(す)。……さて,子供であるならば,相続人でもあります。実に,神の相続人であり,キリストと共同の相続人なのです」と,パウロは説明しています。(ローマ 8:15-17)油そそがれたクリスチャンにとって,クリスチャンのヨベルが始まっていたことに疑問の余地はありません。

      16 クリスチャンのヨベルを祝う人々には,どんな付加的な祝福や見込みが関係していましたか。

      16 そのようなわけで,西暦33年のそのペンテコステの日に,霊的イスラエルの新しい国民が存在するようになりました。その国民は,キリストの犠牲の血に基づいて罪が許された人々で成っています。(ローマ 5:1,2。エフェソス 1:7)新しい契約に入れられた霊的イスラエルの最初の成員たちが罪を許され,その結果すばらしい解放を経験したことを,わたしたちのうちのだれが否定できるでしょうか。彼らは神により,「選ばれた種族,王なる祭司,聖なる国民,特別な所有物となる民」とされました。「それは,闇からご自分の驚くべき光の中に呼び入れてくださった方の卓越性を広く宣明するため」でした。(ペテロ第一 2:9)確かに,彼らの肉体は今もって不完全であり,時がたてば死ぬことになります。しかし,神が彼らを義と宣し,霊的な子として養子にされた今,その肉体の死は,復活してキリストの「天の王国」へと入れるよう「解き放たれる」ことにすぎません。―テモテ第二 4:6,18。

      17,18 クリスチャンのヨベルによって得られた解放が,イエスのふれ告げた予備的な自由よりも価値があったのはなぜですか。

      17 信仰を持つユダヤ人を誤った考えや風習から自由にする,最初の,あるいは予備的な段階には,はるかに優れた価値がありました。しかし,これまで調べてきたように,イエスはその霊的な解放を上回る事柄を行なわれました。西暦33年のペンテコステ以降,イエスは信仰を持つ人々を「罪と死の律法」から解放されました。(ローマ 8:1,2)このようにして,油そそがれたクリスチャンにとってクリスチャンのヨベルが始まりました。これは確かに,はるかに価値のある解放でした。というのは,その解放にはキリストの共同相続者として天の命にあずかる見込みが含まれていたからです。

      18 わたしたちはこれまで,1世紀におけるクリスチャンの自由についての二つの側面を考えてきましたが,その両方が歓ぶ根拠となったことに疑問の余地はありません。そして,1世紀のクリスチャンの信者は確かに歓びました。(使徒 13:44-52; 16:34。コリント第一 13:6。フィリピ 4:4)天において永遠の祝福を受けるための道を開いた,クリスチャンのヨベルに共にあずかることに関しては,特にそう言えるでしょう。―ペテロ第一 1:3-6; 4:13,14。

      19 霊によって生み出されていないクリスチャンにとって,どんな質問が残りますか。それらのクリスチャンが,神によって備えられた解放にあずかることを何が示していますか。

      19 しかし,今日の真のクリスチャンの大半は命のために義と宣せられておらず,聖霊によって油そそがれてもいないので,この状況にどのように適合するのでしょうか。クリスチャンのヨベルの一部として,そのようなクリスチャンのために大規模な解放が行なわれるということを期待できる聖書的な理由があります。使徒 3章20節と21節を思い起こしてください。「天はこの方[イエス]を,神が昔のご自分の聖なる預言者たちの口を通して語られたすべての事柄の回復の時まで,その内にとどめておかなければなりません」。(使徒 17:31と比較してください。)すでにクリスチャンのヨベルを享受していた,油そそがれた使徒ヨハネは,イエス・キリストについて,同様の趣旨の次のようなことを書きました。「彼はわたしたちの罪のためのなだめの犠牲です。ただし,わたしたちの罪のためだけではなく,全世界の罪のためでもあります」。(ヨハネ第一 2:2)この言葉は,天的な希望を抱いていない今日の大勢の忠節なクリスチャンがクリスチャンの自由を歓べることを意味していますか。それは将来にしか起きないのでしょうか。それとも,わたしたちにはすでに歓べる理由があるのでしょうか。今日の真の崇拝者たちにとって特別な意味があるクリスチャンの解放とヨベルに関する幾つかの面を調べれば,その答えを見いだすことができます。

      [脚注]

      a 毎年の贖罪の日は,現代で言えば9月から10月に相当する,ヘブライ暦のティシュリの月の10日に行なわれました。

  • 千年期に最高潮を迎える,クリスチャンのヨベル
    ものみの塔 1987 | 1月1日
    • 千年期に最高潮を迎える,クリスチャンのヨベル

      1 イスラエル共和国のユダヤ人は何を再組織するよう努力してはいませんか。それはなぜですか。

      自分たちはモーセの律法下にあると考えている多くのユダヤ人は,イスラエル共和国(1948年建国)にいても,ヨベルの年の祝いを再組織しませんでした。また,再組織を試みたとしても,やっかいな多くの問題が生じたことでしょう。財産権が関係しているので,深刻な経済的問題が生じたことでしょう。イスラエル共和国は古代の12部族が住んでいた土地全体を占有しているわけではありません。人々がどの部族に属するかを確定する証拠が失われたため,レビ族の大祭司が奉仕する神殿も存在しません。

      2 一部のクリスチャンは,古代イスラエルのヨベルが予示していたヨベルをすでにどのように祝い始めていますか。

      2 しかし,この事実により,わたしたちはヨベルの祝いのもたらす祝福に関してどのような立場に置かれますか。古代のヨベルが自由を祝う年であったことをわたしたちは思い起こします。自分を売って奴隷になったイスラエル人は自由にされ,世襲地は戻されました。(レビ記 25:8-54)前の記事では,この取り決めが西暦33年にモーセの律法契約と共に終わったことを理解しました。(ローマ 7:4,6; 10:4)その時に新しい契約が発効し,神はその契約によって信者の罪を許し,彼らに聖霊で油そそぎ,天に入れる子として彼らを養子にされました。(ヘブライ 10:15-18)ところが,そのようにしてこの新しい契約の取り決めから益を受けているのは,「地から買い取られた」14万4,000人の「小さな群れ」の人々です。では,幾百万もの他の忠節なクリスチャンは,どうすればヨベルが予示していた解放を得られるのでしょうか。―ルカ 12:32。啓示 14:1-4。

      すべての人のための犠牲

      3 イエスの犠牲はどれほど効果的で永続的なものですか。

      3 キリスト教時代以前,年ごとの贖罪の日の益はわずか1年しか続きませんでした。主イエス・キリストの贖いの犠牲の益は,継続的で永久に続きます。ですから,対型的な大祭司であられるイエスにとって,再び人間になり,ご自分を犠牲にし,天に戻り,エホバ神の至聖所にその犠牲の価値を毎年差し出す必要はありません。聖書が述べている通りです。「死人の中からよみがえらされた今,キリストはもはや死なない(の)です。死はもはや彼に対して主人ではありません」― ローマ 6:9。ヘブライ 9:28。

      4,5 (イ)西暦33年のペンテコステ以降,イエスの犠牲が適用されてどのような結果が生じてきましたか。(ロ)今後イエスの犠牲がより広く適用されることを示すどんな証拠がありますか。

      4 したがって,西暦33年のペンテコステ以後の期間,信者は栄光を受けた主イエスの,霊によって生み出された弟子になったため,クリスチャンのヨベルを祝い始めました。『罪と死の律法から自由にされる』やいなや,弟子たちは爽快な自由を味わってきました。(ローマ 8:1,2)また,さらに別の人たちが罪を許され,油そそがれ,神の霊的な子となれるよう,キリスト教の音信をふれ告げてきました。しかし,これは,数の限られた14万4,000人のグループに属していなければ,今は喜ばしい解放を経験できないという意味ですか。

      5 これに関連して重要なのは,ローマ 8章19節から21節にある使徒パウロの言葉です。「創造物は切なる期待を抱いて神の子たちの表わし示されることを待っているのです。創造物は虚無[罪深く,罪を取り除けない状態]に服させられました」。次にパウロは,『創造物そのものが腐朽への奴隷状態から自由にされ,神の子供の栄光ある自由を持つようになるという希望』があることを強調しました。ですから,そのような自由は,天で「神の子供」になる人々だけのものではありません。ヨハネ 3章16節にある有名な言葉もその点を確証しています。さらに,油そそがれた使徒ヨハネは,すでに触れたように,キリストは「わたしたちの罪のためだけではなく,全世界の罪のため(にも)」死なれたと述べました。―ヨハネ第一 2:2。

      1919年 ― 最初の解放

      6,7 1919年以後,どのような解放がふれ告げられてきましたか。特にその年以降にふれ告げられてきたのはなぜですか。

      6 現代においては,クリスチャンのヨベルを祝っている油そそがれた者たちが特に1919年以後,解放を告げる良いたよりを宣明してきました。その年よりも後に生まれた人は,『なぜ,その年以後なのか』と不思議に思うかもしれません。あなたが解放を享受することも関係しているということを念頭に置いて調べてみましょう。

      7 その年に先立つ数十年間に,エホバの油そそがれた者たちは,有名な「聖書研究」シリーズ(1886-1917)など,数々の聖書的な真理を公にしてきました。また,教育的な小冊子やパンフレットも数多く配布してきました。第一次世界大戦の期間には,反対が生じ,試みられてふるいにかけられ,活動が停滞しました。ところが,1919年になって油そそがれた残りの者は熱意を取り戻し,聖書の真理をふれ告げるために勇んで出かけて行ったのです。西暦30年にイエスが,わたしは「捕らわれ人に釈放を,盲人に視力の回復を宣べ伝え」るために油そそがれたと言い得たように,これら現代の油そそがれた者たちもそのように言うことができました。1919年9月1日から7日にかけて行なわれた感動的な大会a の後,彼らは無数の人々を解放する真理を宣べ伝えるため,大波のように押し寄せました。―ルカ 4:18。

      8,9 どのような意味で,多くの人は自由にされてきましたか。その解放をふれ告げるに当たっては,どのような手引き書が用いられてきましたか。

      8 例えば,肝要な真理を立琴の十本の弦に見立てて提示した「神の立琴」(1921年,英文発行)と題する聖書研究の手引き書について考えてください。この書籍は,「悪人に対する処罰が……消すことのできない火と硫黄の燃える地獄での永遠の責め苦や拷問」であるという教理に「恐れを感じ,多くの人が聖書研究に背を向けてきた」ことを認めています。600万冊近く発行されたこの書籍の読者は,この教理が「少なくとも四つの別個の異なった理由で,つまり(1)道理に合わない,(2)公正さにかなっていない,(3)愛の原則に反する,(4)全く非聖書的なものであるという理由で真実ではあり得ない」ことを知りました。とこしえの責め苦や煉獄での苦痛を恐れて成長した人々にこれがどれほど大きな解放をもたらしたかは想像に難くありません。

      9 そうです,これら油そそがれた者たちが聖書の真理を熱心に宣べ伝えたため,偽りの教え,迷信,非聖書的な習慣(先祖崇拝,幽霊や邪悪な霊たちを恐れること,僧職者に金銭を搾取されることなど)のとりこになっていた世界中の人々が自由にされました。聖書研究の手引き書の題そのものが,幾百万という人々にそれら油そそがれた者たちが及ぼした,解放をもたらす影響のほどを物語っています。b このようにして,弟子たちはわたしよりも「大きな業をする」と言われたイエスの言葉は真実となりました。(ヨハネ 14:12)神の現代の僕たちは,世界中の非常に大勢の人々のもとに達したので,イエスが「捕らわれ人に釈放を」宣べ伝えて行なわれた,霊的な解放をもたらす予備的な業と比べると,はるかに多くの事柄が行なわれてきました。

      10 将来に,付加的で,より大きな解放を経験できると考えられるのはなぜですか。

      10 しかし,1世紀の西暦33年のペンテコステには,さらに別の解放がもたらされるようになったことを思い起こしてください。その時,「小さな群れ」にとって,クリスチャンのヨベルが始まりました。それらの人々は,罪を許された結果,天において「神の子たち」となるのです。現代の場合はどうですか。神に全く身をささげた他の幾百万ものクリスチャンも,罪への束縛から解放され,壮大なヨベルを祝えるのでしょうか。確かに祝うことができます。使徒ペテロも,「神が昔のご自分の聖なる預言者たちの口を通して語られたすべての事柄の回復の時」について語った際に,その点を指摘しました。―使徒 3:21。

      幾百万人という人々のためのヨベル

      11 レビ記 25章は,霊的イスラエル以外の人々にも解放が及ぶと期待できることをどのように示唆していますか。

      11 レビ記 25章の中で,イスラエル人が二度にわたり,エホバの観点からするとイスラエル人はエホバがエジプトから解放した「奴隷」であるということを思い出すよう諭されているのは注目に値します。(42節と55節)ヨベルについて記しているこの章は,「移住者」や『彼らの中にいる外国人』についても述べていますが,今日それらの人々に類似しているのは,霊的イスラエル人と共にキリスト教の良いたよりをふれ告げている「大群衆」です。

      12 1935年以来,どんな喜ばしい出来事が進展してきましたか。

      12 「りっぱな羊飼い」であられるイエス・キリストは,1935年以来,ご自身が「ほかの羊」と呼んだ人々を,油そそがれた残りの者との活発な交わりに導き入れてくださいました。イエスはそれらの人々を『連れて来』なければならず,それらの人々は「一人の羊飼い」のもとで「一つの群れ」となることになっていました。(ヨハネ 10:16)その「ほかの羊」は現在,数百万を数えます。もしあなたがその幸福な群衆の中の一人なら,神の友としてすでに義と見なされ,人間という創造物の一部として,地上における来たるべき「すべての事柄の回復の時」に「腐朽への奴隷状態から自由にされ」ることを期待しておられます。これは見当違いの希望などではありません。―ローマ 8:19-21。使徒 3:20,21。

      13 「大患難」のあとに生じるどんな祝福に特に注目すべきですか。

      13 天に行くよう定められ,クリスチャンのヨベルを享受している14万4,000人を見た後,使徒ヨハネは「大群衆」について描写し,こう述べました。「これは大患難から出て来る者たちで,彼らは自分の長い衣を子羊の血で洗って白くした。それゆえに神のみ座の前にいるのである。そして,その神殿で昼も夜も神に神聖な奉仕をささげている」― 啓示 7:14,15。

      14,15 「大群衆」の人々に,いま歓ぶべき特別な理由があるのはなぜですか。

      14 大患難前の今でさえ,それらの人々はキリストが流された血に対する信仰を働かせ,そのようにしてキリストの犠牲の死から益を得ています。また,大いなるバビロンから解放されたこと,エホバ神のみ前で正しい良心を得ていること,さらには終わりが来る前に王国の良いたよりを宣べ伝えてマタイ 24章14節の成就にあずかる特権をも歓んでいます。

      15 しかし,大群衆が生来の罪と不完全さから解放される見込みについてはどうでしょうか。その時は近づいているのでしょうか。予言された事柄がすべて成就するまで過ぎ去ることはないとイエス・キリストが予告された人類の世代の一部は,まだわたしたちと共にいると考えてよい正当な理由があります。(マタイ 24:34)したがって,「事物の体制の終結」の大詰めは非常に近づいているはずです。―マタイ 24:3。

      クリスチャンのヨベルの頂点を成す特色

      16 果たされてゆく神の目的において,わたしたちはどの位置にいますか。前途には何が控えていますか。

      16 「全能者なる神の大いなる日の戦争」は足速に近づいており,「小さな群れ」の残りの者も,彼らの忠実で忠節な仲間である「大群衆」も,エホバ神への忠誠を保ち,神から保護されることを期待しています。彼らは,エホバが宇宙の主権者としてのご自分の正しさを立証するため,敵の勢力すべてを徹底的に打ち負かすことを切望しています。この時,彼らが享受するクリスチャンの自由は,その頂点を成すすばらしい特色を帯びることになります。―啓示 16:14; 19:19-21。ハバクク 2:3。

      17 今後幾百万という人々は,壮大なヨベルにおいて,どのように解放を与えられますか。

      17 エホバの宇宙主権が再び確認され,イエス・キリストが王の王,主の主として地の事柄を完全に掌握するや,勝利を収めた王イエス・キリストの,清められた地に対する統治が行なわれます。次いでイエス・キリストは,復活させられた死者で,信仰を働かせ,神がキリストを通して備えてくださる罪の許しを快く受け入れる人々をも含め,幾百万という人々にご自分の犠牲の価値を直接適用されます。その点は,神が「彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死はなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない」状態が実現することによって立証されるでしょう。(啓示 21:3,4)これが真の解放でないとしたら,何が真の解放でしょうか。

      18 新しい体制の地に関して,古代のヨベルの特色に匹敵するどんな出来事が生じますか。

      18 それだけではありません。地がもはや貪欲な人々や団体や人間の政府によって支配され,汚染され,破滅させられることはありません。(啓示 11:18)それどころか,地は真の崇拝者たちに戻されます。それらの崇拝者たちには,次のイザヤの預言の文字通りの成就にあずかるという喜ばしい仕事が課されます。「彼らは必ず家を建てて住み,必ずぶどう園を設けてその実を食べる。彼らが建てて,だれかほかの者が住むことはない。彼らが植えて,だれかほかの者が食べることはない。……彼らはいたずらに労することなく,騒乱のために産み出すこともない。彼らはエホバの祝福された者たちからなる子孫……だからである」。(イザヤ 65:21-25)千年統治の終わりまでに,受け継いだ罪と不完全さの痕跡はすべて拭い去られ,地上にいる,神の忠節な人々は,ヨベルの終結に当たる最高潮を祝っていることでしょう。ですから,ヨベルによって予示されていた解放は,その時までに達成されていることでしょう。―エフェソス 1:10。

      千年期にヨベルの最高潮を迎えたあと

      19,20 サタンと悪霊たちは,千年期のヨベルからもたらされる祝福をどのように妨害しようとしますか。しかし,どんな結果になりますか。

      19 啓示 20章1節から3節は,悪霊集団の支配者である悪魔サタンが,人類に対するキリストの千年統治の期間中は活動の舞台から除かれることを予告しています。千年期の終わりに悪魔と配下の悪霊たちが短期間だけ出て来ることを許される時,それら邪悪な霊たちは,地球が言語に絶するほど美しく,その全体が楽園となっているのを見るでしょう。そして,それらの霊たちが地球を去った時とはその状況が異なっていることに気づくでしょう。また,地球に住んでいるのが,忠実な「大群衆」と,復活させられた幾十億もの死者であることにも気づくでしょう。イエス・キリストは贖いの犠牲として,それらの死者のためにも死なれたのです。クリスチャンのヨベルは千年期の終わりまでに,人類を罪の影響から完全に解き放つという目的を達成しているでしょう。(ローマ 8:21)この完ぺきな状態を破壊しようとするのは,そうするのがだれであれ,全く道にはずれた不面目なことでしょう。しかし,全能の神の許しにより,悪魔はそのような最後の試みを実行し,捨て鉢な強い敵意を抱いて攻撃をしかけてきます。そうした趣旨のことが,啓示 20章7節から10節および14節に次のように記されています。

      20 「さて,千年が終わると,サタンはすぐにその獄から解き放される。彼は出て行って,地の四隅の諸国民,ゴグとマゴグを惑わし,彼らを戦争のために集めるであろう。それらの者の数は海の砂のようである。そして,彼らは地いっぱいに広がって進み,聖なる者たちの宿営と愛されている都市を取り囲んだ。しかし,天から火が下って彼らをむさぼり食った。そして,彼らを惑わしていた悪魔は火と硫黄の湖に投げ込まれた」。

      21 クリスチャンのヨベルが千年期をもって終わったあと,天の神の子たちのどんな反応はヨブ 38章7節を思い起こさせるものとなりますか。

      21 ヨベルの取り決めによってもたらされる真の自由は,どこにいようといつまでも楽しむことができます。すべての創造物は自由になり,ただ一人エホバという名をお持ちになる方に誉れを帰すのです。(詩編 83:18)エホバが全宇宙でご自分の目的を引き続き果たしてゆかれる時,まさにそれが真実となります。地球が創造され,まだ人間が地上に置かれていなかった時,美しい光景を見て「明けの星(は)共々に喜びにあふれて叫び,神の子たち(は)みな称賛の叫びを上げはじめ」ました。(ヨブ 38:7)全能の神に対する全面的な献身と忠誠を実証かつ証明した男女の住む地球を見て,それら神の子たちはその時をはるかに上回る仕方で叫びを上げるでしょう。

      22 詩編 150編1-6節と調和して,わたしたちはどんな態度を保つべきですか。

      22 聖書に投じられた,目くるめくような輝かしい光に照らしてすべての事柄を考慮すれば,わたしたちは天と共におのずと歓喜し,ハレルヤと言わざるを得ません。詩編の書はその結びで,わたしたちにそうすることを勧めています。「あなた方はヤハを賛美せよ! その聖なる場所で神を賛美せよ。そのみ力の大空で神を賛美せよ。その力強いみ業のゆえに神を賛美せよ。その満ちあふれる偉大さにしたがって神を賛美せよ。角笛を吹き鳴らして神を賛美せよ。弦楽器とたて琴をもって神を賛美せよ。タンバリンと輪舞をもって神を賛美せよ。弦と管をもって神を賛美せよ。美しい響きのシンバルをもって神を賛美せよ。鳴り響くシンバルをもって神を賛美せよ。すべて息あるもの ― それはヤハを賛美せよ。あなた方はヤハを賛美せよ!」―詩編 150:1-6。

      [脚注]

      a この大会では,「黄金時代の到来を告知することを使命とし,混迷の荒野に響く声のように」なるはずの新しい雑誌が発表されました。今日,その雑誌は「目ざめよ!」と呼ばれています。

      b 「現存する万民は決して死することなし」(1920年); 「神の救い」(1926年); 「人びとへの自由」(1927年); 「自由」(1932年); 「『真理はあなた方を自由にするであろう』」(1943年); 「死後に生き残ることについて,聖書は何と述べているか」(1955年); 「神の自由の子となってうける永遠の生命」(1966年); 「とこしえの命に導く真理」(1968年); 「解放に至る神の真理の道」(1980年)。

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